海の底、森の奥

- EXOの二次創作とオリジナルのBL小説を中心としたブログです。R18表現あり。お気軽にどうぞ。

20160718

受容について 1
ふたりは去年の夏のある日、勢いでセックスをしてしまった。
ふたり、というのはシウミンとセフンのことだ。
夏。
本当に暑い日だった。暑くてなにもかもが溶けてしまうのではないかと思うほど。道路も、花も、横たわるシーツも。しかし溶けたのはことが起きる前食べかけていたアイスクリームと、ふたりの体だった。ふたりの体は溶けたのだ。本当に。
なんでその体に侵入することを許してしまったのか。問われてもシウミンには答えられない。一番正解に近いのはやはり、暑かったから。でも、それだけではない。もちろん。セフンの体がその日の暑さよりも熱くシウミンに押し付けられたとき、シウミンの耳には聞こえないはずのセミの声が確かに聞こえた。頭の中に羽を震わせて鳴く切羽詰まった生き物が息づいていた。それをシウミンは無視できなかった。若さと命をそのときもっとも輝かせているものをないがしろにはできなかった。セフンはそういう存在だった。シウミンに後ろからしがみついているとき。振り返るシウミンの目には涙がにじんでいたはずだ。名前をつけることのできない感情がめったに現れることのない涙をシウミンにもたらしていた。それを見たセフン。見たはずだ。だって目が合ったのだから。シウミンはセミの鳴き声を聞きながら、セフンの目を見たのだ。まっすぐ筆で掃いたような眉の下の目が、シウミンを欲しているのをシウミンは見、体の力が抜けたのをはっきり覚えている。それは諦めに近いが、それだけではなかった。食われる宿命を受け入れた動物の心境だった。そうして命の循環は続くのだ。
それ以来ふたりはセフンが求めるたびにセックスをしている。
シウミンは断ることができない。一度受け入れたものを、拒絶できない。
自分を見下ろす年下の大男が、見たこともないような表情で自分を見つめていると、いつでもシウミンは虎に目をつけられた兎同様だった。首に穴を開けられてがっくりと体を歯の間から落とす小動物。セフンはいつもいき急ぐ。落ち着いてシウミンに向き合えたことなどない。脱力したシウミンはむしろとても穏やかで、セフンの焦りも全て受け入れる。射精したあとどろどろになったシウミンの体を、汚れなどまったく構わず抱きしめ撫で回すセフンに、シウミンは何も言えない。ただ次会ったときもいつもと変わらぬ態度を示すだけだ。
そして今日も、セフンはシウミンの元にやってきた。
あのときは暑かったから。今は?寒いから。シウミンはそう考えて少し笑う。



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20160718

受容について 2
「兄さん、目を開けてよ」
セフンはシウミンのペニスを口に含むのを中断し、上目遣いで語り掛ける。
シウミンが部屋にひとりきりになる夜を見計らって、セフンは泥棒のように現れる。泥棒はシウミンから何も奪わずに何もかも奪ってしまう。毎回。今も触れたことのある人間が数える程しかいないシウミンの一部分をまるで自分の所有物のように扱っている。気持ちよくさせたいという奉仕的な欲求でセフンはフェラチオなど行っていないとシウミンにはよく分かっている。アイスキャンディーをいくらでも食べたい子供と同じだ。おいしいおいしいと棒の部分まで舐め尽くし、また新しいのを箱から引っ張り出してくる。運のいいことにこのアイスキャンディーはなくならない。セフンは気の済むまで好きに味わう。
薄目を開けるが、シウミンはまたくっと閉じる。
癖のないセフンの髪の毛がふさふさと自分の股に覆い被さり、再びお菓子を頬張るのを見てなどいられなかった。
セフンは口でシウミンを犯す間シウミンの尻をつかみ好きなだけ揉みしだく。シウミンは筋肉質ではあるが肌が柔らかいため、触り心地がたまらないらしかった。粘膜が擦れ合うだらしない音が響き、シウミンは羞恥で上がった体温がまた上がるのが分かる。漂白したように色白のシウミンの全身が桜色に染まるところは圧巻であった。セフンは初めてシウミンを犯したあとにまじまじとシウミンを眺めてもう一度すぐに入れさせるようぐったりしたシウミンに無理矢理体勢を取らせたものだった。
気が済んだセフンは何も言わずにやにやしながらシウミンの体を持ち上げる。シウミンは半目を開けて荒い息を吐き、セフンが誘う格好へと腕や脚を動かす。
セフンがシウミンを股の上に置く。夏の頃よりずっと楽に入るようになっている。あのときのシウミンは文字通り歯を食いしばっていた。セフンが以前女と使ったローションの残りを使っても、ますます流れる涙と激しくなる呼吸は止まることはなかった。セフンは快感に耽溺し、シウミンは苦痛に悶絶した。だが今は。
一番深く刺さる体位にも関わらずシウミンが泣くことはない。セフンの雑な動きであっても、回数を重ねるごとに運動能力の高さを活かして自分の楽な、むしろ悦びを感じやすくなる方法をシウミンは体得していった。自分の順応性に、行為の間ふいに笑いがこぼれそうになることすらあった。
セフンがシウミンの体のあちこちに唇を付けたり噛んだりする。跡が付く、と言うのに、無我夢中になったセフンは首、肩、胸と次々と食っていく。もちろん脚の指も、腿の内側も、向こう脛も。兄さん、うまい。そう言うこともある。
ピストン運動の激しさからシウミンはセフンが体位を変えようとするのを察知する。動きやすい正常位。思った通り乱暴にシウミンの頭を枕の上に落とす。予測していたシウミンは多少首を浮かして衝撃を和らげる。こちらもまた運動神経の優れた鍛えた男が、あらん限りのパワーで相手の体に自分の体をぶつける。シウミンは体が壊れないのを不思議に思うことがある。むしろ自分のような屈強な男だから耐えられているが、華奢な女性だったら死んでしまってもおかしくないとすら思える。今突かれているのが自分でよかったと、訳のわからない考えが浮かんだりもする。
痙攣するようにセフンが動くのをやめる。
穴から自分の性器を引き出しぐちゃぐちゃになったそれをティッシュで拭くセフンを見ながら、シウミンは起き上がる。シウミンのペニスはまだ固く、朦朧としたまま自身の手で擦り始める。セフンが振り向いてそのようすを眺める。口元にいやらしい笑みを浮かべて、小馬鹿にしたように長兄の自慰から目をそらさない。当初あった恥ずかしさは、何度もこうして放置されるたびに薄らいでいった。そのとき出しておかないと面倒なだけだ。そう思い処理をする。
「ん」
最小限の声を漏らし、ティッシュの中に放出する。
「腹減っちゃったなあ」
セフンがベッドに腰掛けて、ぽつりと呟く。



