海の底、森の奥

- EXOの二次創作とオリジナルのBL小説を中心としたブログです。R18表現あり。お気軽にどうぞ。

20170426

不本意な本意(東方神起・兵役終了企画3・リアル短編)
空の色と木々の色が溶け合う季節が訪れるのにこのところ気付くことが難しい、と車窓から外を仰いで考えていた。それでも駐車場に入るのにウィンカーを出すのをチャンミンは忘れなかった。管理人が帽子を軽く上げるのに対し、唇の端を上げてサングラスをかけたチャンミンは首肯した。
まだ寒くはない、とドアを強く閉めて思う。厚着をするのはだいたい苦手だ。気温は確かに下がったが、夏の暑さが完全に消え、むしろ心地いいとすら感じていた。長い首には何も巻かず、風が吹くたびそこを撫でていくのが密かな楽しみであった。
目当ての部屋に着き、チャイムを鳴らす。ややあって主が鍵を開ける音が響いた。
「よっ」
「どーも」
 並んだ歯を見せてユノは笑った。少し顔色が悪い。ほんとうにこの人は素直な、そのままの人だなとチャンミンは感じ入る。特に自分に対しては。この笑顔は彼の中での最高クラスだ。そして予想通り疲れている。長い付き合いでそれが分かる。
そのことすべてにまんざらでもない想いを抱く自分がチャンミンはほんとうはいやだった。ずっと、そうだった。
スリッパを出したりなどユノはしない。靴を脱いだチャンミンはしかたなく靴下のまま部屋に上がった。
「掃除の人、まだ来ないんですか」
 リビングは雑然としていた。あちこちに服が落ち、ペットボトルが転がり、奥のキッチンの電球がひとつ、ぱかぱかと点滅している。
「明日来る予定なんだよ。今いちばん汚いとき」
「あっそう」
「怒んなよ。まあ、平気だろ、これくらいなら」
 大きな溜め息をこれ見よがしにチャンミンは吐いた。こういうとき、何故自分はこんな男と公私共に付き合っているのだろうと心底、不思議になった。うんざりした顔を作り、とりあえずペットボトルをすべて拾った。
「いいのに」
「これだけだよ」
 空なのと空でないのが混じっていた。中身を開け、ゆすぎ、乾かすために食器置きに置く。あらかた終えると薄い上着を脱ぎ、持ってきたビニール袋を携えまたキッチンへとチャンミンは向かった。
「何すんの」
「料理」
 背の高いチャンミンの頭のすぐ上で、瞬く電灯があった。大変に気になった。こんなところでは何もできない。
「なんでこれ換えてないの」
「え」
「やじゃん」
「そ?あんま気になんない」
 ソファに長くなったユノは、伸びをしてテレビを点けた。大きな窓からは薄暗くなり始めた広がる空が目に入る。濃紺から橙へと変化する下で、マンションの周りの木が燃えるような赤や黄に自身で変色しているのもよく分かった。満足そうにユノはその光景を眺めながら、ニュースを聞いている。
また、本望でない満足がチャンミンの胸を侵食し始めた。ユノの小さな後ろ頭と、あでやかな色彩の展開を同時に視界に入れ、灯りの点いたり消えたりするキッチンに立つことが幸せであるなどと思いたくはなかった。上下の厚みが同じくらいの唇をへの字にし、チャンミンは手を伸ばして切れかけた電球をさっさと取り外した。


「はー、おいしかった」
 食事を終えた頃には、開いたカーテンの向こうは完全な夜だった。反射したふたりの姿がくっきりと窓に映る。街の光がとりどりの色で闇を彩っていた。
「よかったですね」
「うん。しかし大量だった」
「全部食べましたね」
「お前の方が食っただろ」
 大鉢には薄黄色のとろとろとしたものがたっぷりと盛られていた。今はもうそこに何もなく、鉢の模様が青く浮かび上がっているだけだ。
「ご飯好きですよね」
「うん。そりゃ山芋あったらかけちゃうだろ」 
チャンミンは酒を飲んでいた。スタッフからもらった高い地酒。ふたりに贈られたものだが、ユノの部屋に置いてあった。
「旬って感じだった」
「食べ物の季節ですからね」
 スーパーで野菜をしこたまチャンミンは買い込んだ。凝った料理ではない。ちぎったり切ったりすったりかけたり。適当にいつも作る。だがユノはたいていすべておいしいと平らげる。それがチャンミンには面白くない。張り合いがないと、贅沢な不満を毎回覚えた。
「眠くなってきた」
 あくびをしてユノはソファの足元にもたれた。部屋着を着たユノの手足は生地が足りず、その首まで丸見えだった。ごつごつとした骨が露出し、それをチャンミンは酒を舐めながらじっと眺めた。
「兄さん」
「ん?」
「インド式マッサージ、ってのをやったげるよ」
「は?」
「こないだ教えてもらったんだよ、森さんに」
「森さん?森さんてメイクの?」
「うん」
 言いながらチャンミンはユノの体を自分に向かせた。上、下。服を剥ぎ取る。ユノはぽかんとした顔でチャンミンをただ、見つめた。
 全裸にされたユノは肌寒さに身震いした。
「ああ」
 チャンミンはエアコンのリモコンを取った。弱く暖房をかける。そして自分の鞄を引っ張り、中を漁った。
 可愛いと言っていい顔をした弟分が、外国製のあやしげなオイルを手にしているのを見、ユノは目を丸くした。
「どしたんだそれ」
「もらったんです、森さんに」
「お前森さんと何やってんだよ」
「だから、マッサージ伝授」
「それセクハラになんないか」
「どっちにとっての?」
 その質問にユノは混乱した。あのふくふくとした女性がチャンミンの体をまさぐる。そのようすを思い浮かべてなんとも言えない複雑な気持ちになった。
「なんか、やだな」
「大丈夫、気持ちいいですよ」
 そういう意味じゃなかったんだけど、と心のうちでユノは言う。チャンミンは分かった上で、あえてずれた返事を返した。
蓋を開けたチャンミンはたっぷりと手に中身を空け、両手を長いこと擦り合わせた。ぬちゃぬちゃという、ふたりの時間によく聞くような音を耳にしてユノは知らず体が火照った。さらされた体の一部が反応を示しているのを知られることを恥じ、顔を横に向けた。
ユノの肉厚な色の濃い体にチャンミンは手を置いた。
「あったかいでしょ」
「うん」
 気持ちがよかった。
満腹で膨れたお腹を撫で擦られるのは少々気恥ずかしいものがあったが、チャンミンの体温と手触りがその感覚を押しやった。
耳の下から首の後ろ、肩、胸、へその周り、足の裏、すね、太もも。一箇所を避けてチャンミンはくまなくユノの体を揉んでいった。琥珀色のユノの肌は美味しそうに輝いた。
 どんどんとユノの性器は反応していた。息も浅くなっている。頬の高いところを染め、やはり首を横向けていた。
「気持ちいいんですね」
 チャンミンは意地の悪そうな笑みを浮かべた。目尻を垂らして口の中でくふふふふ、と笑っている。
「やめろ笑うの」
 視線を横に投げたまま、ユノはぶっきらぼうにそう言った。
「だっておかしいから」
「お前な」
「兄さん」
 下腹のいちばんやわらかな、敏感なところをチャンミンは両手で輪を作るようにして攻めていった。
 光を溜める漫画の中の青年のような目を大きく見開き、それでユノだけを指した。
 硬い毛を、泡立てるように揉みこむと、鋭く立ったペニスを人差し指で上に向かってなぞった。
「く」
「兄さん」
 流し目を送ったチャンミンは言った。
「俺はさ、全然兄さんなんかタイプじゃないんだよ」
 赤くなった顔をユノはその目に向けた。眉の間に線が縦に入っている。
「知って、るよ」
 語尾が抜けた。チャンミンが指の先でユノの尖ったところの穴をくっと押したからだった。そこにはオイルでないぬめりがあった。
「男なんか全然好きじゃないし」
 傘の下を親指でなぶる。うわ、とユノは顔を仰け反らせた。
「でもしょうがないよ」
 ぐっと棒の真ん中を掴むと、チャンミンはユノが自分を見るのを待った。きつく瞑った目をそろそろとユノが開く。黒目がちなそれはふるふると濡れていた。
 眉をまっすぐにして、どこまでも真顔でチャンミンは言い放った。
「こうせずにはいられないんだから」
 そうして指を滑らせるとその下の穴にずるりと入れた。チャンミンの指はもう蜜に漬けておいた肉の棒であった。なんの抵抗もなくユノを犯す。ああ、うあ、と動く指を受けてユノはよだれを垂らした。
「みっともないなあ」
 より大きさを増したユノ自身は、自分の中から出たものとオイルでこれ以上ないほど照り返っていた。
「ちゃん、みん」
 荒い吐息を吐いてユノはとろりとした目をチャンミンに捧げる。
「なんですか」 
 先刻からチャンミンは自分の下着が濡れていることに気付いていた。下手したらパンツも。だがいい。ここには替えが山程ある。
「俺ばっか、やだよ」
 その間もチャンミンは指を止めない。くるくるとユノの中を弄ぶ。
「脱げよ」
「まだです」
「なんで」
「気が済むまでやってからなんで」
 山芋が効いたみたいですね、と言いながらチャンミンは顔を膨らんだ性器に寄せた。オイルの香ばしい香りと、嗅ぎ慣れたユノのペニスのにおいがした。


