海の底、森の奥

- EXOの二次創作とオリジナルのBL小説を中心としたブログです。R18表現あり。お気軽にどうぞ。

20160716

人さらいの条件 2
帰宅したギョンスはソファに寝そべるスホに誰も使っていないことの確認を歩きながらし、そのままバスルームに直行した。服を体から剥ぎ取るように脱ぎ、シャワーの温度を上げ、その勢いよく出る水の粒の流れを全身に当てた。
指先の感覚がないような気がした。
頭の上からシャワーを浴びながら、ギョンスは店でのことを反芻する。
「触るって、…どこを?」
意を決してギョンスは尋ねた。
カイはギョンスを見られないようだった。ずっと斜め下を向いていた。顔を覆っていた手は今眉間を引っ掻いている。
「………じゃあ………」
じゃあって。
ギョンスはほとんど呆れ返った。本当にカイはこういうところがある、こんなときでもギョンスはカイに説教をしたいという気がむらむら起きた。
「手?」
そっぽを向いたままカイは言った。
「手?」
ギョンスは鸚鵡返しに言う。
「うん」
テーブルに置かれた自らの手に目を落とす。持ち上げ、掌を上にする。何の変哲もない、特に格好がいいというわけでもない、普通の手。大きくも、小さくもない。もっと綺麗なら、ベッキョンのようなら、と思ったこともなくはなかった。
「………触るだけ?」
「ん」
「それで気が済むのか?」
「ん」
赤いつやつやとした顔を下に向け、カイはぶすっとしていると言っていいようすで返事を繰り返す。
なんでこんなことを受け入れなければならないんだ、とギョンスはそんなカイを眺めて理不尽さを感じ始めた。ただカイが本気で困っているということは疑いようもなく、それがギョンスに即座の拒絶を思いとどまらせた。自分でも自分がどうしたいのか、どう振る舞えばいいのか分からないようにギョンスの目には映った。ギョンスはいらいらすると同時にそんなカイを哀れに思った。
考えたくない、しかしおそらくそうであろうという結論はもちろんとっくにギョンスの頭の中にあった。
カイが自分を性的な目で見ている。
そんなようすをカイから感じ取ったことはこれまであっただろうか?
ギョンスは懸命に本人を前にしながら思い出そうとした。
一緒の部屋で寝起きし、仕事をこなし、練習に精を出し、食事を共にする中で、そんなことがあっただろうか?
勘がいいと自覚のあるギョンスだったが、久しぶりに自分のその自分に対する認識を疑った。こんなに近くにいてその欲求にまったく気付かないなんて。しかしひとつ、心当たりはあった。カイに対することではなく、自分自身の状況について。このところ、撮影に自分のほとんどすべてを注力していたこと、そしてそれ以外のすべてをチェンに使っていたことだ。周りがきちんと見えていたかと言えば常よりはできていなかったかもしれない、ギョンスは思った。知らぬうちにカイは自分の手すらもその対象として見ていたのかもしれない。テーブルの上の掌をギョンスはなんとも言えない気持ちで見下ろした。チェンの下腹部を撫でる手を、カイは触れたいと言って不貞腐れている。
ギョンスはカイの小さな望みを叶えてやりたい気持ちがあった。何故ならカイの望みのすべては決して叶わないからだ。チェンとの仲を終わらせるつもりはなかった。チェン以外を抱くつもりも、チェンを含めたすべての男に抱かれるつもりも。つまりカイに希望はなく、ただやるせない行き場のない思いだけを彼にさせるのはギョンス自身も辛かった。手だけなら。そして一度だけなら。手を握り締めてギョンスはカイを見た。すると自分を見ていたらしいカイがまたすぐに視線を逸らした。ぷっくり膨らんだ唇を小さく噛むのをギョンスは見逃さなかった。
「分かった」
ぴく、とカイが動く。
「右手だけだ」
今度はギョンスがカイを見られなかった。
俯いていると、カイが立ち上がった音がした。
気付くとカイはギョンスの隣の椅子に腰を下ろしていた。置いてあったギョンスのリュックサックは、彼の贈った美しい紙で包まれた箱の上に勢いよく乗せられた。
自分の鞄とプレゼントを見ていたギョンスの手に何かが触れた。皮膚だ。何度も触れられた覚えのある、カイの肌。その指がギョンスの手を取っていた。少し、汗ばんでいる。キャップを被ってギョンスの手を見るカイの顔は全くの死角で、ギョンスは再びキャップのツバを見るしかなかった。
指から手の腹を、カイの人差し指と中指の先がくすぐるように通った。ギョンスは思わず目をつむった。まずい。ギョンスは自らが誤った選択をしたかもしれないことを頭の隅で感じた。カイの指は、ギョンスの想像以上に表情豊かに、カイのダンスのように、ギョンスの手の上で踊っている。手を振り払って逃げ出したい衝動に駆られた。目を開いたそのとき、ツバの下のカイの目と出会った。その目はきっと、自分がチェンに触れるときと同じだろうとギョンスは思った。その標的になったとき、それを望んでいないとき。だが相手を心から愛しているとき。どうしたらいい。視線はすぐに外された。まだ手はその手に取られている。愛情を人質にして。
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