海の底、森の奥

- EXOの二次創作とオリジナルのBL小説を中心としたブログです。R18表現あり。お気軽にどうぞ。

20191231

温かな夜(チャンミンおめでとう)
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大晦日の食事会でした。

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ピアノに陣取る二匹。

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お菓子を取らないよう同居人の人が犬を抑えていました。


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私がプレゼントしたブローチを着けてくれている祖母。

みむ子様が早速ヘチャンをまた書いてくださり、嬉しいなあと思いながら読ませていただいた今日でした。
お忙しいのに今年最後のプレゼントを準備してくださって、ほんとうに感謝感激です(別に私にとは言ってない←)。

今年は主に夏と冬に企画をした、という感じでしたでしょうか。
NCTに手を出した年でもありましたね…。
彼らの話はどれも自分自身楽しめるものとなり、嬉しく思っています。
おそらく来年以降彼らの話をまた書いていくでしょう。

そしてサーバー落ちてる?と思ったらチャンミンに交際報道とのことで。
毎度のことなんですが私はこうしたことにショックとかあまりないので、その騒がれぶりにびっくりしております。
むしろ以前も書いたことがありますが、へええ、こういう人と付き合うのかあ!と、めちゃくちゃいろいろ想像する材料にしてしまうので、結構嬉しかったりします。こんなセックスするのかな、とか←
あとこうした幸せを感じることができているんだな、とほっともします。アイドルなどをしていて不幸ならば、私はそのことの方をとても辛く思うので。
そして何よりチャンミンは、あんまり仕事において幸福を感じることが多くないのではないかと思うので、私生活では少しでも充足してほしいなと心から願っていますよ。

読者様とお友達に支えられている当ブログ、何年目になるのかな?←
もしよろしかったら来年もどうぞお付き合いくださいませ。
よろしくお願いいたします。
心からの感謝を込めて。



フェリシティ檸檬






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20191230

心のごはん
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帰省です。
いつもの如く猫二匹連れ。

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駅で買った可愛い可愛い紙ナプキン。
紙ナプキン買おう!と思っていたので、これを見つけてうはうはでした。

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ついこの間まで仔犬だったはずの子。おかしいな←

EXOのライブをつい先ほどまで見てました、みむ子様いつもいつも情報ありがとうございます!!

母も弟も、みんな色が白いんだねえ、という物凄い基本情報から入っていってる横で観賞しましたよ。

ベッキョン上手くなったなあ、と改めてしみじみしたのがひとつ良かったことでした。



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20191229

私の癒し
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読みづらいですけども…。
先日発売された「波よ聞いてくれ」の大好きで何度も読んでしまうところ。
今現在の私の癒しはこの漫画、ベッキョン、そして丁寧な暮らしをする餓鬼のガッキーです。
ガッキーはTwitterで人気の餓鬼さんで、私はもう彼女にめろめろです。

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雨の日の私。

起きたら睡魔さんも起きててなんだかほっこりした朝です。




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20191228

ほんとに可愛いね、と言いつつキスしてましたよね…
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買ってしまったんですよね…ええ…。
雑誌買ってしまうところありますね、インタビューといい写真を期待してしまうんですね。

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暑すぎても寒すぎてもいけないそうです。
相変わらず紙袋と段ボール箱が大好きですが、こたつも寒いと入りたいというね。

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意味なくこんな写真も。
ディオが鹿に接しているときの甘い感じを見た際、私はこの人と実際に知り合いだったらこの姿で惚れるかもな…と思いました。動物好きに弱いです。
同居人の人も出会ったとき動物園の年間パスポート的なものを持ってましたしね…。



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20191228

クリスマスプディングの冒険
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クリスマスプレゼント。
同居人の人がくれたmacの口紅です。
とても濃いピンク色で、ピンク色が欲しかったので嬉しかったです。
いつもながら美容部員さんと話しているところを想像すると面白いなと思います←

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私からのプレゼントその2。
いいハンカチ。でもほんとは子供用。
しかし小さなタイプのハンカチが彼は好きだし、この折り目でいろいろ色柄が変わるのを胸ポケットで楽しめるしということで、選びました。

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ミートパイ、ビーフ味。ビーフシチューを中に閉じ込めたようなお味。やはり美味しい。

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クリスマスプディング。ウイスキーバターと共に。
ポワロの「クリスマスプディングの冒険」を見ながらクリスマスプディングを食べたクリスマス…。

クリスマスのご馳走というのはケンタッキーフライドチキンとかケーキとかが買ってくるものとしては定番ですが、特にケンタッキーはいつ食べてもその過大評価ぶりに驚くばかりで、睡魔さん宅のように自分で鳥丸ごと焼くくらいしないと(いつもながら美味しそうな食卓に目を剥く私ですよ)なんだかクリスマスを心から楽しめるものではないわ…などと思っていましたが、これで解決!!私はクリスマスはミートパイやクリスマスプディング、シュトレンを楽しむものということにしました〜。
スタウトのビールをお共にしておりますよ。



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20191227

どちゃくそセクシー
こんばんは。
UNvillageをめちゃくちゃ見まくってます、檸檬です。

えーとそんなわけでこれはめっちゃいいです。



ほんとにどちゃくそセクシーですね。
なんかちょっとマイケルがスタンドマイクで歌っているときの姿を思い出したんですよ。



最高。
歌い出しのあたりが上に書いたようなシーンですね。

昨日好きな踊り手について少し書きましたが、体をきちんと静止させられ、無駄な動きを極力抑えた上で豊かな表現が可能であるという点もものすごく評価します。そういう意味でヘチャンが大変好きなのです。



