海の底、森の奥

- EXOの二次創作とオリジナルのBL小説を中心としたブログです。R18表現あり。お気軽にどうぞ。

20160718

シング シング シング 番外編「需要と受容」
柔らかく、温かい光が、ふたりのついたテーブルの上を照らしている。紙ナプキンや塩、胡椒が、影を伸ばす。
目の前に座ったd.oが窓の外を眺めるのを、チェンは見つめる。斜め横の顔が本当に魅惑的だとチェンは改めて思う。その輪郭を陽光が照らし、本人自身が光を発しているようだ。黒縁眼鏡の奥の黒目の位置まで完璧だった。
視線をふいにチェンに送る。その眼差しの動かし方すらチェンの首をぞわりとさせるに充分だった。
「何にする?」キャップを被ったまま、d.oはメニューを眺め、尋ねる「ここ、チョコレートケーキがうまいって」。
水で喉を湿らし、眼鏡にキャップ、その上にパーカーのフードを被ったチェンが問う。
「誰かから聞いたの?」
「ミンソク兄さんが教えてくれた」
「へえー、なんか珍しいね」
「うん。デートに使えって」
メニューを追っていたチェンの目の動きが止まる。視線をd.oにそっと、移す。その視線をd.oが目を上げ、受け止める。
「………デート?」
「うん」
「デート」
「うん」
まったく動じるようすもなく、d.oはまっすぐチェンの目を見つめる。瞬きすらしない。
「たまにはしたいじゃん」
首の後ろを軽く掻いた手でそのまま頬杖をつき、少しだけふたりの距離が縮まる。チェンはその姿をただじっと見るしかない。
一瞬逸らしていた目線を横目で戻し、d.oが言う。
「デートくらい」
くっきり飛び出た喉仏の下の方から体温が上昇していくのを、チェンは感じる。
「………うん」
フードをしていてよかった。チェンは思った。
「で、ジョンデどうすんの」
それでも頬の赤みは隠せていないだろう。メニューに目を戻したd.oは気付いているに違いない。悪あがきに口に手を当てて、チェンはできるだけ顔を覆う。メニューを見る振りをする。ケーキ、ムース、パフェ。しかしこれ以上の甘さなど、どれも今のチェンに入る余裕はなさそうだった。