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20160718

受容について 3
乾燥してるな。コーヒーを飲みながらシウミンは自らの手を擦り合わせた。昨夜セフンの背中を触ったときも頭の片隅で思った。広い肩幅に指を這わせたときの感触。シウミンの目はカップから立ち上る湯気を見るともなしに見た。セフンとの逢瀬の翌朝は背徳感とともにある。これまで感じたことのなかった疲労とも。体力には自信があったが、この内側から湧いてくるような脱力感は、いつも以上に朝早く起き、細々した家事をしたり、軽く運動したり、朝ご飯を大量に食べたり、こうしてすべてを終えコーヒーをもう一杯飲んだりすることで、 なんとかやり過ごすことができた。
チャニョルがドアを開け、どでかいあくびをしながらキッチンに現れた。上に引っ張って伸びたような図体と、寝癖で爆発した頭を持て余して困っているといった風情で、カウンターの奥にのろのろと入って行く。
「コーヒー、もらうー」
くぐもった低い声でチャニョルは言う。
うん、と微笑みとともにシウミンは答える。
シウミンはチャニョルを見ているのが好きだ。自分にはないものの塊だ。シウミンは憧れるものに対して非常にまっすぐだった。ひねくれ、必要以上に自分を卑下したりせず、ただただ憧憬の眼差しを向け、ああなりたいと考えたり、自分なりの努力をするだけだった。チャニョルのようになれるわけはなかった。身長は伸びないし、声質は変わらない。誰とでも打ち解けられる社交性も、持って生まれた資質が大きくものを言う。底まで透き通った炭酸水のような男だとシウミンは思う。無色の世界にぽこぽこ泡が昇っていく。飲めば体がすっとする。そんなチャニョルの前にいながら、激しく後ろめたくなる。セフンと自分は寝ている。あらゆる時間、あらゆる場所、あらゆる体位で。皆にばれないぎりぎりの可能性にいつもチャレンジしているようだ。もちろん自ら望んだことではない。シウミンは思う。しかしもし知ったら、チャニョルはどう思うだろう。あの大きな澄んだ目が曇ったら。
チャニョルはコーヒーを持ってテーブルにやって来た。シウミンの真向かいに座り、寝ぼけ眼をしばたかせている。
「あーねみい。昨日頑張りすぎた」
どく、とシウミンの心臓が鳴る。
「なに、頑張ったんだよ」
カップに口を付け、視線を泳がしながらシウミンは会話を促す。
「作曲だよ。でも全然駄目だな。しかたないけど」
微笑みを浮かべて、シウミンは言う。
「そのうちかたちになるさ。お前なら出来るよ。そんなに遠いことじゃない。きっとすぐに俺たちが歌ってアルバムに入る」
シウミンは慰めではなく本当にそう思い、チャニョルを見る。
「優しいなあ兄さんは。まあ頑張るけどさー」
えへへ、というように笑い、チャニョルは後頭部で両手を組む。
ああ。守らなければならない。秘密も、仲間たちも。どんなに儚いものの上に自分たちが立っているのか。薄氷にいつひびが入り、足を置く場がなくなってしまってもおかしくないことを痛いほどよく分かっている。朝日に照らされ溶けてしまうような心地がしながら、シウミンはチャニョルの光る頬を見つめる。