ベッドで目を覚ますと、珍しくユノが向こうを向いてタバコを吸っていた。衣擦れでチャンミンの目覚めに気付き、あ、ごめんと言って灰皿で火をもみ消す。
「…おはようございます」
「はよー」
 まだ早朝だ。光が白い。すずめの声が軽やかに部屋に届いた。
「…今日、掃除の人が来るからさ」
「…あ、そうだった」
 その前に家を空けるつもりということだった。
 背中を見せたままユノは言った。
「朝飯食おーぜ」
 腕や肩を回すユノの背後から、チャンミンはその筋肉の動きをぼんやり見つめる。
「…あの電球、入れてもらわないと」
 一拍置いて、ようやっとユノはその言葉の意味に思い至った。
「ああ…、そうだな」
「もし気付かないようだったら」
 べたべたの体をシーツから引き剥がすようにチャンミンは起き上がった。
「俺が次来るとき、LED買ってきます」
 振り向いたユノは無精ひげが生えていた。
眉を八にし、片頬で笑ったチャンミンは、ほんとになんで、とまた、思った。
「それで付けてあげますよ」
 こんなことが嬉しいだなんて、俺はほんとにどうかしてる。



おわり


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20170425

ユチョンのTVXQ、というささやきが好きでした
こんばんは。
切羽詰っております。
フェリシティ檸檬です。

上記のことは完全な私事です。

気晴らしにと思い、こうして書いております。
こんなことをしている場合ではないとは思うのですが、どうにもしようがありません。

昨日、今日と東方神起のお話を書いてみました。
いかがでしたでしょうか。
EXOのみのファンの方々には、申し訳ございません。
私自身は久々にこのふたりを書けて、なんだか楽しいなと思いました。
チャンミンを書くのが好きなのです。
彼ははっきりした性格を持っていて、賢いので、書くことの喜びが沸きやすいためです。
あとぐいぐい行くさまというのを私は好むところがあり、彼はそれをさせてくれるので。
ユノは言ってしまえばカイやテミン枠なので、ちょっと書くのが難しいです。
ああいう人たちはほんとうに、私のようなきちんと踊りをするわけではない者からしてみると、異世界の住人のようです。

前のつれづれにも書きましたように、世の東方神起の小説を書かれているブログ主様は、多くがユノを攻めになさっているようです。
チャンミンを可愛い後輩って感じの受けにされ。
私はそれを知ったとき、へえー!ととても驚きました。
私はここ数年以前ほどには東方神起を追っておりませんでしたが、記憶から、そんなようなイメージをまったく持っていなかったからです。
チャンミンはほんとうに手に負えない気の強い末っ子といったメンバーでした。
そしてとてもユチョンのことが好きで、ユチョンもチャンミンを可愛がっていました。
ジェジュンには反抗し、ジュンスをからかい、いちばん接点の薄いのがユノといった感じで、リーダーという立場からユノはチャンミンをいちばん下の子として教育しているようでした。
いろいろなことがあり、今のような状況になり、私はいまだに大変に残念です。
こういうことを申しますとひどくお怒りを買いそうですが、個人の意見ですのでご容赦を。
やはりあの五人というのはすごかったです。
はっきり申しまして声質から言うと私は全員をそこまで好まないのです。
それでも、私は彼らにいっとき夢中になりました。マイケルが死んで、それでも、こういうものもあるんだと、世界に希望を持てました。
ラジオなどを聴くと彼らの頭のよさがよく分かり、普通に笑えました。単純に面白かったのです。
これはEXOファンの方々には申し訳ないのですが、この五人はほんとうに粒ぞろいで、その化学反応のきらびやかさや個人の能力の高さはSMやそれ以外の事務所からどんなグループが出てきてもなかなか押しのけられるものではありませんでした。
EXOはひとえにその今日性とプロデュース力の高さによって成り立っています。
私は彼らの方があらゆる点で好みです。特に楽曲が。
しかし東方神起には呪文がある。パープルラインがある。
あれらはひとつの至高です。
私は何度呪文のダンスバージョンを見たことでしょう。
エンターテインメント史においてさん然と輝く星のひとつです。
チャンミンはその頃、歌もダンスもそこまでのスキルはありませんでした。
ユノも、歌はそこそこでした。
ジュンスが歌もダンスもうまく、彼がグループの基盤を担っていました。
ユチョンが声質と英語の発音とセンスを。ジェジュンが歌声のまとまりを。
ふたりになり、ユノとチャンミンは飛躍的に向上しました。
私はふたりのライブを見るに付け、うまくなったなあと毎回呟いてしまいます。
それでもチャンミンは別に受けキャラだななどと思いません。
まあ、受けでも全然いいんですけど、ユノを慕う弟、というだけの印象がありません。
チャンミンはユノ以上の頭脳を持って、彼をサポートしています。
ユノのあの皆をフラットに見る態度、高い理想を口にする姿勢から作られる東方神起というもののイメージを、それだけにならないようにするために、チャンミンが意識的にいろんなことでバランスを取っています。
チャンミンがいなくなった三人の役割をすべて果たしているのです。