おわり




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20160718

シング シング シング ・ 人さらいの条件 番外編「成長の過程」
蛇口が閉められ、湯は止まった。
チェンは鏡に映る自分の顔をあちこちチェックすると、踵を返してドアに向かった。
ノブに手を掛けようとした瞬間、扉が勝手に、向こうから開いた。
驚いて体を引く。
開いたドアの間から、ギョンスがひょこっと顔を出し、ころりと黒目を動かしチェンを認め、さっと滑り込んできた。
動きを止めたままのチェンを顧みず、ギョンスはそのままドアに背を付き、自分の体でぱたんと閉める。
真顔でギョンスはチェンを見つめた。
シャツのボタンを一番上まで留め、ジャケットを着た青っぽいギョンスと、肩の線がはっきり出る、タートルの綿ニットを着た茶色っぽいチェンは、お互いをまじまじ眺め、どちらもがなかなかいいな、と思っていた。だが口に出すことはなかった。
我に返ってチェンはギョンスに告げる。
「…仕事だよ」
「仕事だな」
「…行かないと」
「行かないとな」
背中をドアに預けたまま、わずかにギョンスは小首を傾げた。
チェンはドアノブに手を伸ばそうとする。
すると、ギョンスがノブに手を掛け開けられないよう力を込める。
さすがに顔が綻んで、笑いを噛み殺している。
その顔を見たチェンも、気の抜けた笑みを浮かべ、なんだよ、と問い掛ける。
上目でチェンを見つめたまま、唇をぎゅっと結んで口の中で笑い続けるギョンスに、ノブに伸ばしていた手を、チェンはその顔へと進路を変える。
その頬に、指輪の光る手を添え、目の中を覗き込み、チェンは眉を切なげに歪める。
笑いがギョンスからだんだんと遠退き、またもとの真顔へ戻る。顎を心持ち上げて斜にチェンを見下ろす。
動いた顔の上の手で、チェンは自分の正面に相手の顔を持って来ようとする。
かくっと、ギョンスはまた顔を上げる。
そらされた顔のもう一方側の頬に、チェンは残る一方の掌を置く。
力を込めて首を上げ続けるギョンスを、チェンは両手で無理矢理、自分の目の前にその目を位置付けた。
途端ギョンスの体の力は、抜かれる。
頬を両手で挟んだまま、チェンはギョンスの顔に顔を寄せる。
目を閉じ、チェンは、目を開けたギョンスに、キスをした。
唇と、唇の表面を、ぴと、と合わせるだけの、それだった。
顔から距離を取り、瞼を上げたチェンに、ギョンスは言う。
「…腰抜け」
侮辱されたチェンは、眉の八の字の傾斜をきつくし、頬に置いた手の力を込め、ギョンスの顔を傾けた。
今度は口を開いて唇をすべて塞いだ。
歯を磨いたばかりのチェンのキスは、ミントの味だ。
前よりこういうスースーするのが、苦手じゃないな。ギョンスは思う。
ん、んんん、と、チェンの喉は悦びを奏でる。
手がノブの上のギョンスの手を取る。
指を絡めるのに合わせ、舌の絡みもより強くする。
と、突然にチェンはどちらの力も抜く。捉えられたギョンスの体のそこここが、すべて解放される。
知らぬうちに目をつむっていたギョンスは、それに驚き前を見る。
ノブに手を置いたチェンが、くすりと笑ってギョンスに囁く。
「先に行ってる」
言葉と同時にノブを回して外に出る。
目をぱちくりさせたギョンスは、ふっと笑い、洗面台へと近付いた。



おわり




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20160720

受容について 番外編 「満月のような」
「も…う、掴むなって」
セフンはシウミンのペニスを掌で包んだまま離さなかった。自分はシウミンの中に入って好きなだけ動きながら。
「やめ…」
「やだ」
ベッドがぎしぎし鳴る一歩手前の強さで、セフンはシウミンを突く。
シウミンの性器の先から、どんどん先走りは溢れていく。セフンの手はついぞ動かされていなかったが、ローションがそこにも塗られたかのような状態がずっと、続いていた。
ふたりの顔はお互いを見合っていた。
その目はどちらも夢見るように半ば閉じていたが、相手の顔から逸らされることはなかった。
シウミンもセフンも、お互いに負けぬほどの肌の白さを誇る中、より赤く染まるのは、シウミンの方だった。
甘い息を漏らしながら顔や首、肩、胸を春の梅のような色にして自分を見つめるシウミンを見下ろし、セフンはもう達するのを我慢できそうもないと思った。もっと奥、もっと強く、と腰を揺らしていた。その前に。
手で捉えたシウミンのシウミン自身を擦る。ぬるぬると、滑りは抜群だった。
「あああ」
その少年のような高い声を、歯茎を見せてシウミンは零す。
額には汗が粒になって浮かんでいる。そのシウミンから溢れたひとつひとつをセフンは愛さずにはいられなかった。
どんどん手のスピードは増した。セフンはシウミンの底の底まで自分のものを入れ込んだ。
飛び出したものを見て、セフンは満足と至福を得、シウミンの中をありったけの力で侵す。ほどなくしてシウミンの穴から、白濁した液体がセフンのペニスとともに零れ出した。
肩で息をするふたりは、重なって体の表面の水分を混ぜた。
「……腹減ったー」
セフンはシウミンの胸の上でひとり言のように呟く。
「…んー」
肺に反響する声を感じながら、シウミンは虚ろな目を天井に向けたままでいた。
「…あ、そうだ」
言いながら、セフンは起き上がってベッドの下に置いた自分の鞄を漁った。部屋にやって来たとき、セフンが珍しく手に物を持っているのを少しだけ不思議に感じたのを、シウミンは上半身だけ起こし、思い出した。
「じゃーん」
セフンの手の上に、ケーキの箱が現れた。
そのままベッドの上に、明らかにホールと分かるその箱を置き、蓋を開ける。
中にはあの店の、あのチョコレートケーキがまるごと、入っていた。
ベッドの上で胡座をかき、シウミンはそれを黙ってただ、見つめた。
黒々と照り、チョコレートクリームで品よくデコレーションされているそのケーキを目の中心に映しながら、セフンが鞄の中から更にフォークをふたつ取り出すのも、目の端の方で捉えた。
「はい」
満面の笑みで、セフンは一方をシウミンに渡す。
ケーキから視線を上げ、セフンの半月のような目を見、ゆっくりと手を差し出し、それを受け取る。
「食べよー」
ぐ、っと、そのままフォークをその円に突き刺す。
ケーキに夢中、といった表情で、顔も上げず、セフンは言う。
「彼女できたら一緒に食べたかったんだー」
シウミンはフォークを持ってそのセフンのようすを、口を開けてはいるが、何も言わず、見つめている。
「あ、彼氏?か」
口に大きなかけらを押し込んで、セフンは笑顔を崩さず、んうう〜、と歓喜の音を漏らす。
「ほら、兄さんも食べなよ」
床の上に座り込み、セフンは上目遣いでシウミンを見上げる。口の周りにはケーキのカスが付いている。薄暗い中、フォークの先だけが光っていた。
「……あの、店のだよ?」
手を出さないシウミンに、セフンは戸惑いを浮かべて念を押す。
分かってるよ、とシウミンは心の中で言う。分かるに決まってんだろ、と。
「…食べさせてあげよっか?」
にやにや笑いを作り、セフンは言う。
シウミンもその唇で笑みのかたちをこしらえる。
「やだよ」
そう言って、フォークを少しだけ崩れた、満ち欠けをする月のような不完全な円に、思い切って、突き刺した。