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20160718

受容について 4
「ね、ね。兄さん」
テレビ番組撮影の直前。トイレに行って、手を洗って出ようとしたシウミンの前に、ドアをさっと開け少しあたりを伺うようにしてセフンが滑り込んできた。くっきりとアイラインを引いたシウミンの大きな目の、瞳の周りが白目で囲まれたのがセフンの目に映る。セフンのそれは彼特有の笑みのかたちを作っている。愛嬌があるとも、小狡そうとも言える特徴的なその目。シウミンはそれが自分に向けられるのが、あの夏以来、どういう意味を持つかを知っている。
多少抵抗するシウミンの腕を引っ張り、セフンは個室へとシウミンを連れ込んだ。
「すぐ始まるんだぞ」
声を落としてシウミンはセフンを見上げる。
「分かってるって」
し、し、とセフンはシウミンを制す。笑みを作るのを抑えられないといったようすで。
「な、にするんだよ」
しー。セフンは長い人指し指を自分の唇の前で立て、そのままその手をシウミンの頬に触れさせる。少し冷たいその感触にシウミンはびくりとする。
「ちょっとだけ」
目をそらしていたシウミンはセフンの目に自分のそれを合わせた。必然的に上目遣いになる。きりっと目尻が上を向いた、大きな黒目と白目。そこに浮かぶ戸惑い。セフンはシウミンの困惑を見るのが好きだった。いつももっともっとと思った。
セフンはシウミンの目を見つめたまま唇を相手の唇に付けた。
シウミンは目を閉じる。こういうとき、見ないようにしてしまう。現実逃避だ。自分の中の自分が囁く。セフンの薄い唇の味がシウミンの口に侵入する。
「口、開けて」
唇を付けたままセフンが言う。
目を閉じたシウミンはためらいがちに唇の間に隙間を作る。
すぐさまセフンの舌が入って来る。蛇のように動いて獲物を探す。まもなくシウミンの舌を捉えて自分のそれと絡める。
「引っ込めないで」
シウミンの顔を両手で包んで上に向かせ、セフンは存分に求める蜜を吸う。時折頬へと唇や舌を付けながら、執拗にキスをする。股に股を押し付け、昂りを思い知らせる。
「化粧、落ちる」
「へーきだよ」
「駄目だって」
「大丈夫」
キスの合間に抵抗の言葉を発し、手でかすかに体を押し返しても、セフンはまったく意に介さない。
「時間」
「もう少し」
は、と息をつき目でも訴えようとまぶたを開く。セフンの目とすぐ出逢う。美しいグラデーションを施した目元がシウミンの目に映る。
「ミンソク兄さん」
名を呼ばれ、唇を噛まれて思わずまた目を瞑る。
反射として自分の股間も熱くなっているのがシウミンは分かる。まずい。時間がないのに。
「こんな、になったら、撮影、こま、るだろ」
もぞもぞ脚を動かしてシウミンは今度は強くセフンを押した。
は、は、とふたりで息を漏らして俯くと、セフンは笑った。
「ははー。変態だなあこれじゃ」
衣装の前がくっきり突っ張っている。
「ははーじゃない。だから言ったのに」
シウミンはかなり本気で困って頭を掻こうとしたが、セットされていることを思い出して途中で手を止め、ぶらりと下に落とす。
「落ち着けそうか?」
声にいらいらした態度を出さないよう努めてシウミンは問う。
「じゃあ出しちゃおうよ」
にこにこしてセフンは言う。
「え」
「ほら、出してよ」
「待て、て」
「ほら」
止める間もなくずるりとシウミンのペニスを引っ張り出し、
「俺のもやって」
と自分のを逆の手で取り出す。シウミンの手を自分のペニスにあてがい、セフンはシウミンのものを勢いよくさすり始めた。
「う」
セフンの荒いしごきでも、慣れがシウミンを高めさせる。シウミンはわずかに震えながら、セフンにも同じことを始めた。
再びセフンがシウミンの唇を求める。キスを交わしながら、
「服、汚すな」
シウミンは訴える。
「はいはい」
心拍が上がる。早くしなければ。口の中のセフンの味がシウミンの頭に靄をかける。手の中のものと自らのそれがもっと充血していくのを感じる。
「はや、く、も、いくぞ」
シウミンはほてった顔でセフンを見る。半目を開けた力ない表情のシウミンにセフンは手のスピードをあげながら言う。
「その顔好き」
瞬間シウミンは達しそうになり、素早くトイレットペーパーを先にあてがった。体を震わせて出し切ると、セフンがシウミンの顔を自分の腰に持って行く。
「でそ。飲んで」
もう抵抗する気力などなくシウミンは言われた通りセフンの大きな性器を含む。あの味が舌を刺激する。これを味わうたびに胃液がこみ上げてくるようだが、シウミンは目をぎゅっと瞑って耐え、口全体で愛撫した。焦るシウミンは最大限のスピードで動き、ほどなくセフンも迎えた。感じる前にとすぐに飲み込む。それでも気持ち悪さがシウミンを襲い、服を急いで整えると個室から出て口をゆすぐ。
セフンも隣の水道で手を洗いながら、
「ひでーな兄さん」
と笑い、鏡で少し髪を直し、口元を拭って「行こ」と言って出て行く。
シウミンも鏡をのぞく。
少し充血した目と心持ち膨らんだ唇、蛇のはった跡のある頬。
瞬きをしながらできるだけ手で拭ったりと身支度するシウミンに、「exoの皆さん、お願いしまーす」の声が届く。ごく、と口の中に残った水分を飲み干すと、セフンの味が喉の奥でかすかにうごめいた。




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20160718

受容について 5
ケーキが食べたい。セフンはその日仕事を終えて帰る車中、ずっとひとりでそう言い続けた。思ったよりも早く上がれた為スタッフも含め皆上機嫌と言ってよかった。だからセフンの欲求を常よりも笑って楽しく聞いた。何のケーキが一番好きかというお決まりの話題で盛り上がりもした。チョコレート、チーズ、フルーツ。セフンは生チョコレートのケーキがいいと言った。チョコの塊のようなそれをホールで食べたいと。気が済むまでカットさえせず食べ、残ったらまたあとで食べるを繰り返す。聞いてるだけで食傷気味だと誰かが言う。そんなことない、とセフンは反論する。彼女がいたら一緒に食べて残したのも俺が食べたい。先に彼女作れ。皆が笑う。
マンションに着くとおのおの荷物を置いて部屋に引きこもったり出掛けたりリビングでテレビを見たりと好きに過ごし始めた。まだ明るい中帰宅できた多幸感があたりをゆるやかに漂うようだった。
シウミンは軽く部屋の片付けをしていた。もう一度掃除機をかけようか、そう考えたとき前触れなくドアが開いた。振り向くシウミンの目にセフンが映る。シウミンの背中から首、耳へぞわぞわと虫が這う。セフンは微笑んでいる。
「なんだよ」
持っていた本を本棚にしまいながらシウミンは視線を合わさず尋ねる。セフンは満面の笑みで言う。
「ケーキ食べに行こ」
手が止まる。シウミンがセフンを見る。
「一緒に行こう」
シウミンは口を開くが言葉が出てこない。セフンはシウミンの手を取る。行こ。軽く引っ張る。唾を飲み込み、ようやくシウミンは言葉を発する。
「…ふたりで?」
上目遣いでセフンの笑顔を見る。
「うん!」
子供のような返事を返され、シウミンは何も言えなくなる。いつもと同じに。


