海の底、森の奥

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20170929

EXOTICA:黄の洞窟 「闇を駆ける罪 4」
企画2

企画概要(↓クリックすると記事に飛びます)
ブログ『夢の続き』EXO小説企画「EXOTICA」

企画参加者記事一覧(本日更新分↓クリックすると記事に飛びます)
「虹を求めて」EXOTICA:白の洞窟 「identity crisis・4」
「ソラノムコウ」EXOTICA:赤の洞窟 「They Never Know 4」



まぶたの上の明るさで、ミンソクは目を開ける前からもう既に日が高いだろうと思っていた。
果たして窓から降りそそぐ陽光がミンソクの顔に落ちていた。まぶたを上げた彼は、やばい、今日仕事何時からだったっけ、と反射的に思った。体を起こしながら、目に映る光景が慣れ親しんだものでないと気付き、噴き出すように脳の底から眠る前の記憶が蘇ってきた。
「あの人は」
 布団を掛けられ、ソファに横になっていたミンソクはそこが茶を飲み、事情を聞かれた例の休憩室であること、そして周囲に誰もいないことを認識すると、立ち上がり、誰かに彼女の容態を聞こうと傍に置かれた手提げ袋ふたつを持って部屋を出た。
受付まで行く前に、看護師を見付け昨晩の事件の目撃者である旨伝えると、その看護師はミンソクの容姿の珍しさと事件の概要と伝達されていた昨夜の情報とを照らし合わせ、すぐ事態を飲み込み、髭の紳士が医師から説明を受けたところであるからと、紳士と話をすることを勧めた。
その前にとミンソクは手洗いに行き、使い勝手が分からなかったらという一抹の不安があった用足しの方法がそれ程知ったものと大差ないのに安堵して用を済ませると、紳士の呼ばれた診察室の一室に向かった。すると階段を降りようとする彼と鉢合わせた。
 開口一番ミンソクは言った。
「女性はどうですか」
 彼の表情からは状況がしかとは読み取れなかった。そのためミンソクは相手の髭が声の入り口を作るまでのほんの短い間も、やたらに長く感じられ、じれったさから体がしびれた。
「なんとか小康状態を保っているとのことだよ」
 目尻と頬の動きで淡い笑みを彼が浮かべたのが分かった。
「だが意識が戻る気配は、今のところないらしい」
 階段の上と中途で会話を交わしていたふたりは、紳士が足を再び下ろし始めて、揃って階下に向かって行った。
「でも」
 紳士を振り向き振り向きしながら、ミンソクは言った。
「でも、きっと」
「ああ、そうだね。私も希望は持っているよ」
 昼間に彼を見るのは初めてであったが、ミンソクは彼が昨日よりずっと老けて見えることに軽くショックを受けていた。心労とはこのように人から命を搾取していくのだと改めて思い知った。
「いつの間にか眠ってしまってすみませんでした」
 元いた階に戻ると、足を止めてふたりは互いを見合った。
「そんなふうに謝ることはないよ。むしろ眠った時間はかなり短いんだ、体は平気かい?」
「はい、実はいつもより長く寝たぐらいなんです」
「きつい暮らしをしているんだな」
 苦笑いを浮かべると、魅力ある、しかし淋しげな笑みを紳士も作った。
「家の人間に着替えを持ってくるよう連絡しておいたから、きみもそれに着替えて、一緒に一旦帰ることとしよう」
「僕の分もあるんですか?」
「ああ、そのままでは外に出づらいだろうからね」
「すみません、ほんとうにお世話になってしまって」
「きみは謝りすぎだよ。こんなのは当然のことなんだから、気にしなくていいのだよ」
「お宅にお邪魔して、いいんですか?」
「もちろんだよ。きみはここのことを何も知らないんだから。遠慮せず、いいから私を頼りなさい」
 ありがとうございます、と言いながらミンソクははにかんだ。
そんなミンソクを見て紳士は頬を無意識のうちに、もっと自然なかたちに緩めた。
その表情を消すように紳士が先に立って前を行き、休憩室に向かう後ろ姿を、ミンソクは持ち前の脚力で歩幅を補い、追った。
紳士の話した通り、間もなく彼の従僕が鞄を携え姿を現した。
鞄を受け取ると紳士は代わりに自身の汚れた服とミンソクのそれを従僕に渡し、洗濯するよう命じて更衣室にミンソクを連れて向かった。
「見たところのきみのサイズで既製品を買ってくるよう言ったんだ。大きかったり小さかったりするかと思うが、少し我慢して欲しい」
 いわゆるシャツ、ジャケット、パンツといったアイテムは、ほとんどミンソクの知っているものと基本の形は変わらなかったが、デザインがところどころやはりかなり独特で、ミンソクはそれらを順に身に付けながらじっくり見入ってしまうのだった。
「靴はまた後で準備しよう」
 昨夜シャワーを浴びる際に底や側面に付着した血液をあらかた拭っていたのだが、紳士はミンソクの足を見下ろしながらそう告げた。確かに黒ずんだ赤は取り切れておらず、服装ともちぐはぐであった。
「少し大きいかな?だがとても似合っているよ」
 鏡の前に立ったミンソクは、それがお世辞ではないと思えた。今の色の濃い髪と、白い肌に、インクブルーの衣装は映えた。
「きみが元の世界でステージに立っているというのは、よく分かるよ」
 ふくいくたる声でそう言われると、ミンソクはほのかに耳と頬を染め照れくさそうに笑った。
笑みを返す紳士を見て、きっと色も指定してくれたのだろうとミンソクは思った。久しぶりに顔に血の流れを感じ、それは紳士の心遣いのおかげであることを静かに悟り、俯きながら唇の端を上げていた。