そんなふたりの恋愛模様、苦労と年齢を重ねたことで、大人のそれになるところが、私の気持ちをそそります。

お気に召していただけることは少ないかもしれません。
もし、こんなふうなものもいけるかもな、とお感じになられた方がひとりでもいらっしゃったらいいな、と願っております。


チャンミンにはいつ、セクシーさが身に付くのだろうと昔からよく考える
フェリシティ檸檬

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20170425

夜の下(東方神起・兵役終了企画2・リアル短編)
紫を流したような夜である。
顔を上向けるとちらちらと光る点があった。
日本の夏はどれだけ汗をかいてもまたかいてしまうというくらい、蒸す。チャンミンは額に汗の粒が浮いていた。対してユノはそれほどでもない。ただ浅黒い肌がやたらと輝いていた。
並んで道を歩きながら、アイスキャンデーを頬張っていた。
蜜柑味のそれはふたりの気に入りだった。夏、日本のコンビニに行けば必ずと言っていいほど買い求める。
ほんとうに夜は深く、道に人はほとんどいない。たまに車が行き過ぎる。
サングラスも帽子も被らずこうして連れ立って歩くことなどまれだった。薄いビニールサンダルの裏からアスファルトに溜まった熱が上ってくる。それすらも変に嬉しくチャンミンには感じられた。
ユノが氷菓に歯を立てているのをチャンミンはその大きな、大きすぎるくらいな黒目をスライドさせてさりげなく捉えた。ずらりとならんだユノの歯はとても白い。闇の中で浮いている。
高い塀がずっと続くところまでいつの間にかやって来ていた。
「寺だ」
「そうだな」
 大きな、育った木々が影絵のようにそびえていた。
背の高い双方は、塀の上から中が覗けた。
「誰もいませんね」
「そりゃそうだろ」
「肝試しするじゃないですか。夏の夜のお墓って。子供たちとか」
「ああ、映画で見たな」
「してないですね」
 今は夏休み真っ最中のはずだ。でもそれが行われるのは今日ではないようだ。それかもしかするともう終わったあとなのかも。チャンミンは何故か少しがっかりした。子供たちがきゃあきゃあ言いながら墓の間をすり抜けているさまを、是非見てみたいと一瞬にして強く思った。
「肝試ししたいな」
 はは、とユノは歯を見せて笑った。
「そうだな」
「ほんとに」
 チャンミンの視線をユノはようやく受けた。まだその顔には笑みが残っていたが、チャンミンのまなざしの色を見て呟いた。
「本気か?」
「うん」
 ちょうど塀が途切れ、木が植わってはいるが人ひとりが通れる隙間があるところにふたりは来ていた。
「ほら、入れる」
「やばいだろ」
「行こうよ」
 手首にかけたコンビニの袋をがさがさ鳴らしてチャンミンはユノの手を取った。先に立って寺の中へと滑り込む。強く手を取られたユノは、引きずり込まれるように自身も体をより濃い闇の中へと入れた。
日本の墓地に夜中来るのはどちらも初めてだった。こちらでできた友人といっしょに訪れたことはチャンミンもユノもある。だが真っ暗な中、四角い石が人のように立ち並ぶのが陰影のみで確認できるその場所は、異界のように見慣れぬところで、ふたりは足を進める速度がひどく遅くなっていった。
手を繋いだままでいた。チャンミンの掌は熱い、とユノは思う。少し汗もかいている。男の手というのは自分のものと似て、作りが大変しっかりしている感じがする。女の手は違う。ぐっと握ったら、ばらばらになりそうだ。手をこんなふうに長い間繋ぐ男は、チャンミンしかいなかった。チャンミン以外とこうするなど、違和感しかなく胃がせり上がる気すらする。
街灯と星あかりのみを頼りに、チャンミンはユノの手を引いていた。
漢字が並ぶつやつやした石は自分たちに迫ってくるようだとチャンミンは感じた。ユノの骨張った長い指を強く握る。親指でかすかに皮膚をなぞった。チャンミンはユノの手を美しいと思っていた。だからとても好きだった。
ぐるぐるとゆったりとした足取りで迷路のような道を辿った。卒塔婆を、花を、供え物を見、わずかに残った好奇心を満たしながら。
真ん中に生えたいちばん大きな木の下で、ひととおり探索したふたりは足を止めた。夜の色はいよいよ濃い。酔っ払いの笑い声も、おおかたしなくなっていた。
「アイスは?」
 チャンミンはユノの繋いでいない方の手に視線を落とした。
少ししょんぼりしたふうにユノは答えた。
「溶けて落ちた」
「まじで」
「うん。足にかかった」
「へ」
「親指の爪のとこ」
「なんで言わなかったんですか」
「あ、って言ったよ」
「ほんとに?」
「うん」
 やはり恐怖に囚われていたのかもしれない。いつもならチャンミンは誰かの発した声に気付かないことはない。気付いて無視することはあれど。確かに一心不乱であったと、チャンミンは己を省みた。
「べたべたする?」
 ビーチサンダルの上のユノの親指は光が足りずによく見えなかった。なんとなくうごめいているらしい、とだけしか分からない。
「ちょっと」
「まあ、帰ったら洗えばいいよ」
「そこらへんの水道で流そうかな」
「それもありですね」
 ぷらぷらとアイスの棒をユノはチャンミンに差し出した。
「袋入れといてよ」
「ああ、うん」
 自分の分もそこに放り込んでおいたチャンミンは、小さな袋を開いてユノに棒を入れるよう促した。
「帰る?」
 大木に背をもたせ掛けたチャンミンを見て、ユノは尋ねた。相変わらず手と手は繋がれている。上目にしていた瞳をチャンミンは唇に隙間を作って声の方へと向けた。白い部分も黒い部分も、弱い彼方の星の光だけなのに、よく照った。ユノはうらやましいと思った。こんなにきらきらしているものはそんなにはないと、ずっと、常に、考えていた。
 長い腕をチャンミンが引いた。
「来て」
 引かれるままユノは一歩、二歩と距離を縮める。
「もっと」
 とうとうふたりの間に何も空間はなくなった。チャンミンは手首に袋をぶら下げたまま、ユノの肩に両腕を置いた。
 わずかに背の高いチャンミンを、ユノが見上げる格好で、ごく近い場所で視線は絡んだ。
 おかしそうにチャンミンは笑みを作った。
「何笑ってんだよ」
 ユノも白い歯を見せて言いながら笑った。
「外でこんなことするなんてと思って」
 言葉すべてに笑いを含めてチャンミンは言う。
「こんなことってなんだよ」
「こんなことですよ」
 そうしてチャンミンは鼻のすぐ下にある横長の唇を大きく開いた。
小振りのユノの唇はあっけなく奪われる。音を立ててチャンミンはそれを吸う。蜜柑の味がほのかに分かる。舌の甘みを残さず奪う。
「やば…いって…」
 きれぎれにユノはその気もないのに拒絶を口にした。チャンミンは熱い。どこもかしこも、それこそ舌も。
「しっ」
 目を開けたチャンミンはユノの薄く開いた細い目を見た。ユノは胸が高鳴った。この目が自分だけを見ている。そう思うとただ、苦しくなった。
「足、洗ってあげるから」
 そして唇をにい、と横に伸ばしてチャンミンは笑った。ユノは背後、Tシャツの下の黒い肌にチャンミンの体温をじかに感じ、びっと跳ねた。骨を擦るように肌を撫でられる。
「こ、んなとこで」
「ちょっとだけ」
 背中を指が上る。はあ、とユノが息を零す。それを掬うように、チャンミンはまた小さな口を自分のそれで覆った。