濃いコーヒーのような色のチョコレートケーキが、紅茶とともにテーブルにある。側にはミルク、砂糖。
「うまそー」
セフンは紅茶にミルクと砂糖ひとさじを入れ、搔き回す。そしていそいそ食べ始める。
シウミンの前には生クリームに包まれたプレーンシフォンケーキとコーヒーがある。確かにとても美味しそうだ。シウミンは思わず胸のあたりが温かくなる感じがする。店内は平日の昼間のためかあまり混雑していない。すっきりした内装に好感が持てた。
目の前の伊達眼鏡をかけ帽子を被った地味な服装の男は口にどんどんフォークを運びながら言う。
「うまいなー。こういうのだよ食べたかったのー」
中まできっちりと黒いケーキが溶けるように減っていく。
こちらも伊達眼鏡をかけ帽子を被り、色味のまるでない服装でまとめたシウミンが、そのようすを見て微笑む。コーヒーをひとくち含む。きちんと淹れた味がする。眼鏡が一瞬曇る。曇りがだんだん引いてセフンと店のようすが現れるさまが、まるで夢のように目に映る。セフンが眼鏡の曇ったシウミンを見ておかしそうな顔をしている。シウミンは瞬きをしてシフォンケーキを頬張る。生クリームのコクとソフトな生地が口の中に広がる。シナモンとバニラの香りがほのかに鼻から抜ける。
「うまい」
つぶやくシウミンにセフンは満足げに言う。
「なー。ベッキョン兄さんに教えてもらったんだけどやっぱいいよねここ!」
ほとんどなくなった自分の分にさらに手を付ける。
「デートに使ってんのかな」
シウミンは周囲の中に学生のカップルを見付け、ほんの少し観察する。うまくいっているらしい雰囲気がふたりを包んでいる。長い髪が彼女が笑うたび揺れる。
「俺たちもデートじゃん」
たいらげたセフンがシウミンの顔を見る。シウミンがカップルからセフンに視線を移す。真顔だ。
シウミンのフォークが止まる。瞬きをして言葉を探す。カチ、とフォークが皿に当たる。
「デート?」
「うん」
ごくごくごく、と紅茶を勢いよく飲む。
「デート…じゃないだろ」
シウミンは皿に目を落としシフォンケーキの生クリームをフォークの先でつつく。
「ふたりで喫茶店でケーキ食べててなんでデートじゃないんだよー」
口を尖らせてるのが分かる口調でセフンが言う。
「…付き合ってるわけじゃなし」
言いながらシウミンは喉の奥が詰まる感じがし、コーヒーに口を付ける。
「付き合ってるみたいなもんでしょ」
ソーサーの上にカップを置くカチャン、という音とその言葉が重なった。伊達眼鏡の奥のシウミンの目が左右に動く。少しだけ、上に向ける。
「…付き合ってる?」
セフンの目とシウミンのそれが合ったまま、掠れた声を発する。
「うん。でしょ?」
そう言うとセフンはシウミンのケーキに手を伸ばし大きく切り取って口に入れた。ほんの少し、口の端に生クリームが付く。そのままセフンは笑う。
「うまーい」
シウミンは再び黙る。ただ目だけはしっかり開いている。そしてセフンの唇のクリームの白を見ている。