ほんとに彼は素晴らしいですよ。どうかどうかこのままいいふうに伸び続けてくれますように。
私が以前書いたようにお友達と丑の刻参りをせずにすみますように←

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なんとなくまたこんなものを集めたりね…。

夏のときもそうでしたが自分で書いた話の余韻にひたっちゃってやばいですね。
ふつふつとしたものが体を満たしていて、なんとも言えない心境です。



フェリシティ檸檬



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20191226

あとがき『2019クリスマス企画』、お返事、的な…
こんばんは。

ちょっと時間がないのであまり書けないかもしれないのですが…あとがきめいたものを。
また改めて続きを書くかもしれませんが。書かないかもしれません←

あとがきと言うより今現在の私の心境みたいなものになります。
と言うのは、今回のクリスマス企画はまずみむ子様へお礼がしたいという思いを消化しようとした際たまたまタイミング的に一緒になっただけという感じだったのですが、その少し前からベッキョンへの再びの傾倒が始まっており、書いていくうちに自分の中で加速度的に彼への萌えが強まり、結果四作も続いた企画となりました。
ほんとうは再び、と言うより彼のことはsuperMのこともあってずっと気になり続けていたんですね。なのでずっと書きたいのは彼でした。彼とディオはいつでも書きたいというのが真に正確なところですが。

みむ子様から昨日早速コメントいただき、いつもながらめちゃくちゃ嬉しかったんですが、そういうわけでお返事も、ここ最近のものいくつか含めてさせていただきたいのですが、私はsuperMのベッキョンはやはり嫌いじゃありませんでした。
何故かと言えば、彼がEXOにいるとそこまで真摯に向き合わないということがタイミングやシチュエーションや何やかやによってはもしかしたらあるかもしれないダンスというものを、否応なく常にマックスで行わなければいけないということになるのがsuperMというグループだったからです。マックスどころかそれを超えるようなパフォーマンスが要求され、それは彼にとってプラスになるのではないかなと私はもともと思っておりました。
歌とダンス両方を行う人間ということで、テミンと並ぶことが必然的に多くなるわけで、テミンというのは全身全霊でパフォーマンスするタイプで、なおかつダンスに命をかけているようなところがありますから、心構えからして整えておかないと、彼に対し見劣りすること確実となってしまいます。そのことを非常によくベッキョンは理解していたと思います。彼がターンを繰り返ししているのをあまり見たことがなかったように記憶していますが(私の記憶違いかもですが)、彼がターンをするたび、私は何か感慨深いものがありました。しかもスピードを可能な限り速めようと努力しているのが窺え、頑張れ、と私は毎回エールしていたものでした。そもそも私は非常にターンが好きのなので、単に嬉しかったというのもありますが。
そして、「2fast」が曲として好きだ、ということも大きかったです。
音源を聴いた際も好きは好きだったんですが、それよりもパフォーマンスをしているのを見てかなり魅了される部分がありました。
音源は、なんと言うか…テミンの歌声がSHINeeのときほどうまく編集されていないという印象を受けており、歌い踊っているさまを見てその思いを強くしたのですが(まだその方がよかった)、これはジョンヒョンの不在が理由として大きいのか、そこのところはよく分かりません。ただあの曲はSHINeeを彷彿とさせるものがあって、繊細かつ官能的でスピーディなこの曲をベッキョンがハスキーな低音で歌っているのを聴いて、ああ、とてもいいなあと思ったのです。歌詞もよかった。メンバーも好きでしたね、四人に絞られていて。
この曲のダンス自体はいちばんよかったのはマークで、私はほんとうにテヨン、マーク、ヘチャンのダンスには常々感心しきりなのですが、今回もそうでした。彼らは三者三様ですが、大変優れた解釈をし、それを実行に移せる身体能力と性的魅力とカリスマ性があって、とにかく素晴らしいと思います。
でもこの曲のように指を印象的に用いる振り付けは、その点ベッキョンにアドバンテージがあり、改めて私はベッキョンの指使いに心酔しました。
先に書いたように私はターンが好きなのですが、個人的に踊り手を好きになるとき、ターンが素晴らしく速いか、指先を繊細に用いられるか、というふたつが判断基準になることが多く、これをふたつとも満たしているのが当然マイケル・ジャクソンなわけですが、彼は信じられないほど速いターンを決め、見ていてもよく分からないような手の動きをし、見るたび頭がくらくらするわけです。
そしてベッキョンは自身でもやはり語っていましたが(よっぽど言われるのだろうなと思います、ファンからも、スタッフや先生からも、きっと恋人からも言われたのでしょう)、美しい手をしており、しかもよくあるタイプの美しさとは若干違う…女性っぽいとも違う、男性っぽいとも違う、何か中性的な、手というものを抽象的に表したような、そんな不思議な手です。それを効果的に魅せる使い方を常々彼は考えているのでしょうが、UNVillageからこっち、それが飛躍的にうまくなった気がします。



これとか相当いいなと思いました。

今後もっともっと洗練されていくだろうなと思いますが、とにかく、私はそんな彼の手の扱い方に接した感動を話として表現できないかと考えました。そのまま出すということではなく、その印象や感覚を落とし込むということです。私はだいたい話を作るとき(媒体がどんなものであれ)、そういうようなことを目指しているところがあります。このシーン、この絵を表現したい、そしてそれが有機的にストーリーと絡み合っているものを作りたいと。もちろん満足するようなできになっているかと言えばそうだとは答えられないのですが、でもそれを常に目指しています。今回の企画はそれが目的だったとも言えます。
ヘチャンもとてもいいんですよね、彼の指使いも表したいと思いました。ベッキョンとヘチャンはみむ子様が書いてくれたふたりでもありますが、こういうところも共通しています。指の長い大きい美しい手を自覚的に用いているのが素晴らしいです。

読んでくださった方がどれくらい満足してくださったのか、気になるところです。たまにしかお話を書かなくなった私ですので、楽しみにしていてくださる方が実質どれほどいらっしゃるのかよく分からない部分もあるのですが、もしも感想などお聞かせくださったらとても嬉しく思います。
みむ子様はお優しく、いつも感想をお聞かせくださいます、ほんとうにありがとうございました。
おっしゃるとおりこの企画ではキスがひとつのテーマで、それは私にとってキスというのはいちばんエキサイトする行為だからです。今回は私自身の欲望に忠実だった作品群でした。
キスシーンはほんとうに大事。セックスシーンより。

