海の底、森の奥

- EXOの二次創作とオリジナルのBL小説を中心としたブログです。R18表現あり。お気軽にどうぞ。

20170131

【お知らせ】バレンタイン企画について、と雑記
こんにちは。
いよいよ冬本番という感じでございますね。
フェリシティ檸檬です。

人気投票へのご参加、誠にありがとうございます。
長編の投票など、年末年始を経てたくさんいただきまして、スマートフォンからご覧になれてらっしゃらない方が多かったのだなあと、申し訳なく思うと同時に大変嬉しく感じております。
引き続きアンケートは実施してまいりますので、よろしければまだ不参加の方、どうぞお暇つぶしにお使いくださいませ。

さて、以前少し触れました、バレンタイン企画なのですが、2月になってからどう時間が取れるかちょっとまだ不明のため、かなり間がありますが、リクエストの受付を開始させていただこうかなと考えております。
1月末までの間、受け付けをいたします。
ただ、どれくらいの数をいただけるのかあまり想像がつきませんので(いただけないということもありえますし(笑))、いただき始めましたら、その状況を見てみまして、すべてのものをお受けするか、数を限定するか決めたいと思います。もしひとつもいただかなかった場合は自分でどうにかする(もしくは企画自体ホワイトデーか何かに持ち越しなど)とは思いますので、あれ、この人かわいそう…ともし思われても、生暖かく見守ってくださいませ。
なんだかふわふわした提案で申し訳ございませんが、こんな緩い感じで、企画を開始させていただきたいと思います。
リクエストは、カップリングだけでも、シチュエーション込みでも、いろいろなんでも受付自体はいたしますので、お好きにおっしゃってみてください。
何らかの都合により、お受けできないリクエストが発生した場合につきましては、あらかじめご了承くださいませ。よろしくお願いいたします。

先日同居している者が美容院に行きまして、帰って来てしばらくしてから、ああいう明るい蛍光灯の下で鏡を見るのいやだ、と申してまして、おおいに笑ったのですが、確かにそういう気持ちは多かれ少なかれ誰でも持っているものでございますよね。
うちは蛍光灯を使用しておりませんので、なおさらだと思います。
あのあけすけな光。大きな鏡。隣に立つ可愛いもしくはかっこいい感じの美容師さん。
私は目が悪く、テレビやこうした書き物は眼鏡を使用しておりますが、美容院など行きますときは用いませんので、ぼやっとした視界でとても助かります。
そして、それでも鏡を見ると、驚くものでございますね。
自分の顔というのは特に年を重ねてまいりますとあまり見たいものとは言えなくなってくるもので、たとえ化粧をしておりましてもなんかなんとなく見た、くらいにとどめてしまっている始末でして、あんな明るい場、そんなに見なくなった自分の顔を見つめているところをいっしょに他人に見つめられるということは普段ほとんどないことで、恥ずかしい行為であるというほかありません。
それに、述べたようにあまり自分の顔を見なくなってまいっているのに対し、逆に人の顔というのは会っていれば、もしくは何らかの媒体でいくらでも見られるものですから、街行く人や店員さん、テレビや雑誌の中の人など、なるほど今の女性はこんな感じか、などと思っているわけです。そうすると、おお、自分の顔とか雰囲気がまるでその人たちと違う、ということにびっくりするのです。
まあ昔からそうだったのですが、私はなんと言いますかとても真面目な顔立ちをしておりまして、眉も太く男性のような感じで、顔も大きいんじゃないかと思います。
そして格好もメイクも好き勝手にしております。
ですので横のいまどきな女性美容師さんなどといっしょに映る鏡面は、異次元の交差?というような印象すら一瞬受けます。
ふわふわとした淡い水彩画のようなところにはっきりした油絵が来た…というような(よく言いすぎな感)。
とにかく違和感を感じながらもことは進みまして、その間やはりあまり鏡を見ないようにしまして、すべては終わるのでございます。
私は同居人が、鏡見たくない、という内容の言葉を零すのを聴くに付け、なんとも言えない気持ちになります。
そういう人が私は好きです、好きですけれど、切ないことでございます。
コンプレックスというのは巨大な心の中の物置でして、その蓋を開けてしまうととんだ目にあうものです。
美容院はその扉を叩く場でございますね。