おわり



 
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20170424

ごちそうと待ち合わせ(東方神起・兵役終了企画・リアル短編)
唇の表面の水分はどこかに消えていた。
季節柄しかたのないことである。冬はもう、恐ろしく深まりつつある。
だがそれだけではないのだ。空気の中から湿ったものが抜けたことだけで、チャンミンの膨らんだ、並んだ虫のような部位の皮膚が割れそうなわけではなかった。
風呂に入ろうかと考えた。湯を浴槽に張り、長い手足をなるたけ伸ばしてその中で時間を過ごそうかと。干からびた肌も再生を果たすことだろう。
ほわりほわりと自分を包む温かく白い湯気を思い浮かべて、チャンミンはいっときただ立ち尽くした。自分の部屋の、リビングの、フローリングの上で。暖房をつけず、靴下も履かずに。とても冷えた床に裸足の足の裏を貼り付け、ローテーブルを見つめていた。
暑がりのチャンミンは本来シャワーで十分だった。風呂につかる想像をしながらぼうっとするなど、らしくないことこの上ない。
チャンミンは電話を待っていた。
かかってくるのを。
 あるいは、自分がかける決意が固まるのを。
テーブルの上には大鉢に盛られた、濃い黄色の山があった。それは出来上がってからだいぶ時間が経っており、もうもうとにおいと共に立ち上っていた温度を表す靄もとうに姿を消していた。
もう一度温めればいい。そしたらまたあの甘い香りと快い高温が、簡単に戻る。
それでもそうなってしまうほどに逡巡した自分をチャンミンは恥じた。
ずっと、スマートフォンを握り締めたままだった。
チャンミンの手の中ですっかりそれは湿っていた。熱も持っている。電話をしないなら、今は置いておけばいい。それなのに置いていない。手から離せない。
視線を上げ、壁にかかった時計を見た。十一時四十七分。もう、昼になってしまう。
だいたい、この時期に昼間、オフだなんて(もっとも、夕刻から仕事だが)奇跡のようなことなのだ。こんなときを、こんなふうに無駄に使うだなんてありえないとチャンミンは苛立つ気持ちがあんなに冷えた木の板に触れた足の先から頭の方に沸き立ってくる。馬鹿なんじゃないか。だけどすべてはおのれのせいだ。手にその通信手段を持った状態で、ただ無為に時計の針が時を進めるのを放置してきたせいなのだ。
閉めたままのカーテンは、間からどんどんと光の強さが増しているのを伝えていた。今日の太陽は冬をものともしていないようだった。白い壁は皿の中の野菜のようにひどく濃い黄色に染まった。
甘いものでつるだなんて、女相手だったらそんなこと絶対にしないとチャンミンは再び自分の行動の不恰好さに吐き気をも覚えた。甘いものと言ったって、これはお菓子ですらないのだ。れっきとしたご飯のおかず。日本に来てから初めて食べたけれど、チャンミン自身はそこそことしか思わない。もっと辛く、酒に合うように味付ればいいのにと口に入れるたび不満が募る。
だけど彼には好評だ。最初、どこで食べたのかは忘れてしまった。何せまだ十代だった。ほんの、子供だった。
しかしひとくち口に含んだリーダーが、これおいしい、と満面の笑みを浮かべた記憶は鮮明だ。きっと定食屋だろう。何かの打ち上げに違いない。地方を回ったとき、個人経営の店に入って、日本のスタッフが頼んだのだ。
これはいちばん日の短い日に食べるものだとそのとき店の、白髪の奥さんが教えてくれた。チャンミンたちの姿のよさに、顔が赤らんでいるのがよく分かった。日本の年配の女性は自分たちの顔や体が大変好きだ。そういうとき、心からの実感として彼らは知った。歌うような高い声で彼女は言った。
あまくておいしいから、たくさんたべて。
そう、言えばいいのだ。
チャンミンはてっぺんを過ぎた長針に再度視線を投げて、掌を上にして腕を上げた。
親指を動かす。
通話のマークに触れる瞬間、指の先が震えた。それが分かった。だが気付かなかった振りをし、自分をだました。耳に電話を持っていく。
呼び出し音は繰り返す。とぅるるるる。とぅるるるる。待たされるということはなんと辛いことなのだろう。切って電話を放り投げたい。あの山をすべて自分の腹に収めて、なかったことにしてしまいたい。
何回コールはされたのか。
チャンミンは安堵と落胆が同量ずつ胸を占めていくのを感じた。諦めという言葉の甘美さにめまいがしそうだった。
ブツッ。
「はい」
 耳慣れた声が穴の中からチャンミンの鼓膜を揺らした。
勢いよくチャンミンは口を開いた。乾いたところがぴっと切れたのを放って。けれど何も言えなかった。たっぷり二秒。金魚のように口をぱくぱくさせ、大きな瞳を右左と動かした。
「…チャンミン?」
 かすれた、囁き声だった。
「はい」
 出た。よかった。チャンミンは喉を押さえる。飛び出た部分をおまじないのように撫で擦る。
「…兄さん、あの」
「…どうした?」
 寝起きなのかもしれない。そうだ、きっとそうだろう。それにしたってひどく甘やかな響きがあるように感じるのは、自分の期待のせいだろうか。
 けほ、と小さな咳をひとつして、チャンミンは言葉を発した。
「あの、…今日、うち、来れませんか」
 音楽やテレビやラジオで数え切れぬほど聞いた自身の声が、こんな声だったろうかとチャンミンは訝った。もっとましな声だと思っていたが。こんなんじゃ売り物にならない。
 肺と肺の間で、ばっ、ばっ、ばっ、という大きな音が鳴っていた。スタッカートがすさまじい。
「…これから?」
「…はい」
「チャンミン…ひとり?」
「はい」
「今日…完全オフだっけ?」
「いえ、夕方にはまた出ます」
「俺は夜からある」
「知ってる」
 口がわななきそうなのを無理矢理に、あ、とチャンミンは言った。
「甘い南瓜があるんです」
 遠くで鳥が鳴いたように思った。気のせいかもしれない。だが確かに、部屋の中はほのかに明るさが強まった。
そのときふたり共が、あの味わいに全身で浸ったようになっているのがチャンミンに分かった。
沈黙が破られた。
「…分かった。行くよ」
 喉からせり出そうとする心臓をチャンミンは唾を飲み込むことで押しとどめた。
「…ほんとに」
「うん」
「…分かった」
「待ってて」
「はい」
 いつの間にか電話を切っていた。
ぶらりと腕を下に下ろし、また、時計に目をやった。
準備の早い兄だから、一時間も経たぬうちにおそらくやってくるだろう。
テーブルに視線を送る。
邪魔するものを押しのけて侵入してきた陽光が、てんこもりの南瓜の断面を驚くほどに光らせていた。
スマートフォンを置き、皿を両手ですくうように持った。
キッチンに向かいながら、ユノに温かなごちそうと、この間のいいわけを準備しなければと、チャンミンは舌で唇を舐めた。