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20160718

受容について 6
だんだん太陽が隠れ始め、あたりは夕闇に包まれてきた。橙色に墨を垂らしたような街の風景の中に、眼鏡と帽子、灰をかぶったような色味の服装のでこぼこのふたりが溶け込んでいた。気温が低く、吐く息が白く流れていた。口元まで覆ったマフラーが、それぞれの顔を半分近く隠し、自らの体温で眼鏡が時折白く染まる。シウミンのそのさまは非常に子供っぽく人には映った。上から見下ろすセフンには更に幼く見える。セフンはあの独特な笑みを目元に浮かべ、視線を落として鼻の頭と白い頬を染めているシウミンの方を横目で見続けながら歩いた。
「何見てんだよ」
視線をそのままにシウミンは言った。
「別にー」
声にも笑みをにじませてセフンは答える。
シウミンは黙った。セフンは笑うのを止めた。ふたりとも家路を行く人々の中を黙々と歩いた。ぴりぴりと肌を冷気が差した。
「俺たち」
おもむろにシウミンが口を開く。セフンが見下ろす。
「俺たち付き合ってないだろ」
口から出て行く息が目に白く映る。セフンはそれ越しにシウミンを見つめた。
周りの空気は黒の色合いを増し、女子高生の笑い声が高く響くのが聞こえふたりは一瞬体を硬くした。
声が遠ざかると、長い腕を伸ばしたセフンはシウミンの肩を抱く格好で進行方向を変えさせた。
「な」
シウミンに言葉を作る暇を与えずセフンは店と店の狭い隙間にふたりで入って行く。影になっていることもありほとんど光が差してこない場所で立ち止まる。
マフラーから零れ出た口から勢いよく白い息が昇って行く。
「なんだよ」
シウミンが眼鏡を曇らせながらようやくセフンを見上げた。
「それはこっちのセリフ」
同じく眼鏡を曇らせ、それにいらついたセフンがマフラーをぐっと引き下げ眼鏡をかけ直しながら抑揚のない声で言う。
目をきょときょとさせてシウミンは口が渇いて行くのを感じながら言葉を探す。
「だって、そうだろ」
「何が」
ポケットに手を突っ込むシウミン。
「俺たち、付き合ってない」
視線を上げていられず、足元に落として言う。夜の気配がスニーカーを包んでいる。
「ただしてるだけだよ」
こんなことを言うこと自体への嫌悪で舌がよく回らなかった。唇の表面が水分を失って行く。
「俺」
頭の上から特徴のある声が落ちて来る。シウミンは顔が上げられない。
「俺、兄さんのこと好きなんだけど」
滑舌の悪い告白の言葉は夜とともにシウミンを訪れた。そうなりたくないと思うのに、シウミンは顔から耳が赤くなるのを止められなかった。ポケットに入れたままの掌が汗ばむ。
「兄さんは俺のこと好きじゃないの?」
とうとう手を出してシウミンは帽子を目深にしたり眼鏡を直したりするが視線は下のままだった。
その手を取られた。
反射でセフンの顔を見る。
「ねえ」
久しぶりにきちんとセフンの顔を見たように思った。自分とまったくタイプの違う面長の顔が、帽子と眼鏡とマフラーに隠されてもなお美しいと分かるその顔がシウミンを見返している。いつものように何を言えばいいのかについてシウミンはただ困惑する。頭の中が色とりどりのマーブル模様を描くばかりになる。
「ねえったら」
揺すぶられ、考えずに言葉が出た。
「好きでは、ないよ」
セフンの動きが止まる。暗くなった中、目の光だけが唯一の灯りと言ってよかった。
「お前だって、俺のこと好きじゃ、ないよ」
視線をそらす。セフンはシウミンの手を握ったままだ。
「勘違いしてる。これは、好きとか、そういうのじゃ、ないんだよ」
饒舌に何かを語ることが苦手なシウミンは、伝えることに必死だった。
「そんなことない」
セフンは繋いだ手に力を込めた。
「そうなんだって」
ほんのわずかに声を荒げてシウミンは言った。
「やりたいだけなんだよ。お前は。それを、こ、い、みたいなのと一緒にしてる」
「…違う」
「違わない」
「決めつけんなよ」
「決めつけてるんじゃない。じじつ、なんだ」
シウミンは自分の手に絡んだセフンの手を空いた方の手でほどいた。
「兄さん」
もと来た道をシウミンは足早に戻る。
「帰るぞ」
「兄さんて」
「明日も仕事なんだぞ」
歩幅の広いセフンが前を行くシウミンの手を再び取った。足が止まる。手を引っ張られ、シウミンはセフンの腕の中に絡め取られた。大きなセフンの体の中に少女のようにシウミンは収まる。
「離せって」
口元までダウンジャケットに埋まっているためもごもごと言葉も埋まった。
セフンは首を落としてシウミンの頬から唇にキスを降らせる。その音が遠くの喧騒と混じってシウミンの耳に響き、現実から引き離されたような妙な感覚が後頭部から襲う。
まるで食うようにシウミンの唇を貪るセフンは、シウミンに回した腕に力を込めてその体をまさぐった。舌は親しい仲間を見つけたように慣れたようすで繋がってくる。シウミンは舌を預けながら閉じた目の奥で光が散っていた。セフンの唾液の味を懐かしく受け止める。チョコレートの味がする。気のせいかもしれない。シウミンにとってセフンの舌がそういうものに感じられるだけなのかもしれない。甘く苦い中毒性のある菓子。その考えにシウミンは自己嫌悪を覚える。ん、ふ、と同じく甘い声が口と口の隙間からこぼれる。自己嫌悪はより強まっていく。
セフンが力を緩め唇が離れた。お互いの口元がよだれで光るのが見える。
「じゃあ、なんで」
その目を合わせないままセフンは言う。
「こんなことさせるんだよ」
吐かれる息の近さから、チョコレートの匂いがする。シウミンは思った。いや、そんなことはない。すぐに打ち消しながら、シウミンは目をそらしたセフンを見上げた。少し斜めになった肉のない顔が、シウミンの目にその端整さを教えた。青ざめているのか、暗いだけなのか、シウミンには分からなかった。
「…お前のしたいことをさせてやりたくて」
口から出して、自分の目に涙が張られているのに気付いた。泣くな。瞬きを繰り返す。
セフンは驚いたようすでシウミンを見た。
まずい。シウミンは顔を背けてまた道を戻り始めた。鼻水が垂れてきそうになるが、すすったら泣いているとばれるかもしれないと、涙も鼻水もそのままにした。
「帰るぞ」
可能な限りはっきり、そう後ろの末弟に叫んだ。




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20160718

受容について 7
あれから。
セフンは変わらずシウミンを訪れた。
ふたりでケーキを食べた日に、シウミンは期待した。
夏に生まれた悩みがシウミンからようやく去って行くのではないかと。
初めの間違いがなめくじの這った跡のように冬のさなかまで続いているこの現状が、終息を迎えるのではないかと。
シウミンはその日の夜も、次の朝も、またセフンがやって来るまで、セフンの細い顔の青い色を何度も何度も思い出した。
帰り道、ふたりともひとことも言葉を交わさなかった。
ただ白い息がふたりの間を流れるばかりだった。
セフンが目立って元気がないというわけではないと知れたとき、シウミンは心底安堵した。そしてより期待は膨らんだ。
だが。

