海の底、森の奥

- EXOの二次創作とオリジナルのBL小説を中心としたブログです。R18表現あり。お気軽にどうぞ。

20160830

ボナペティ 7
授業中だった。
大きな教室での講義で、教師はスクリーンを用い、熱心に説明していた。
ギョンスはノートを取りながら、たまに話し掛けてくる友人に、短く受け答えをしていた。
薄暗い教室の中、ひとり体を屈めて足音を潜め、こちらに向かってくる男がいた。
バネになっている席を下ろし、ギョンスの左隣にその男は座った。
何も言わずに、ギョンスはただ腰を下ろした相手を見た。
それはサークルの、チャニョルを呼び出した友人だった。
そして逆隣に座る友人も、同じサークルの仲間であった。
正式なサークルメンバーでないのはギョンスだけだったが、3人ともそんなことはもうすっかりどうでもよくなっていた。
「よお」
口に笑いを浮かべ、その友人はふたりに小声で言った。
「お前らいるの見えたから、来ちゃった」
頷くだけで、ギョンスはやはり黙したままだった。奥の友人は、わざわざ来たのかよ、と軽く笑った。
授業はもうすぐ終わろうとしていた。
マイクを通して教師の声が高い天井まで響き渡ると同時に、今日最後の授業ということでの期待に満ちた雰囲気が、あたりを漂い始めていた。
しかも明日は土曜日で、すぐ夏休みが始まるのだった。
生徒たちは浮かれていた。
ギョンスも大学に入って初めての、夏休みだった。
いつもなら、金曜と土曜はバイトを入れていた。
しかし、どちらも空けて、ギョンスはチャニョルと約束していた。
このことを思うと、ギョンスは勝手に頬が緩んだ。
こんなふうに友達と遊ぶことに心が浮き立つ感覚は、もしかしたら小学生以来かもしれない、とギョンスはノートにペンを走らせながら考えた。
「なあ」
と、再びくだんの友人が、今度はギョンスだけにといった態で話し掛けてきた。
目顔で返事をすると、友人は言葉を続けた。
「チャニョルと遊んでんだって?」
少し驚いたが表情には出さず、こくりと頷くと、友人は言った。
「お前ら仲良くなるとはなあ。あいついい奴だから分かるけど。タイプ違うから面白いな」
おかしそうに肩をすくめる相手を見て、ギョンスは数回目を瞬いた。
チャイムが終了の時刻を告げる。
途端に溢れる喧騒と教師の更に大きくなった話し声で、あたりは騒然となった。
荷物を片付け席を立つ生徒たちの間をすり抜け、出席票を提出すると、3人は連れ立って暑い外へと足を踏み出した。
夕方に近いというのに、まったく日差しは衰えておらず、空調の効いた部屋から出た若者たちはいっせいに、あちー、死ぬーとくちぐちに言った。
黄色い太陽に目を細めたギョンスは、リュックサックを背負い直しながら、友人ふたりに向かって言った。
「じゃ、俺、このあと予定あるから」
「あれ、サークル来ねーの?」
もともとの友人である方の青年が、振り返ってそう尋ねた。
「うん、悪いけど」
もうひとりが笑って言った。
「チャニョルとか?」
そのからかうような態度は、かすかにギョンスの気に触るところがあった。
だがそれを務めて顔には出さないようにしながら、まあな、とギョンスは答えた。
「まじ、仲良くなったんだな」
相も変わらず彼は笑った。
「チャニョルって、あの飲みんときの?」
ふたりを交互に見ながら、友人は初耳だというようすで聞き返した。
「そ。こいつらすげー気が合ったみたいよ」
「あ、そーなん?言えよ、お前」
そんなふたりの会話を眺めて、なんだかギョンスは不思議な境地に陥った。
そうか、俺はチャニョルとのことを誰にも話していなかったんだな、そしてチャニョルは俺とのことをこいつとかに話してるんだな、と思い、なんとも知れぬむずむずとした感情が胸を襲った。
今日はチャニョルの家に初めて行くのだった。
そして泊めてもらうはずだった。
それを誰かに話されて、こんなふうに聞かれるのは、どうしてだか避けたいような気が、ギョンスはした。
尻のポケットで携帯が振動し始めた。
バイブの設定から電話だと出ずとも分かった。
手を挙げて別れを告げながら、ギョンスはチャニョルからの着信と表示された携帯を、そのまま耳へと持って行った。
はい、と歩きながら言うと、あの低いのに、しかし明瞭な声が、耳の中に直接流れ込んできた。先程までのもやもやした感情が、いっきに遠のいていくのを、ギョンスは快い風を頬に受けるように感じた。
「これから出る電車に乗るから」
チャニョルの声の調子が、明らかに今日を楽しみにしている気配に満ちていて、ギョンスはついさっき心中去来したもろもろを、申し訳なく思うほどだった。
「遅れんなよ」
こういう物言いも悪くないなと思えるのは、俺が成長したからか、それともチャニョルだからなのか。
どちらかと言うと後者かな、と結論付けながら、ギョンスは校門に向かって走り出した。



つづく



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