おわり




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20170424

心機一転のご報告とご挨拶
こんにちは。
どうも調子がいまひとつです。
フェリシティ檸檬です。

さて、お気付きになってらっしゃる方も、まったく関係ないというか、そういうルートでこちらに来てらっしゃらないので全然知らない方もいらっしゃるかとは思うのですが、わたくし、ブログ村のカテゴリを変更いたしました。
もともと三つほどのカテゴリに属しておりまして、それを改めました次第です。
理由は置いておきまして、まあ、結構以前からちょっとどうにかしないとなと考えてはおりましたのですが、なかなか決めかねまして、結局ほとんどなんとなくで、今のように落ち着きました。いつも大した意味合いはないのですが。

それで、そのうちのひとつは二次BLカテゴリで、これは舞い戻ったかっこうになるわけなのですが、ここは大変東方神起の小説を置いてらっしゃるブログの多い場所なのです。
そして、ご存知の方もいらっしゃるかもしれませんけれども、わたくし以前、実はこのFC2ブログに引っ越してくる前のブログで、少しだけ東方神起のお話を書いておりました。
それもごくごく気が向いてなんとなく書き始めたのですが、どちらも中途半端なまま、止まっているものでございます。
今回カテゴリ変更をするにあたり、そういえばあれ、なんだかもったいないかもなあと思い、こちらに移動させました。
ユノ氏のご帰還というタイミングでもありますし、ちょうどいいかなというような気もいたしまして。

このお話の続きをすぐ書くつもりはありませんで、とりあえずこちらにアップしただけということにはなりますが。

EXOをお好きでらっしゃる、東方神起にご興味のない方々にとってはがっかりするようなことでしかないかもしれません。申し訳ありません。
読者様の中には、どちらもお好きであるという方も実際いらっしゃるので、需要がないわけではないかなと思ったりもしているのですが。
申し上げたいことといたしましては、これからお話を上げる際、ほとんどが短編になると思うのですが、それがどのグループの誰であるかというのは、私自身未知数になりそうである、ということでございます。
EXOのお話はかなりの数、それもさまざまなカップリングを書きまして、自身の新鮮さという観点から、書いたことのあまりないものを書きたいなと思う可能性が非常に高いからというのが理由として大きいです。
ですので、例えばスーパージュニア、シャイニーなども含めた、他グループのお話をぽん、といつか書くかもしれません。これまでもちょいちょい行ってまいりましたけれど。
そのときわたくしが心惹かれたメンバーや組み合わせが、対象となることでしょう。
もしくはリクエストをいただいたりであったりとか。
この件は、喜びよりやはり戸惑いや落胆の方を多く引き出しそうな予感がいたします。
しかしもしよろしければ、お暇なときなど、そのメンバーを知っていることは知っている、という程度に知識がおありなら、お目を貸していただけたらなと思います。
またはオリジナルの作品のこともあるかもしれません。それもBLですらないかもしれません。
そういったものでも読んでみたいな、と思っていただけるように、がんばりたいなと考えております。よろしくお願いいたします。

ところでわたくしの今回の東方神起をお読みになった方の中には、へえ、これ、チャンミンが攻めなんだ、とか、へえ、これ、相手女じゃん、など、また拍子抜けされている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
まったく、奇をてらってそうしたなどということはなく、ごく自然な設定としてああいうお話となりました。
チャンミンとユノなら、まあチャンミンが攻めだろうなと私は思います。
そもそもはこのふたりはゲイのゲの字もないようなふたりですので、ちーーーーーーーーーーーーーさな、ものすんごくちーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーさな可能性をどでかくして、ということではございますけれども。
チャンミンはその性格から受けになることがほとんど無理だろうと思います。特にユノ相手には。
ユノはだいたいが攻めである印象自体、私は薄いです。
基本的に穏やかな性格の方ですし、和を大切にしてらっしゃいますし、あまり恋愛気質じゃなさそうですし、男を組み付してどうにかしたいという欲望を抱かれている想像など微塵もできません。チャンミンにそんなことしたら殺されかねないだろうと思いますし。
しかしそんな話を逆に書いてみたいものだなと、友人に話したりもしておりますが。

こんなことを書いておりますが、まあ、受け攻めなどほんとうのところどうでもいいなというのがわたくしの基本的な姿勢であったりもいたします。それこそ読者の方々はよくご承知でしょうが。
リバーシブルが駄目とか、そういうことが、わたくしには1ミリも理解できないことでして。
セックスってそういうことではないですものね。

