海の底、森の奥

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20160718

受容について 6
だんだん太陽が隠れ始め、あたりは夕闇に包まれてきた。橙色に墨を垂らしたような街の風景の中に、眼鏡と帽子、灰をかぶったような色味の服装のでこぼこのふたりが溶け込んでいた。気温が低く、吐く息が白く流れていた。口元まで覆ったマフラーが、それぞれの顔を半分近く隠し、自らの体温で眼鏡が時折白く染まる。シウミンのそのさまは非常に子供っぽく人には映った。上から見下ろすセフンには更に幼く見える。セフンはあの独特な笑みを目元に浮かべ、視線を落として鼻の頭と白い頬を染めているシウミンの方を横目で見続けながら歩いた。
「何見てんだよ」
視線をそのままにシウミンは言った。
「別にー」
声にも笑みをにじませてセフンは答える。
シウミンは黙った。セフンは笑うのを止めた。ふたりとも家路を行く人々の中を黙々と歩いた。ぴりぴりと肌を冷気が差した。
「俺たち」
おもむろにシウミンが口を開く。セフンが見下ろす。
「俺たち付き合ってないだろ」
口から出て行く息が目に白く映る。セフンはそれ越しにシウミンを見つめた。
周りの空気は黒の色合いを増し、女子高生の笑い声が高く響くのが聞こえふたりは一瞬体を硬くした。
声が遠ざかると、長い腕を伸ばしたセフンはシウミンの肩を抱く格好で進行方向を変えさせた。
「な」
シウミンに言葉を作る暇を与えずセフンは店と店の狭い隙間にふたりで入って行く。影になっていることもありほとんど光が差してこない場所で立ち止まる。
マフラーから零れ出た口から勢いよく白い息が昇って行く。
「なんだよ」
シウミンが眼鏡を曇らせながらようやくセフンを見上げた。
「それはこっちのセリフ」
同じく眼鏡を曇らせ、それにいらついたセフンがマフラーをぐっと引き下げ眼鏡をかけ直しながら抑揚のない声で言う。
目をきょときょとさせてシウミンは口が渇いて行くのを感じながら言葉を探す。
「だって、そうだろ」
「何が」
ポケットに手を突っ込むシウミン。
「俺たち、付き合ってない」
視線を上げていられず、足元に落として言う。夜の気配がスニーカーを包んでいる。
「ただしてるだけだよ」
こんなことを言うこと自体への嫌悪で舌がよく回らなかった。唇の表面が水分を失って行く。
「俺」
頭の上から特徴のある声が落ちて来る。シウミンは顔が上げられない。
「俺、兄さんのこと好きなんだけど」
滑舌の悪い告白の言葉は夜とともにシウミンを訪れた。そうなりたくないと思うのに、シウミンは顔から耳が赤くなるのを止められなかった。ポケットに入れたままの掌が汗ばむ。
「兄さんは俺のこと好きじゃないの?」
とうとう手を出してシウミンは帽子を目深にしたり眼鏡を直したりするが視線は下のままだった。
その手を取られた。
反射でセフンの顔を見る。
「ねえ」
久しぶりにきちんとセフンの顔を見たように思った。自分とまったくタイプの違う面長の顔が、帽子と眼鏡とマフラーに隠されてもなお美しいと分かるその顔がシウミンを見返している。いつものように何を言えばいいのかについてシウミンはただ困惑する。頭の中が色とりどりのマーブル模様を描くばかりになる。
「ねえったら」
揺すぶられ、考えずに言葉が出た。
「好きでは、ないよ」
セフンの動きが止まる。暗くなった中、目の光だけが唯一の灯りと言ってよかった。
「お前だって、俺のこと好きじゃ、ないよ」
視線をそらす。セフンはシウミンの手を握ったままだ。
「勘違いしてる。これは、好きとか、そういうのじゃ、ないんだよ」
饒舌に何かを語ることが苦手なシウミンは、伝えることに必死だった。
「そんなことない」
セフンは繋いだ手に力を込めた。
「そうなんだって」
ほんのわずかに声を荒げてシウミンは言った。
「やりたいだけなんだよ。お前は。それを、こ、い、みたいなのと一緒にしてる」
「…違う」
「違わない」
「決めつけんなよ」
「決めつけてるんじゃない。じじつ、なんだ」
シウミンは自分の手に絡んだセフンの手を空いた方の手でほどいた。
「兄さん」
もと来た道をシウミンは足早に戻る。
「帰るぞ」
「兄さんて」
「明日も仕事なんだぞ」
歩幅の広いセフンが前を行くシウミンの手を再び取った。足が止まる。手を引っ張られ、シウミンはセフンの腕の中に絡め取られた。大きなセフンの体の中に少女のようにシウミンは収まる。
「離せって」
口元までダウンジャケットに埋まっているためもごもごと言葉も埋まった。
セフンは首を落としてシウミンの頬から唇にキスを降らせる。その音が遠くの喧騒と混じってシウミンの耳に響き、現実から引き離されたような妙な感覚が後頭部から襲う。
まるで食うようにシウミンの唇を貪るセフンは、シウミンに回した腕に力を込めてその体をまさぐった。舌は親しい仲間を見つけたように慣れたようすで繋がってくる。シウミンは舌を預けながら閉じた目の奥で光が散っていた。セフンの唾液の味を懐かしく受け止める。チョコレートの味がする。気のせいかもしれない。シウミンにとってセフンの舌がそういうものに感じられるだけなのかもしれない。甘く苦い中毒性のある菓子。その考えにシウミンは自己嫌悪を覚える。ん、ふ、と同じく甘い声が口と口の隙間からこぼれる。自己嫌悪はより強まっていく。
セフンが力を緩め唇が離れた。お互いの口元がよだれで光るのが見える。
「じゃあ、なんで」
その目を合わせないままセフンは言う。
「こんなことさせるんだよ」
吐かれる息の近さから、チョコレートの匂いがする。シウミンは思った。いや、そんなことはない。すぐに打ち消しながら、シウミンは目をそらしたセフンを見上げた。少し斜めになった肉のない顔が、シウミンの目にその端整さを教えた。青ざめているのか、暗いだけなのか、シウミンには分からなかった。
「…お前のしたいことをさせてやりたくて」
口から出して、自分の目に涙が張られているのに気付いた。泣くな。瞬きを繰り返す。
セフンは驚いたようすでシウミンを見た。
まずい。シウミンは顔を背けてまた道を戻り始めた。鼻水が垂れてきそうになるが、すすったら泣いているとばれるかもしれないと、涙も鼻水もそのままにした。
「帰るぞ」
可能な限りはっきり、そう後ろの末弟に叫んだ。




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