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はあ。

時間切れです。

クリスマスのお供としてお楽しみいただけたことを切に願っております。
T様お体どうかお大事にしてください!!
みむ子様、大好きです。


フェリシティ檸檬



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20191226

こぼれ落ちるこころ(クリスマス企画/パラレル短編/EXO)

 扉を開けて狭い玄関を抜けると、ようやく人心地着けるといったようすで、男たちはやおら騒々しく荷物を置き上着を脱ぎにかかった。あー、とおかしな低音で声を上げながら窮屈そうにコートを脱ぐ連れを横目で見つつ、ギョンスはてきぱきと暖房をセットした。
 ふたりは職業柄許される範囲のラフさを含んだ格好に身を包んでおり、実際大して私服と変わらなかった、特にギョンスは。よって部屋着に着替えることもなく、首を両サイドに曲げて体を伸ばすと、部屋を見渡しながらベッキョンはベッドに勢いよく腰掛けた。
「疲れたなー」
 筒のような白い喉から異様なほど大きく膨らむ声を出す。ギョンスはキッチンと寝室の間に立ち、放心したような態のベッキョンに静かに聞いた。
「食事にしていいだろ」
「んー」
 焦点の合わない目をしたベッキョンをいっとき見つめたあと、支度の間聴くための曲を掛けようとギョンスが部屋を横切ると、背後から声が追った。
「そう言えば、誰かさ、後ろから付いてきてなかった?」
 レコードラックに指を差し入れていたギョンスは、その動きを止めて振り返った。
「何?」
 見返しているベッキョンは訝しげに言った。
「感じなかったか?お前」
「ううん」
「気のせいかもしれないんだけどさ。学校からずっと誰か後ろにいる感じがして」
「学校から?」
「うん。生徒かなとかちょっと思ったんだけど」
 ギョンスはラックに向き直り視線を下げて言った。
「お前のファンじゃないの」
「そうかな」
「可能性大だな」
「やべーな」
 ふふ、と息を抜くだけの笑いを漏らしてギョンスは何も返さなかった。
「見られたかな、ちゅーしたの」
「知るか」
「やべーな」
「あんなとこでするからだろ」
「嫌がってなかったくせに」
 再びギョンスは返さない。もうさせないと言わんばかりに唇の上と下をぴっちりと閉じ、ジャケットに神経を集中させた。
「あ、もらったプレゼント忘れた」
 羽毛布団が潰れた間の抜けた音がする。後ろに倒れ込んだベッキョンは天井を仰いでうめいた。
「お前と分けようと思ってたのになー」
「いいよ俺」
「あんなにどうしろってんだよー」
「他の先生に分ければいいだろ」
「ばれたらまずいだろ、非難轟々だよ」
「口止めしろよ」
「お前ほどみんな口固くないんだよ」
 と言うかお前は無口だから、と続けてベッキョンはごろりと横を向いた。
「やっぱ年末は疲れるな」
 嘆息混じりの言葉に、選び取った円盤を携えギョンスは振り向いた。
「寝るのか?」
「寝ないよ」
 届いたのが何故か不機嫌そうな声音で、ギョンスは自分のベッドへと距離を詰めた。
「無理して食べなくてもいいぞ」
「食べるよ」デッサンの狂ったような顔でベッキョンは起き上がった。「作ったんだろ」
 整髪料をまとった長めの髪の毛はほぼ中央から分けられてまとまっていたが、今やあちこちへと勝手に跳ね、そのまぶたは半ば甘く閉じられていた。ギョンスは見下ろしてつぶやく。
「着替えれば」
「いや、起きてるって」
 そう言って立ち上がると、ベッキョンはレコードプレーヤーの横に設置された電子ピアノの前まで行き、その椅子を引いて腰を据えた。
「なんか弾きたい」
 関節関節できちんと整えたようなかたちをした細長の指が、鍵盤を順に押さえた。涙がこぼれるように音階が連なる。
 そのまま音量調節を慎重に行うベッキョンの後ろから、ギョンスは乱れた髪と伸びた首と骨ばった肩を見つめ言った。
「クリスマスだろ」
「そうだなあ」
 音を確かめるようにベッキョンは繰り返し指を鍵盤の上で動かしていた。そのたび花びらが時を得て落ちるように音符の名残が床に散る。と、くるりとギョンスを向き横長の椅子の隣をぽんぽんと叩いた。
「来いよ」
 わずかに目を泳がせながら、ギョンスは音も立てずに傍に寄った。
「もっとそっち行けよ」
「やだ」
 そうしてぴったり腰をくっつけ合い椅子に並んで座った。さも楽しげにベッキョンは笑う。
「さあて」
 そう言うと、目を伏せてゆっくりと古いクリスマスソングを弾き始めた、小さくハミングしながら。ごくごく抑えた音であるのに、ベッキョンの声は場を支配してギョンスをその中に完全に取り込んだ。ひとときまぶたを閉じ、そして開けると、ギョンスは横の青年を盗み見るように目に映した。子供のような、薄く小さな唇の両端が軽く上向いている。息を吸うごとにかすかに喉仏が上下する。
 ギョンスは振動する染みひとつない首に唇を置いた。指が止まる。やはり音はこぼれ落ちていく、何かに耐えきれないといったように。野生の動物を彷彿とさせる特徴的な耳の端を、ギョンスは歯で優しく噛んだ。あ、とあの声が漏れ、次いで耳たぶを含むと、不協和音が鳴り響いた。魔法を紡ぐ美しい手が上から握られ、ベッキョンの指はそのまま編まれた毛糸のようにするすると絡んだ。
 中の光った目がギョンスの顔を追った。上まぶたは下りかけているのに強く反射する瞳が、探るように彼を捉えていた。ギョンスはカーテンを開けるがごとく相手の前髪の下から手を差し込み、額から頬を撫ぜた。薄く開いた唇の隙間から、熱い吐息が絶えず届く。ベッキョンは空いた手でギョンスの耳から頬に触れた。その細い手首にくちづけ、ギョンスはベッキョンを見つめ返した。
 ベッキョンは強くギョンスの手の指に指を絡め直すと首の後ろに手を回し、自分より少しだけ小さな体を抱いた。頬と頬を触れ合わせ、深く息をつく。鎖骨のあたりに鼻を擦り付けるようにして、骨の影へとキスをした。
 顔を上げたベッキョンをギョンスは焦燥に似たもののこもった黒目で見つめ、額に、まぶたに、鼻の頭に、頬に、唇を付けていった。ベッキョンは相手の折れそうな腰を逃すまいと、無意識のうちに力を込めて自分に貼り付けさせていた。
 やがて唇にキスはされた。互いにしながら服の下に手を差し込んでいた。汗ばんだ肌が指に触れる感触。衣擦れと舌の絡む音と声にならないような声が夜に溶けた。
「落ちる」
 それは椅子からのことを言っているのだとギョンスはよく分かっていた。なのにこう返していた。
「とっくに落ちてる」
 ベッキョンは何も言わなかった。何も言う必要などなく、ふたりはただ落ちていくだけだった。
 
