海の底、森の奥

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20170529

密会の色(「グレーゾーン」番外編・人気投票御礼企画10)
揺れるたび光を受け止めるそこをどうしても見てしまう。ジュンミョンはみずから贈ったものであるのに、そのピアスを初めて目にするかのように何度も目の前に座る男の耳たぶをいっとき凝視し、また目を下ろした。
もうもうと煙がのぼっていく。
薄く灰色がかったその向こうに、タオが唇の片端を上げて肉に見入っている。並べるのはジュンミョンで、タオは何もしなかった。
「タオ、お前な」
 声を掛けると犬のような反応を示す。ぴょこと顔を上げ、口に出さずとも次に発する言葉が顔に浮かんでいる。
「何?」
「もう少し目立たない格好で来いって」
 言われてタオは自分の体を見下ろした。黒を基調とした、いつものタオのファッションだった。シルバーアクセサリーがあちこちで鈍く存在を主張している。
「地味にしたよ」
 きょとんとした表情でタオは見返し、受けたジュンミョンはまぶたを半ば下ろして乾いた笑いを唇に乗せた。
「足りない」
「うそー」
「嘘ついてどうする。意地悪言ってんじゃないんだぞ。ばれるだろーが。つーかきっとどっかにばれてる」
「そんなことないよ。気を付けたもん」
 へへーと笑うタオは本気だ。と言うより割とどうだっていいと思っている。自分がこの兄と会うのになぜこそこそしなければならないのか。そう考えていることをジュンミョンは知っていた。
「何書かれたり言われたりするか分かんないんだぞ」
 しかめ面を作ってみせる。
高級焼肉店の個室はそんなに広さはないが調度はしっかりしており居心地がよく、タオは眉間に軽い皺をこしらえ肉を見つめるジュンミョンをいとしげに見下ろすと、顔をいたるところへ向けて満足の溜め息を漏らした。
「ここまた来たーい」
「タオ、話聴いてるか」
「聴いてるよ。ね、また来よう」
「まだ食べてもいないんだぞ」
「おいしそうだよ。だからきっとおいしいし、僕こういうとこ好き」
 じゅうう、じゅうううう、という音を縫って届くタオの韓国語は、会うまで間を置くとすぐにひどく子供っぽい、頼りないそれになる。長く会話をしているとだんだんと思い出すようで、帰り際にはかなり流暢になっているが、再び会うときにはまた片言に近くなる。その繰り返しだった。
ジュンミョンは確かにこの店をタオが好きだろうと思った。ここを選んだのはそれもあった。タオはとにかく綺麗だと感じるものを愛していた。華やかであるとか地味であるとかそういったことでなく、そこに美があるかどうかを非常に気にした。
「…気に入ったならよかったよ」
 仏頂面をどうにか浮かべてジュンミョンは呟いた。そして、ほら、焼けたと言い、カルビを皿に盛ってタオに渡す。
「わーい」
 両手を軽く叩き、笑顔のタオは受け取った。
箸を取って早速食べ始める姿を眺め、ジュンミョンは彼の親であるかのような妙な気分に常と同様またなった。
絶えずぱちぱちと炭が自身を焦がす。その中は紅に染まり、燃え殻となった周りの灰色は時折くたりと身を崩した。
「おいしーい」
 ふふふふ、と咀嚼しながら笑うタオに、行儀が悪いぞと、しかし笑ってジュンミョンは諭した。
「もっと食べたい」
「待てって」
 網の上をぎっしりと肉で埋めながら、ジュンミョンは尋ねた。
「明日、仕事ないのか?」
「うん、オフ」
「次の仕事はなんなんだ」
「えー」
 にやーと目を線のようにし、片側の頬だけ特に上げて笑みを作るタオの顔の派手さに、ジュンミョンは久しぶりに目をわずかばかり見開き、返答を待った。
「映画ー」
 んーふふふふーと両足をばたつかせるタオは、心底からの喜びを全身で発散していた。
「アクションか!?」
 その歓喜の度合いから、ジュンミョンはすぐに悟る。
「んーそうー」
 タオはその大きな体を前後にふらふら揺らしていた。猫の心地よさげな寝顔に似たその面を、炭火の方に向けながら。
 ひっくり返しながらジュンミョンは目を上下と忙しく動かした。
「やったなー!やったなタオ、よかったなあー」