先日上げたドチェンの短編、いくつかコメントをいただきまして、ほんとうに嬉しかったです。ありがとうございます。
あのお話、わたくし自身も気に入っております。
人を選ぶお話だろうな、とも思いましたが、お好きな方はお好きなのではないかなと考えておりました。どうやらやはりそのようです。
お好きだと、楽しんだと言っていただけると、こういうお話の場合特に、ありがたいです。
また書けたらなと思えます。

それでは、ここらへんでお暇申し上げたいと思います。
もし、前のカテゴリからいらっしゃっていた方がいらっしゃいましたらば、お手数をおかけしたかもしれません。まことにすみませんでした。
これからもお見限りにならず、いらしてくださったならば、幸いでございます。


はじめましての方で、もしこちらのものがお好みに合った方がいらっしゃったなら、今後とも、よろしくお願いいたします
フェリシティ檸檬





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20170424

ほくほく 2
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食器は多くがアンティークです。
手描きはいいですね。
友人からもらった小さな植木鉢に、バジルが大きくなってしまったらこの鉢に植え替えようと思います(この写真では分かりにくいですがかなり大きめなのです)。


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20170424

食べよ 歌えよ 恋せよ 10(東方神起・リアル長編)
ユノは変わった。
次の日から仕事に普通に復帰した。
調子が悪そうなようすもなく、チャンミン以外は皆、1日で治ったんだなとしか思わなかった。
顔色がすこぶるいいとは言えなかったが、振る舞いに変化はなく、仲間と談笑を交わし、ミーティングを行い、ダンスで汗を流した。
大声を上げて笑うユノは、いつもと同じ、ユノだった。
だが、着実にユノは変わって行った。
チャンミンはそのようすを、興味深く観察した。
まず、煙草をやめた。
どんなに周りが言っても、チャンミンが小言の多い小姑のようにちくちくいじめても、絶対にやめなかった煙草を、やめた。
健康管理。尋ねられればユノはにこやかにそう答えた。
もちろん違った。
チャンミンに、ユノは悲しそうに教えた。
「ダンサーでシンガーなのに煙草吸ってるなんて馬鹿だって言うんだ」
その通りだよ、とチャンミンは思い、実際、その通りだね、と口にした。
禁煙に関して特段苦しんでいる印象も受けなかった。
理由を尋ねると、首を傾げてユノは言った。
「なんでだろうな。ほんとはもっと吸いたくなってもおかしくないと思うんだけど」
そう言いながらユノは笑った。
「彼女と会うとき、匂いを嫌がられるのが何より嫌なんだ」
次に、間食をしなくなった。
ユノは甘いものを含めた菓子を、ぱくぱく食べる習慣があった。
それはチャンミンもしないではなかったが、ユノは度が過ぎた。
年齢を重ねるにつれ、消費できないものが蓄積されていき、ユノは常に体型を気にした。
常時箱で冷凍庫にストックされていたアイスクリームが、ひとつもなくても平気だと、ある日ユノはチャンミンに打ち明けた。重大事項のように。
「平常心でいられるんだよ、なくても」
眉間を寄せ、考え込むように言葉を続ける。
「こんなこと初めてだな」
チャンミンは控え室に置いてある、さまざまな種類の菓子がまったく減っていないのを、東方神起を始めて、初めて、目にすることになる。
そして、気遣い。
ユノははっきり言って鈍感で粗雑だった。
男らしいと言えば聞こえはいいが、チャンミンやその他長時間一緒にいる者は、そのだらしなさに時折怒りを覚えたものだった。
しかし、交際を始めてこっち、徐々に改善の兆しが見えた。
あちこちに自分のものを置きっぱなしにしない。
相手、特に女性の変化や態度にかなりの確率で気付く。
言葉を口にするまで少し思案の時間を取る。
チャンミンは驚いた。
昼食からふたりで戻り、目の前でユノがペットボトルを飲み出し、蓋を閉め、きちんと鞄にしまいこみ、そのまま鞄に前もって入れておいたらしいガムを取り出して、焼肉の後のチャンミンに勧めた。自分の口にひとつ放りながら。
この振る舞いは大多数の人間がごく自然に行うことだろうが、練習室の鏡の前に立つ我らがスター様は、すんなりとできたことがなかったのだ。
目を丸くしてガムを受け取るチャンミンに対し、ユノの顔には「?」が浮かんでいた。もぐもぐしながら微笑みを浮かべて。
ユノは見違えるようになった。
肌の肌理が細かくなり、ニキビは消え、いつも髭は綺麗に剃られ、体型が締まった。煙草の匂いは失せ、代わりにほのかな香水しか香らなくなった。服装も、訳の分からない色味や柄物をあまり着なくなり、こざっぱりとした。そして穏やかで、気配り上手と言えなくもなかった。
こんなことってあるものなのか。
チャンミンは隣に立つ、そして向かい合って座る、長年のパートナーを、心底不思議な気持ちで眺めた。
そして心配した。
これは、女ができたと、ばれてしまう。いや、きっと、ばれている。