 
 
おわり





 
 
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20191225

実を啄む(クリスマス企画/パラレル・グループミックス短編/EXO・NCT127)

 この時間まで残るのはやはりきついなと考えながら正面玄関から足を踏み出すと、職員用玄関の方で静かに動くふたつの影が目の隅をかすめた。スニーカーが砂利の上で夜に対し張り切って音を立てようとするのをマークはそっとやめさせた。シルエットを描くふたりが誰であるか、直感的に思い当たったためだった。
 学校から公道に出るまでの広く暗い砂利道の端を影は寄り添って歩いていく。両側に建てられた灯りは数が少なく、彼らをまぼろしのようにしばらく浮かび上がらせては消した。視力の悪いマークだったが、だんだん目が慣れてくるとそうだろうと踏んだ人物たちであることが後ろから距離を置いて付いて歩きながら学校の敷地を出るまでに確かめられた。
 一般道に来ると街灯が照らし、ド先生と、連れ立って歩くビョン先生の後ろ姿がマークの眼前に現れた。淡黄色の光を浴び、闇の中でそこだけ切り取られたような空間を行く青年ふたりは、マークのことにまったく気づくようすもなく、時折笑い声を立てながら、しかし基本的には小声で会話を交わしていた。
 マークは鼓動が速まるのを感じていた。唇をマフラーで覆い、眼鏡を曇らせ、鼻の頭を染めた彼は、足音に神経を集中させるのを忘れないように努めつつ、ふたりから決して目を離さなかった。
 ビョン先生を見るのは久しぶりのように思えた。二年のとき数学を受け持ってもらっており――マークは彼をとても好ましく感じていた。大変明るいたちの教師で、大きな口で大きな声を発し、よく笑った。しょっちゅうふざけて、生徒をからかい、教えること以上に笑わせることが好きなように見受けられるほどだった。と言って大雑把かと言えばそんなことはなく、生徒を非常によく見ていた。具合が悪いとか身が入っていないとか、努力はしているが実っていないとか。叱るときは厳しく、慰めるときは親身だった。授業自体無駄がなく分かりやすく、特段ハンサムというわけではないが、愛嬌のある癖のない顔立ちをしていて、その上すっきりとした体型と美しい手指を持っていることが合わさり、生徒から、特に女生徒から驚くほど人気があった。だがこういったことに敏くないマークはほとんどを友人から聞いてあとから気付いた――彼がビョン先生について長い間抱いていた印象は、教えるのがうまい、温かい人柄のとてもいい教師というだけのものだった。ビョン・ベッキョンはモテるよな、と同級生が話していても、なんとなく理解はできるがぴんと来ず、女子がイベントごとの際、彼に対し騒いでいるのを目を見開いて見つめたことなどをマークは皮膚を氷のようにしながら思い返した。
 進級して担当が変わったあと、再び彼の名を耳にしたのはドンヒョクの口からだった。
「あいつ、ド先生と仲いい」
 小さな木の実のような唇を突き出してドンヒョクは言った。三白眼気味の目を顰め、例によって生徒会室のマークの傍らで仏頂面を晒していた。謝罪に行ったのち、諦めると言いつつなかなかそうできていないのが現状だった。
「あいつってなあ」
 論点のずれなど気にせずマークがなだめようとするのを無視し、ドンヒョクは言ったものだ。
「あいつ絶対ド先生のこと好きだ」
 何故そうも確信を持って言えるのかマークには分からなかった。が、ドンヒョクは間違いないと思い込んでおり、この後輩は驚くほど勘のいいところがあるということを知っているマークは、ビョン先生をド先生と結びつけて考えずにはいられなくなった。それから、見かけた際はそれとなくビョン先生を観察するようにした。そのように気を付けて過ごすようになったあと、ド先生といっしょにいるところを見たことは一度もない。ド先生のことはそうしようと意識せずともマークはよく目で追っていた。放送室で用向きを話したときの彼の表情がマークの瞼の裏に焼き付くようにまだあった。寂しげな、見たことのない顔をしたド先生を目にし、マークは経験のないふうに胸が強く縮んだ。そして喉の奥深くで震える低音で、「ありがとう、マーク」と言われた瞬間、マークは周囲が回転していくような錯覚に襲われた。ドンヒョクが話している間、ふらつきながらも脳みその中のあらゆる事柄をまとめようと腕組みをして考え込んだ。しかしすべてが曖昧模糊としていて、はっきりこうと結論付けられるものではなかった。以来ずっとこの問題は受験と共にマークの頭を占め続けていた。
 ド先生とビョン先生の並んだ姿を見つめながら、マークは自分自身の胸の痛みが己を襲うかと身構えたが、それほどではないことを知って少し虚を突かれていた。それよりもドンヒョクのことが気になった――このことをもし知ったら。どこまで付いていこうかと逡巡しているうちに、もう追う相手は駅に入ってしまっていた。ドンヒョクドンヒョクドンヒョク。思わずつぶやきそうになりながらずっと彼らをマークは追った。半分やけくそになりながら、犯罪にはならないだろうかと不安を覚える心を制し、身を隠すようにして同じ電車に駆け込んだ。
 数駅先でふたりは連れ立って降りた。続いてマークも降車すると、出口に消えそうになる後ろ姿に懸命に付いていった。住宅街、音が何もかも反響してしまいそうな夜更け、マークは首を埋めるようにして一切の音を殺し、一定の距離を保ったまま付け続けた。