おわり



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20160720

憂鬱のすきま 番外編 「黒と白」
その、黒い闇が外を染める夜。
カーテンをひいた明るい部屋の中、チャニョルは新しく買ったおもちゃの説明書を読んでいた。
ソファに腰掛け、そばのテーブルの上にはコーヒーが半分ほど減って、置かれている。
相変わらずそのカップの上では、おかしなライオンらしき生き物がこちらに吠え掛かっていた。
コーヒーに再び手を伸ばしかけたとき、ドアが開き、風呂上がりのギョンスが現れた。
音に顔を上げたチャニョルは、手を止め、そのほかほかと湯気を立てるようなギョンスのようすをじっと見た。
ギョンスはスリッパを履いた足で、すたすたとキッチンに向かう。
冷蔵庫の開く音がチャニョルに届く。
続いて、液体を入れ物につぐ、とととととと、という水音も。
耳を澄ましてチャニョルはコーヒーを飲んだ。音楽鑑賞するかのように。
手に透明なグラスを持ち、ギョンスはソファにやって来た。
目を上げ、チャニョルは声を掛ける。
「ギョンス」
コト、とテーブルにグラスを置き、ギョンスはチャニョルの斜向かいに腰掛ける。
「お疲れ」
体を沈み込ませながら、ギョンスもチャニョルに口をきく。
チャニョルは手元を見るふうにしながら、グラスの中身になんとなく目を走らせる。どうやらただのミネラルウォーターだな、チャニョルは判断する。
「寝ないのか?」
体をぐっとソファにもたせ、首をかしげるようにして、ギョンスは尋ねる。
珍しく足を投げ出し、股を開いている。
チャニョルは、スリッパの上に置かれたその素足を、横目で見る。
「うん、なんか眠れなかったから」
指で挟んだ紙が、かさ、と鳴る。
「風呂、入れば?」
グラスを取って、ギョンスは厚い上唇をその縁に付ける。
「うん。朝、入るかな」
そう言って、視線を説明書から動かさない。
こく、こく、こく、という、ギョンスの喉の響きを聞いている。
ぷは、小さな吐息の音がしたのと、チャニョルの目がギョンスに向けられたのは、同時だった。
「ギョンス」
テーブルにグラスを戻すギョンスに、チャニョルは視線を注ぐ。
「ん?」
体をソファに預け、ギョンスはチャニョルを見る。チャニョルは言う。
「なんか、ついてる」
ギョンスの背後を覗き込むようにして、チャニョルは上半身を伸ばす。
「え?」
チャニョルの視線を追い、ギョンスは背に腕を伸ばす。
「見せて」
立ち上がり、ギョンスの目前に寄る。
ギョンスは首を俯け、その背骨の線を見せる。
恐竜みたいだな。
チャニョルは思う。
そしてスウェットの中に瞳を動かす。
指先で、襟首をそっとつまむ。
続いていく骨。
肩甲骨の四角。
するするとした肌の白。
それ以外は、なにもない。
首のへこみと襟足まで視線を戻し、チャニョルは告げる。
「なんか、取れたみたい」
「ゴミ?」
顎を引いて声のくぐもったギョンスが、問い掛ける。
「うん。もうないよ」
チャニョルは後ろ歩きで自分の元いた場所に座る。
顔を上げたギョンスは、サンキュー、と言い、襟首を手で直している。
「あーもう寝なきゃな」
伸びをしながら、ギョンスは目をつむる。
「そうだな」
夜の黒はどんどん濃くなる。
俺たちは世界にふたりきりだ。
チャニョルはただ、心で呟く。