「兄さん、好き」
目の前に笑顔をたたえてセフンが座っている。
ふたりはベッドの上だ。
夜。
カーテンの向こうに月が光っているらしい。セフンの顔は灯りが灯っていなくとも、柔らかくシウミンの脳に像を結んだ。
「兄さん」
囁きながらセフンは布団の中にいるシウミンに近付いた。思わずシウミンは布団の下の自分の脚を引き寄せる。
シウミンは自分が夢を見ているのかと思った。それくらいセフンは月明かりの中でこの世のものではなかったし、その行動も言葉も、シウミンの予想とまるで違っていた。
ベッドに手をついてにじり寄るセフンは、シウミンの、恐怖と言っていい表情にもまったく心を動かされないらしかった。
「セフン」
「ん?」
セフンの顔はもうシウミンの目の前にあった。シウミンはまたセフンの青い顔しか見えなくなっていた。
からからに渇いた口で、シウミンは言葉を絞り出した。
「言ったろ?」
「何を?」
「俺、お前のこと、……すきじゃ、ないって」
こく、とほとんどない唾を飲み込み、喉仏が上下する。
「うん」
セフンは目の笑みを消す。
「だから」
「じゃあ、俺と、したくない?」
シウミンの大きな目はふるふると震えているはずだった。映るセフンも。
「ねえ、したくない?」
セフンは言いながらシウミンの唇に、
「ねえ?」
唇を付けた。
自分の唇の弾力を自分で認識できるような、キスだった。
シウミンは口の中に唾液が溜まってくるのを感じた。
「…したくない」
ごく、と今度はしっかり、唾を飲み込んだ。
お互いの唇の前で、言葉を交わす。
「嘘だ」
「嘘じゃない」
合間にまた、キス。
「お前とやりたくなんてない」
「俺はしたい。すごく、したい。兄さんと」
キス。
「…女の子と、会えばいいんだよ。誰かに、紹介、とか…」
「女の子も…いいけど、兄さんがいいの。今」
キス。
「したくないなんて嘘だよ。ほら」
セフンは布団の中に手を滑り込ませ、シウミンの股間を探った。
不意を突かれたシウミンはセフンの手を抑えようとするが、一足遅かった。
シウミンのそれは上を向いていた。
セフンの手に握られ、シウミンは顔が真っ赤になるのが分かった。本当に恥ずかしかった。
「これは、…体が勝手にそうなっただけで」
セフンの手を自分の体から引き離そうと、両手で掴む。セフンはシウミンの体を囲むように脚をまたいで、自身全体で相手を追い込んだ。ベッドヘッドを背にしたシウミンは逃げ場を失い、ペニスを掴まれたまま、再びキスを与えられた。
「じゃあ、したいってことじゃん」
「そうじゃない」
柔らかい素材のパンツの中にするりとセフンは大きな手を入れ、シウミンは直接ふくらんだ部分を触られ、体を震わせた。
キス。
「したいって、言ってよ」
「…したくない」
キス。
「好き」
「好きじゃない」
キス。
「ねえ……」
「いやだ……」
舌が差し込まれた。
手は常よりずっと優しく上下に動かされている。
シウミンはずっと目を瞑っていた。
その手を取り、セフンは自分の首に回させた。片手でシウミンをしごき、片手でシウミンの頭を抱え、深く舌を吸う。
首に回されたシウミンの両腕の力が、交差の方に入ったようだった。
月が雲に隠れた。