 そしてあるマンションの前に来ると、教師たちは中へと歩を進めた。マークもその建物前で足を止めて植木に隠れ、エントランスで鍵を出そうとしているド先生と横に立つビョン先生をなんとか見守った。手に持ったキーホルダーの一部分がてのひらから滑った刹那、ビョン先生がド先生の首に腕を回し、抱え込むようにして自分を向かせ、そのまま彼の唇にみずからのそれを押し付けた。マークは目を丸く開け、強く息を吸い込んだ。冷気が体内を鋭く通る。黒い短髪の後ろ頭から首筋を、ビョン先生の細長い指が這うように押さえている。そのとき初めて、マークは皆が言う意味が分かった。その指――まるでピアノでも弾いているかのようなのだ。音楽が奏でられているような最中、ド先生は手を相手の腕の上に置いていた。拒否するでもなく、軽く掴むように。眼鏡の背後の目は薄く開いたままのようにマークには見えた。少しして一度離れたかと思ったら、よりピンク色にうごめくものが目に付き、それが消えると再びふたつは触れ合っていた。今度はド先生はビョン先生の肘をしっかり掴んでいた。鍵が落ちる。その音がマークのところまで届いた。
 それでふたりはキスをやめた。笑っているビョン先生。慣れ親しんだあのふやけたような笑顔。苦笑したド先生が鍵を拾い、エントランスホールのドアを解錠すると、彼らは奥に消えた。
 立ち尽くしていたマークは我に返って後ずさると、足早にそこを去った。今にも走り出しそうなスピードで通ってきた道を戻った。息を切らしかけながら駅に着くと、ホームに降り立ち、震えているスマートフォンを手に取った。
「あ、先輩?」
 ドンヒョク。
 早鐘を打っている心臓がより一層大きく跳ねた。
「今どこ?俺まだ帰ってなくてさ」
「今?今ーは…」
「ねえこれから飯食べない?」
 そう言ってドンヒョクは自分の居場所を伝えた。マークと彼の家の最寄り駅前をぶらついていたとのことで、混乱しながらもマークは承諾した。
「分かったー待ってるから」
 ちょうど電車が到着し、乗り込むと、数分先にはもう会っているだろう後輩に、どう切り出したものかとマークは呆然と考えた。
 本屋の軒先で雑誌を立ち読みしているドンヒョクが視界に入ると、マークは喉がつかえて声を掛けられず、ただゆっくりと彼に向かって歩いていった。
「先輩」
 横にふらりと立った男に体をびくつかせてドンヒョクは言った。
「どしたの先輩、変だよ」
 客が横から現れ品を取ろうとし、ドンヒョクはマークの手を取りそこを離れ、駅前の広場の暗がりの方へと引っ張っていった。
「何、どしたの先輩」
 真っ青な顔をしたマークをドンヒョクは不思議そうな目で眺め、具合悪いの、と尋ねた。
 首を横に細かく振り、マークはなおも黙っていた。手袋をしたその手をドンヒョクは取ったまま、ぎゅっと握って振った。
「じゃあ何?なんかあったの?」
 眉根を寄せ、しかしまだ半笑いでドンヒョクはマークを見つめた。マークは視線を合わさず、少しうつむき加減で口元をマフラーで隠すようにしている。無表情とも言える顔つきで、もくもくと白い息を登らせていた。と、目を上げまともにドンヒョクを見た。
 そのまっすぐな眼差しを受け、ドンヒョクは微笑の混ざった唇を閉じ、引き結ぶと、じっとマークを見返した。
「先輩」
 何かを言いかけたドンヒョクの唇の動きを、マークはスローモーションで見た。木に鈴なりになっている、よく熟した小粒の果実のようなそれから目線を上げ、顔全体を視界に収めると、痩せたままの頬を両側から毛糸の手袋をはめた手で挟み込み、勢いよくそこに近付いた。
 眼鏡がかすかにドンヒョクの鼻を引っ掻いた。その下の唇に、マークは自分のそれを触れさせていた。カナダにいたときにはキスの習慣はまだあった。が、もう随分久しぶりのそれだった。それも唇同士は初めて、つまりファーストキスだった。しかしそんなことはこのときマークの頭にまったくもって浮かんではいなかった。とにかく彼の脳内は洗濯機の中の洗濯物の如くごちゃごちゃと回り続け、ただ真ん中の空洞に、長らく格闘していた課題の答えが光ってあるように思え、柔らかな唇の上の押し返しがそれをオーロラのように包み込んでいた。
 わずか数秒のことだった。ドンヒョクは驚きのあまり硬直し、何もせず突っ立っていた。痛みを我慢するかのように目をぎゅっとつむっているマークとは対象的に、そのさまをドンヒョクは余すところなくすべて見ていた。
 おもむろに体を引くと、マークは目を開き、真剣な顔でドンヒョクに謝った。
「ごめん」
「…な…にしてんの」
「うん、ごめん」
 虚脱状態になったドンヒョクは広い白目の中で黒目をらんらんとさせ、闇の中でも異様に輝かせて見せていた。マークは怯むことなく真正面からそれを受け止めた。そして強い口調で言った。まるで怒っているかのように。
「忘れろ」
「へ?」
「先生のこと、もう忘れろよ」
 今度はマークがドンヒョクの両手を取り、握った。
 瞳を揺らがせてドンヒョクは黙った。青かったマークの顔が内から赤く光っている。
「な」
 もわりとその口から煙のように息が漏れると、それを見ていたドンヒョクは自分でも知らぬうちに「うん」と答えていた。
 そしてふたりして下を向いた。両手を繋いだ格好で。行き交う人々の目の届かないぎりぎりの暗闇で、大人になりかけの彼らは向き合ったまま押し黙った。しばらくただそうしていた。
「…腹減ったな」
 マークがぽつりと零した。ほんとうに腹が鳴っていた。笑いもせずドンヒョクは、そうだね、と応じた。
「よし、なんか食いに行こう」
 明後日を見ながらマークは体の向きを変えた。片手でドンヒョクを引いている。
「クリスマスなんだから、贅沢しようぜ」
 その言葉でドンヒョクはマークの顔に目をやった。冷気の中、シャンシャンという音と共に耳慣れた音楽が繰り返し鳴っている。にわかに体中が火照った。
 鮮やかに色づいた若者ふたりは、行きつけのファミレスを目指し、そっと手を離すと妙に力強くずんずんと街を行った。
 