おわり




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20160720

人さらいの条件 番外編 「記憶とダンス」
しまった。
カイは鞄の中に荷物を準備しながら、練習着の替えをすべて洗濯に出してしまったことに、気が付いた。
ここ最近練習とリハーサル続きで、どんどん汗をかき、どんどん着替えのストックは消えた。
クローゼットの引き出しを片っ端から開ける。
分かっていたことだったが、やはり、練習着はなかった。
大きなため息をつき、カイは後ろ頭を掻く。失敗したなと、改めて思う。
部屋のベッドに投げ出されたリュックサックに、残りの要り用のものをぞんざいに収めていく。
あとはドリンクだけだ。
問題は、なにを着るか。
手を止め、カイは視線を動かしながら、ベッドのそばから一歩、足を引いた。
床の上、すべては目の届かぬ奥の方、かすかに輝くなにかがあった。
カイは、その中身を教えられずとも、包装紙のデザインの中に組み込まれたロゴを見て、自分がなにを贈られたのかをもらったときから察していた。
あのとき。
これをもらったことも、すごく、嬉しかった。
贈り手の思いやりが、痛いほど伝わってきた。
なのに、これは、本当は、突っ返したはずのものなのだ。
取り引きの条件に。
カイは立ち尽くしたまま、瞼を下ろした。
背を向けた窓のカーテンから、日が透け、その体は照らされる。
指の一部が、ぴく、と動く。
ゆっくりと、瞼は開いた。
胸がわずかに、大きく、上下する。
携帯へのメッセージの到着を告げる音が、静かな部屋に満ちる。
鞄の横に置かれた携帯を手に取り、カイは相手を確かめた。
唇が少し、引き結ばれる。
間を空けず、素早く返信し、尻のポケットに携帯を突っ込む。
枕元にある寝巻きのスウェットを放り込むと、リュックサックの口を閉めた。
それとほぼ同時に、部屋のドアの向こうから、ひょこっとギョンスが顔を出した。
「ジョンイン、行くぞ」
あの声で、名を呼ばれる。
まっすぐな、ふくよかな声で、混じりけなく。
顔を上げたときには、もうギョンスの耳しか見えなかった。
歩き去る、その下のエラの線、襟足の黒さ、首の後ろの流れ。
一瞬でカイの脳に蓄積された内容が、更新される。
再び、それとともに踊るだろう。気付いたら、いつだって。
………約束には、反している。
肩に荷物を掛け、カイは部屋を後にする。
隠された包みは暗い中、銀を鈍く光らせる。
太陽はさんさんと、ベッドの上のみを照らす。