ナルシストの男とはほんとうに付き合えないなとよく思う
フェリシティ檸檬



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20170127

うたかたの番人(リアル短編)
指先が、空気を泳ぐだけでその表面である薄い皮膚が切れそうだった。それくらい、寒かった。
波の音が、絶えず、氷にひびを入れるようにあたりに響いた。
冬の海での撮影、しかも、ファッション雑誌の仕事で、砂浜に降り立っていた。つまり春夏用の服を着て、カメラを向けられている。
いくら防寒対策をしていても、撮影が再開されれば、途端に首や腕やくるぶしは丸出しになり、いっきに全身が凍る。歯の根が合わなくなる。
それでもそんな状況を表し苦悶の表情を浮かべるわけには当然いかない。精一杯、求められる格好、視線をレンズに向け続け、時は過ぎていた。
メンバーは全員でなく、五人のみだった。だいたいふたりと三人に別れ、撮影は行われた。
チャニョルはジュンミョンと組んでいた。そして今は、ジョンデ、ミンソク、セフンの撮影の間の、待ち時間。
さっきからチャニョルはせっせと城を作っていた。濡れた、ひどく冷たいに違いない、砂で。
風が吹きぬける。頬に傷を付けられたかと思うような、その鋭さ。ダウンコートのフードを被ったチャニョルの前髪が撒かれ、額が現れる。鼻までマフラーが取り巻き、その上からコートの首部分をボタンで留めているため、目元しかその顔は見えない。白い額と冴えたまなこのみがさらされていた。
ジュンミョンはスタッフから受け取った熱いコーヒーを、両手で包んで持っていた。そしてしゃがんで、チャニョルの製作の過程を先刻からじっと見守っている。
大きな手の先端は、肌が赤く染まり、爪がところどころ色を塗られていた。ひっきりなしに、ふたつの手は砂を押し付けたり、その中に潜ったりした。
時間が限られているため、そんなにたいそうなものを作る気はもともとチャニョルにはないようで、だいたい城っぽいな、という印象しか受けない像であったが、大きさは作り手を表し立派であった。器用だな、とジュンミョンは何度も思ったことをまた、チャニョルを見ながら思った。自分にはこんな短時間でこんなに巨大な建造物らしき砂の何かを作れるとは、到底考えられなかった。
「兄さん」
 もともと非常に低音の効いた声である上、口を覆っているのでどこから聞こえてきているのかといぶかってしまうような音で、ジュンミョンはチャニョルに呼ばれた。よく動くチャニョルの手だけを見ていたジュンミョンは、黒目を相手に向け、ん?と応じた。
「何持ってんの」
 手を休めず、ジュンミョンの持つ湯気の上がり続けるカップに視線を一度投げて、チャニョルは尋ねた。
「これか?コーヒー」
 声を発するたび、ふたりの口から蒸気機関車の煙突のようにもわもわと息が白く流れていった。
 ぺたぺたと、壁を固めつつチャニョルは言う。
「あったかい?」
 目を落としたままのチャニョルに対し、ジュンミョンはその顔から視線を動かさず答えた。
「うん、熱いよ」
「なんか入ってる?」
「ミルク入ってる」
「砂糖入ってないの」
「入ってないよ」
「甘い方がよかったな、今は」
「俺のだろ」
「いいじゃん」
 ひとくち頂戴よ、とチャニョルは続けた。
きょろり、と大きな瞳がジュンミョンを向く。
何もためらわず、ジュンミョンはカップをチャニョルに差し出した。
マフラーを下ろし、出されたカップにそのままチャニョルはそろそろと顔を寄せた。厚い、色の濃い唇が開き、カップの縁を捉える。
ずず、と音が鳴った。
チャニョルは頬と鼻が真っ赤になり、鼻水が垂れていた。それを間近で、ジュンミョンは苦笑しながら黙って見つめた。
 はー、と嘆息してチャニョルは口を離した。
「あったかい」
 こんなにでかい図体をしているのに、顔の中身はまるで赤ん坊のようだと常々抱くジュンミョンのその感想が、これほどまでに強烈だったことはここのところなかった。思わず声を出して笑った。
「お前鼻水垂れてるから」
 固まった体をぎしぎしと持ち上げ、立つと、小走りで車まで戻り、ティッシュの箱を携えてすぐにジュンミョンは帰って来た。
微動だにせずチャニョルはそのようすを眺め、顔の前に箱を掲げられるのを待った。
「ほら」
「ありがと兄さん」
 数枚引き抜くと、勢いよく鼻をかんだ。
「あー、さみー」
 ぶるるるる、と体を震わせ、またマフラーとコートでしっかり自分をくるむと、城の建設を再開した。
ジュンミョンは今度は立った姿で、その作業を見下ろした。
屈んだチャニョルはひどく小さく目に映る。
たとえ動く腕は長く、手は大きくても、一心不乱に自分だけの城を作る、この男は小さな子供だ。
 白いしぶきは手招きをやめない。背後の青を引き連れて、何度も何度も、数え切れぬほどにこちらを誘う。
しかしみずからの、壊れやすい何かをこしらえることに心血をそそぐ弟分を、ジュンミョンは見守り続ける。それが彼の役割だから。
「ジュンミョーン、チャニョルー、来てー」
 呼ばれて振り向く。ふたり同時に。
 はーい、と返事をしながら、立ち上がるチャニョルを見れば、仰がないと顔が視界に入らない。ジュンミョンはそれにまた小さく、苦笑する。
連れ立って歩き出すと、ジュンミョンは優しく聞いた。
「城、できたか?」
「ううん」
 こんなの完成なんかないよ、という返事に、胸の中の凪いだ海を見つめながら、ジュンミョンはコートのジッパーを下ろしつつ、さあ、仕事だと呟いた。