 
 
おわり




 
 
 
 
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20191223

はじめて逢う人(クリスマス・アンサー企画/パラレル短編/NCT127)

 喉の奥が熱くなるのは酒を呑んでいるとき特有の症状だ。それが快いのかそうでないのかイ・ドンヒョクには未だもってよく分からない、呑み会にはしょっちゅう顔を出す方であるのに。
 正体をなくすほど呑むことが今年は多かったなと振り返る。年末は思い出すことがたくさんあるものだ。だが実際記憶を呼び覚ましたいことはあまりない、むしろ完全に忘れてしまいたいことはある。
 体の中だけでなく室内も暖かった。それは部屋の主が暖房を強く掛けているからだ。
「暑いよ先輩」
 とっくに緩めていたネクタイをイ・ドンヒョクは乱暴に襟から抜きながら言った。差し向かいで床に座り込んでいる相手はうんざりした態で応じた。
「お前寒いとずっと文句言うだろうが」
 そう言いながらも設定を変更するためマーク・リーはもぞもぞ動いた。背後で手にしたネクタイで向けられた尻をぺしんと後輩は叩いた。
「何すんだよ」
 振り返ったマーク・リーは零す。だが諦念と酔いが混ざった口調はことさら責めているふうでもなかった。
「なんでもないすよ」
 視線を落としたままイ・ドンヒョクはネクタイを横に放った。Yシャツをつまんで空気を含むように揺らすと体臭と香水の匂いが舞った。風呂に入りたいなとイ・ドンヒョクは思った。
「トイレ」
 立って勝手知ったる家の中を移動した。
 用を済ませて戻るとマーク・リーは水を二杯グラスに注いで待っていた。
「お前泊まるの」
 眼鏡の奥から上目で座ったかっこうのマーク・リーは聞いた。多少肌が色づいてはいるが彼は泥酔まで至っていないのは明らかで、しこたま呑んで浅黒い皮膚が濃い赤に変わっているイ・ドンヒョクはある程度すっきりしたはしたがまだ動きの鈍い頭と体で返事をせず、ただそのマーク・リーの態度に理不尽に苛立った。
「帰りますよ」
「終電やばいだろ」
「知らないす」
 荒い動きで掛け布団がくしゃくしゃと丸まったままのベッドの上に体を投げ出す。嗅ぎ慣れたマーク・リーの匂いが鼻腔に入り込み、不意に心が休まった。
「取るなよベッド」
 ため息と共にマーク・リーは言った。仰向けになったイ・ドンヒョクは返事すらしなかった。
 夏以降、イ・ドンヒョクに恋人らしきものはできないままだった。ド・ギョンスを想う気持ちを持て余し、異性との出会いを求めるのすら面倒になっていた。それでも一、二度誘われて合コンには行った。が、誰を見てもド・ギョンスと比べる自分に気付くばかりで、自己嫌悪を覚えるのが関の山だと行くのをやめた。しかしひとりでいると気分はどん底だった。誰といたいというわけではないが誰かといたいという状態で、結局マーク・リーといた。
 大学の先輩であるマーク・リーは今大学院の院生だった。ずっと大学近くの安いアパートにひとり暮らしをしており、昔からしょっちゅう遊びに来ていた。
「合鍵くださいよ」
「やだよ」
 このやり取りを何百回となくやった。
 友達はたくさんいるし、より気の合う者は少なくなかったが、何故かマーク・リーといるのがイ・ドンヒョクは好きだった。楽で、安心できて、面白かった。変な人だなと何度となく思い、呆れる部分も山ほどあったが、妙に触発されたり励まされたりすることがあり、話していてありきたりなことを言わないところを買っていた。
 今回の件も洗いざらい話してしまった。誰にも言いたくなかったが、言わずにいられるわけがなかった。
「そうか」聞き終えてマーク・リーは言った。「よっぽど素敵な人なんだなあ」
 それを聞いて不覚にもイ・ドンヒョクは涙ぐんだ。泣き虫というわけでもないのに、ド・ギョンス、それにあろうことかビョン・ベッキョンの前で泣いてしまい、今度はマーク・リーの前で。唇を噛んで必死にイ・ドンヒョクは耐えた。
 週末ほとんどマーク・リーと一緒に過ごした、場合によっては平日も。過ごしながら、マーク・リーの恋愛事情なども聞き、そうして自分を顧みて、俺は男が好きなのだろうかと静かにくすぶっていた胸の奥の疑問を引っ張り出しては考えてみた。けれどどうもよく分からなかった。無精髭を生やしたいつも顔色の悪い(睡眠時間を削って研究や勉強をするのがマーク・リーだった)少しだけ年上の男に相対していても、ド・ギョンスに対するような鮮やかな恋慕が湧きようもなかった。当然性的な欲求も。夜な夜な見るのは男女のセックス動画であったし、女の好みも変わらずしっかりしたものだった。
 そうなるとやはりド・ギョンスだからだったのか、とイ・ドンヒョクは結論づけそうになるが、今現在現実の女性に興味が持てないのも事実だった。それが一過性のことなのか、続いていくことなのか、どちらなのか。失恋の辛さと共にその不安もイ・ドンヒョクを確かに苦しめた。もし後者なら苦しい道のりが待っている予感がし、酒量は増し、マーク・リーの部屋にいる時間も長くなった。