 自分でも不思議なほどジュンミョンは胸がいっぱいになった。何か体の奥の方から沸き立つように感情が生まれ、まだひとくちも食べておらず、アルコールも取っていないのに、焼き肉の熱のせいでなく白い肌がふわっと照った。
「ありがとー」
 ジュンミョンのそのようすはタオにとってはなんら違和感を抱くものではないようだった。兄さんなら当然だと思っているのがジュンミョンに伝わった。それに対し、ジュンミョンはほんとうのところ複雑な思いだった。だがそんなことは押し隠し、続けた。
「お祝いだな、今日は」
「えー、やったー」
「まあもともと俺のおごりだけど」
 どんどん食え、という言葉に、うん、食べるーとタオは応じる。
「映画の他は?なんかあるのか?」
 豚や鳥の肉を次々と皿に乗せ、せっせと渡してジュンミョンは更に聞いた。
「えーとね」肉を口に運びつつタオは言う。「バンドをね、しないかって言われたりしてる」
 熱そうに口をひしゃげるタオを、手を止めたジュンミョンは見下ろして聞き返した。
「バンド?」
「うん。そういう話があるってだけだけど、まだ」
「へえー」
「分かんないんだけどね」
「お前したいのか?」
 頬を大きくしたタオは視線を上に向けて顎を掻き、考え込む仕草をした。
「うーん。僕がいいな、と思える曲ならしてみてもいいかなと思う」
 苦笑してジュンミョンは言った。
「お前はほんとにそういうとこあるなあ」
「なーに」
「納得してないことしたくないんだろ」
「え?だってそうでしょ、普通」
 意味が分からないというふうに白目を広げるタオと目を合わせ、ジュンミョンは眉頭を上向け、薄く小さい唇にはかない微笑みを添えた。
「俺はお前のそういうとこ、嫌いじゃないよ」
「嫌いじゃない?好きって言ってよ」
 はははと笑って目を逸らす。
「それはどうだろうなあ」
 新たな肉がまたあぶられるため金属の上にやって来る。そうしているジュンミョンは黙って手元だけに目を落としていた。
「やっぱりおいしいねーここー」
 皿の上を片付けてまた次の分を待っているタオは、レモンを絞ったサワーをこくこくと飲んだ。
 ここここ、と炭酸と氷の戯れる音にふと、ジュンミョンは目をやる。
「…彼女と韓国旅行でもしたときに、来ればいいさ」
 何気なくそう言うと、タオは途端食いついた。
「いいね!それいいねー!そうしよー!」
「今、付き合ってる子、いるのか?」
「うん、いるー」
「中国人か?」
「うん、そー。すごいかわいーよ」
 頬杖をついたタオはまたとろけるような、甘い菓子の夢でも見ているような顔でジュンミョンを向いた。
「そりゃーよかったな。同業者か?」
「どーぎょーしゃ?」
「ああ、歌手とか、女優とか、そういうのしてる人か?」
「ああ!えーとね、モデルしてる」
「おおー、お前らしーな」
「うん。もうすっごいきれーだよ。脚とかすごいきれー」
「いいなあ」
「にーさんは?」
「俺?」
 かっと一瞬火は朱を濃くし、そしてわずかに鎮まった。ほろほろと灰は知らぬ間に増えていく。
「別れたよ」
「えーなんでー」
 唇を尖らせるタオを目に映し、ジュンミョンは笑った。
「いろいろだよ」
「にーさんすごいいい男なのに。ハンサムで優しくて」
「まーな」
「僕、にーさん女の子だったらいいなってよく思うのに」
 間の抜けた顔をしてジュンミョンはタオのそれと相対する。
「は」
「ほんとだよ。僕にーさん女の人だったら、結婚したい」
 まだ唇のいちばん高くなったところを突き出すようにしてタオは言った。
「何言ってんだよお」
 肩を落としたジュンミョンは、焼けた肉を皿を持ち上げたタオにひょいひょいと渡していった。
「ほんとーだって」
「俺の気持ちってもんがあるだろ」
「にーさんだって幸せだよ」
 大盛りにされた肉に幸せそうに箸を寄せて、耳飾りをきらめかせるタオは告げた。
「僕たちがいっしょにいたら幸せに決まってるよ」
 血の巡るように赤々と火は内部で燃える。
炭は完全に熱を宿さなくなるまで、長く、長くかかるのだ。
タオが食べているうちに自分の分もとジュンミョンは我に返り、また大量の牛、豚、鳥の肉を、きちんきちんと並べていった。



おわり




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