海の底、森の奥

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20181225

獣の賭け事(リアル短編・クリスマス企画)
 窓の外、周囲に目立つ建築物のない一帯は、灰色がかった白い雲が地上にまで手を伸ばしたように、どこまでも同じ色ばかりが続いていた。椅子にも座らず、顎を心持ち上げて巨大な窓ガラスに向かい、蓋をした紙コップを指の先だけで持ったまま、その光景をベッキョンは見つめていた。冷え切ったコーヒーを飲む気にはなれず、間隔を開けて飛び去って行ったり滑走路に滑り込んで来たりしている影のように黒く目に映る鳥に似た飛行機を待つともなく佇みながら、その脳内で思考はある事柄の周りを回り続け、しかし核心には触れず、ある者はそんな彼のようすを心配して声を掛けもしたが、返って来た返答はそっけないものだった。そんなわけで皆、彼を放っておいた。出発時刻まで残された時間もわずかだった。
メンバーはだいたい固まってはいたが厳密に言えばばらけており、めいめい好きな場所に腰掛け手元の機器をいじっていた。立ったままのベッキョンのそばには誰もいなかった。斜め前の椅子に、窓を背にして座っているジュンミョンを除いては。
マスクをしてスマートフォンを覗き込むジュンミョンは、ベッキョンに声を掛けるどころか、顔を上げもしなかった。この椅子に落ち着いて程なく、ベッキョンが靴音を鳴らして近付いて来るのに気付いてから、一度たりとも彼に反応を示していない。脚を組み、肩を縮こまらせるようにして、一心に手元に視線を落とした。そう見えるよう渾身の力を以て振る舞っていた。
対してベッキョンは素顔をそのまま晒し、どこか開けっぴろげな態度を示していた。フードを被り、前髪が少し目に掛かりそうになっているせいか、遠くを見やる目のまぶたは、かすかに黒目の上を隠していた。眠たげな表情で、瞬きを常より重ねながら、ジュンミョンの前に脚を開き気味に、無言で立ち尽くしている。
空いた右手の指が視界の中で蠢くのを感じ、ジュンミョンは緊張した。否、緊張はずっとしていた。が、今度は右半身が冷たく、固くなる感覚すら湧いてきていた。先の尖った爪が不規則に動いているのに、神経が逆立った。ベッキョンはよく、ジュンミョンの乳首を強く引っ掻いた。痛みを訴え、抗議しながら顔を見合わせると、締りの悪い唇で意地悪そうに微笑んで口先だけの謝罪を吐き、次の瞬間には目の据わった狂暴な獣のような様相にその顔面をあっけなく変えた。恐ろしさに身悶えつつも、信じられないほどの快感が都度ジュンミョンの心身を襲った。その記憶をこのとき彼は心底憎んだ。目の隅に映る自分を蹂躙したあの指から、遥か遠くに逃げ去りたかった。
隠した顔を赤く染めながら、ジュンミョンはそれでも微動だにしなかった。けれど相手は違った。冷えた空気を切るように手が揺れた。その一秒後にはジュンミョンの隣の席にベッキョンはいた。なお窓を仰ぎながら、正座の格好で座っていた。
流石にそちらを向くと、帽子に頭を覆われたベッキョンのあどけないと言ってもいい横顔が、ジュンミョンの目に入った。口を小さく開き、上目になった彼は、血色が悪く、少し肌が乾燥していた。ベッキョンが自分を見ないことに、ジュンミョンは今更ながら傷付いた。傷付いたことにまた傷付いた。敗北感を覚え、唇を引き結んで素早く顔を戻した。と同時に声が聞こえた。
「雪降りそうじゃない?」
 目を泳がせて、今のは空耳でないとジュンミョンはみずからに確かめた。数拍置いて再び顔を横に向けると、相変わらずベッキョンは外に視線を投げていた。無視することが完全に叶わなくなった手前、ジュンミョンはまじまじと対象を観察した。先程思った以上に顔に血の気がないように、白いどころか薄く黒くすらその肌の表面は見えた。そしてそれはベッキョンの問い掛けの根拠そのものを表しているのだとすぐ察した。
振り向いたジュンミョンを、もうたまらないといった態の、煤を淡く被ったような色合いの厚い雲が迎えた。細胞分裂のごとくぽろぽろと白いものを落とすのは時間の問題であろうと思えた。ガラスの向こう側に充満する色を照り返し、ベッキョンは灰色だったのだ。