おわり




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20160720

俯瞰の角度 番外編 「コミュニケーション」
ふんふん、と、頭の匂いを嗅がれた。
それに気付いたベッキョンは、相手が誰だか予測して振り向いた。
思った通りだった。
「…イーシン兄さん」
ふにゃふにゃとした笑顔のレイが数センチの距離を置いて、ベッキョンの真後ろに立っていた。
ここはキッチンで、今は朝だった。
ベッキョンはシンクに食べ終わった食器を置き、これから洗おうというところだった。
対してレイは、シャワーから出たばかりのようで、シャンプーや石鹸の香りをまとい、髪はまだ濡れ、上はタンクトップ1枚だ。
そういうグラビアみたいだな、ベッキョンは思う。
鼻の先で風呂上がりの芳香を漂わせ、甘い微笑みを浮かべたレイは、女のひとつの夢のかたちを全身で体現しているようだった。
「なに?」
しびれを切らし、ただ自分の背後に突っ立っているレイにベッキョンは問うた。かろうじて曖昧な笑みは浮かべて。
「なんでもないよ」
微笑みと同じ、ふにゃふにゃとしたハングルでレイは答える。
そして、横の冷蔵庫の前へ体をずらした。
ベッキョンは振り向いたまま、レイがミネラルウォーターを取り出し、食器棚からグラスを取って、中身をつごうとしているようすを見つめた。
「……頭、嗅いだ?」
まだ声には笑いがこもっていた。それと戸惑いが。
コポポポポポポ。満たされる杯。手元を見下ろす意味不明なレイの笑顔。
「嗅いだよー」
「…なんで?………臭った?」
「ううんー。いい匂い」
くるくると蓋を回して、レイは冷蔵庫にペットボトルを戻した。
ベッキョンは困惑を隠さず、しかしとりあえずやるべきことをやろうと流しに向き直って蛇口をひねった。
ごくごくと喉の奥に水を流し込みながら、レイはベッキョンから目を離さなかった。ベッキョンはそれを当然、感じていた。
ここ最近、レイはちょいちょいベッキョンにちょっかいを出した。
今まで自分に対しそういった行動をプライベートでも公でもあまりしてこなかったレイであるため、ベッキョンは意味が分からずどう対応していいか計り兼ねていた。
突然鼻をつままれたり、脇をくすぐられたり、尻を強く掴まれたり、耳に息を吹きかけられたり、頬にキスをされたり、した。
そのたびベッキョンはもれなくびっくりし、小さい目を見開いてレイの思惑の伺えない顔と顔を突き合わせ、わずかに口をぱくぱくして、
「やめてよ」
と、笑いも交え、しかし子供のように、言った。
先程のように、「なに?」と尋ねても、まともな答えが返ってきたことは皆無だった。
そしてベッキョンも、きちんと答えを返して欲しいかというとそんなことはないように思った。なんとなく怖いような、変な気持ちになった。そしてその恐怖に近い心地というのがなにによるものなのか、ベッキョンはぼんやりと分かるような気がしてしまうところがまた、いやだった。だから、考えないことにした。
今も、皿を洗うことと、今日の仕事のことに意識を集中し出していた。
ぎし、と床が鳴った。
レコーディングの注意点を反芻していたベッキョンは、ふっと横を見た。
レイの顔だった。
「…い」
ぷちゅ、と唇になにかが当たった。
目の前にはレイの目しかなかった。
お互いがお互いの目を見た。
その目がさっと遠くなる。
顔の全体が視界に入った。
ざー。
湯は出っぱなしだ。
ベッキョンはプレートを持ったまま、残ったグラスの水を飲み干すレイを、口を開けてじっと見た。
「………なに?」
また、同じ質問をベッキョンは繰り返す。
唇を解放し、はあ、と嘆息したレイは、きょとんとして、応じる。
「なんでもないよ?」
そして背を向け、キッチンを去りながら、チャニョル、おはよー、とふにゃふにゃ声を掛けている。
水道は開いたまま、ベッキョンの後ろで、止められるのを待っている。