双方がマントを巻いて病院を出ると、従僕が車の前で待機していた。
明るい中で見る車、それにまたその背景である病院の周囲は、曲線を多用しながら重厚さをたたえた意匠を示し、色調は抑えられ、都会の只中であることは分かったが、ミンソクの思うモダンなそれとはかけ離れていた。
皆が乗り込むと、車は発進した。
中は前部と後部に分かれており、運転席位置に従僕が座り、後ろにミンソクと紳士が並んだ。
物珍しさからミンソクは車内や車外を観察した。しばらくして従僕の両手が操縦する動きを何もせずに腿の上に置かれていることに気付き、足のみで操作するようになっているのかと考えていると、視線を追った紳士が「何か気になるかい」と尋ねた。
「あ、僕のところでは車は手も運転に使うので」
「ん?ああ、人が車を操るということかい?そうか、いや、ここではね、車は自動運転が基本なんだよ」
「え?」
「彼はこの車に今何もしていない状態ということだよ。行き先を入力すると、そこまで車が勝手に運んで行くだけなんだ」
「…あ…、そういう研究もされてます、確かに」
「そうだろうね。ずっと事故が少なくなるはずだよ。人為的な操縦ミスの方が車の故障による事故よりも圧倒的に確率が高いからね」
 ミンソクは行き交う車を窓から見つめ、他の車中の人々も紳士の言通り運転をしていないらしいことを確かめた。それどころかフラットシート式なのか、家族数人が輪になって談笑している姿も見られた。
「もちろん自身で運転する人もいるし、何かしらの故障が起きたときに人の手で運転することが可能になってはいるが、それは希少な事例だね」
 救急車に乗り込んだとき、ひどく滑らかに進むなと感じていたのは錯覚ではなく、おそらく構造から加速しやすくなっていることと、機械自身で運転していることで無駄のない前進が可能になっていることがその理由だろうとミンソクは思った。
思考は漂い、晴れ渡った空を見上げるうち、ミンソクは仕事はどうなっているだろうかと案じ始めた。
スケジュールは平気だろうか、事務所やあらゆる方面に、多大な損害を与えてはいないだろうか。
自分がいなくなってから、皆どうしているのだろうか、あの洞窟は、他のものはどうなっていたのだろうか、入って行った弟たちは無事なのだろうか。
セフン。
背の高い、色の白い、眉と目の印象的な、肩の張った細長い末弟の姿が目に浮かんだ。ミンソクの中で、彼はいつも笑っていた。このような状況でも、やはりそれは変わらなかった。
クリームの上を滑るように走り続けた車がその優雅さを失わぬまま失速し、停車した。
大邸宅の玄関口まで乗りつけた車から降り、一同は邸内に入った。
従僕に食事の用意を言いつけると、紳士はミンソクに向かって詫びながら、これからちょっとした仕事を済ますために席を外す、供される昼食を食べていて欲しいと告げた。
了解したミンソクは室内履きを出されそれに履き変えると、まず応接室に通され、そこにある多くの珍奇な品に見惚れた。間もなく従僕がやって来ると食堂に案内され、その広い部屋の大きなテーブルについて、今度は次々出される料理を黙々と食べた。見た目も味も、殊更戸惑いや躊躇いを訴えたくなるような自分が食してきたものとの違和感はなく、また食器も病院で食事をしたときにそう感じた通り、スプーンとフォークのようなものが基本で、それ程自身にとっての食事のあり方と遠くなく、使い方に困りはせず、安心したミンソクはここに来てからどうしても湧かない食に対する欲求を奮い立たせ、時間を掛けてではあるが出されたものを残さず胃に納めることができた。
日が真上に昇り、緩やかに下り始める頃合に、書斎に移ったミンソクが肘掛け椅子に腰を下ろし、窓から木の揺れるのを眺めていると、扉が開いて紳士が顔を出した。
「連絡があったよ」
 ミンソクの近くに寄りながら彼は言った。
「病院と警察からだ。病院からは検査結果は問題なしという報告で、警察からはきみに捜査協力して欲しいという依頼だ」
 立ち上がりかけながらミンソクは大きな声を出した。
「もしかして捕まったんですか」
 中腰の姿勢のミンソクを見下ろした紳士は答えた。
「いや、きみに犯罪者情報の記録を見てもらい容疑者を絞り込みたいらしい。行けるかい?」
「はい、お役に立てるかは分かりませんが」
「そうか、では私も所用があるから送らせてもらうよ」ポケットを漁って手に何かを握り、それをミンソクに差し出して言った。「これを持って行きなさい。警察での用事が済んだら、私に連絡をくれれば迎えに行くから」
 受け取ったそれは、女性が紳士を呼ぶためにミンソクに開かせた大きなロケットペンダントといったあの通信機に似た金属製の品だった。同じように蓋が開き、しかしこちらには数字のボタンが並んでおり、携帯電話らしいと知れた。
「私にかける場合はこの一番下のボタンを押すだけでいいからね」
「分かりました」
 連れ立って玄関に向かうと、従僕が新品の靴を準備して立っていた。
「もしかして」
「ああ、きみのだよ。さっき大きさが分かったから、買いに行かせたよ」
 ブーツタイプの靴は、光沢があり美しかった。足を入れるとちょうどぴったりで、歩くたび靴音が軽やかに鳴った。
主人にも従僕にも心からの感謝を述べると、どちらも顔をほころばせた。
見送る従僕を背にし、紳士とミンソクは車で目的地へと出発した。




つづく




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