おわり







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20170124

イエスと言いたい、言わせたい
こんばんは。
今日は、ほんとうに、冷えますね。
フェリシティ檸檬です。

やらなければならない家事が待っているというのにこれをしたためているわけですが…。
まず、人気投票のお礼をば。
長編にお入れくださり、そして短編種類にも入れてくださって、ありがとうございます。
あの長編が盛り返してきましたねー!
やはり強いですね…あの力持ちは…。

本日、久々のチャンベクの短編を更新してみました。
「束の間から」以来でございますね~。
お読みいただけた方、お楽しみいただけましたでしょうか?
なかなかある種ハードな内容に、前半なってございましたけれど、そこをお嫌に感じられないといいなあなんて思ったりしております。
ちょっと切羽詰ったチャンベクを書いてみたかったのですよね。
もっともっとシリアスになってもいいくらいだったのですが、チャンベクであるということや、もろもろで、最後あたりやはりそれだけでない雰囲気になりました。
私はほんとうに彼らが互いを互いに好みではないだろうという意識が強いもので、カップルにするとき非常に困るのですが、頼まれてもいないのにたまに挑戦したくなるのです。
なんでしょう、俺にも書けるはずだ(なぜ、俺…)、というような、一種の発奮をするときがありまして…。
そうして出来上がりました話が「束の間から」であったり、「ハプニング」であったりいたします。
こうしてならべてみると、タイトルがすべてを表している感じが大変いたしますね。
多くの方に楽しんでいただけるといいなあと願っております。

リクエストをいろいろいただいておりまして、嬉しいです~。
まだまったくお話には手をつけていないのですが、リクエストをいただくこと自体が幸せでございまして、ふむふむ、ほうほう、などと言いながらコメントを拝読しております。
リクエストをいただくということで、このところ新たにコメントをお寄せくださる方も増えまして、ありがたく、この上なく嬉しく感じております。
EXOをお好きな方はこんなにいらっしゃるのだなあと、そのたびに感じ入ります。
なんと申しますか、私はお話を書くようになってから、彼らを見ると不思議な心持ちになりまして、言うなれば親戚のおばさんとでも申しましょうか…、親類の青年たちを見るような感覚でして、物語を書くということは独特なことだなあと改めて思う次第でございます。
そんな彼らにこんなにファンが…!(←当たり前)
いえいえ、半ば冗談ではございますが、とにかく、私のようなもののところにこのようなお気持ちを寄せくださることが大変幸せで、それはとにもかくにもEXOのおかげであるのだなあと思うわけなのでございます。


