海の底、森の奥

- EXOの二次創作とオリジナルのBL小説を中心としたブログです。R18表現あり。お気軽にどうぞ。

20170709

嵐を飲み込む 2(リクエスト企画・EXO・リアル短編)
二.叶うのならば

人気のないところに連れて行こうとするのに、人からばれたくないという以外の理由があるなどと思いたくはない。自分でそうした考えがよぎるだけでぞっとするのに、思われたりしたら死ねる。まさかセフンに。その他の誰にだって。
セフンはだが絶対そんなことは思いそうもない。にこにことファニーとすら言える笑顔を振り撒き、チャニョルの横を歩きながら、高く尖った声で喋っている。
連れ立って辺鄙な温泉地に来ていた。
観光客などほぼいない、寂れたそこは、温泉が上質だというわけでもなく、ただ確実に人から追われることを避けられ、食事はかなり期待できるだろうという理由で行くことを決められた。
夜、チャニョルが車を飛ばして町を訪れ、近くの飲食店で夜食を摂り、宿の風呂に入ってそのまま寝た。そして朝、また風呂に入り、そこの朝食を食べ、今ふたりは近所を散歩している。
だいたい想像通りの状況に、チャニョルはひどく満足していた。平日のまだ朝と言っていい時間帯、人はいない。商店街だが、店は開いていないほうが多い。だが近くの山からその幸が採れ、珍しい料理を口にすることができる店がちらほらある。宿泊施設も同様だ。
天気は快晴とは言い難かったが、暑すぎず、被ってくるような雲からたまに太陽が顔を覗かせるだけで喜びが湧いたりするのも、なかなかいいなとチャニョルは思った。
特段面白い街並みであるとかそういったことはなかったが、人目をそれほど気にすることなくぶらぶらできるというだけでひどく楽しいものだった。サングラスも、マスクもしていない。帽子すら被っていなかった。背の高いふたりはそれだけで注目の的にはなったが、高齢者の多い土地柄、ただ長身のルックスのいい青年がいるということに目を瞠るだけで、それ以上の反応はなかった。
知らず笑みが双方から零れた。
何も気にせず振舞えるということの意味を改めて思い知る。大声で語り、笑った。風呂も、むしろ宿自体ほとんど貸し切り状態で、浴槽で巨大などちらもが長々と両手両足を伸ばして浮かんだり、ご飯を何杯もお代わりしては互いをからかったりして過ごした。
今日、昼には戻って仕事に掛からねばならない。昨日も日中は働いていた。
しかし最近はこうして、少しでも時間ができれば揃って遊びに出掛けていた。それは大変な息抜きで、生き返るような心地が信じられぬほどにした。
チャニョルもセフンも、相手がこんなにも自分にとって共にいやすい存在になるとは思ってもみなかったところがあった。当初仲のよいメンバーはまたそれぞれ別にいた。だんだんと、こうなっていったのだ。不思議なことではあったが、確かに小さな頃から、人間関係とはそういったことがあるものだなと、チャニョルはしんみりと考えることがあった。セフンと仲良くできるのは嬉しいことに違いなかったが、どこか切ないことでもあった。
それに、チャニョルはこの事態よりもっと、自分でもどうしたらいいのか分からない事柄に悩んでもいた。ほんとうに、この数ヶ月のことではあったが。
チャニョルははっきりとヘテロであり、男性に恋愛感情を持ったことなど皆無であった。そうした思いを男性から抱かれたこともないように思う。なのにこのところ、セフンのことを、どうもただの弟分とだけは見なしていないような気が自身でしていた。
何故だろうと疑問でしかなかった。
確かに背の高い女性が好きであるし、セフンの顔は非常にハンサムだと思う。だが好きになるなど、性的に興奮を覚えるようになるなど考えたこともなかった。昔のセフン、子供と言ってよかった頃のセフンならまだ分かる。あどけなく、実に可愛らしい少年であった。別にそのときなんとも思っていなかったが、振り返るとそれならばとまだ思う。すぐ傍らにいる、人が振り返るような彫刻のような若者よりもずっと、恋心を抱けるような気がする。