つづく


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20170424

食べよ 歌えよ 恋せよ 9(東方神起・リアル長編)
やはり今日、ユノはもう帰った方がいいだろうということになり、チャンミンはユノの家まで彼を送り届け、今、仕事に戻る途中であった。
今日おかしかったのは、体調が悪かったことにしますから。
そう言って、仕事に戻ると言ってかなり粘ったユノを、チャンミンは説き伏せた。
兄さんが戻ったら、みんな、じゃあ今朝はなんだったんだって思いますから。
ユノはうなだれて承諾した。
マンションの前で、マスクとサングラスをしたユノがチャンミンに向かって手を挙げるようすは、芸能人というより不審者に近かった。吹き出しそうになるのを笑顔に転化し、チャンミンも車の中から手を挙げて、その場を去った。
「どんな人なんですか」
ユノに問うと、困惑したような顔で、曖昧模糊とした返事が返ってきた。
「…どんな…?どんな………。…髪が、短い」
「へえ。意外だな。兄さん長い方が好きでしょ」
「うん。そうだな。でも、短いんだ」
「背は?」
「…低い。かなり低い」
「ほんと。色は?」
「…ちょっと地黒?」
「へえー!顔は?」
「…………なんか、パーツが全部、小さい。顔も、小さい」
「……バストがすごいあるとか?」
「ううん」
「手足が背と比べてすっごい長くて綺麗とか?」
「ううん」
「おしゃれなの?」
「……えーと、普通。パンツスタイルかな。ほぼ」
「仕事何?」
「会社勤め。なんだったかな、営業のはずだけど」
「どうやって知り合ったの、だいたい」
「仕事関係だよ。事務所の人に、なんかの仕事で、関係する会社の方たちがばーっと来てるのに挨拶させられたんだよ。その中にいた」
「なんでそれでそうなったの」
「……俺、手、怪我しててさ。練習で」
「はあ」
「挨拶したとき、彼女それに気付いて絆創膏くれたんだよ」
「はあ」
「名刺もらうじゃん。そんで、電話かけた」
「……すごい行動力だね」
「自分でもびっくりした」
「絆創膏もらって、惚れるって……高校生みたいな……」
「…うーん。絆創膏もらったというのもあるけど、それよりも、そのときの彼女の感じが…」
「…何?」
「さっき言ったけど、彼女すごく小さくて、俺のこと本当に、見上げてるわけ。…髪が黒くて、短くて…肌がつるっとしてて、浅黒くて…目が丸くて、黒目が黒いんだ。…パンツのスーツ着て…男みたいだった。うん。少年だった。だけど、口紅はボルドーなんだ」
チャンミンは思わず黙って、ユノがぼそぼそと、だが夢中で語るのを、ひとことも漏らすまいと耳を傾けた。こんなユノは初めてだった。別人と話しているようだった。
「怪我してますよ、って言ったんだ。声が高くて。一瞬何を言われたか分かんなかった。鞄から絆創膏出して、なんにも表情変えずに、どうぞ、って差し出してきた。俺、驚いて、慌ててお礼言って受け取ったら、いいえ、って言って、そのまままた仕事の話になったんだ」
「………それで?」
「…なんか、忘れらんなくて。あの顔が。あの声とか。あの雰囲気がさ」
「…そう…」
「うん。…すげー迷ったけど、思い切ってかけた。で、なんか適当に嘘言って、会った」
「……すごいな」
「なあ。すごいよな」
「彼女、…いくつ?」
「…えっと、……38」
「………さっ」
んじゅうはち、とチャンミンは繰り返す。
「ほんと驚いたよ。全然見えないんだ」
ユノはまた笑う。ははははーと。
「……そんなこと、全然気になんないんだよ」
信号待ちをしながら、チャンミンは昔の自分たちの曲を思い出していた。
まだユノとふたりになる前に、日本で出したアルバムに、入っていた。
日本ではたまにこういう曲が出されることがあるらしいことを、そのとき初めて、誰かから聞いた。ごく普通にメジャーなものとして、出回っていると。変わってるな、とチャンミンは思った。日本ぽいな、とも。
まだ、ごく、若く、チャンミンはただ、その曲調が気に入った。ライブで歌うのも、好きだった。
歌詞の意味をこんなに噛みしめることになるとは、数年前の自分は、全く予想もしていなかった。
信号が変わる。
アクセルを踏みながらチャンミンはその歌の出だしを口ずさむ。その高いキーが、車中を流れる。
Nobody knows…
誰も知らない。俺以外。


つづく

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20170424

食べよ 歌えよ 恋せよ 8(東方神起・リアル長編)
ふたりの前には美味しそうな料理が並んでいた。
誘うように湯気を立て、つやつや光るそれらを見つめて、チャンミンもユノも、ただ黙ってじっと座っていた。
「…食べよ」
やっと、チャンミンは口を開いた。
そしてスプーンを手にし、ユノを見た。
「…ん」
ユノもスプーンを手に取る。
チャンミンはビビンバをかき混ぜ、ユノはスープを啜った。
「…うまいなあ、ここ」
「…個室が取れて、昼からやってて、味もいいのは、ここと、あともう一箇所くらいです」
「そっかあ。…いいとこ知ってんな、チャンミン」
「…デートに使いますか?」
意識的に軽く、チャンミンは言ってみた。
ユノはスープの中をスプーンでゆっくりかき回しながら、曖昧な微笑を浮かべて、視線は落として、答える。
「…昼間ふたりで出歩くのは、ちょっと無理かなあ」
「て言うか別れないの?」
堪えられず、根本的な質問をぶつける。
チャンミンの丸い大きな目を、ユノは上に跳ねるように目尻の上がったつぶらな目で見返した。どちらの目も、ゆらゆらと蜃気楼のように揺れていた。
「……昨日言われて、考えてたんだ」
視線を手元にまた置いて、スプーンで掬っては戻し、掬っては戻しを繰り返し、ユノはとつとつと語る。
「別れなきゃな、って……。なんだけど」
カツン、と器の縁にスプーンが当たる。
「朝、起きたらさ………なんか、別れる気が全然ないって自分で分かったの」
チャンミンはユノの伏せた目を眺めながら、ユノは何故ずっと、笑みを絶やさないのだろう、と今日これまで抱えてきた疑問がなんとなく解けるのを感じた。
ユノは、自分を笑っているのだった。
確かに先刻もチャンミンには自嘲だと分かるときがあった。しかし、これは自分を馬鹿だと見下して笑っているというより−自分を面白がっているのだ。
ユノは不倫などと縁のないタイプだ。誰に聞いてもそう言うだろうし、本人自身そう思っていただろうし、チャンミンもまあまずしないだろうと思っていた。それが。今、目の前に座っている男は、事実に打ちのめされ憔悴しているが、失恋し荒れて落ち込んでいるのではなく、ただ淡々とそれを受け入れようとする姿勢を見せているのだ。つまりこれはディフェンスのための沈静化だった。動きを最小限にし、あらゆるものから身を守ろうとしているせいでひどく弱って見えた。嵐の中じっとうずくまる小動物のようだった。
そんな風になった自分を、ユノは自分でも驚きとともに迎えたはずだ。それできっと、自然と笑ってしまうのだろう。純粋におかしみから。
「……本気?」
「………うん」
「こんなこと、言いたくないけど………でも言わないといけないから言うけど、…ばれたら、やばいよ」
「うん。そうだよな。…別れなくちゃいけないのは分かってるんだ」
「…だけど、今すぐは、別れられない?」
「………チャンミンが別れろって言うなら、別れる」
ユノは既にスープをかき混ぜることをやめていた。
もう口には笑みなど1ミリも残っていなかった。
まっすぐにチャンミンを見て、本気でチャンミンに託していた。
チャンミンは口を薄く開き、眉を困った風に歪め、ユノの視線と希望を受け止めた。
ずるかった。
東方神起を、ユノはチャンミンに任せた。
チャンミンは頭の中にさまざまな考えが去来した。
別れた方がいいに決まっている。
それはもう、決定事項のようなものだ。
だが。
チャンミンの中で何かが叫んでいる。
ユノを今のようにただ仕事のみで年を取らせていいのか?
もちろんこれから、また色んな女性に出会うだろう。
しかしこれ程の執着を恋人に見せたことが、かつてユノにあっただろうか。
記憶を辿っても、チャンミンには思い出せなかった。
もしも今のような状態が続き、ユノから覇気というものが消え失せてしまったら、仕事に影響が出る。
もしもマスコミに漏れたら、下手したら東方神起は終わりを迎える。
いいことなんかない。
でも、とチャンミンは思う。
人生、こんなことで大事な人間をただ好きな女と別れさせて、なんになるっていうんだ?
俺はその選択をし、ユノに仕事と俺を残して、本当に満足なのか?
確かにその女性がユノと最終的に結ばれる可能性は、ほぼないだろう。
だけどそういう問題じゃない。
−歌うたいが恋をしないでどうするんだ。
チャンミンは瞬きをして唇を動かす。
「………仕事は、きちんとしなきゃ駄目ですよ」
どうしてか囁くように言葉が出た。
「やれるとこまでやってみたらいいんじゃないですか」
小さな目を可能な限り広げ、ユノはチャンミンを見つめた。
「……チャンミン」
「あと、ご飯もちゃんと食べないと駄目です」
チャンミンは石焼きにも関わらず、ほとんど冷めたビビンバを勢いよくまたかき混ぜる。
視線を動かさず、ユノがチャンミンを見続けているのを、チャンミンはビビンバを見下ろしながら感じていた。
「ほら、食べて。…残したら今の言葉、撤回します」
手を懸命に動かしながら、チャンミンはこのビビンバのような心中がばれぬよう、決して顔は、上げなかった。