さてさて、がんばらねば
フェリシティ檸檬




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20170124

ハプニング(リアル短編)
昔、一度だけ、男にキスをしたことがある。
そのきっかけは喧嘩で、相手はベッキョンだった。
とにかくふたりとも猛烈に腹を立て、原因なんかはむしろ忘れてしまったが、体じゅうが煮えたぎるようなその怒りの感覚だけはまだはっきりと思い出せるくらいの、ものすさまじい争いだった。
殴ってやろうかと、思った。
すんでのところで止めているだけで、拳はてのひらに熱がこもるほどの力で作られており、俺は若干震えていた。若かったのだ。
ベッキョンの薄い唇が、ぞろりと並んだ歯が、よく動く舌が、俺への悪口雑言を吐き出していた。
化粧をしていないとほんとうにとらえどころのない地味な顔立ちで、特に宿舎暮らしで他のメンバーとも始終顔を突き合わせているために、その百花繚乱ぶりの中で華やかさに欠けるということをいやと言うほど感じさせられる、興味が持てないとしか言いようのない俺にとって魅力に乏しいやつのそれは、そのとき目の前で憎しみの対象に上り詰めた。尖った顎。落ちた目尻。小さな黒目。ふわふわと揺れる髪。
その肉の多くない頬を思いっきりぶっ飛ばしてやろうかと腕を前に出した刹那、凝縮された時間の中で、俺は顔に怪我をさせたらまずいという考えと、より相手を貶めてやれるという思いから、突如次の行動を改めた。何より、くるくる動き続けるその口を封じてやりたいと強烈に思った。
乱暴に片手で頬を顎から抱えるように挟み、上を向かせて食うように唇を被せた。ぶちゃっと、おかしな音がした。
もう一方の手で小さな頭を押さえ、俺の顔から動けなくさせ、固定したまま舌を突っ込んだ。じたばたと本気で暴れるやつは、俺をあらん限りの力で殴ったり蹴ったりし、なおも何かを言わんとしていた。しかし結局ウエイトと身長が違いすぎ、しかも俺は激情によって痛みなどほとんど感じなかっため、抵抗などものともせず、うおう、おう、ぶっ、ばふっ、などという音が口内で溢れかえるのを放って、舌で舌を追いかけ続けた。よだれが口の端を伝った。
もちろん数限りなくキスをしたことはある。だが、こんなキスは、後にも先にもなかった。
そもそもの感情の猛りの上に、嗜虐心が上乗せされ、俺は発情期を迎えた野生動物のような、未知の激烈な興奮を得ていた。全身が燃えるようで、当然いつの間にか勃起もしていた。そのことをベッキョンに知られようがどうでもいいと思った。だからぴったりとその平べったい体を俺に押し付け、好きなように背後をまさぐった。柔らかさなどかけらもない、女とまったく違う、その体。彼女たちを愛撫したときに感じるあの甘い享楽など望むべくもない。ごつごつとした、筋肉と骨を直接触っているような感触。なのに俺は、この男を支配しているという事実にこれ以上ないほど発奮した。
最後、舌を唇で掴み、ぬるりと引っ張って、目を開けた。
視界の中いっぱいに、ベッキョンの顔があった。
さっきまで、血管が浮かびそうに赤い色をして、眉間に深い皺を寄せていたそれが、解放されたショックで呆けた表情を浮かべ、こちらをただ見上げていた。
血走った目に、涙が張っていくのを、俺は引き伸ばされた時間に浮かんで、ゆっくりと眺めた。
「…チャニョル…」
 きちんと俺の名を呼ぶことすらできない。混乱と困惑と驚愕と羞恥。憤怒は逆に消え去っていた。それらを混ぜた感情が、なんとも感じないと思っていたその顔の上で渦巻き、初めて俺に何かを強く喚起させた。
そのまま絶交したっておかしくなかった。だが、俺たちはただの友達ではなく、責任の多い仕事の得がたい仲間であり、関係を修復させるのは当然の義務であった。
どうその場を収め、どうその後謝ったのか、俺の記憶はあやふやだ。喧嘩自体は、どちらが悪いといった類のものではなかったはずだ。しかしその結末としての俺の行動は、俺にすべての責があった。セクハラとして糾弾されてもしかたないような行為なのは分かっていた。
でもベッキョンは許してくれた。時間はかかったが、それでも驚くような短い期間で、俺たちは元通りになった。
俺はこのことすべてを、自分でもどう捉えていいのか分からなかった。ベッキョンの優しさと寛容さに救われ、甘え、頭の隅でただ疑問符と共に弄び続けただけだった。