向き直ると、ベッキョンの双眸がジュンミョンを待ち構えていた。
心臓が跳ねたジュンミョンは、平常心を保とうとスマートフォンを持つ手に可能な限り力を込めた。絶対先に目を逸らしてなるものかと意を決して見つめ合う。しかしそんなちっぽけな自尊心などすぐ瓦解するほどに、ベッキョンの小さなふたつの瞳は頼りなげに弱い光を発していた。唇の両端は上向きながらも下がっている。
思わず声を荒げそうになると、唇から文言が放たれるより一寸早く、相手の言葉が投げられた。
「ほんとに別れんの?」
 開いた口がほんとうに塞がらず、だがそれもマスクで傍目には分からなかったが、言葉を失ったジュンミョンはそのまま口の大きさをさまざまに人知れず変えた。ベッキョンはすべて悟っているようすで黙ってしばらくジュンミョンの言葉を待ったが、埒が明かないと見て取ると、先にまた次のように言った。
「別れたくないよ俺」
 背もたれを両手で掴み、顔をジュンミョンの方に向けたまま手の甲に置く。下から見上げてくるベッキョンのそのさまに、とうとうジュンミョンは返した。
「なんだよ、話はもう終わっただろ」
 声が震えるのに羞恥心から顔が火照った。手に汗が湿り、揺れそうになる体を支えるためみずからも背もたれを掴む。
「そんな態度取るなよ、ふざけんな」
「兄さん、聞こえにくい」
「な」
 いよいよ紅潮した顔をものともせず、我を忘れかけたジュンミョンはマスクを下げて、小声を心掛け続けた。
「別れただろ、終わっただろ、今更なんだよ」
「兄さん、しー」
 落ち着き払ったベッキョンは先刻のままの体勢で、あまつさえジュンミョンをなだめようとする。頭に血の上ったジュンミョンはわなないた。
「お前」
「俺兄さんのこと、やっぱりまだ好きだもん」
 顎にマスクを引っ掛けたジュンミョンは現した顔すべてが朱に染まり、また何も言えなくなった。
「別れんのやめよ」
 体をゆっくり起こすと、正面を通路側に向けて座り直し、内緒話をするようにベッキョンは上半身をジュンミョンに寄せた。体を引きかけるジュンミョンに、あの獣のような顔の男が迫った。
腰から背中がしびれ、動けぬまま、ひとことも発さずにジュンミョンは視線を受け続けた。怯えた瞳には涙が浮き、零さぬことひとつだけをただ念じ、睨み合った。
「おーい、行こ、ふたりとも」
 ジョンデの通る声が響き、ジュンミョンは全身を震わせた。硬直した彼と対照的に、舌打ちをしそうな雰囲気でベッキョンは立ち上がり、振り返って空に目を走らせた。
眉根を寄せるその顔を見上げながら、干上がった喉を押して、ジュンミョンは瞬きもせず早口で告げた。
「雪なんか、降らないよたぶん」
 腰を上げようとするジュンミョンに、ベッキョンは顔を向けた。
「…降るよ、絶対」
「ふ、降らない」荷物を手に取り、マスクを戻して顔を背けながら言った。「…じゃあ、もし降ったら、この話、か、考えるよ」
 言い終えると鼻をすする音を立て、耳を赤くしたジュンミョンはさっさと仲間の後を追った。
降雪確率一〇〇%。
そう叫び、欠航か否かを賭けようとチャニョルがセフンに持ち掛けているのをベッキョンが聞いたのは今朝のことだ。話に加わるでもなく一緒におり、連れ立ってドアを開けると、そこにはジュンミョンが立っていた。
まぶたを腫らした彼とそのとき目が合った。
賭けに乗ろう、とベッキョンは思った。
勝ちの決まった勝負は本来ベッキョンの好むところではない。が、今回だけは別だった。
窓を背にして足を踏み出したその顔は、先程とは別人のように、色鮮やかに光っていた。



おわり



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お返事、あとがき「獣の賭け事」、チャンミン、星野源 | 悪いやつ

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