海の底、森の奥

- EXOの二次創作とオリジナルのBL小説を中心としたブログです。R18表現あり。お気軽にどうぞ。

20160718

受容について 19
「あ、ミンソク兄さん」
久しぶりの完全オフの日。家に篭り、シウミンはソファの上に脚を折り曲げて縮こまっていた。
ダイニングルームに入ってきたd.oは、仕事帰りだった。
キャップとマスクを身に付け、鞄を肩に掛けて、片手に大きな花束を持っている。黄、赤、オレンジを中心とした花の洪水が手の中から溢れるようだ。がさ、がさ、とd.oが動くたび声を上げた。
「花瓶ってどこだっけ」
くぐもった声で話し掛けられ、シウミンは膝に抱えたクッションの上の顎を上げた。
「キッチンの一番奥の下の棚にあったと思ったな」
かすれた声で答える。
「そっか。ありがと」
カウンターにひとまず花束を置き、d.oは自室へ向かった。背を見せながら、
「風邪引いた?声、調子悪そうだけど」
シウミンに問う。
「ううん、今日あんま喋ってないだけ」
振り向きもせずd.oは小さく笑った。
再びクッションに頬を乗せ、シウミンはカウンターに乗った花束を眺めた。ぷくぷくと膨らんだつぼみや、大きく口を開けた花弁。ちょうど窓から陽の光が柔らかく部屋を照らす時間で、花たちから光が飛ぶようにシウミンの目には映った。
着替えたd.oが戻って来た。花束を持ってキッチンに消える。
ガタ、カタン、コト。ジャー、ワシャワシャワシャワシャ、ガサリ、ガサガサ、パチ、パチパチパチパチ、パッチン。
目を閉じたシウミンの耳にやって来るd.oの立てる音は、控えめなインストゥルメンタルの旋律だった。眠気を誘われ、クッションを抱え小さくなったシウミンは繭のように内に閉じこもりかけた。
ゴトン。
ぱちっと目を開く。
カウンターの壁際の端に、古いものらしい大きな花瓶が乗っている。美しい花をその中にたくさん抱えて。
満足げにその光景を見て、d.oがまたキッチンに引っ込んだ。
「兄さん」
突然大きな声が聞こえる。
ぼんやりしたシウミンは一拍遅れて返事をする。
「何」
「ここに置いてあるこの中国のお茶みたいなの、飲んでもいいのかな」
「あ、ああ。それ俺の。いいよ、俺の分も入れて」
「ありがと、分かった」
電気ポットにお湯が残っていたらしく、d.oはすぐにお盆を持ってやって来た。
ソーサーに乗ったティーカップの中で、花の開くように茶葉が沈んでいる。脚を下ろしシウミンは茶器の中を見つめた。
「綺麗ですね」
「な」
シウミンの前に置かれた花の浮かんだカップと、そこから宙に消えて行く湯気。小さく微笑むd.oは疲れ切ってはいるが、憔悴はしていないようだった。
「これ、どうしたの?」
こちらを見たd.oと視線を合わせ、シウミンは言う。
「共演者の方にもらったんだよ」
「へえ。いいですね」
「この香り嗅ぐと思い出すな、撮影」
シウミンは苦笑する。
ソーサーを持ち、d.oはカップに口を付ける。分厚い上唇が縁を噛むようにして。
「うん、美味しい」
「そりゃよかった」
シウミンも手に取る。顔に近付けるだけで、彼女の香水や濃いアイメイクが浮かぶ。何故だか切ない心持ちになり、ひとくち飲む。
「美味いな」
「ね」
常よりぽうっとしたようすのd.oを見て、シウミンは言う。
「お前、寝なくていいの?寝てないんだろ」
「寝ますよ。ただクランクアップで興奮と安心が入り混じってて、とりあえず何か飲んでからと思って」
「おめでとうな。お疲れ様」
「ありがとうございます。やっと終わりましたねえ」
力の抜けた表情を作る弟を見て、シウミンは自分でもほっとする。
「兄さんこそお疲れ様でした」
「いやいや。お前には及ばないよ」
「何言ってんですか」
「役柄がなあ」
「どんな役だって大変ですよ」
「とりあえず少し休めるな」
