海の底、森の奥

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20160911

人たらしの獲物(チェン、ベッキョン) 後編
一緒に働き始めてからかなりの時間が経っていた。
ジョンデとベッキョンはもう親友と言ってもいいような頻度で会い、親密さを増していた。
ジョンデは実家住まいで、ベッキョンはひとり暮らしをしていた。
彼女も実家住まいだったため、ジョンデは彼女とは外で会うことが多かった。
しかしベッキョンはバイト先の近くのアパートに住んでおり、仲良くなるとともに、ベッキョンの部屋でふたりで飲み、そのまま泊まることもままあるようになっていた。
その日もバイト帰り、酒を仕入れてふたりはベッキョンの部屋に向かった。
部屋に着くと、早速飲みながら一緒にテレビを見たり、音楽を聴いたりしながら話をした。
ベッキョンの部屋は居心地がよかった。
雑然としていたが、ベッキョンの好きなものばかりなのがよく分かり、知らない映画やゲームや音楽をジョンデはここで初めて体験したりもした。
たまにベッキョンが簡単な料理を作った。
野菜を炒めたりとか、そういった程度のものだった。
それでもジョンデは、そういう行為をひどく嬉しく感じた。
自分でも、小さなキッチンを借りて食事を準備したりした。
ジョンデの方が、ベッキョンよりも腕がよかった。
わー、うまい、と言いながら、出された料理を平らげるベッキョンを見ていると、胸のあたりがいやに温かくなるものだ、とジョンデはよく、思っていた。
点けていたライブのDVDが終わると、ジョンデはあくびをして時計を見た。
終電までちょうどよいくらいだった。
「俺、帰るわ」
そう言って微笑み、荷物を取った。
立ち上がりかけながら、
「そう言えばさ」
ふふ、と声に笑いを混ぜて、ジョンデは言った。
「彼女が、お前ほんとは彼女なんて欲しくないんじゃないかって」
言い終えてベッキョンを見ると、何も言わず、ベッキョンはその場に立ち上がろうとしていた。
頭をジョンデに向けると、その顔は常とまったく違った。
笑みのひとかけらもない、怒っているわけでもない、ただ懇願するようなニュアンスの含まれた、不思議な表情でジョンデを見ていた。
ジョンデはたじろいだ。
「ど、した?」
後ずさりしそうになった。
ベッキョンはふたりの間の距離をいっきになくした。
数歩でジョンデのそばに来ると、手首を掴み、小さなまなこで、ジョンデの切れ長な目を捉えた。
その力の強さに唖然とし、ジョンデは言葉を失った。
薄い桃色の唇が動くのを、ストップモーションのようにジョンデは目で追った。
「そうだよ」
ベッキョンは手を引いた。
「別に、欲しくねーよ」
ジョンデの後ろ頭に、ジョンデが見るごとに感嘆するベッキョンの手が置かれ、目線の高さの同じふたりは、その間をほぼ、逸した。
目を見開いたまま、ジョンデはベッキョンの唇を受けていた。自分の、唇の上に。
ベッキョンもまぶたは開いており、ふたりは互いを見合っていた。
唇の上で、食むように相手のそれは動いた。
ジョンデは口を閉じ、頭を引こうとした。
だが首のところの手で押さえられ、口を開けたベッキョンに、唇全体を覆うようにキスされた。
舌が唇の隙間、歯の上を滑った。
ぎゅっと目を閉じ、ジョンデはベッキョンを押した。
離れ、よろけたベッキョンを見、口を開けてはあ、と息をついたジョンデは、目を泳がせてから、帰る、と呟いてドアへ走った。
ベッキョンは追いかけて来なかった。
終電が近付いていた。
ジョンデは走った。
ただ、がむしゃらに駅へと走った。


次の日もバイトだった。それも一緒の。
休もうかとジョンデは思った。
だがいつまでも逃げてはいられないだろう、と、体を引きずるようにしてコンビニに向かった。
ロッカーの前にベッキョンは立っていた。
ジョンデを見ると、よう、と、何事もなかったかのように声を掛けた。
携帯などでの連絡は、お互い何も取っていなかった。
1日そのことばかりを考えていたジョンデは、気の抜けたように腹の中から息を出した。
「よ」
と答えて、隣に立ってロッカーを開けると、ベッキョンの視線を感じた。
ばたん、と自分のロッカーを閉め、ベッキョンはジョンデを注視した。
おそるおそるベッキョンを向くと、ごく近距離で、その薄い顔の中身が見えた。
何か強い意志を感じる、表情だった。
「……なんだよ」
囁くようにジョンデは言った。
「言っとくけど」
ベッキョンの声はその強みを最大限に発揮し、聴く者の心を揺さぶった。
「あれ、冗談とかじゃないから」
わずかに顎を上げ、奥二重のまぶたの下から黒目で見下ろすようにし、ベッキョンは宣言した。
「………あれ………」
「うん。キス」
その直接的な言葉に、ジョンデは反射的に顔に血が登って行った。
ロッカーの扉に手を付き、ロッカーの扉を背にしたジョンデに、迫るように近付くベッキョンは、喉の奥で転がすように声を発した。
昨晩のことがジョンデの脳裏にまざまざと蘇るくらい、ふたりの距離は縮まった。
「……覚悟しとけよ」
そう言い放つと、ベッキョンはジョンデの唇をまた、奪った。
目をつむったジョンデは、しかしすぐに解放され、ぱちぱちと瞬きすると、ベッキョンはもうそこにはいなかった。
出口を見ると、ベッキョンが制服を整えて振り向いた。
「俺、狙ったやつ落とせなかったことないから」
そして片頬で笑った。
くるりと踵を返し、ベッキョンはすたすたと出て行った。
その背中を見送るジョンデは、立ったまま、指輪のはまった指で唇をこすった。
ひんやりと、冷たかった。