おわり




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20160720

シング シング シング 番外編 「桜を見た」
「桜を見たよ」
夜更け。
ベッド脇の灯りが、ぼんやりと橙でその周りを照らしている。
汗でその黒髪の濃さを増したギョンスが、頬に枕を付け、隣の枕のチェンへ、囁いた。
チェンの髪も濡れていた。ギョンスにも負けぬほど。
顔と顔は、それ以外を向いていない。
布はすべて、体の下か周囲にあった。
こういうときでなければ、少し肌寒かった。しかし、今はまだ、暑かった。
風が窓を叩き、春の嵐を告げる。
「………たくさん、咲いてた?」
チェンは窓を一瞥し、また相手の顔のみに集中する。声音はまるで歌うようだ。
「うん。散り始めてた」
ギョンスもまた、チェンから視線を逃さなかった。黒い瞳は、火が灯って見える。
「そっか」
「うん。…すごかった」
「そう」
「うん」その目に相手の目を映しながら、ギョンスは同時に、ここにないものをも映していた。「………さらわれるかと思った」
わずかに目を細め、チェンは口を開く。眉頭を少し上げて。
「……そしたら、泣くよ」
いろいろな部分が角度を付けたその顔を見る目が、揺れるのをやめ、次いで柔らかい笑みへとかたちを変えた。
「……たとえだよ」
慈愛とからかいを秘めたその微笑みに、チェンは珍しく反発する。
「…分かってるよ」
ふふふ、というハミングのような音を喉から漏らし、ギョンスは笑顔を崩さない。
チェンは顔すべてでそれを浴びながら、更に眉を傾斜させ、恋人に言う。
「……俺も、見たよ」
「ほんとに?」
「うん」
「どうだった?」
なぜかほのかな興奮を見せ、ギョンスは問うた。
「…色が、きれいだった」
チェンもまた、目の奥でなにかを見ながら、それとともにギョンスを見つめた。
「色?」
「うん」
「……薄い、ピンク?」
「……もっと、濃い、桜だった」
「ほんと?」
「うん」
「そっか」
「うん」
さっき、真っ白なキャンバスの上に、チェンは自ら赤を落とした。
肩甲骨の影。そのチェンだけの隠し場所に、そっと、色を唇で塗った。
後ろから覆い被さり、手と手以外でギョンスと繋がっていた。そこにもうひとつ触れるものと刺激が増えても、ギョンスには注意を払い続け得なかった。吸われたのといっしょに、ううふ、とだけ、唸った。
口を離すと、そこには花が咲いていた。
美しい、花だった。
ふふ、と、チェンもギョンスのように、口を開かず音楽を奏でる。
「なんだよ」
「ううん」
泣き笑いに似た顔で、チェンはギョンスを見ている。
呆れた表情を浮かべつつ、ギョンスはそれに手を触れる。耳とえらに、指が這う。
無意識に、チェンは瞼が視界を消す。
神経はすべて、5本の指と掌に。
そして目の裏には、桜が見えた。