「そうですね。ちょっと遊びたいかな」
子供のような笑顔を浮かべるd.oに、シウミンは尋ねる。
「そうだよ。どうなんだよ、なんか友達と遊んだりデートしたりっていう予定入れてないのか?」
「デートって」
あはは、とd.oは笑う。
「そうですね、したいな」
目を伏せて、落ち着いた声で言う。
「しろよ、どこでも行ってこいよ」
「兄さんこそ、どうなんですか。自分も少し時間できたでしょ。前なんか悩んでなかったっけ」
いたずらっぽい笑みに変えて、d.oがシウミンを追及する。
「ごまかしてたけど、本当は誰かいるんでしょ」
「なんだよ、いないよ」
「そうかなあ」
「うん」
ごく、とお茶を飲む。
「兄さんすごく分かりやすいから、隠しても相手にばれてるよ、きっと」
「え」
「え、って」
声を上げてd.oは笑う。
「ほら、すぐ赤くなっちゃうし」
両手で頬を隠すシウミンを見て更に愛しそうに笑い、言葉を続ける。
「もし素直になかなか言えてないなら、もう知られてると思って、伝えた方がいいよ」
「べ、つに俺はいつも素直だよ」
目だけ出してd.oを睨みつけるシウミン。
「そうかもしれないけど」
「だいたい俺は好きじゃないんだって」
「やっぱりいるんだ」
「な、違う」
「なんで好きじゃないって言うんです」
「だ、って、俺は別にこうなりたかったんじゃない。ていうか違うって」
「こうって?」
「だから、仲良くというか、必要以上に、って、なんだよ、今日よくしゃべるな」
「言ったでしょ、ちょっとハイなんですよ。でも結果なったんでしょ」
「成り行きだよ」
「成り行きでも」
「あっちだって俺がいいわけじゃないんだよ。あーもうなんなんだよ」
「なんでそう思うんです」
「そういう奴なんだよ」
「誰にでもってこと?」
「いや、誰にでもってわけじゃないかもしれないけど、相手選んでるかもしれないけど」
「選んでしてて、今兄さんだけっぽいの?」
「いや……どうかな……そうかな……」
「全然相手から好意を感じないの?そういう好意を」
「うーん……感じない…というわけじゃない……変わったし……」
「じゃあ、兄さんのこと好きなんじゃない?」
「そ、れはない」
「そうかなあ」
「そうだよ」
「兄さんは好きだよね、その人が」
「だから、好きじゃないって」
「だって今の完全に恋バナでしょ」
「違う」
「先に寝ちゃったの?」
「…っ、お前そういうこと言うのかよ」
「順番間違えちゃったのか」
「順番も何もないっつーの」
「じゃあ今度会うときは寝ないで話だけしなよ」
「……今度なんてねーよ」
「ほら、素直になりなって」
「お前なー」
くすくす笑ってカップを口に運ぶd.oを憎らしげに見つめ、シウミンはクッションの上に頬杖を付き顔を隠し続けていた。
今度なんてないんだ。
シウミンは決めていた。もうセフンが来ても受け入れないし、この間のように自分から誘ったりも絶対しない。お互いを性欲のはけ口にするのはリスクが高すぎる。恋とかそんなんじゃない。欲求不満の解消にメンバーを使うなんて愚かだ。何度も繰り返す理屈でシウミンは武装した。
しかし、シウミンは今セフンの顔やその姿、表情、話す声を思い浮かべると、昔感じた覚えのある胸の疼きを感じてしまう。錯覚だと思いたかった。寝ていたせいで情が湧いただけだと。セフンが自分を見る目の変化も、錯覚のはずだった。
「じゃあ俺、寝るね」
立ち上がり、盆を持ってキッチンに向かうd.oの背を見送る。シウミンのカップの中はまだ茶が残り、大輪の花がゆらゆらと咲き誇っている。
「意地張らないで」
部屋から出て行き際に、深く響く、笑みを含んだ声で言われ、シウミンは思わず「うるせー!」と閉まるドアに叫んだ。




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