夕暮れが街の中に穏やかな影を落とし、もの皆すべてが温かさを覚えさせる色に染められている。
ベッキョンと俺はふたり、カラオケでしこたま遊んだ帰り、ぶらぶらと歩いていた。
短い時間のオフであったが、仕事終わりの高揚もあり、その勢いで走るようにしてカラオケに乗り込み、ふたりきりでマイクをずっとそれぞれ離すことなく、歌いまくった。しばらく歌の仕事がないことも手伝い、喉の酷使をいとわなかった。
あの大喧嘩のあと、それは他者がいない空間での出来事であったため、ベッキョンは俺とだけ共にいるのが嫌になるのではないかと不安に駆られたこともあった。だがそれは杞憂で、謝罪のあと、どこでどんなふうにふたりになろうが、そのこと自体に気まずい雰囲気を出して来ることはベッキョンはなかった。俺はそれで、改めて、この同居人かつ同僚を心底見直したりもした。
わあわあと盛り上がるだけ盛り上がり、立て続けに歌い、騒ぎながらも、俺はたまに、静かな心でベッキョンを盗み見ていた。
露わになった細長い首には何も後ろ毛はない。今日もすっぴんで、いたって平凡な顔なのは相変わらずだった。ショートカットの化粧っけのない女の子だという妄想すら無理であった。ゆらゆら揺らめく、弱いとりどりの、幻想を抱きやすい灯りの下であっても。
あのときの感情の奔流を、俺は忘れたことがかたときもなかった。ずっと、たとえ一角ではあっても、脳のある場所から動くことなくそれはあった。そのことをベッキョンに知られていたはずだということも。
どうしてあんなになったのか、俺の語彙では言語化がどうしてもできなかった。他の誰あろう、ベッキョン相手に、心が、体が、ああなったこと。
誰かに相談したいとさえ思った。ギョンスに、もう少しで言いかけたこともある。だが耐えた。ギョンスを困らせることも、ベッキョンを貶めることも、みずからの恥部を曝け出すことも、できなかった。
あのことがあってから、俺は女の子に対する劣情を抱くたび、反射的にベッキョンとのキスを反芻するようになった。何か抗いがたい力で持って、俺をその感覚は圧倒した。そう、快感であったのだ。ライブや、音楽で得られるような、代えの効かない快楽をベッキョンから与えられた。それを繰り返したいと、あれをどうしても手にしたいと、無意識のうちに求めているらしかった。
何事もなくカラオケの終了時刻を迎え、外に出、色の付いた前髪が少しだけ帽子からはみ出ているのをこうして横目で俯瞰している。口元まで上げたマフラーから白い息が漏れている。
ふたりで街に出たのは久しぶりで、俺は相変わらずの高揚感に包まれ、それと同時に夜が始まるという感傷にも否応なく満たされていた。ざわめきすべてが音楽のもとでしかなくなり、暴れ出したいような妙な心地だ。
こんなに寒いというのに、体は変に火照る。細胞が膨らんでぱんぱんになっているような、そんな自分を持て余し、俺は口を開いた。
「俺、コンビニ行ってくる」
 すぐ手前に見えたコンビニへと、俺は返事を待つ間もなく小走りで向かった。
迷わずに商品を掴み、レジで会計し、ちょうど前に差し掛かったベッキョンと合流した。
「何買ったんだよ」
 ベッキョンの唇からもわあと息が溢れる。
「これだよ」
 袋に入れてもらった品を、がさりがさりと取り出す。
「わっ、まじかよ。寒くねーのお前」
 あはははと笑いながら、ベッキョンは目を剥く。
俺はびりびりと封を破き、中から現れたベリー入りのチョココーティングのバニラアイスクリームの棒を掲げた。白いもやがその先から上がる。なんと冷たそうなのだろう。
「食べてーんだもん」
 そう言うと、上からかぶりついた。ベッキョンを食ったときのように。
「うっわ」
 体を折るようにして、見てる方が寒いわ、とベッキョンは目を逸らした。
 きんきんとしたものが口の中を侵す。甘くて、すっぱくて、苦い。
「うまい」
 はふはふと熱いものを食べているかのように俺は口の先で話す。
「まじかよ、どーなってんだお前」
 連れ立って歩き出すと、くはははは、とベッキョンはまた小さく笑っていた。
 喉の中をぬるぬると凍ったものが溶けながら落ちていく、ベッキョンの髪が揺れる、鼻の頭が赤い。
あたりは太陽による色味を失いつつあり、代わりに電飾がちらつき始めていた。派手で、淫猥で、軽薄な色たち。俺は決してそれが嫌いではない。
「なあ」
「ん?」
「お前も食べる?」
 見上げてきた小さな黒い丸ふたつは、まったくもって、俺の好みのそれではない。俺は大きくて、くりくりしていて、光の多い瞳が好きだ。まるで子供のように他愛なく、簡単にいろんなふうに変わってしまう、ベッキョンの不埒な目。
「ええ?」
 くしゃりと眉間を歪めて問い返してくる。
「寒い中で食べる冷たいもんも、またいいもんよ」
 疑いしかないまなざしで、しかしあっけなくベッキョンは降伏し、素直に顔を寄せてくる。マフラーを下ろし、唇が現れる。ほのかにピンク色のそれが、そろそろと開く。
瞬間、俺は再びあの衝動に襲われる。今は怒りなどこれっぽっちもない。あるのはベッキョンに対するまっさらな、認めたくない欲求だけ。
白い歯がチョコレートに突き刺さる。焦げ茶のコートがひび割れる。
「ふめてっ」
 目をぎゅっと瞑ってベッキョンは零す。
「ふめてーよー、まじかよチャニョルー」
 もそもそと口を動かし、顔を戻すベッキョンを笑って見下ろし、俺はやつの咥えたアイスを口に運ぶ。
こんなところで、そんなことは、できない。
間接キスで我慢して、とりあえず、早く家に、暖かいところに連れ込み、話をしようと、俺は思った。