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20160718

受容について 8
段落を追いながら、シウミンは内容に集中しようと額に浮かぶ汗をまたタオルで拭いた。
脚本をめくる指先も湿って、紙がふやけたようになる。
口元にタオルを持って来ると、ふー、と息をはいてシウミンは手元から目を上げた。
ダンス練習を続けていたd.oが、鏡の中のシウミンのようすを見て、動きを止めた。音楽だけが前進を続ける。
息の荒いd.oの口が少し隙間を作っている。顔全体にしっとりと水分をまとい、のろのろとプレーヤーを止めに向かう。シウミンは口にタオルを当てたまま壁に頭をもたせかけ、目を宙に泳がせていた。
「どうか、しました?」
d.oはシウミンの横にひとり分くらいの間を空けて腰を下ろす。手には水の入ったペットボトルとタオル。顔や首を拭きながら喉を潤す彼のさまに、シウミンは目をやった。
「どうもしないよ?」
微笑んで答える。自らもスポーツドリンクを口に含む。
「そう?…疲れた?」
d.oの視線を感じながら、自分のそれは落とし、シウミンは投げ出した足元の脚本を見た。
「…いや。演技って難しいなあと思ってさ。ギョンスすごいよな」
手に取り、脚本をぺらぺらとめくるシウミンから目をそらし、
「すごくないですよ。いっぱいいっぱいです」
照れくさそうにペットボトルの蓋をいじる。
「ううん。ギョンスはいい役者になるよ。俺すごい楽しみだもん」
「やめてくださいよ」
「謙遜すんなって」
「嬉しいですけど…でもほんとに、全然ですよ。楽しいですけどね」
シウミンはd.oの俯いた顔を見た。
「…楽しいのか。そっか。俺楽しいとは多分絶対思えなそうだなあ」
自嘲気味な笑いを漏らしてシウミンは再び脚本に目を落とす。
かり、かり、と蓋の溝に爪を立てながら、とつとつとd.oは言う。
「楽しい、と言うか…。やりたかったし、やれて嬉しいし、…面白みを感じます。いつものただの自分ならしないようなことができるし」
ほんの少し、唇の片方の端を持ち上げて話すd.oに、羨ましさと誇らしさ、そして満足を感じてシウミンは黙った。
ぱ、と顔を上げてd.oはシウミンを見る。
「だから兄さんも、何かしら得るところがあると思いますよ」
低音で響く力強い声を投げかけられ、シウミンは思わず笑みを浮かべる。
「うん。ありがとな。なんとかやるよ」
ピンク色の歯茎が覗く。
「…でもやっぱりちょっと、疲れてます?」
スポーツドリンクを喉を鳴らして飲むシウミンの顎のラインを見ながら、心配を表してd.oは言う。自分の鞄を引き寄せて中をごそごそと探った。
「はい。よかったら」
シウミンの前に差し出された手の中に、小さなチョコレートの塊が乗っていた。
大きな瞳をd.oの手と顔に交互に動かし、戸惑いを隠してシウミンは言う。
「うん、ありがとう。もらう」
へへ、とシウミンは笑い、相手の手からチョコレートを受け取る。
「気、使わせてごめんな」
包みを剥がし、姿を現した焦げ茶色に艶めく立方体をシウミンは見つめ、香ってきたカカオを吸い込んだ。ぽん、と、なんでもないように口へ放り込む。
口の中に懐かしい味が広がる。懐かしさと、あと他に何かが混じった味。
「…よく気がつくよなあ、ギョンスは」
「こんなことくらいで、なんですか」
はは、とd.oは笑う。
「そんなことないよ。…ギョンスと付き合える子は幸せだよ」
「なんですか、やめてくださいよ」
ほのかに顔を染めてd.oは更に笑った。
はー、と肩を上下させてシウミンは大きい溜め息をつき、腕を伸ばして大の字になった。床がひんやりと肌に触れ、喉の奥にチョコレートが流れていく。
「…兄さん、好きな子がいるの?」
おそるおそる、と言ったようすでd.oの声がシウミンに降ってくる。
好きな子?
初めて耳にしたように、シウミンはチョコレートと一緒にその言葉を飲み込んだ。
好きな子なんていない。ずっと。
「…いねーよそんなのー」
「…ほんとに?」
シウミンは目を閉じていた。まぶたの上の蛍光灯が弱まった。目を開けると、d.oの顔があった。
「うわっ」
思わずシウミンは腕を顔の前で交差させた。しゃがんでシウミンを覗き込んでいたd.oは、笑いながら言う「そんなに驚かなくても」。
シウミンは起き上がり、頭をくしゃくしゃとかき混ぜて目を伏せた。
「驚かせんなよー」
「…兄さん顔が真っ赤だよー」
笑いながらそう言ったが、頬から耳、首へと色を持った兄貴分の戸惑いを見て、d.oはなんとなくそこに踏み込んではいけないものを感じる。
「からかうなって」
タオルを取って頭から被る。
目だけ出したシウミンは、どんなに筋肉質な体付きをしていても小学生のようだ。同じような印象を持たれやすいd.o自身でさえも、年上なのに悪いなと思いつつ、恥ずかしがるシウミンを愛らしく感じた。
「兄さんだって、付き合える子は幸せだよ」
シウミンは近くでゆるい体育座りをしている弟分を見た。何故か慰められている自分が情けなくてますます顔に血が上った。眉がおかしなかたちに歪む。
「ほんとだよ」
近くでいつも聴いているのに、いつ聴いても初めて聴くように心のうずく声が、シウミンの胸に水滴を落としたように広がった。




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20160718

受容について 9
仕事終わりの夜、メンバーの大半がマネージャーとともに中華料理店での食事を楽しんでいた。
皆疲れてくたくたであったが、若さと生来の明るさと仲の良さで和気あいあいの雰囲気がテーブル全体を包んでいた。
化粧を落とし、クマができつつもさっぱりと素のままの顔をさらした面々が、目の前に並んだ大量の料理をすごい勢いで胃に納めていく。オレンジや赤、緑、茶色に光る皿の上のもろもろが、青年たちの油で輝く唇の間へと消えるさまは圧巻だった。
「あーご飯お代わりしたい」
ベッキョンが言う。
「俺も」
チェンが同調する。
「じゃあ頼もうぜ。すみませーん」
チャニョルが叫ぶ。
隣り合って座ったスホとセフンは大量の水餃子を口に運び頬を膨らませながらタレの味比べをしていた。
「やっぱりラー油は絶対いるよ」
セフンは悪い滑舌をますます悪くして訴える。
「俺は…あ、そういや、ギョンスたちって今日帰ってくんの?」
スホは思い出したように逆隣のマネージャーに尋ねた。
「ミンソクとギョンスは…どうだろなあ。かかるんじゃないか。朝になるかもなあ」
眉間を寄せて答えるマネージャーに、ふーん、とスホも眉間にシワを作り、
「じゃあ、この水餃子もっと頼んで、持ち帰りにしてもらおっかあ」
と言い、また新たなひとつを口に放り込んだ。もぐもぐ口を動かしながら、
「お土産になあ。なあ?」
セフンに視線を向けてスホは同意を求めた。マネージャーも「そうだなあ。精をつけるためにもなあ」とうんうん頷いている。
「ミンソク兄さん最近ちょっと痩せてるもんな。絞ってんのかも知んないけどさ」
セフンの逆隣のチェンが言う。
「そうかな?」
相も変わらず食べることに余念がないセフンはチンジャオロースをご飯に乗せて口に頬張りながら答える。
「うん、ちょっとげっそりしてるよ。お前鈍いなあ」
チェンもチンジャオロースを取り、肘でセフンをつつく。
「そんなことないよ」
少しムッとしたようすでセフンは反論する。
「ギョンス兄さんがいなくて寂しいからって俺にそういう態度はないだろ」
「な、なんだよ。なにが」
むせたチェンが口を閉じたまま咳をして、顔が赤くなる。
「こないだ夜中にふたりで音楽聴いてたでしょ。俺ギョンス兄さんがジョンデ兄さんとこ行くの見たもん」
まだ咳をしながらチェンの顔は真っ赤で、それでも途切れ途切れ言う。
「それはちょっと、練習したりとかで」
「ふーん。寝不足はよくないんだぜ」
「うるさいよ。お前に言われたくない」
ようやく咳はやんだが、首の筋まで赤くして、チェンは拗ねたように顔向きをなんらかの討論を重ねるベッキョン、チャニョル、カイの方に変えた。どうやら内容は一番ご飯に合う中華料理の炒め物らしかった。
「そういやさ」
スホはセフンに再び思い出したようすで言う。
「お前今度俺の女友達と会う?」
唇をテカらせてスホはセフンを見た。きょとんとしたセフンは「へ?」と間の抜けた声を出す。
「俺今度女友達に女の子紹介してもらうんだけど、俺の友達の方、お前どう?可愛いよ、俺と同い年だからちょっと年上にはなるけど。性格もいいし」
「…なんだよ突然ー」
にやにやと笑みを作ってセフンはスホを小突く。
「いやーなんかお前にもそういうのあった方がいいかなって。俺思ったんだよ。逆に不健康だろ、少しは遊んで発散しないと。若いんだし」
「…えー…別に…俺…」
手元のご飯を箸の先に乗せてセフンは俯いた。
「みんな心配してんだよ。お前は一番下なのもあってさ」
「みんな?」
セフンの手が止まる。
「みんなって誰?」
多少詰問の口調になって顔を向けたセフンに、スホはわずかに驚きを示して視線を合わせた。
「…みんなはみんなだよ。なんだよ、どうしたんだよ」
我に返ったセフンは、「あ、そう…。なんでもない」とぼそぼそ呟いた。
気を取り直し、更にスホは言う。
「とにかく、行こーぜ。楽しいよきっと」
ぽんぽん背中を叩いて、笑顔を作るスホに視線を向けず、セフンは「んー?んー…」と言葉を濁す。
マネージャーがメンバーを見渡して感じ入るように言った。
「あのふたりがいないと一気に可愛さレベルが下がるなあ」
セフンとチェンがマネージャーを振り向き、なんとも言えない目で見、他の者が一斉に不満や抗議、賛意の声を挙げた。そうして賑やかなまま夜は更けていった。