つづく


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20170424

食べよ 歌えよ 恋せよ 7(東方神起・リアル長編)
「で?何があったんですか?」
向かいに座ったユノに、注文を終えた途端チャンミンは尋ねた。
ユノは汗をかいたグラスに手を伸ばし、長い指を周りにまとわせて、ただ掴んでいる。注がれた水の表面に目を落とし、口元には何故か笑みのようなものが浮かんでいるのが、チャンミンには不可解だった。
「兄さん?」
ふたりは少し長めに休憩を取り、落ち着いて話せる場所、と考えたチャンミンが決めた、ときどき食べに来る個室風の間取りを備えた定食屋に、わざわざチャンミンの運転する車でやって来た。
チャンミンはことによったら今日はこれで仕事には戻らないことになるかもしれないと予想していた。少なくとも、ユノは帰した方がいい、と決めていた。
ようやくグラスを口に運んだユノは、していたマスクを下げて水を含んだ。その姿は風邪っぴきかインフルエンザ患者にしか、チャンミンには見えなかった。
「言いたくないの?」
優しく、チャンミンは追及した。
弱ったユノはチャンミンの哀れを誘った。仕事に疲れたお父さんといった風情があった。
グラスをトッ、とテーブルに置き、ユノはチャンミンと目を合わせた。
マスクを顎に引っ掛けたその顔は、滑稽さと切実さが混ざり合い、チャンミンの眉を漢字の八にいざなった。
「そんな顔すんなよ」
ふっと、弱く微笑んでユノはチャンミンに言う。
チャンミンは胸のあたりがわずかにざわざわする感じを退けようと、脚を組んで上半身を乗り出した。
「心配してんですよ」
「…ごめん」
「謝んなくてもいーです。ただ、もし、僕に言えることなら。特に、僕に関係することなら、教えて欲しいと思ってるだけだよ」
「ほんとになー…」ユノは自分の首をぼりぼりと掻いた。「こんなつもりじゃなかったんだよー…」
そのままユノは手を首に置いた格好で、俯いてしまった。
チャンミンはかなり本気で憂慮し始めた。何かの病気にかかったか、もしくは。さまざまな想像がチャンミンの回転の速い頭に浮かんでは消えをとんでもない数繰り返した。 おもむろに、視線をテーブルの水滴が落ちたところに置きながら、ユノは口を開いた。少しだけまた、微笑を浮かべて。
「……………………付き合ってる人が、いるんだよ」
言葉の意味を飲み込むのに、数秒、チャンミンにしては相当長い時間が、かかった。
次の瞬間、ユノはチャンミンにお手拭きを投げ付けられていた。
「………何、そんな、病人みたいに………」
朝から今までの自分を殴りたい思いでチャンミンはユノを見た。ユノはでへへ、と言わんばかりの顔で上目でチャンミンを見返し、「ごめん」と言う。
チャンミンは呆れ返って大きな目を更に見開き、ぱちぱちと瞬きを繰り返しながらユノに食ってかかった。
「なんなんですか。みんなかなり心配してますよ。僕だってそうだし。それくらいようす変だったんですよ、兄さんは。なんですかそれで、彼女できたって。馬鹿言わないでくださいよ」
口角泡を飛ばす勢いでチャンミンはひと息に言葉を浴びせた。「まったく…」とぶつぶつまだ零すチャンミンに対し、しょんぼりしつつどこかひとごとのような態でユノは視線をそらし、肩をすくめた。
「ごめん、みんなには後で謝っとくよ」横目でチャンミンを見、再び謝る。「ごめんな、チャンミン」
目の前のユノのさまと、特に大事ではなかったということで、チャンミンは一気に気が抜け、ものすごい空腹が襲ってきた。早くビビンバ定食が来ないかなと思った。
「…だけど、なんで、そんな、体調悪そうな感じなんです」
チャンミンは嘆息しつつユノに問い掛けた。
「幸せいっぱいって感じじゃありませんよ」
注文したものが今にも運ばれて来ないかチャンミンはちらりと振り向き、確認しながら言葉を続けた。
目を戻すと、ユノは確かに笑っていた。だが、それはチャンミンには自嘲だと分かる笑みだった。
「…なんなんですか」
「……いやー、なあ」
ユノは言いにくそうに言葉を区切る。片方の唇の端を上げ、また、水滴の描く模様を目に映している。
「…付き合い始めてちょっと経つんだけど。……………結婚してるんだって。彼女」
ユノが、チャンミンを見る。
チャンミンも、ユノを見ていた。
「……昨日、知ったんだ」
はい、ビビンバ定食とサムゲタン定食おまちどおさまでーす、という店員の高い声が、ふたりの頭の上で響き渡った。
女性店員は器用に両手に盆をひとつずつ持ち、微笑んで立っていた。
チャンミンとユノは同時に、彼女の顔と盆から上る湯気を見た。


つづく


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  • ミス・レモン
ようこそお越しくださいました。
EXOのメンバーを登場人物にした二次創作BL小説や、オリジナルのBL小説、好き勝手なことを綴った雑記などを置くブログでございます。
内容を読んでのコメント、メッセージなど、いつでも心よりお待ちしております。
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