海の底、森の奥

- EXOの二次創作とオリジナルのBL小説を中心としたブログです。R18表現あり。お気軽にどうぞ。

20160716

シング シング シング 7
「あれ?これ何?」
冷蔵庫の中のホーローのパットに並んだカップを視線の先に置いて、チェンは呟いた。
シャワーを済ませキッチンへ行くと、夢の中もシャワー中も一緒だったギョンスの実物しかおらず、チェンは少なからず狼狽した。先程飴玉を噛み砕いたばかりなのに。チェンは幸福とも不幸ともつかない感情でとりあえず冷蔵庫を開いてみたのだった。
向こうを向いてテーブルにつき、コーヒーを飲みながら、ギョンスは言う。
「プリン」
「プリン?」
「うん」
「昨日市販のがあったのは覚えてるけど、これ、手作りじゃない?」
「変身したんじゃない」
ラップをめくり、その中のひとつを取り出しながら、
「作ったの?」
とチェンはギョンスを見た。
プリンはカップの中で艶やかなクリーム色に照り、その上にうっすらと淡い琥珀色のカラメルソースが乗っている。ほのかにバニラの香りがする。
ギョンスはチェンを振り返らず、
「まずいプリン食べたくなかったから」
と再びコーヒーを啜る。
「市販の食べたの?」
「要らないからチャニョルたちにあげた」
「じゃあもうないの?」
「うん」
「俺食べなかったなあ」
ギョンスは立ち上がり、コーヒーカップを手にチェンの方に歩いて来た。シンクに向かうために冷蔵庫とチェンの前を通り過ぎるそのときふいに立ち止まり、チェンの顔を一瞥し、
「それあるからいいだろ」
と、チェンの手にあるカップに視線を一度落として、どこか不満げに言い放った。すぐにシンクへと歩を進め、カップを洗うギョンスの姿を目で追いながら、
「うん、嬉しい」
とチェンはその満面としか言いようのない、眉が下がり、口角の上がった笑顔で言った。
ギョンスはちらりとチェンのその顔を見て、「そりゃよかった」とぽつりと呟く。
スプーンとカップを手にチェンは椅子に座った。
「朝ご飯食べる前に食べちゃお」
つ、と処女のような風情をしたプリンにスプーンを入れる。チェンは口の中でかすかにバニラと牛乳の混じった卵の味、それと絡む砂糖と水を少しだけ焦がした大人のようなつもりのカラメルの味を転がした。久しぶりにギョンスの作ったプリンを食べた、とチェンの胸中は名状しがたい何かで溢れそうになる。
気付くとギョンスはカウンターの端に寄りかかっており、チェンがプリンを食べる様子を手を前で組んで眺めていた。
チェンは多少どぎまぎしながら「すごくうまい」とギョンスを一瞬見て言い、食べ続ける。
「みんなは?全員は出掛けてないだろ?今日の予定だと…」
なんとなく気まずい雰囲気にチェンは焦った気持ちを隠しつつ尋ねた。
「出掛けたのと、まだ寝てるのがいる」
答えながら、ギョンスはカウンターのすぐ手前の、先程まで自分が座っていた席に座った。そのすぐ横にチェンが座っているため、ふたりは並んでテーブルについた格好になる。
ギョンスは頬杖をついてチェンを見、チェンは前を向いたまま底をついてきたカップの中でスプーンをかちかち鳴らす。
「飴に続いてプリンと、お前俺に餌付けされてるな」
振り向かなくとも、その声のトーンで、ギョンスが嘲笑のような笑みで見つめているのが分かる。餌付け、という言葉の、ギョンスの放つ低く深みのある響きで、チェンは首からどんどん血が登っていくのを感じ、狼狽えた。
「なんだよ」
声が詰まり、囁いたようになってしまったので、チェンは咳払いを挟んだ。耳、赤くなるな、と念じながら、
「朝、お前指で突っ込んだのかよ、飴」
必死に笑って冗談めかしてギョンスを見た。
するとギョンスは瞬きひとつせずその視線を受け止めて、
「どうだと思う?」
と何の感情もこもらない声音で頬杖をついたまま言った。目を離さずに。
途端にどんどん鼓動が加速してきたチェンは、口がわずかに震えるのを抑えることができない。
「どうって…なんだよ、それ以外に何があるんだよー」
もうひと掬いも残っていないカップの中を更に搔き回す手元に目を落とし、チェンは混乱する頭を平静に戻そうと胸を上下させて息をした。
どうしようもなく期待が頭をもたげそうになるが、ギョンスは考えが完全には読めないタイプの人間で、だからこそチェンは彼に惹かれたのであるが、どうこの事態を捉えればいいか本当に分からなかった。試されているのかという考えがよぎる。自分の態度の何かから彼への思慕に気付き、それが真実かどうか確かめるためにこういったことをしているのではないか。そして確信を持ったら、なんらかのかたちで釘を刺すか、避けるようになるのではないか。
「ひどいぞ、寝てる人間の口に何かを押し込むなんてー」
可能な限り明るくそう言い、チェンはギョンスを見た。
ギョンスは顎を引き、口元に指が来るかたちで顔を支え、心持ち上目遣いでチェンを見返していた。
ギョンスが口を開いた。
「あっずりー!!何食べてんの!?それ何!?」
セフンがキッチンの入り口で叫んだ。
ふたりとも揃って声の主に向き直る。
「プリンだよ」
吐き捨てるようにギョンスがいい、「俺も食べるー!!」と破顔の笑顔で冷蔵庫にセフンが走る。
動悸がおさまらないチェンは、再びテーブルに視線を落とした。
「手作りじゃん〜!兄さん作ったの?」
にこにこしてセフンはギョンスに話しかけ、「そうだよ」と答えるギョンスは、席を立った。
「昨日もふたつ食べたなー!まだいっぱいあるね!」
プリンを手に元気いっぱいのセフンに、その腹めがけ拳をぶつけ、ギョンスは、
「お前はもうそれで終わり。ひとつ以上食ったら殺すぞ」
と言い捨て、キッチンを出て行った。
こえー!と言いながら笑うセフンの顔を見ることができず、口だけはは、と笑うふりをするチェンは、希望と絶望の狭間でその深淵を見下ろしていた。
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