海の底、森の奥

- EXOの二次創作とオリジナルのBL小説を中心としたブログです。R18表現あり。お気軽にどうぞ。

20160904

ふたりのゆくえ(シウミン × D.O.) 後編
暖房の効いた小さな部屋の中、俺はどっと汗をかいた。
掌を腿に擦り付けた。
なんと言えばいい。
どう、したらいい。
俺はまったく、そういう目を同性に向けたことはなかった。
単なるヘテロセクシャルで、それ以上でも以下でもなかった。
ギョンスはそうでないということなのか、どうなのか。
この際それはどうでもよかった。
きっとギョンスは、俺に望みがないということを、痛いほど分かっていたのだろう。
だから、その行為だけ、望んでいるのだ。
それを俺が、受け入れるかどうかの話だった。
時間は勝手に、刻々と進んでいく。
すっかり湯気は消えていた。
「ギョンス」
がらがらの声で、俺は呼び掛けた。
緊張しているということを如実にその音が物語り、俺はギョンスよりもっと赤くなってしまうかもしれない、と危ぶんだ。
ゆっくり、ギョンスは、顔を正面まで戻した。
それでも、下を向いていた。
白目まで赤くなっていた。
俺はギョンスが泣いたところは、見たことがなかった。
泣いているわけではなかったが、その光景は、俺の胸を苦しくさせた。
その瞬間、俺は如何に目の前に座るまだ少年のような佇まいを覗かせる青年を、自分が愛しているかに気付いた。
それはギョンスのものとは異質だったが、しかし強さでは負けぬだろうというほどだった。
「ギョンス」
もう一度、名を呼んだ。
すると心持ち、ギョンスは俺に顎を向けた。
重い前髪の奥に、目は隠れてしまっていた。
俺たちの距離は、30センチもなかった。
「………キスしか、できないよ」
囁くように、俺は言った。
自動的に、言葉が唇から流れ出ていた。
言われたことに反応し、ギョンスは徐々に俯けていた顔を起こした。
「………それでも、いい?」
俺は、ギョンスに、これからも会いたかった。
成長していくときどきを、楽しく目に映したかった。
だが。
ありったけの勇気を振り絞り、ギョンスが願いを伝えたのを、俺はどこまでも理解していた。
勉強を見てきたこの長い期間、その熱心さを誰よりも目にしてきたのだ。
そのギョンスが、俺に、望んだことだった。
潤んだギョンスの目が、俺を見据えた。
こくりと頷くのを、俺は見た。
キスなんて。
少し、近付いてしまえば。
俺は顔を横にした。
ゆらゆら揺れる瞳をそのまま隠すことなく、ギョンスは寄って来る俺を迎えた。
机に置いた腕がソーサーに当たり、かしゃ、と小さな音がした。
そのとき、唇の上に、唇を置いていた。
分厚いギョンスのそれは、俺のものでは小さすぎるようだった。
ギョンスはほのかに口を開けた。
ちらちらと、歯の間から何かが動くのを、感じた。
俺は粘膜を擦るその感覚に、抗わなかった。
自分の唇にも隙間を作ると、ギョンスの舌がそこを突ついた。
俺自身、久々のキスだった。
数えきれない感情と記憶の断片が、俺の中を滝のように流れて行った。
そして残ったのは、唇と舌の感触、ギョンスへの愛情だけだった。
その唇と舌は、思いの外柔らかく、雄弁だった。
いつの間にか目をつむっていた。
コーヒー味の、くちづけだった。
きっとコーヒーを飲むたびに、ギョンスはこのことを思い出すだろう、と俺は思った。
机に乗った手を、ギョンスの手が包んだ。
湿った表面が、手の甲の上で温度を高めた。
体が、特に下の方が、反射をしそうになっていた。
駄目だ、俺は思い、絡み合った舌を解いた。
ぷち、というような音を鳴らし、唇と唇は離れた。
お互い、息が上がっていた。
とろりとした目を、ギョンスは俺に捧げていた。
こんな顔を見ちゃいけない、と咄嗟に俺は視線を逸らした。
「…………ごめんなさい」
荒い呼吸の合間に、泣きそうな声でギョンスは言った。
俺は慌てた。
そんなこと、言わせたくなかった。
ギョンスの二の腕を掴み、目と目を合わせ、ひとことひとこと発音した。
「謝んな。……お祝いなんだから」
言い終えると、初めて味わった、果肉のような唇に、音を立ててもう一度だけ、キスをした。
頭をぐしゃぐしゃと撫でると、呆気にとられたギョンスは俺の顔をじっと見た。
「……兄さん」
手を離し、残った、冷えたコーヒーを啜った。
「ん」
「俺のこと、嫌いになんない?」
ソーサーにカップを置き、もう、崩れ落ちてしまいそうなギョンスに向き直った。
俺は渾身の笑顔をこしらえ、言った。
「なるわけないだろ。……お前さえよけりゃ、俺はずっと、お前の兄貴分でいたいよ」
本心だった。
叶うかどうかは、分からなかったが。
ギョンスの本当の希望を実現させられないことに、俺が押し潰されてしまわなければ。
他に、誰かもっと心を奪われる存在が、ギョンスの前に現れた日には。
きっと、それは叶うだろう。
ギョンスはまっすぐ俺を見ていた。
目の中にさまざまなものを込めて、しかし何も言わなかった。
俺はなぜか、今日買った花を思い出していた。
あの、白い花の繊細な花弁と、饒舌な香り。
ギョンスと、花が、重なった。





おわり






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