おわり



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20170121

心根のまっとうさははっきりと見える
こんにちは。
うす曇りといいますか、グレーの混ざった水色の日ですね。
フェリシティ檸檬です。

昨日ささやかな短編を更新いたしました。
シウミンとチャニョルのお話です。
お読みいただけましたでしょうか。
昨年から、このところチャニョルを書いていないなあとしょっちゅう思っておりまして、ようやく昨夜その念願が叶ったというわけでございました。
最近シウミンも登場させておりませんでしたので、彼を相手にし、ふたりの一夜を切り取った掌編となりました。
このふたりは、私が性格的にも顔立ち的もとてもいいなと思うふたりでして、カップルにしたいということではないのですけれど、健全だなあと、見ていると心が温まる素敵さがございます。
それぞれがきっと(というかEXOはだいたい皆その雰囲気がありますが)、魅力的な真面目な家庭で育ってきている、という感じが全身から漂っていて、そのニュアンスを少しでも出せればいいなと思いながら書きました。
おそらくシウミンとチャニョルは正反対と言ってもいいくらいの家庭に育っているんじゃないかなと私は勝手に想像しておりまして、その違いがお互いを、遠いけれどもだからこそ魅力的に見せているのではないかな、と双方の心境を図ってみております。
エロどころかラブすらない感じの今まででいちばんくらいふんわりとしたお話でしたが、個人的には読み返してみてもなんだかいいなと感じるものとなりました。
そういうふうに感じてくださる方がいらっしゃったらいいなあと、願っております。

人気投票ですが、長編のものをやはり断続的にいただいておりまして、また、キリのいい数字へとたどり着きました。ありがとうございます。
ほんとうのほんとうに大台に乗るときがもしやってまいりましたら、そのときは絶対に何かお祝いをせねばなあなんて思っております。いつになるかは分かりませんけれども。

