海の底、森の奥

- EXOの二次創作とオリジナルのBL小説を中心としたブログです。R18表現あり。お気軽にどうぞ。

20160716

シング シング シング 9
夜は優しい、とチェンは安堵の溜め息を漏らしながら思う。
太陽のある間何もかもくっきりとものごとが見え、様々な問題が波の寄せるように迫ってくる辛さから逃れるために、日常に曖昧さを戻してくれる日没を近頃特に待ち遠しく感じるようになっていた。
ベッドに仰向けになり、灯りのついたまま目を閉じ、心身に溜まり続ける疲労を意識した。少し喉を使いすぎたかもしれない。軽く咳払いをし、どこからともなく漂ってくるような不安を取り除けようとする。喉飴でも舐めるか。途端に今朝のことがフラッシュバックした。
どうだと思う?
チェンはぱちりと目を開け、枕に顔を押し付ける。あうーと呻きをあげて顔をそのままぐりぐり擦りあげた。
ギョンスに会ったらどう振る舞えばいいのだろう。もしもよそよそしい態度を取られたら。チェンは自らの欲求に気付いてから今日までずっと潜在的に抱えていた恐怖を今もって指先まで体感していた。
コッコッ。
ノックの音に、チェンはびくりと体を震わせた。
はい、と答えると、俺、と決して大きくはない姿に似つかわしくない低音の、間違えようもない声が聞こえてきた。内心ほとんどパニックになりながら、放置するわけにもいかず急いでドアに向かう。
扉を開けると、チェンの悩みそのものがかたちを得て目の前に実在していた。思わず言葉に詰まるが、勇気を持って言葉を発する。
「何?」
ギョンスは手に持ったカップふたつに目を落とし、再び視線を戻して、「これ」と言う。
「俺に?」
視線を外さずこくりと頷き、
「さっきの仕事で、声出し過ぎただろ」
と、片方を差し出した。それはチェンのカップで、ギョンスの白い手の中で深い青が鈍く光っている。柔らかい湯気が絶えず立ち上っており、その向こうでギョンスが目を伏せているのをチェンの目が捉えた。
「熱いから、床に置く」
チェンが了承する間もなく彼の横をすり抜けてギョンスが部屋の中に入った。
コト、ト、とふたつともカップを床に直起きし、そのままギョンス自身も床に座る。白と青のフォルムの違うマグカップがふたつ、微妙な距離で並んで湯気を立てている。ほとんどこの世のものとは思えないようなそっとした雰囲気で、ギョンスが背筋を伸ばして胡座をかいている後ろ姿を見下ろし、チェンは混乱の極みに達しながらも、ぎくしゃくとギョンスの向かい側に回り、腰を下ろした。
上目遣いで、ギョンスを伺う。彼は微動だにせずカップとセットになったかのような白い靄を見つめている。チェンも目を伏せる。
「これ、何?」
やっとの思いで問いかける。
ギョンスは顔を上げず、答える。
「生姜とハチミツお湯で割ったの」
そう言えば、スパイシーさと甘さが混じった香りがする、とチェンは思い、ギョンスの気遣いの細やかさに胸を打たれた。
「飲んだらマスクもしろよ」
そっけなくギョンスは言う。
うん、とチェンは返事をしながら、涙が溢れそうになるのを必死にこらえ、並んだふたつのカップを見つめる。
「なあ」
「ん?」
「iPodかけてもいい?」
ギョンスは真っ黒いスウェットのポケットからiPodを取り出す。
「踊るシーンがあるんだよ、今度」
iPodをいじりながら言葉を続ける。
「いいよ」
チェンは促し、小さな精密機器が静かに設置された。
「どんなダンス?」
少し落ち着いたチェンは、ギョンスの方を見て尋ねることができた。柔らかなイントロが流れてくる。ジャズだ。
「なんて言うか…チークダンス」
言葉を言い終えると同時にギョンスが視線をチェンと絡ませた。
「この…曲が使われるのか?」
視線を外せないままチェンは問う。
「いや、これは…ただ俺が好きなだけ」
「これ…ダイアナ・クラール?」
「そう。The look of love」
瞬間チェンは体中に電流が走ったのを感じ、低く甘いハスキーな歌声がぐるぐる周りを回り始めた。
「最近ジャズ好きで」
ギョンスはその眼差しをチェンの上に置いたまま、立ち上がる。そしておもむろにドアに向かうと、かちゃりという音がその体の向こうからした。
見上げるチェンと視線を合わせ、
「練習しなきゃ」
とこともなげに言う。
ギョンスの言葉の意味が全く脳に入ってこないチェンに向かい、更に彼は続ける。
「来いよ」
ダイアナ・クラールの歌声がふたりの体を通って宙に舞っている。

The look of love is saying so much more than just word could ever say
And what my heart has heard well it takes my breath away
I can hardly want to hold you
Feel my arms around you
How long I have waited …
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