海の底、森の奥

- EXOの二次創作とオリジナルのBL小説を中心としたブログです。R18表現あり。お気軽にどうぞ。

20160717

人さらいの条件 33
「ただいまー」
「誰もいないって」
「あ、そうか」
ドアが閉まる。
鍵を掛け、ギョンスとチェンは、たくさんの靴をまたぎながら足を進める。
ダイニングルームに入ると、荷物を置き、上着や変装道具を体から取り除きながら、ふたりは会話を続けた。
「食べちゃおっかなーこれ」
「シュークリーム?」
「うん。デザート」
「食ったろ」
「まだ食べれる」
「よく食うな」
「一緒に食べよー」
「俺かなり腹いっぱい」
「いいじゃん」
チェンは薬缶に水をそそぎながら笑顔で言う。
「ふたりだけでこの部屋でお菓子食べたりするなんて、そうそうないよ」
ジャー、という水の満ちていく音がする。
人数分のシュークリームが入った箱ふたつを、ギョンスは冷蔵庫に入れず、カウンターにどちらも置いて、そうだな、と呟いた。
薬缶を強火にかけたチェンが、箱を見て、「どっちがカスタード?」と尋ねる。
蓋を開けながら、ギョンスは答える。
「こっち………は、生クリーム」
もう一方の蓋に手をかけながら、チェンも言う。
「じゃあこっちがカスタードかあ」
中身を晒した二箱を覗き込み、その繊細なさまをふたりは見つめる。
「…ギョンス生クリームでしょ」
「うん」
「じゃあ俺、カスタード食べる」
「じゃあってなんだよ」
ひと箱に4つずつ入っているそれは、片方の箱が生クリーム、片方の箱がカスタードだった。
「だってカスタード苦手なやつ結構いるじゃん」
「結局何人だったっけ?」
「忘れた。でもジョンインはあんま好きじゃないよ。あいつ好き嫌い多いから」
肩が触れ合うほど近くにいるチェンの顔を、同じくらいの背の高さのギョンスが、首を横に向け、見る。
その視線を受け、チェンもギョンスの顔を見た。
「?」という顔をした笑みを浮かべるチェンに、ギョンスは素早く、くちづけ、離す。
きょとんとし、何が起きたか分からないといったふうに、間近にあるギョンスの目を見返すチェンに、ギョンスは囁く。
「……お前ほんとにカスタードでいいの」
口と口がまた重なりそうな位置で言葉を掛けられ、チェンはその息が唇をくすぐるのと、バニラと乳と砂糖、そしてコロンの香りで、頭の中がふわりと浮いた。
「…うん…」
ぱ、と体を離してギョンスは言う。
「じゃ、お前皿にひとつずつ乗っけて。俺お茶淹れる」
音のうるさい心臓を手で擦り、チェンはうん、と返事をする。
「紅茶でいいだろ?」
茶器を出しながらギョンスは問う。
湧き上がる幸福で顔の筋肉を緩めながら、皿を取り出そうと手を伸ばすチェンは、なんだっていい、と答えた。
ソファの前のテーブルに、ティーポットと茶漉し、ソーサーに乗ったカップふた組、ミルクジャーに入った牛乳、生クリームシュークリームの乗った皿、カスタードクリームシュークリームの乗った皿が、並んでいる。
ギョンスがポットから茶を注いだ。
勢いよく上がる湯気。
チェンは膝の上に肘を付き、頬杖をし、カップの中を眺めた。
茶漉しを外し、ギョンスは、飲めよ、と言う。
「ありがと」
ミルクをなみなみと入れ、添えられたスプーンで中をくるくると混ぜ、チェンはカップを口に運んだ。
「おいしー」
「そう」
「うん」
その顔を弛緩しっぱなしにして、チェンはギョンスを向く。
ギョンスはストレートのまま茶を飲んでいる。上目遣いでチェンの目を見る。そのようすの甘やかさに、チェンは胸が疼き、口をぐっと引き結んだ。
カップをソーサーに戻し、ギョンスはチェンに促す。
「ほら、食べろよ」
「あ、うん」
気恥ずかしさを押し隠しながら、チェンはカスタードの方を手に取った。
カリッと焼かれたシューと、間に挟まれたどろりとしたカスタードを口に押し込む。3分の2ほどをかじり取り、上がった口角の上に案の定クリームを付け、もぐもぐと頬張るチェンを、ギョンスは真顔で見続ける。
「おいひい」
まだすべて飲み込みきらぬうちに、こちらを伺うギョンスに言う。
「そう」
「うん。ギョンスも食べなよ」
ギョンスも自分の分を持ち、がぶりと半分ほどいっきに食べた。
真っ白な生クリームがその唇の端を彩る。その顔で、チェンをまた、見た。ゆっくり咀嚼し、飲み込む。
「うまいな、ここの、やっぱり」
口の横のクリームから目を離さず、チェンも応じる。
「……ミンソク兄さんにお礼言わないと」
「そうだな」
相手の顔に視線を置いたまま、チェンは残ったシュークリームを口に入れた。頬をいっぱいに膨らませ、更に顔のクリームを増やす。
紅茶で喉を湿らせたギョンスも、また残りのシュークリームを全部口の中へと消した。
お互いの顔を注視しながら、口を動かすふたり。
黄色と白の、柔らかく甘いものを、それぞれの口元に付けて。
「……付いてるよ」
「お前も」
「うん」
カップからは温かな白い模様が絶えず上へ上へと描かれている。
部屋の中で聴こえる音は、時計から鳴るコッコッと時を刻むそれだけだ。
ギョンスとチェンは、同時に相手に、近付いた。
どちらも、見つめるその者の顔を、両手で挟み込む。
そして、クリームを、ふたつの舌で、取り去り合った。
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