海の底、森の奥

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20180919

鮮やかな闇(東方神起・リアル短編)
振動は浮かぶ光彩を空気の中、魚のごとく泳がせる。片側だけで見返してくる自らの奥で、曲線を描きながら尾を引いている赤や青、白、その他とりどりの滲む色彩を、その目すべてを埋め尽くすような黒目でサングラスを鼻まで下ろし見つめていた。アスファルトの多少の凹凸が闇を照らす灯りを生き物にする、踊らせる、仲間にする。夜は朝や昼とはまったく異質の興奮をもたらすことを知っていた。生まれたときから、そして仕事を始めてより、その事実はユンホを揺さぶった。
タクシーは指定された場所に至ると滑らかに停止した。差し出された白い手袋で覆われた手とそのブレーキのかけ方によって、耳に届く言語以上に改めて日本にいると実感した。支払いを済ませドアを開けると、やはりクラクションも怒号も聞こえない。降りて入り口に向かいながら、どうしてかとても心細くなった。
足音の響き方が違う、それにユンホは心許なさに拍車をかけられる、だが歩みを止めることはなかった。ポケットからスマートフォンを取り出し、部屋番号を確認する。エレベーターにひとりきりで乗れたことで、腹の底からため息が出た。
インターフォンを押す勇気をどうやって捻り出したのか分からない。思い出そうとしてもいつも記憶がない。気付くと部屋の中にいる。向こうから開いて引っ張り込まれたのだろうかと訝る。そうかもしれない、そういうことをするかもしれないやつだから。
 今ユンホは抱きつかれている。首のあたりに吐息の熱、背中を叩くてのひらの感触、同じものを返すべきか惑っていた。数秒。頭を下げ、腕を上げた。さらさらと髪が頬に触れ、指に筋肉を感じた。体から漂う香りが変わっていないということが、開いていた目を強く閉じさせた。
「久しぶり」
 焦燥から一瞬早く体を離すとすぐ、そう聞こえた。顔を見るとこちらを向いていない、唇には笑みがある、確かに。だけれど瞳は伏せられていた。
「久しぶり」
「遅いから来ないかと思った」
「ごめん、打ち合わせが押して」
「いいよ」
 冷蔵庫に向かって話を続けるさまを見下ろしていると、何飲む?と問われた。
視界が徐々に広がる、その部屋の内装を首を回して確かめる。机にパソコンが起動されたまま置かれているのは毎回だ。寝顔が照明の落ちた部屋に青白く光る光景がフラッシュバックし、振り向くとそこに本人が立っていた。
グラスに注がれた黄金色の液体は、少しずつ泡を消しながらユンホを待っていた、今か今かと。だがユンホは躊躇した。今夜初めて双眸が己を指していた。黒い髪の下、白い肌の上、何色と表せばよいのか、ただ目にするとめまいがするような深い渦を呈しているとしか言えないふたつの眼球が、意思的に目標を捉えていた。
「泡消える」
 淡い笑いが掠れた声に混じった。
「ごめん」
 受け取ると指先から凍るような気がした。触れたことで垂れた滴が、手を離そうとした向こうの爪の上を流れたのまでユンホは見ていた。
杯を上げるとほんのひと口だけ飲み込んだ、半分ほど干すようすを目の隅に入れながら。
「飯食った?」
「打ち合わせがてら」
 準備されていた乾き物をつまみに、ベッドに腰掛け並んで飲んだ。ユンホは視線を迷わせ、閉じられたカーテンを幾度も見つめた。窓の外に溢れているだろう色の付いた光の洪水を求めている、そう自覚していた。四角い部屋の中、一対一で、琥珀色の間接照明のみを受け息を殺して何かを待ち受けているのに悲鳴を上げそうだった。
近況報告をしているのだけでも耳を塞ぎたくなった。声が。真白な皮膚に突然浮き出た赤い唇から音楽にしか聴こえぬ声が、こぼれ落ちてはやってくる。暴力的に耳に入り込む。その鼓膜の揺らし方から逃れることのみ考えるようになる。
「なあ」
 話を遮ったかもしれないと案じながらも、頼りなげな、しかし大きな声を口から発した。
「何」
 やおら立ち上がると、窓まで近付き、布を掴みかけながら言った。
「カーテン開けていいか」
 一拍ののち、返事が訪れた。
「うん」
「サンキュ」
 だが細く、外をユンホだけが見るためにめくったに過ぎなかった。自身を光が彩る。正しい夜は送られている。少年時分と変わらぬ高揚感のかけらを取り戻しているさなか、隣に気配を感じた。
「ユノ」
 小さな頭の中で言葉が浮遊した。なんと短い、されど長い。反響し続ける名、名、名。
いつの間にかカーテンを握っていた。
「ユノ?」
 見上げてくる瞳に恐る恐る視線を送った。
「ジェジュン」
 懇願するような、幼子のような声音になっていることへの羞恥から蒸発しそうな心地になる。目の前の男は温かな笑みを顔に乗せ、なんだよ、と言うばかり。
手を離すと、そのまままた部屋は色をなくした。慌てるなよ、という笑いの滲んだ言葉が暗く深い夜に染み渡ると、視野は狭まり、これは何色というのだろうと、目の中に墜ちながら自問自答を繰り返した。



おわり




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