 いろいろな話題を肴にするふたりであったが、マーク・リーから聞く彼の恋愛についての話は、その内容が発展するきざしは皆無で、イ・ドンヒョクは小馬鹿にして言った。
「先輩他の男に取られますよ、それじゃあ」
「うるさい」
 完全にのぼせ上がっていると言うよりちょっといいなと思っているくらいの同級生が相手ということで、焦っていないのだとマーク・リーは言った。イ・ドンヒョクは中学生の話を聞いているかのような気分になりながら、改めてマーク・リーに呆れていた。
 そんなふうに秋が過ぎ、冬になった。相変わらずマーク・リーの部屋に上がり込んでは呑んだりゲームをしたり話したりして過ごし、何も変化がないようだったが、少しずつ知らぬうちにおのれの根本を侵すような焦げ付くような感情は弱まっており、つい先日そのことをイ・ドンヒョクはくっきりと実感した。寒風の中マーク・リーの部屋を目指しながら、ゲームの続きを楽しみにしていたり、新しく出た酒を呑み交わすことに期待していたりしている自分に気付いたのだ。そのことに驚きながら、ドアを開けたマーク・リーの顔を見た。やはり顔は白い皮膚が紙のようで、唇の上には薄く髭があった。眼鏡は汚れて靄がかっている。だがイ・ドンヒョクは胸が温まるのを感じた。ふざけてそのまま抱きついた。
「やめろ」
 きつく抱き締めると背中をどんどん叩かれた。頬に触れた素肌が思いの外すべらかなのを知ったのはそのときだった。
 いつの間にか目を閉じていたらしい。まぶたの先が暗くなったことで、イ・ドンヒョクはそれを上に上げた。そこにはマーク・リーの顔があった。
「寝るんなら寝る準備してからにしろ」
 蛍光灯を背負ってマーク・リーの顔は薄暗かったが、近い距離にあることでイ・ドンヒョクはそれのいつもとの違いに目を留めた。
「先輩、今日髭剃ってる?」
「な、なんだよ」
 口元に手を当てマーク・リーは顔を上げた。
「なんか、全体的に小綺麗にしてない?」
 半分顔を隠したまま白い顔が赤みを帯びていくのをイ・ドンヒョクは見つめた。よく観察すると髪の毛はいつもほどぼさぼさとはしておらず、眼鏡に染みもない。部屋着も新しいもののようだった。
「何?今日予定あったの?」
 常のごとく行くとだけ連絡して返事も待たずにそのまま来たが、誰かとの約束を反故にさせているとは思いもよらなかった。来てからもひとこともそんなことは言わなかったのだ。
「いや」
「嘘でしょ、なんだよ、言ってよそんなら」
 肘をついて上半身を起こすと、イ・ドンヒョクは続けた。
「呑み会?家族?あれ、もしかしてデート?あの子と?」
 どうやらそうらしかった。マーク・リーは嘘がつけない。横を向いて俯くと、黙ってしまった、唇を手で覆ったまま。
「えー、ごめん、てかなんでよ、言えばいいじゃん。なんで言ってくんないの」
「いや、いいんだよ」
「よくないよ、連絡はちゃんとした?」
「し、したよ」
「大丈夫?怒ってなかった?」
「多分」
「ほんとうに?変なふうに言わなかった?」
「ほんとだって」
 にわかには信じられなかった。うまく弁明などできる人間ではないのだ。突っ立った同じ体勢のままマーク・リーは何も言わない。
 ベッドの上に座り直してイ・ドンヒョクは言った。
「ごめん先輩、ほんとに」
「いいんだって」
「だってチャンスだったんじゃん」
「いや」
「て言うかこれなら付き合えたよ、俺が駄目に…」
「いいって!」
 突然強い口調で返されたものだから、イ・ドンヒョクは目を見開いて口を閉ざした。目を泳がせているマーク・リーを黙して見つめていると、しばらくして手を離した口が動いた。
「あ、相手が誘ってくれたんだよ、もともと…」
 数秒意味を図りかね、沈黙したあとイ・ドンヒョクは返した。
「え!?じゃあ…」
「けどお前来るって言うから、それならって断って…」
「何それ」
 目をまん丸くしてイ・ドンヒョクは心から言った。
「正直、い、行かなくてもよかったって言うか…あ、あの子といるよりお前といる方が…」
 首に手を置いてなおもマーク・リーは下を向いていた。
 まだ白目の中につぶらな瞳を浮かせるようにしてイ・ドンヒョクはマーク・リーを凝視していた。
「あの子と会うために、きちんとしたんでしょ?」
 こざっぱりとしたマーク・リーの全身を眺めて、別人と対しているかのような心持ちでイ・ドンヒョクは尋ねた。
「まあ…と言うか、クリスマスだから…」
 それまで以上に目を点にしてイ・ドンヒョクは言葉を失った。
「だから言ったろ、いい子だなって思ってるくらいだからさ」
「だからって」
 言いながらイ・ドンヒョクは我慢できず苦笑した。
 ようやくマーク・リーは目をイ・ドンヒョクに向け、ふたりは視線を合わせた。
 マーク・リーはベッドに近寄り、腕を差し伸べると、「ほら、寝るなら着替えろ」と言った。
 出された手の向こう、丸く大きな銀縁眼鏡の中の釣り上がった知性と無垢に光る目を見て、イ・ドンヒョクは唇を結んでいた。そして手首を掴むと引っ張った。