しかし実際は逆だった。チャニョルは昨晩、運転する隣でくうくうセフンが眠っている顔を横目に見、キスをしたいなと思っていた。そう願った瞬間みずからの頬を張った。その音で刹那セフンの目が開きかけたが、また閉じてほっとした。
親愛の表現でそうしたいというものを越えた何かが身の内にあった。それを徐々に認識していた。オナニーをするときも、少しセフンのようなたたずまいを持つスレンダーな女性の動画を探すようにまでなっていた。最低最悪だ、とひとりごちたが、それで情欲はきっちりと煽られた。
入浴や就寝も当たり前だがただ楽しいという行為ではなく、振る舞いや目の色に変なところはないか何度も自分を俯瞰するように見つめ直した。セフンの白い尻や、大きいとは言えないが狭い範囲で密集した黒く硬い毛の中で垂れている綺麗なペニスや、寝ながらシャツをまくって露出した腹部が目に入ると慌てて逸らし、だがそれらの光景は決して記憶の保管庫の中からなくなることはなく、色褪せぬ魅惑的な画としてチャニョルの脳に棲みついた。なんとか律して、そして他の享楽に集中して、充満する雄としての欲求を退け、これまで兄を通していた。
時折盗み見るようにセフンを窺い、自問自答を反復した。でも回答は得られなかった。
セフンを大変可愛く思っている、ということは分かっていた。あと、いっしょにいるとものすごく安心するということも。どこか頼りにしているところがあった。自分にないよさがあり、それをとても評価していた。
そこから、誰かのものにしたくない、という考えが湧いているような気はするとは思っていた。セフンが女の子の話をしたり、他の誰かと出掛けた話をしたりすると、もやもやとした、黒の度合いの強い灰色の煙に似た感情が胸を満たした。これは嫉妬というのだ。それくらいは知っていた。
自分でも知りたくはなかったし、誰にも知られたくはなかった。こんなに共に過ごしているのが、下心からだと思われたくはなかったのだ。しかし確かにそういう部分はあった。いたしかたのないことだ。それがなくとも同じ時間を共有したいのは当然だが、そのことでもっとと思っているのが実情で、それが恋というものだ。
そんな日々の中、知らぬ町で、隣でセフンが歩いていると思うと、チャニョルは非現実的な感覚に襲われた。何かすべてが夢のように思えた。
「昼飯どうする」
 頭の片隅で絶えず思考し続けている問題をおくびにも出さず、チャニョルは尋ねた。
 んー、とセフンは唸るような音を出すと、
「まだ空いてないからなあ」
と答えた。
「まあそうだな」
「なんか思ったのはさ」
「なんだ?」
「帰ってから食べたいもんあるなって」
 腑抜けた笑みを更に広げてセフンは言う。
「なんだよ?」
 こうしたことはものすごく気になった。男は好意を持った相手の欲求をどうしてこうも叶えたいと欲する生き物なのであろうか。自分でも驚くほどどうしたってそれを食べさせたいと願ってしまい、チャニョルは辟易しながらも返事を待った。
「あのね」くくく、と笑うセフンは続ける。「兄さんの作ったカレー」
 セフンをじっと目に映した。その大きな目の中いっぱいに、男としか感じられない端正な面を反射させ、言いようのない喜びが腹の底から湧き上がってくるのに堪えた。
「山菜とか食べてたからかな」
 顎に触れつつそんなふうにセフンは言う。
「…そうかもなあ」
「まあ今日は無理だろうけど。仕事夜までだし。今度作ってよ」
「…おお」
 町の外れまで来たらしく、あたりは木ばかりになっていた。よく育った大木が、緑の濃い葉を繁らせ、大きなふたりを隠すように枝を伸ばしている。
この木の間なら、きっと誰にも見られないのに。
チャニョルの頭に、セフンを抱きしめる己のさまがまざまざと浮かぶ。風が吹き、音楽のように、ひとつになった彼らを包む。きっと、愛してると、言ってしまうとチャニョルは悟る。
「戻るか」
 素直に腕を組んで着いて来るセフンの方を向かず、長い脚をできるだけ小さい歩幅で歩かせ、帰るまでの時間を延ばそうと試みた。



つづく


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