海の底、森の奥

- EXOの二次創作とオリジナルのBL小説を中心としたブログです。R18表現あり。お気軽にどうぞ。

20160719

束の間から 26 《終》
せっせと、俺たちは彼女を作るべく動き出した。
普段から電波を張っている方である俺とチャニョルは、その受信状態をより強化し、送信作業も怠らなくなった。
チャニョルの好みと俺の好みはかなり違った。
お互いが可愛いという子に対し、異存はなかったが、どストライクという感じではなかった。
なので行動の被る場で出会った意中の異性を、どちらもが狙っているということはなく、それはとても助かった。やはり恋敵として争いたくはなかった。メンバー誰とでもいやだが、特にチャニョルと恋のさや当てを行うなど、関係がめちゃくちゃ過ぎて想像するだに鼻血が出そうだった。
それでも、なかなか思うようにことは進まなかった。
仕事は忙しいし、簡単に恋愛関係に発展するまでの子と出会えるわけもない。チャニョルも俺も、そこにあまり妥協できない点も似ていた。俺の方がまだましだったが、チャニョルはこれぞと思う子にしかはっきりとした行動は示さなかった。シスコンで、理想が高く、俺だったらよく知らない状態のチャニョルとは付き合いたくないな、と思った。そこまで思って自分の頬を心中叩いた。付き合う付き合わないとか、ないから。だいたいそんなチャニョルが俺のことをとか、俺がそんな趣味にうるさい面倒くさい男のことをとか、どんどん自らにビンタをかましながらも、考えれば考えるほど馬鹿馬鹿しくなった。俺たちは合意の上、性的処理をお互いの体で行っていただけだ。そこになんらかの含みは、ない。女の子が好きだし、女の子と付き合いたいし、女の子を抱きたい。俺はふわふわした髪の毛や体に触れたい。丸いおっぱいやお尻を掴みたい。髭をはじめとした体毛を感じたりしない肌に、肌を合わせたい。俺はそんなことを絶え間なく考えつつ、携帯でちょっとよさげな女の子に、なんとなくメールを送っては気を紛らわしたりして、やり過ごしていた。


夕刻。
何ヶ月かぶりに、俺たちは家にふたりで、揃ってテレビを見ていた。
ここのところ働き詰めで、くたびれきった俺たちは、出掛ける気力もなく、リビングのソファに伸びてまた、コーラを飲んでいた。
窓から見える空は真っ赤に染まり、俺とチャニョルの姿すら、暖色に変化していた。
しゅわしゅわと喉に落ちるコーラの感触。
グラデーションを展開する夕空。
テレビのワイドショーの雑な音。
チャニョルの眠たげな目。
俺は試験前の高校生に逆戻りしていた。
もうすぐ母さんが帰って来て、夕飯の支度を始める。
チャニョルにも食べて行けと言うだろう。
まったく屈託なくそれを受け入れる友人。
本当にそうとしか思えないような、心持ちだった。
俺が、チャニョルが、芸能人で、一緒に住んでて、バカ売れしてて、彼女いなくて、セックスをしていたときがあって、今ほんの束の間の時間をともに気を抜いて過ごしているだけだなんて、そっちの方が、まったく現実味がなかった。
ひどくしんみりした気持ちになり、危うく涙が出そうになる。
俺とチャニョルがただの高校生じゃないのが、哀しかった。
あんなことやこんなこと、とても口では言えないようなことをしまくったことが、恥ずかしかった。
チャニョルのお母さん、ごめんなさい。お父さんも、お姉さんも。
息子さんが俺にしたんだけど、それでも。
半分眠ったような頭で、俺はコーラを取り、ごくんと飲んだ。
テーブルに戻し、視線を上げると、チャニョルの目があった。
チャニョルの背後の女性キャスターの濃い化粧が、目の端に映る。
が、ピントはチャニョルの顔にあった。
俺たちは、以前、チャニョルが俺に酒抜きで意思的に初めて迫ってきたときとまったく同じ体勢を取って、ソファにいた。
それを意識しないでいたわけではなかった。
ただ、頭の奥の方へそのことを押しやっていたのだが、猛スピードで勝手にUターンしたかと思うと、それが俺の胸をどこどこと叩き始めた。
その、目と口は平行だった。
今度は、なんだ。
俺は思考が空転し、瞬きしながら唇を舐めた。
「……なに、見てんだよ」
喧嘩を売るような口調になった。
自分の物言いに気まずさを覚え、俺は尻を後ろに後退させながら、視線を下にした。
「………お前、彼女、できた?」
チャニョルは俺の方に体を少し、寄せた。俺を追うように。
「…………できてねーよ。できたら言うだろ、いっつも」
ますます後方にずりながら、俺は目を上げない。
「そう」
「なんだよ、…お前できたのかよ」
口に笑いを含ませる。やったじゃん、と言う準備をする。
「……………できてねーよ」
そしてもう俺に逃げ場のないほど、チャニョルはこちらに体を近付けた。
膝と膝がぴと、とくっ付く。
俺はそこから電流が走り、顔の皮膚にびりびりとした感触を得た。
心臓は狂ったように鳴っている。
「……そっか。まあ、すぐ、できるよ。……お互い」
膝を離す。
チャニョルの顔が見られない。
「…………俺さ」
低い、声。
この声を出すときは、ああいうときだけだ。
俺は総毛立つ。
「俺、………お前とセックスできなくなるの、やなんだけど」
血が。
沸き立つように全身を流れ、俺の顔を燃やした。
唇を噛み、顔を思いっきり俯け、チャニョルに見えないようにした。それでも耳は、たとえチャニョルのようでなくとも、隠せはしない。あの夕日のようになっているのが、丸見えだ。もう、とっくに日は暮れていた。太陽のせいにはできない。
「……彼女できないから、とかじゃなくて」
チャニョルは俺の脚のすねに、自分のそれを触れさせる。
俺の頭のすぐ上に、自分のそれを落としているのが、分かる。
声が、上から、降ってくる。
「…………どうしたらいい?」
鼓膜の震えは、俺に甘美な音楽を思い起こさせた。
どうしたら?
どうしたらって?
なんで俺に聞くんだよ。
いつもお前が、俺になんだかんだとねだってきたのに。
ここに至ってなんで聞いてくるんだよ。
知らない。
俺には分からない。
「………なあって」
手が、手の上に乗った。
俺はびくりと体を跳ね、ゆっくり、ゆっくりと顔を上げた。
チャニョルの唇、鼻、目。
正面から、顔を見据えた。
かすかに震えながら、俺は、なにも言えない。
なにを言えばいいのか、分からない。
コーラの中の氷が、からんと揺れる。
手は既により大きなそれに、すべて包まれている。
俺の目は眉とともにより、垂れている。
夜が俺たちを、出迎えようとしている。




おわり




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あとがき「束の間から」 | 束の間から 25

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