海の底、森の奥

- EXOの二次創作とオリジナルのBL小説を中心としたブログです。R18表現あり。お気軽にどうぞ。

20160720

心中の道連れ 17
あのとき、ジョンインが起きてこなかったら。
撮影の間の待ち時間、控室で俺はマネージャーとふたり、休憩していた。
ここのところたとえ寝不足でも、細かく睡眠を取ることがあまりなかった。
うとうとすると、おかしな夢ばかり見てしまう。
人に聞かれたら羞恥で死にたくなるような声を出しながら目を覚ますことが、ままあった。
それを避けるためにも、完全にひとりでない限り、極力昼寝をしないようにした。
音楽を聴きながら、ただ目をつむって、椅子に座っていた。
閉じた瞼の裏に、何度繰り返し思い出したか分からない、あの夕刻の情景がまた、映った。
ベッキョンが俺を見ていた。
長いこと、俺の方を向くことのなかったその小さな瞳が、俺を指した。
そしてなにか、薄い唇は言いたげだった。
言いにくいことを、言おうとしていた。
幾度も唇を薄桃色の舌で湿し、俺はその仕草を数えられるほどベッキョンを凝視した。
なにを言いたいのか。
なにを、言われるのか。
怖かった。
けれど、聴きたかった。
早く、と、自分の手を握り締め、思った。
耐えられない。
夕焼けの色に染まりつつある部屋の中は、なにかが弾けようとしている気配に満ちていた。
そんな一触即発の空間に、ジョンインが喉渇いたー、と言いながら、ゆらゆらと現れた。
俺たちはふたりとも、びくりと体を揺らし、弟分に目を向けた。
ジョンインはもたついた動きで水を飲み、そのままダイニングルームのソファにひっくり返り、ゲームを始めた。なんか目ぇ覚めたー、とぶつぶつ言っては口を尖らせて。
そして、日は暮れた。
またベッキョンは、俺を見なくなった。
膨らみきったなにかをそのままに、ふたりでそこから、目をそらした。
今、俺を見つめるベッキョンを、目を閉じたまま、見つめ返す。
上気した頬。
下がった口角。
訴える黒目。
やっと、唇が開こうとした。
「ギョンス」
大きな、はっきりとした声が、鼓膜を震わせた。
目をぱちりと開け、俺は視界の中にマネージャーの姿を認める。
イヤホンを耳から抜く。
ベッキョンも、赤い部屋も、消える。
「悪い、寝てたか?」
「……ううん、大丈夫」
「お前最近ほんと寝ないな。平気か?」
「うん、…ごめんなさい、ほんと大丈夫」
瞬きをしながら上半身を起こし、座り直す。
「あのな、あれ、できたぞ、CM。見るか?」
マネージャーが嬉しそうなようすで聞いてくるのを見て、疲れて反応の悪い頭をなんとか巡らせる。
「………あの、歌の?」
「そう。届いたんだよ。やーっとな。結局なんか今日からもう流れるらしいんだよ、映像。まあ簡単に編集したものとか確かこっちの人間が前にチェックしてるから、ただ完成品が到着してなかっただけなんだけどな。もう見てるやつもいるかもな、テレビつけてたら」
俺の返事を待つことなく自分も見たいらしい彼が、パソコンを準備しながら、まったくな、遅すぎんだよな、なんでもかんでも、どうなってんだか、でもどうやら出来は……と話し続けるのが耳を通り抜け、そうか、もうあれが世間に出るのか、と俺は不思議な気持ちを抱いてパソコンの液晶を眺めた。
レコーディングしたのがつい最近のような気がするが、確かにかなり日は過ぎた。……あの頃はふたりでスタジオに入って、ベッキョンの歌声をメンバーではひとり、聴いたりしていたのだ。
こんなふうになったのは、なんでだっけ?
いつから?
そんなことを考えていたら、パソコンの画面が暗くなった。
懐かしさすら覚える、あの曲のイントロがひそやかに流れ出す。
そして、秋空の下、木々の葉の間や川の水面から太陽のかけらが撒かれる中、柔らかな茶色い髪の女の子がふわふわとそれを揺らしながら、後ろ姿を見せて軽やかに歩いているスローの映像が、目に入った。
ゆっくりと振り向き、笑うでもなく怒るでもなく悲しむでもなく、しかしなにかを言いたそうな顔で、こちらをじっと見つめてくる。
その目元と、口元の示すこと。
温かそうなコートを着て、裾をはためかせ、彼女は体ごとこちらを向く。
乱れた髪を耳にかける指先、伏せたまつげ、白い頬、唇の膨らみからも、光が生まれては消える。
「おお、いいな」
思わず、という感じで隣に立ったマネージャーが言葉をこぼす。
表情が。
歌が。
俺を飲み込む。


太陽が微笑み ぼくときみはふたり
その粉を妖精のように 体にまとう
空を飛べるようになるわけではないけれど

きみの頬が光を弾く
ぼくはどうしたらいいかわからない
触れたい気持ちばかりが募る
でもきみはぼくのものじゃない
でもきみはぼくのものじゃない

いつも何気なく 触るのをやめて
そのたびに言葉は逃げて 心が宙に浮く
空を飛べるようになるわけではないけれど

爪の先が まつげの影が 唇の色が
ぼくを誘う
触れたい気持ちばかりが募る
でもきみはぼくのものじゃない
でもきみはぼくのものじゃない

すべて見たい
きみをかたちづくるすべて
ぼくはきみを心に彫る
なんどもなんども繰り返し
小さな変化 大きな表情
なんどもなんども繰り返し

ぼくの話を聴いてほしい 決して笑わないで
ひとことで済むんだ

でもきみはぼくのものじゃない
でもきみはぼくのものじゃない

ぼくのものになって




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