海の底、森の奥

- EXOの二次創作とオリジナルのBL小説を中心としたブログです。R18表現あり。お気軽にどうぞ。

20160810

慈雨、降りそそぐ 番外編 「killing me softly」
草木も眠る時間。
足音を忍ばせ、俺は玄関を渡ってリビングの入り口に立っていた。
ドアの向こうは明るい。
灯りがついたままだった。
少しだけ、期待する。
そっと、ノブをひねった。
果たして、そこには、期待通りのものがあった。
ソファの上に長くなったジョンインが、すやすやと眠っている。
曲線を描くまぶたの上や、鼻の頭、唇の上下は照明を浴びて光っている。
その少し浅黒い肌。
俺は目を離さずに、持っているものや身に付けたものを静かに体から取っていく。
胸がゆっくり膨らんだりしぼんだりするさますら、俺の何かを柔らかくつねる。
片腕は上にあげ、もう片腕は腹に置いてある。
最初に、勝手に、唇を奪ったときを、思い出す。
よくもあんなこと。
今でも思う。
そのときも、そのあとも、ずっと、なんであんなことしたんだ、と思い続けた。
二度と元には、戻れなくなってしまった。
俺の可愛い弟が、俺から去って行ってしまう。
なのに。
ジョンインは、俺に好きでいていいと、そう、言った。
にわかには信じられなかった。
夢を、ひどく自分の希望に沿った、都合のよい夢を見ているのかと疑った。
しかし違った。
目の前のジョンインは本物で、俺に少し、近付いた。
立っていられない。
シンクを掴んで、耐えきれず、尋ねた。
‘いいの?’
‘うん’
‘好きでも’
‘うん’
‘なんで?’
‘………わかんないの?’
‘……………うん’
ジョンインは少しはにかんだ。
見たことのない、顔だった。
俺はもう、膝がぐらぐらしてしまい、体じゅう発汗していた。
‘……キスしていいって、言ったじゃん’
すねるようにそう言うジョンインの瞳は、俺を一直線に指している。
‘…………そういう、意味だよ’
そして黒目を横にずらした。唇を突き出して。
聞かずにはいられなかった。
‘……俺を……………、好きって、こと?’
馬鹿なことを言っている。
俺は最高潮に頬を染めた。
こめかみで脈がありえないほど主張している。
するとジョンインは俺を見上げ、きょとんとした顔をしたあと、にこっと笑った。
‘…うん’
えへへ、と言った。
そのあと、俺は、へなへなとその場にしゃがみこんだ。
キスどころか。
同じ部屋で寝ていながら、それから、俺からは触れもしていなかった。
本当のこととは思えず、俺は朝起きるたび、自分自身に疑惑の目を向けた。
しかしねぼすけのジョンインが、ようやくベッドから体を起こすと、真っ先に俺に顔を向け、溶けるような笑みを広げて、おはよお、というのは、間違いようもなく、現実だった。
そんなこと、前はなかった。
朝っぱらから、俺は幸福で、死ぬんじゃないかとすら思う。
朝だけではない。
ことあるごとに、走って飛んできては俺に乗っかっていろいろと聞いてきたり、じぃっと俺を仰ぎ見て、顔の隅々までを観察したり、手を取って、指を絡めてぎゅっと握ってきたりした。
じわじわと、殺されていくようだった。
俺は気持ちが溢れそうで、何かしたら歯止めがきかなくなりそうで、怖くて何もできなかった。
自分を律していないと、人に勘付かれるような態度を取ってしまいかねない。
今、ようやく、許された初めてのキスを、心置きなく、できる。
また、足音を忍ばせ、ソファに近寄ると、俺はジョンインの上に覆い被さった。
体が小刻みに揺れる。
彫像のような顔が、南国の少年のような肌が、漏れてくる息が、俺の全身を捉えて揺さぶる。
ソファに手を付き、徐々に顔を、近付ける。
なんてきれいなんだろう。
目にかかった前髪も、唇に走る縦の線も。
少し生えかけた髭すら、愛しい。
見とれながら、俺は自分の鼓動の音を聞いた。
顔のすぐ上まで来たとき、ぱちり、と見つめる先のまぶたが開いた。
既視感に襲われながら、ジョンインの唇が動くのを見た。
「……まだ?」
そう、声がしたかと思うと、首の後ろに掌を感じ、ぐっと力が込められた。
ジョンインの唇は前と同様、ゼリーみたいに俺を弾いた。
気付くと俺の背中には、その美しい多弁な腕が、饒舌に絡み付いていた。
せっつくように舌先が歯を突つく。
俺は目を閉じ、口を開け、自分の舌を恋する男の口に入れた。
甘い毒を盛られている、と遠い意識で思いながら。




おわり




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trackback (0) | comment (6) | 番外編
砂糖壺に落ちる 14 | あとがき「慈雨、降りそそぐ」

comment

: はな @-
おはようございます☀🙋❗
番外編ありがとうございます❗
せっかく想いが通じあったのに…
チャニョルがいまだに夢の中にいる感じで
可愛いなと思いながら拝見しました。

あんなに想いが強かったのに…
最期の方はチャニョルに触れて欲しいのか
カイの方が積極的で驚き…
最初の二人から想像できない展開だなとおもい
最後まで読ませて頂きました。

毎日更新ありがとうございます。




2016/08/10 Wed 10:13:43 URL
Re: タイトルなし : ミス・レモン @-
はなさん


こんにちは!

早速のコメント、ありがとうございます!

嬉しいです(^ ^)


最初のふたりからは想像できないというお言葉、そう思っていただけて、そんなふうにまで変われたという事実を感じていただけて、とてもよかったと思います。
そういうことを描きたかったので^o^

チャニョルの可愛さとカイの天然小悪魔ぷりをご堪能いただけたと信じて。

また、お越しくださいませ。


フェリシティ檸檬


2016/08/10 Wed 12:31:20 URL
管理人のみ閲覧できます : @
このコメントは管理人のみ閲覧できます
2016/08/10 Wed 19:12:55
Re: タイトルなし : ミス・レモン @-
鍵コメント様


こんばんは。

コメントありがとうございます。

鍵が付いているため内容をお見せできず心苦しいのですが、それらのコメントはいろんな項目のあるお話になっており、その項目に沿ってお話ししているため、長さがあのようになっております。

皆様のコメントすべてを、私は幸せいっぱいで読んでございます。

コメントをくださること、本当に嬉しく、そして感謝しております。

私の何よりの励みでございます(^ ^)

もし、よろしければ、これからもお話を覗きに来ていただければ、幸いでございます。

いつでも、お待ちしておりますm(_ _)m


感謝を込めて
フェリシティ檸檬


2016/08/10 Wed 20:34:37 URL
管理人のみ閲覧できます : @
このコメントは管理人のみ閲覧できます
2016/08/10 Wed 20:58:25
Re: タイトルなし : ミス・レモン @-
鍵コメント様


コメントありがとうございますm(_ _)m

いつもコメントをいただくと幸せで、その返信もまた、幸せです。

これまでしてきたお話は、どれもとても楽しく、ありがたいものでした。

そして温かいお言葉の数々は忘れられません。

本当に感謝しております。

これからもずっと、励みにいたします。

拙いお話をお読みいただき、ありがとうございました。


フェリシティ檸檬

2016/08/10 Wed 21:20:14 URL

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