おわり




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20160720

グレーゾーン 番外編 「花の色は赤」
「ねえ、それ、なに?」
タオのハングルは、すこぶる発音が悪くなっていた。以前以上に。
思わずスホは笑ってしまう。
中華料理店の個室は、全体が朱色で、ふたりは赤い花の中にいるようだった。
頼んだ注文は、まだ来なかった。
お腹が空いた、とかたことでタオは零す。
スホは袋の中の缶に手を伸ばし、包装とテープを解いた。
その間、タオはわあー、と、目を輝かせ、掌を合わせ、少女のような歓声をあげた。
蓋を開けた中身は、昔、ふたりで食べたクッキーの詰め合わせと、ほとんど変わらぬものだった。
「これかー!」
タオは財宝でも見るかのように、テーブルの上の缶に顔を寄せた。
「食べよーよ」
顔を上げ、スホに笑顔で言う。
「今から、料理来るだろ」
苦笑しつつ、スホは蓋を閉じようとする。
「えー」
眉を寄せ、本気で哀しそうな表情をするタオに、スホは閉じかけた蓋を少し開け、缶から1枚、クッキーを取り出す。そしてぐっと、缶を密封する。
「はい。これ1枚だけ。今は」
それはぐるぐるとチョコレートが渦を巻く、四角いクッキーだった。
タオの目の前に、人差し指と親指で挟んだそれを掲げる。
寄り目になったタオは、なにも言わず、じっとそのマーブル模様を見つめた。
口をぱか、と開く。
スホは反射的に、タオの口に入りやすいよう、水平にクッキーを倒した。
ぱく、と、指まで、その唇はクッキーを包んだ。
ぷに、と、ぬる、という感触が、スホの末端を、一瞬、襲った。
内心、びっくりしたが、顔にはなにひとつ、表わさなかった。
顔を離したタオは、もぐもぐざくざく頬を動かし、満面の笑みでうまーい、と言う。
手を、膝の上に置き、スホも微笑む。
「…よかったな」
こく、と首肯し、ごくりと飲み込むと、タオは言った。
「…兄さんの指、たべちゃったー」
あはは、とタオは笑う。
それを受けたスホは、なんだか赤面してしまう。笑顔も消える。
膝に置いた指先は、唾液が乾き、変な感じだ。
くすくす笑うタオの耳では、ピアスも一緒に、笑っている。
花の中は、蜜で満ちている。




おわり




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20160720

受容について 番外編 「coffee&chocolate」
香ばしい香りがキッチンに漂う。
セフンはテーブルに突っ伏し、シウミンがコーヒーを淹れる姿を見ていた。
吊り上がった目だなあ。
セフンは思う。
その視線は下にあり、じゅじゅじゅじゅじゅ、という、フィルターが湯を染み渡らせるさりげない音と、ゆるゆると渦を巻く湯気に、神経は集中されている。
と、
「…見んなよ」
左右対称でない笑顔を口元に作り、照れたようにシウミンは言った。目はコーヒーが落ちていくさまを見つめたまま。
「いいじゃん」
セフンは体を起こし、頬杖をつく。目がくにゃりとかまぼこのようになる。
「…やだよ」
こぽこぽこぽこぽ。
淹れ終わったコーヒーを、それぞれのマグカップにシウミンはつぐ。
シウミンのカップは寸胴、マグという名にふさわしい大きさで、真っ白な地に大きな黒い星がひとつ、描かれている。
セフンのそれは底に向かってまっすぐ細くなっていくフォルムに、黒地に白でストライプが入っていた。
どちらにもたっぷり、シウミンはコーヒーを満たした。
ふたつのカップから間断なく、白い靄が上がる。
両手にそれらを持ち、シウミンはセフンのついているテーブルに、カウンターを回ってやって来る。
セフンは自分の隣の席の椅子を引き、その座る部分を、ぽんぽんと勢いよく、笑顔で叩いた。
テーブルにカップを置きながら、シウミンは困ったふうに笑う。
「隣?」
「うん」
「えー」
「いいじゃん」
立ったまま困惑をほのかに混ぜた笑顔のシウミンの腕を、セフンは引っ張った。
しかたなく腰を下ろすシウミン。
セフンの前とシウミンの前、ひとつずつカップは置かれているが、ふたりはお互いを見ていた。
「…近いよ」
膝がぶつかり、シウミンは椅子ごと後退しようとする。
「駄目だよ」
セフンは椅子の背を掴んでそれを止める。
「……誰か起きてくるかもしんないだろ」
「それまで、いいじゃん」
にこにこしてセフンは背から手を離す。
顔を横に向け、カップを見ると、「あ、牛乳」と言って、立ち上がった。
シウミンは薄く染まった顔で、コーヒーを少し、すする。
ちょっと、苦みが強いかな。
ばこん、と冷蔵庫の閉まる音とともに、セフンはテーブルに戻ってくる。
「やりー」
笑顔をますます明るくしたセフンは、牛乳パックを置くと、どかっと椅子に座った。
「…なにが」
シウミンは心持ち体を引いてセフンを向く。
セフンは逆に前屈みになりシウミンに言う。
「ほら!」
指先には小さなチョコがつままれ、それをセフンはシウミンに見せた。
ぺりぺりと包みを剥ぎ、唇に持っていく。
歯に挟んで、シウミンを向いた。
「はんぶんこしよ」
そのままセフンは言った。
シウミンの目は、セフンの小さな口からその半身を晒した、四角い小さなチョコに注がれた。
「え?」
おかしな笑いを浮かべたシウミンは、半月状態のセフンの目を見る。
「はやく」
もう滑舌が悪いとかそんな問題ではない声で、セフンは急かす。
「だれかきちゃうよ」
きょときょとと、シウミンは辺りを見回す。
そして再び、チョコに視線を持っていく。
眉はしかめられ、口がふにふにと開いたり閉じたりする。
体を慎重に、セフンの方へ傾けた。
唇を剥き、チョコに、歯を立てようと、した。
かっ。
その瞬間、セフンはシウミンの唇ごとチョコを口に入れた。
「んうっ」
大きく口をこじ開けられ、舌の上にカカオの塊とセフンの舌があった。
甘みと苦み、そして弾力と躍動が、シウミンの口内をいっぱいにした。
シウミンはセフンの両肩に両手を置き、顔を引き離そうとする。かすかに、その気が本当は、ないように。
チョコが、溶けていく。
シウミンの頭も、同じようだった。
んぱ、と、唇から解放された。
閉じていた目をそろそろと開くと、セフンの変わらぬ笑顔がある。
「おいしーね」
そう言って、セフンはカップに牛乳を足す。
シウミンは再度周囲に目を走らせる。人の気配は、ないようだ。
ふー、と嘆息し、シウミンもコーヒーを取る。ひとくち、含む。
ちょうどいい。
ごくりごくりと飲み干すと、チョコはどんどん、コーヒーと溶け合っていく。