 当然の結果としてマーク・リーはイ・ドンヒョクの上に倒れ込んだ。うわ、と言ってイ・ドンヒョクの硬い胸に落ちると、ふたりは顔と顔を至近距離で見合った。
「何すんだよ」
「引っ張った」
「分かってるよ」
 酒臭い息を互いに吐きかけつつ見つめ合い、そうしながらイ・ドンヒョクはマーク・リーの腕を掴んだままだった。じろじろと無遠慮にイ・ドンヒョクは男の顔を見た。
「なんだよ」
 唇を尖らせるようにしてマーク・リーは不平そうに言った。
「あのさ」
「何」
「キスしてみてもいい」
 たっぷり十秒は間があった。イ・ドンヒョクはその間鋭く相手を見据えながら返事を待った。
 きょとんとしたマーク・リーは冗談だと思ったらしく、突然破顔した。
「何馬鹿言ってんだよ」
 しかしイ・ドンヒョクは笑わなかった。それでマーク・リーも笑うのをやめた。
「…嘘だろ?」
「ううん」
 再び間。掴んだ手首の中の血管がどくどくと脈打つのをイ・ドンヒョクは感じながら、眼前にある顔の奥底から血の色が浮き出てくるのを一瞬たりとも逃さず見ていた。
「か、からかうな」
 言いながらマーク・リーは顔をそらした。
「からかってない」
「じゃあなんだよ」
「してみたくて」
「し、してみた…?」
 思わずマーク・リーは横目で後輩を見た。
「なんだよそれ」
 イ・ドンヒョクは両手でマーク・リーの頬を挟み、自分に向かせた。そして瞬きもせず目の中を見た。
「してみたいんだよ」
 据わった目に怖気をふるったマーク・リーは慌てて両手でイ・ドンヒョクを押しながら返した。
「よ、酔ってんだよお前」
「酔ってるよ」
「そ、れが失敗の元だったろ。忘れたのか」
「だから今度は聞いてるじゃん」
 言われた言葉に唖然とし、返答に詰まっているとイ・ドンヒョクが触れている部分の頬を親指で撫ぜた。それははっきりとした意思が表れたやり方で、マーク・リーは鳥肌が立った。
 やめろ、と言いかけたところでイ・ドンヒョクは射抜くようにしていた目のさまをやわらげ、溶けるような不可思議な眼差しにそれを変えた。酔いとそれ以外のものが混ざった初めて見る双眸にマーク・リーは喉が詰まったようになり、制止する言葉がそこで止まった。
「ちょっとだけだから」
 常のかすれたおかしな声が、囁くとまったく違った表情を呈した。耳の中の毛がさわさわと直接触れられているようなそれは、首のあたりの体温を突如上げた。
 イ・ドンヒョクは、これはまったくもって頭のおかしな行為かもしれない、という疑念を当たり前だが持っていた。友人をひとり失うかもしれない、それも大変好きな友人を。でもその恐怖よりも何か大きな期待が圧倒的に身中を支配していた。ド・ギョンスの唇を奪ったときとはまるで違った。自分でもよく分からない確信を持ってイ・ドンヒョクは言っていた。
「先輩、するよ」
 黒目を揺らしたマーク・リーは何も言わず、ただ時が経つのを待ち受けた。細く目を開けたイ・ドンヒョクは、マーク・リーの黒い髪の中に指を差し込み自分に近付けると、唇の上に唇を置いた。
 たまらずマーク・リーはきつく目を閉じた。イ・ドンヒョクは彼の肌が沸いた湯のように熱くなっていくのを体感しながら、口を少し開けて唇を優しく食んだ。びくりと体をマーク・リーが震わせる。今度は少々大きく唇の上下を開け、全体を包むようにした。
 マーク・リーは全身を細かく震わせていた。長い指で彼の髪や首を撫ぜ、もう一度柔らかく唇をつまむようにしてからイ・ドンヒョクは離れた。
 ゆっくりとマーク・リーは瞳を現した。狐のような眉と目が妙に平行に、ぼんやりとしたようすを示し、イ・ドンヒョクを見つめていた。
 イ・ドンヒョクは何も言わなかった。ただ感情を込めて頬を挟んだままマーク・リーを見返していた。
 マーク・リーはシーツを握りしめ、視線を下にして言った。
「…で、なんだよ」
 拗ねたような口ぶりにイ・ドンヒョクは笑いそうになるのをこらえた。
「よかったよ」
 そう言うとぱっとマーク・リーは顔を上げ、イ・ドンヒョクと目を合わせた。
「ど、どういう意味だよ」
「そのままの意味だけど」
「そのまま?」
「うん。先輩は?どうだった?」
 微笑みを唇の端に乗せ、またイ・ドンヒョクはマーク・リーの両頬をかすかに撫ぜつつ問うた。
「どう?」
「うん」
「どうって…」
「もう一回したい?」
 もう白いなどとは絶対に言えぬほどにマーク・リーは赤くなった。イ・ドンヒョクは彼の眼鏡を外した。
「どうなの?」
 マーク・リーは嘘がつけない。口をぱくぱくさせているのをしばらく眺めてから、イ・ドンヒョクは笑みを浮かべ、その動きを自分のそれでやめさせた。
 
 
 
 
 
 おわり
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
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  • ミス・レモン
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