海の底、森の奥

- EXOの二次創作とオリジナルのBL小説を中心としたブログです。R18表現あり。お気軽にどうぞ。

20160720

シング シング シング 番外編 「桜を見た」
「桜を見たよ」
夜更け。
ベッド脇の灯りが、ぼんやりと橙でその周りを照らしている。
汗でその黒髪の濃さを増したギョンスが、頬に枕を付け、隣の枕のチェンへ、囁いた。
チェンの髪も濡れていた。ギョンスにも負けぬほど。
顔と顔は、それ以外を向いていない。
布はすべて、体の下か周囲にあった。
こういうときでなければ、少し肌寒かった。しかし、今はまだ、暑かった。
風が窓を叩き、春の嵐を告げる。
「………たくさん、咲いてた?」
チェンは窓を一瞥し、また相手の顔のみに集中する。声音はまるで歌うようだ。
「うん。散り始めてた」
ギョンスもまた、チェンから視線を逃さなかった。黒い瞳は、火が灯って見える。
「そっか」
「うん。…すごかった」
「そう」
「うん」その目に相手の目を映しながら、ギョンスは同時に、ここにないものをも映していた。「………さらわれるかと思った」
わずかに目を細め、チェンは口を開く。眉頭を少し上げて。
「……そしたら、泣くよ」
いろいろな部分が角度を付けたその顔を見る目が、揺れるのをやめ、次いで柔らかい笑みへとかたちを変えた。
「……たとえだよ」
慈愛とからかいを秘めたその微笑みに、チェンは珍しく反発する。
「…分かってるよ」
ふふふ、というハミングのような音を喉から漏らし、ギョンスは笑顔を崩さない。
チェンは顔すべてでそれを浴びながら、更に眉を傾斜させ、恋人に言う。
「……俺も、見たよ」
「ほんとに?」
「うん」
「どうだった?」
なぜかほのかな興奮を見せ、ギョンスは問うた。
「…色が、きれいだった」
チェンもまた、目の奥でなにかを見ながら、それとともにギョンスを見つめた。
「色?」
「うん」
「……薄い、ピンク?」
「……もっと、濃い、桜だった」
「ほんと?」
「うん」
「そっか」
「うん」
さっき、真っ白なキャンバスの上に、チェンは自ら赤を落とした。
肩甲骨の影。そのチェンだけの隠し場所に、そっと、色を唇で塗った。
後ろから覆い被さり、手と手以外でギョンスと繋がっていた。そこにもうひとつ触れるものと刺激が増えても、ギョンスには注意を払い続け得なかった。吸われたのといっしょに、ううふ、とだけ、唸った。
口を離すと、そこには花が咲いていた。
美しい、花だった。
ふふ、と、チェンもギョンスのように、口を開かず音楽を奏でる。
「なんだよ」
「ううん」
泣き笑いに似た顔で、チェンはギョンスを見ている。
呆れた表情を浮かべつつ、ギョンスはそれに手を触れる。耳とえらに、指が這う。
無意識に、チェンは瞼が視界を消す。
神経はすべて、5本の指と掌に。
そして目の裏には、桜が見えた。




おわり




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