おわり




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20160720

束の間から 番外編 「モーション・エモーション」
本番直前。
控え室からぞろぞろ出て行くメンバーの最後尾に、俺とチャニョルはいた。
肩をとんとん、と叩かれる。
振り返ると、ドアの影にチャニョルがいる。
手をちょいちょい、と俺に向かって振っている。
?と思い、控え室の中に戻る。
扉の後ろのチャニョルを見上げる。
「どうした?」
俺は色の滲んだ瞼を上げ、紫のカラーコンタクトが目の上で動くのを感じた。
そんな俺を見下ろしていた、チャニョルの顔が消えた。
正確に言えば、俺の目がチャニョルの顔に、焦点を結べなくなった。近過ぎて。
唇を食むように、チャニョルはキスを、俺にした。
そしてすぐ、顔を上げた。
俺は唇を手の甲で隠し、残る一方の手でチャニョルの腹を殴る。
「…なにしてんだよっ」
小声で言いながら、怒りと照れで俺は顔に血が昇る。
「我慢できなくて」
てへ、と言うようにゆるい笑いを口の端に浮かべ、チャニョルは呟く。
俺はますますかーっとなる。歯を食いしばるようにして、ドアをばっと開く。
「ほらっ行くぞ!!来い!!」
チャニョルはすごすごと俺の先にドアを出る。
俺の前を行くその尻に、ばしんと俺は蹴りをかます。
そしてドアを閉め、皆のあとに続いた。
ジョンデが俺の顔を、マイクを調節しながら見る。
「どうした?顔赤いぞ?」
唇を拭いながら、俺は言う。
「……なんでもない」
馬鹿でかいあののーたりんは、逆光の中、シルエットで頭のみ、俺の目に映った。
……尻をさすっているようだった。



おわり




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  • ミス・レモン
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