昨日の夜、「千と千尋の神隠し」を放映しておりましたね。
久しぶりに見ましたが、もともとそうだったのですが、やはりあまり好きなものではないなあと思いました。
素敵なところがたくさん、あるのですが。
何よりあまり好きじゃないのが、確かこの映画から完全にパソコンを使用するようになったための色の変化でございました。鮮やかではあるのですが、独特な色味の魅力が損なわれてしまったのです。残念です。
まあ、言い出すとキリがございませんので、これくらいにいたしますが、先日、宮崎氏がニュースにぱっとあがってテレビの画面と音声がよく捉えられなかったとき、え、死んだ?と咄嗟に思って受けたショックの大きさときたら自分でも驚くほどでございましたことを合わせて書いておきたいと思います。少し泣きました。
私は代えの効かない才能というものにほんとうに弱く、それが失われてしまったかと思うととてつもない衝撃を受けるのだなあとあらためて感じ入りました。
長生きしていただきたいものだと切に願います。


母の誕生日に
フェリシティ檸檬



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20170120

おいしい証明(リアル短編)
夢と現実の境から、水面の上に顔を出すようにして目を開き、眠りを遠ざけると、部屋の中はひとつの灯りもなかった。
瞬きを繰り返しながら、ミンソクは手を動かして携帯を取った、強い照明に大きなまなこを細める。二時半過ぎ。
当然まだ眠かった。もう一度寝ようと体勢を変え、目を瞑った。だが小一時間が過ぎても、再び夢の世界へ戻ることはなかった。
疲れているのに、とミンソクはため息をつくように心の中で考えた。日が変わる前に床に就け、それがとても嬉しかったのに、と。
しばらくの間、ミンソクはその白いふたつの足を羽毛布団の中でもぞもぞと擦りあせていた。少し寒かった。喉によくないと、就寝時エアコンをつける習慣はなかった。代わりに布団数枚をきっちりと自分に巻きつけ、いつも眠った。靴下を履けばよかったかもしれないと後悔しながら、冷えた足を互いに摩擦し続けた。
ようやくミンソクは諦めた。
起き上がり、ベッド脇の小さな灯りをつけ、床に足を着いた。ひんやりとしたその感触に、ミンソクの頭はそれまで以上に冴えた。立ち上がった彼は、とりあえずと静かに部屋を抜け出した。
ドアを開けた途端、誰かがまだ起きていることが分かった。墨色に染まった周囲の中で、ドアのガラス板が橙に輝いている。薄く音楽が漂う。ジャズだ。
ぺたりぺたりと、夜、親の起きているところへ起き出した幼子のような寄る辺なさに身を浸して、足の裏を木の板の上で鳴らすミンソクは、その光と音の方へ吸い寄せられるように向かった。
ノブをひねると、静かに、だが確かに空間を満たすフリージャズの鍵盤と弦の絡み合いの中に、ミンソクはいた。キッチンから何か調理する音が聴こえ、その音を立てている張本人の大きな後姿がちらちらと見えた。生姜のにおいが鼻をつく。音楽に合わせ、高いところにある小さな頭と角ばった肩は揺れた。低く、どこまでもくぐもっているのにやけにクリアな声で、たまに旋律をくちずさんでいる。
ぱたん、と扉を閉めると、気付いた弟分がミンソクを振り返った。
「兄さん」
 エアコンと料理の熱で、この部屋はとても暖かだった。それに乾燥していない。コンロの上からの蒸気と加湿器で、触れられるようなしっとりとした空気が周りにあった。
「どしたの、こんな夜中。寝てたっしょ」
 チャニョルは言いながら手元とミンソクに交互に目をやった。ぐつぐつ、という鍋の中の音がミュージシャンたちの昂ぶりの隙間を縫ってミンソクにも届いた。くう、と小さく腹が鳴る。
「目、覚めて」
 寒いし、と呟くと、チャニョルはあー、そうだよねえ、とうんうんうなずきながら料理を続けた。片手で何かをごくりと飲む。とん!と台の上へグラスを置く音が響く。
「何飲んでんの」
 カウンターキッチンに近付いてミンソクは尋ねた。長い首の揃った襟足を見上げる。俯いたために浮かび上がったごつごつした背骨がまるで恐竜のようだとミンソクは思う。
「ああ」鍋の中をかき混ぜる手をチャニョルは止めない、ただ一瞥をミンソクに投げる。「トマトジュース。兄さんも飲む?」
 ミンソクはトマトジュースが好きでも嫌いでもなかった。けれどこのとき、チャニョルの言うその飲み物の名が、何かとても素敵な、あまりよく知らないいいもののようにミンソクの耳にこだまし、彼の目を無意識にきらきらとさせた。
