海の底、森の奥

- EXOの二次創作とオリジナルのBL小説を中心としたブログです。R18表現あり。お気軽にどうぞ。

20160809

砂糖壺に落ちる 13
汗が滴って床が滑りそうになるような、練習のさなかだった。
イーシン兄さんとジョンイン兄さんと俺は、ダンスパートの仕上げをやっていた。
ジョンイン兄さんが飲み物を切らして、ちょっと休憩ーと言いながら、練習室を出て行った。
当然、俺たちはふたりになった。
窓から吹く風はもう涼しいとは言いがたかったけど、俺は窓際の壁に寄りかかって立っていた。
新緑の萌える木々が見下ろせて、匂いの中に夏があった。
イーシン兄さんと、俺だけだ、ということの幸福と緊張が、俺の中を席巻していた。
本当に、いい天気だった。
まだ昼前で、黄色い光が部屋の中に目に見えるくらい差し込んでいた。
ダンスの確認を鏡の前でしていた兄さんが、こちらに来る足音がした。
きゅ、きゅ、というその音を、今でもはっきり覚えている。
俺の心臓が、それと重なるように音を立てた。
ペットボトルとタオルを持って、兄さんは窓の前に立ち、俺の方を見ていた。
もちろん俺は、見られなかった。
手に持ったボトルの口を、開けたり閉めたりしていた。
また、風が入って来た。
「うわー」
兄さんがささやかに、そう呟いた声が聞こえた。
ぬるい風を顔に浴びて、兄さんが目を細めるのを、俺は上目でじっと見た。
えくぼを浮かべたその顔が、本当に好きだった。
俺は目が離せなかった。
さわさわと話す木々の声や、子供の笑い声が、耳に届いた。
そして兄さんが、俺を見た。
日の光を浴びて、兄さんは輪郭が発光していた。
俺たちは何も言わずにお互いを見た。
溢れてしまった。
「兄さん、好き」
言ってから、俺は口を手で押さえ、また心臓が爆音を立て出すのを全身で感じた。
顔を横向け、焦りから更に汗は吹き出し、体を抱きかかえるようにして、俺はなんと言うか考えた。
嘘だ、とか冗談だ、とかそういう意味じゃない、とか、言えることはいくらもあった。
なのに何故か、言えなかった。
どこまでもまっさらな、本心だったから。
否定することが、できなかった。
「セフン」
柔らかな、俺を呼ぶ声がした。
顔を手で覆ったまま、俺は目だけで兄さんを向いた。
兄さんは放心したような表情で、俺をじっと見つめていた。
「ほんとに?」
そのほんと、の意味は、ただの兄弟としての好き、の確認ではないと、俺は兄さんのようすから、分かった。
それくらい、兄さんが意味をきちんと理解しているのが、伝わってきた。
なんでだろう、と俺は思った。
混乱しながら、俺は手を少し浮かせて、言葉を発した。
「うん。………兄さんと、付き合いたい」
なんで自分は、こんなことを言ってしまうんだろう。
一語一語を口にしながら、疑問ばかりが俺に浮かんだ。
もう、なんだか泣きそうだった。
泣いてたまるかと、言い終えると歯を食いしばった。
再度、口を隠して下を見つめた。
「セフン」
そう言われたと同時に、Tシャツの裾をつままれた。
目を見開いて顔を向けると、兄さんが目をぱちくりさせて、俺を覗き込んでいる。
「セフン。俺も」
俺は一生、この声を忘れないと思う。
「俺も、好き」
兄さんの瞳が左右に振れていた。
体が勝手に、動いていた。
Tシャツを摘んだ手を、手で取った。
窓からの風を浴びながら、兄さんが微笑んだのを見て、俺はそのえくぼに、顔を近付けた。


脱衣所でのことがあってから、兄さんがなんとなく、ぎこちないというか、俺に対してよそよそしいような感じがあって、俺はたまらなく不安だった。
嫌われたのかと、本気で、心配した。
いきなりやりすぎてしまったかと、俺は自分を叱咤した。
聞くのが心底怖かったが、これ以上不安に苛まれるのもごめんだった。
スケジュールが合わず、なかなか直接会えなかったから、携帯を使って問うてみた。
すると、
「違うよ。ただ、俺だけだったから。俺は何もしてあげてないし。恥ずかしくて」
という返信を、何度も何度も携帯を確認し続けたのち、ようやく読んだ。
そのとき俺はまた、夜、ベッドに体を投げ出していた。
読んだ瞬間、とてつもない安堵とともに、思わず口からついて出た。
「かわいい……」
隣のベッドのジュンミョン兄さんが、とっちらかった床の上から何かを拾い上げながら、「は?何が?」と大声を出した。
「なんでもない」
そう答えて、俺は顔のにやつきを抑えることなく、枕を抱えてごろごろごろごろ、転がった。



つづく



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