海の底、森の奥

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20160718

受容について 11
しばらくうとうとして時間が過ぎた。胸の違和感を拭えないまま、まだ出かけるまで間はあるが、諦めて起きてしまおうとシウミンはベッドを出た。コーヒーを淹れよう。仕事のこととセフンのことでシウミンは押し潰されそうであった。随分と顔色が悪いだろうと、鏡を見なくとも自分で察しがつく。無理矢理何か食べ、コーヒーで流し込もう。確かマネージャーがくれたチョコロールパンが残っているはずだ。考えながら、今、チョコレートの味を感じたくはないな、とシウミンはまた気分が暗くなった。
キッチンへ向かったところ、並んだ部屋のひとつから出て来たチェンと遭遇した。シウミンに気付き、少しだけ慌てたようすを見せ、「お疲れ」と言いながらそっと、しかし素早くドアを閉めた。
「お疲れ。…ギョンス、帰ってきたのか?」
チェンが出て来たのはd.oたちの部屋だった。シウミンは閉まったドアを一瞥し、チェンに向き直った。
「うん、寝てるよ。ちょっと、話しただけ」
彼特有の笑顔を作り、チェンは「すげー疲れてるよギョンス」と言いながらキッチンに入った。シウミンもそれに続く。
「だろうなあ。ギョンスはあんまり愚痴とか言わないけど」
「それは兄さんも同じじゃん」
チェンは笑いながら冷蔵庫を開ける。シウミンは湯を沸かすため薬缶を手に取った。
冷蔵庫の中を覗いて、チェンが言う。
「あ、兄さん。昨日の夜の中華のお土産があるんだよ。それ食べる?」
薬缶に勢いよく水を出しながら、シウミンは自然に笑みが出る。
「まじで?やった。何?」
チェンが冷蔵庫から取り出しながら答える。
「水餃子だよ。ほら。ギョンスのとふたり分」
スープの中に大量に浮いたつやつや光る水餃子を差し出し、チェンは嬉しそうに微笑んだ。
「スホ兄さんが気が付いてね、珍しく」
あはは、とチェンは笑う。シウミンもつられて笑う「それはありがたかったなあ」。
「じゃあこれ全部鍋にあけてあっためるね」
かなり大きな鍋を出し、チェンはざあっと中身を移した。薬缶の隣のコンロに鍋を置く。
「サンキュ。お前、コーヒー飲む?俺とりあえず飲んで目ー覚ますわ」
チチチ、とつまみをひねり、
「あ、飲むー。ありがと」
と答える。
「冷蔵庫の中にパンあるから。食っていいよ」
「あ、ほんと?やったー」
湯が沸くのを待つ間、ふたりはソファに腰掛けた。シウミンはテレビを付けザッピングするが、ひととおり見てすぐ消し、チェンはスマートフォンをいじっていた。
「今日、仕事なかったっけ?」
シウミンが尋ねる。
「打ち合わせがあるよ。あと練習も。でも午前中にひとつスケジュール終わって、結構時間が空いたからいったん帰ったんだよ」
「おーそっか」
「兄さんまじでお疲れ。顔色悪いよ、なんか栄養剤とか飲んだ方がいいよ」
「んーそうだな。そうする」
シウミンは頭の後ろで両手を組む。
「………あー。ギョンスはすごいよなあ」
スマートフォンから目を上げ、チェンがシウミンを見る。
「え?…何が?」
「演技も歌もダンスもできてさー。ほんとすごい」
「あ、ああ。うん。そうだね」
「あいつほんと忙しいと思うけど、プライベートとか確保できてんのかな?」
頭に手を置いたまま、シウミンがチェンを見る。チェンはスマートフォンに再び目を落としていた。
「…どうだろー。あんま時間ないんじゃないかなあ」
微笑んでチェンは言う。
「そうだよなあ。浮いた話なんか聞かないけど、あいつ自分で言いそうもないしなあ」
「…そうだねー」
チェンの指は忙しげに、スマートフォンの画面をスライドし続ける。
「お前は?どうなの?」
「俺?」
チェンが一瞬シウミンと目を合わせる。が、すぐに視線を戻し、
「俺…も、なんもないかなあ。出会いもないしなあ」
と曖昧なことをぶつぶつ呟く。
「さみしいこと言うなあ」
シウミンは苦笑して彼特有の笑顔を作る。左右非対称に開く口元。
「だってそうなんだもん」
えーん、と泣き真似を笑いながらするチェン。
「…俺もなんもないしなー」
シウミンがソファの上で脚を折り曲げ、自分の立てた太ももあたりに目線を落としてぼんやりと言う。
「そうなの?」
チェンがシウミンを見る。
「ねーよ。…ないに決まってんだろー」
ソファの背もたれに仰け反り、天を見上げて口を開け、あうーと変な声を上げるシウミンをチェンは見つめる。
「…いやー、俺、なんかあんのかと思ってたよ」
瞬きをし、口を閉じてシウミンは黙った。目は天井を見上げたまま。
「最近……いつもとようす違ったから。撮影始まるせいかなとも思ったけど…」
「……なあ」
背もたれの上に頭を乗せた状態で、シウミンは言った。
「恋愛感情って、お前どういうときに自覚する?」
「え?」
「…誰かを好きって、どういうとき自分で分かる?」
頬の少しこけた、白い顔の更に白くなった童顔の、落ち着いた長兄にチェンは、逡巡しながら、ゆっくり口を開いた。
「………俺は、…自分にないものを持っていて、それがいいな、とか、素敵だな、とか、なんか、求める気持ちを相手に抱いたら、……それは精神的にも、肉体的にも、だけど……欲する感情が湧いたら……、好きだ、って思う…かな……」
シウミンは一点を見つめて言葉を続けるチェンの方に首を向ける。
「……いい声だな、とか……こっちを見る目がなんか、どきっとするものがあるな、とか……そういう……。あるじゃん?そういうの……」
チェンがシウミンと目が合い、照れくさそうにはにかむ。
「……そうだなあ……」
薬缶のピ、ピ、ピィーという甲高い鳴き声が響く。
眠りから覚めたようにシウミンは目を見開き、ばっと立ち上がった。
「やっぱ兄さん、なんかあったんでしょ」
キッチンに向かうシウミンの背中へ、からかうようにチェンが声を掛ける。
「ないない、ないよ!」
シウミンは振り返らずに、手だけぶんぶん振り、薬缶の呼ぶ声を消しに行く。



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