「うん」考える前に返事をしていた。「飲みたい」
 おっけー。そう言うと、チャニョルは冷蔵庫を開け、見たことのない、高価そうなトマトジュースの瓶を取り出し、新しいグラスになみなみと注いだ。はい、と言ってミンソクに手渡す。
「サンキュー」
 すぐ、口を付けた。冷たいグラス、冷たいジュース。唇と舌と体の中の管を冷やす。とろとろとした、食べ物のような飲み物が、胃まで落ちていくのがミンソクにははっきりと分かった。
「うまい」
 すごく、甘かった。
「何これ。すっげーうまい」
 グラスを掲げて残りの朱色を見つめていると、かしゃかしゃと準備に勤しむチャニョルが嬉しそうに告げた。
「ねー!うまいよねそれ。父さんが送ってきたの。まだいっぱいあんの、だから飲みたかったらもっと飲んでいーよ」
 犬みたいな笑顔でそう話すチャニョルを上目で見つつ、ミンソクはまたグラスのふちを咥えていた。
「体にいいからって。俺が肌荒れとかしてるとすごい気になるみたい」
 ははは、と笑うチャニョルは愛すべき存在という以外のなにものでもなかった。俺が親でもこの子を同じように案ずるだろうとミンソクはかつて会ったことのあるチャニョルの父親に思いを馳せた。チャニョルの家族、チャニョルの実家は、チャニョルから想像するそれらとまったくずれがなかった。自分の実家との違いにミンソクはくらくらとした。そしてその家の息子とこうして暮らし、共に働く不思議を思った。今、深夜、彼からトマトジュースを一杯もらっていることの奇跡。
「すごいうまいよ。ごちそうさまでした、おいしかったですって、言っといて」
 飲み干したミンソクは唇を拭ってチャニョルに言った。
「うん」
 顔をほころばせて、もう一杯いらない?と聞くチャニョルに、ううん、と断ると、じゃあ、これは?と続けられた。
「うどん食べない?」
 茹でる前の乾麺を袋のままチャニョルはミンソクに見せた。
「スープは今作ったから。卵と青梗菜と葱の。あったまると思うよ」
 完璧だ。
ミンソクはチャニョルのふたえまぶたの幅を見つめるたびに、そう感心してしまう。自分にはない、その見事な線。下にある黒くて丸い、光を溜める大きな瞳が、まっすぐ自分を指してくる。
「…食べる」
 だよねー、上機嫌にそう返し、チャニョルは茹だった湯の中にうどんをふたつ、投入した。
「少し待ってね」
 カウンターに肘を置き、ミンソクは頬杖をつく。すると自分よりずっと大きなチャニョルの体が、もっともっと大きくなる。
ぼこぼこぼこぼこ。
鍋の中で、煮えている、それはふたりが待つ優しく温かい夜食というだけではない。とっくに大人になった青年たちが、また別にみずから家族を持ったという、おいしい証なのだった。



おわり



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20170119

50年代も好きです
2017011905


ミスマープルを見ているもんですから。


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20170119

いい歌だ
2017011904

聴きなおしてみるとこれがアルバムでいちばん好きかもしれない。


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20170119

私が上司なら頭を抱えるぜよ
20170119

2017011902

2017011903


最近の戦利品のひとつと、母の誕生日用のお菓子。
ラム酒とドライフルーツのケーキと、さつまいもとバナナとレーズンのスコーン。
郵便局に感じの悪い職員がおり、クレーマーになる人の気持ちが分かってしまう。
ヤマトで出せばよかったぜ。ちょっと高いけど。



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20170117

カルテット
ドラマのTBSという言葉を思い出した。
本当にやる気を感じた。
エンドロールに何より感動した。
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  • ミス・レモン
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