おわり



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2016/09/11 Sun 07:45:05
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2016/09/11 Sun 08:25:42
Re: 当たりですよね? : ミス・レモン @-
鍵コメSS様


こんばんは!!

コメントありがとうございます!^ ^


えーっとですね……。
私の印象としては、
① ベッキョンはこれまで男と付き合ったことはない
② でもなんか女と付き合うのは違うな感があった
③ 最初はジョンデをそういう目で見ていなかった
④ 仲良くなるうちにおそらくそうなった
⑤ 彼女に敵愾心があるとかそういうことではない
⑥ ちょっと我慢していたんだけど、いい加減限界でもうそれをやめた

という感じでしょうか。
ジョンデに、「いいなと思って」と言ったのは、つまりジョンデと付き合う彼女が羨ましいという本音で、彼女が「ほんとに?」と言ったのは、「‘彼女’が欲しいの?」という意味合いかなと思います。

私はベッキョンをずる賢いというよりは、優しいけれど、自分の意思や欲求を抑えすぎる気もない人物、という感覚で捉え、書いていました(^ν^)
人たらしなので自分がそこまで願わずとも人をたらし込めるのですが、本気になったら、つまり獲物にしたら、相手はひとたまりもない、というのが彼です。

彼らの続きを見たいとおっしゃってくださってとっても嬉しいです!
私も見てみたい気持ちがあります^ ^
その日が本当にくるかはまだ分かりませんが。
やっぱりあのあとがどうしても知りたい!読みたい!と思ってくださったときがあったらば、お教えいただきたいなあなんて思います。

お読みいただけて本当に幸せでした☆*:.。. o(≧▽≦)o .。.:*☆
もしよろしければまた、お気軽にお越しいただきたいと思います。

それにどのようにお話を読まれても、それは読者様のご自由ですので、SS様の中のふたりの感情や思惑を羽ばたかせていただけたら私もそれが本望です。

でも、そんなふうにいろいろお考えいただけて私も楽しく、興味深く拝読しました(*^^*)

また、お聞かせいただきたいです!



フェリシティ檸檬

2016/09/11 Sun 21:52:39 URL
Re: 狙われたい(笑) : ミス・レモン @-
鍵コメY様


こんばんは!!

コメントありがとうございます(*^^*)


興奮していただけて嬉しいです!
私もこのベッキョンには書きながら興奮しました。
すごいいいベッキョンだなあと思って(自分で)。
こういう人って書き甲斐があって読み甲斐があって、いいキャラだなあと思います。

獲物になりたいですか!(笑)
私はなりたくとも絶対なれないです(笑)
こういう人に狙われたりしません。
私はむしろこのチェンの彼女っぽい感じになると思います。
チェンの彼女になれるというわけではなく(笑)
その場にいたら目をらんらんと輝かせて見ているひとりです(笑)
よだれを垂らしかねない勢いで(´Д` )

彼女はベッキョンの何かから、ベッキョンが女にあんまり性的に反応していないのを見てとったのではないかと思います。
それでチェンを狙っているかどうかに関しては、半信半疑というか、まだ自分の中で保留にしておいたのではないでしょうか。
ベッキョンもそれはだだ漏れにはしていなかったので。
チェンとは本当に好き合っているので、簡単に別れないという自負があるんだと思います。
私もこのカップルからベッキョンがチェンを奪うのは、大変であるとともに罪深いなあと思います。

他の読者様の返信でもお書きしたのですが、私はベッキョンをずる賢いというより、本能的な感じが強いのだろうなあと思っています。
好きなもの、求めるものに正直である感じといいますか。
それを強く欲するさまが相手に逃げることを許さなくなるのではないでしょうか。
私はギョンスもそうなんですが、ベッキョンを可愛い〜と思ったこと、あまりないのですよね(笑)
もちろんなくはないのですが。
本質的なところであまりないというか。
すごく熱心なアーティスト、というイメージが強いです。

楽しんでくださったとお聞きして幸せでした〜♫
それだけが私の望むことでございます(*^^*)
お優しいお言葉も、いつも私の心を潤しております。

Y様の日曜日もきっと素敵な日曜日だったはずだと信じております。


また、よろしくお願いいたします!

ありがとうございました♪



フェリシティ檸檬


2016/09/11 Sun 22:09:57 URL

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