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20160718

受容について 10
目の下に真っ黒なクマのできたシウミンが、口をぽっかり開け、枕を抱きかかえてベッドに倒れ込んでいる。いびきに近い寝息を立てて、真昼間、彼は気を失ったように眠っていた。
ようやく帰ることのできる段になった時間は早朝と呼べる頃を過ぎていた。
やはり。俳優という仕事はシウミンの何もかもを疲弊させた。やれるだけのことはやっているつもりだが、それがまったく足りたものではないということも感じていた。重い体をなんとか自分の部屋まで持って来て、朝日の中シーツの上に投げ出した。
口の端からよだれを垂らし、シウミンはそうして休息の中にいた。
自分の背中に何かが乗ったような気がした。手か?大きい、温かい。
「兄さん」
軽く体を揺すられる。シウミンは、ああ、夢ではないのだ、と、青白い顔を枕に付けてない方へ動かした。
セフンの顔があった。
眠りながらも予感を拭えなかったシウミンは、睡眠不足と疲れとストレスで目の奥がじんじんと痺れた。
「……お前……仕事は…」
目をほぼ閉じてシウミンは問い掛けた。くるりと体を仰向け、目の上に片腕を乗せる。
「昼から。ねえ」
セフンは片眉を心持ち歪めてシウミンを再度揺らした。
「…頼むから……寝かせてくれ……」
目を隠したままシウミンは呻く。
「なあ。…スホ兄さんに俺に女の子紹介しろって、言った?」
半分眠っていたシウミンは急に脳にスイッチが入ったようになった。
腕をずらし、セフンを見ると、いつになく不機嫌そうと言っていいような表情を浮かべている。ベッドに腰掛け、顔を少し俯けて横目でシウミンを見つめる。
「…スホ、なんか言ってたのか?」
「なんかって?」
シウミンはのっそり起き上がって、ベッドヘッドに体を預けた。
「……友達と会うとか、そういうのに誘ってきたのか?」
「そうだよ。明後日とか言ってたよ。なんでいきなりそんなこと言い出したんだか分かんないよ」
セフンは角ばった体をシウミンに向かって乗り出した。
「兄さんが言ったんでしょ。俺に紹介してやれって」
眉根を寄せ、大人びた顔に更に陰を持たせて赤ん坊のようにむずがる年下の大男を、シウミンはまっすぐ見た。
「…うん。言った」
セフンは舌打ちをし、視線をそらした。
再び斜にシウミンを見る。
「なんで」
「……彼女、欲しいだろ?」
シウミンは自分の手のささくれを引っ張った。ああ、血が出たりしたら絆創膏を貼らなければならなくなる。撮影があるから駄目だ。シウミンは指先の力を加減する。
「何言ってんだよ」
「欲しくないのか?」
視線を合わせる。
「…兄さんがいるじゃん」
「……何度も言ってるけど、お前のこれは恋愛感情じゃないんだよ。…俺たちは全寮制の男子校にいるみたいなもんで、ほとんど何も自由にはできないから、近くにいる人間に、…そういう衝動や感情をしかたなく抱いちゃうんだよ。まったく嘘の気持ちじゃないかもしれないけど、でも本当の女の子とちゃんとプライベートでたくさん会ったら、お前も変わるよ」
「そ」
「そんなことあるって。な、会ってみろよ。…俺が悪かったと思ってる。お前をきちんと突き放せばよかったのに、…なんか、できなくて、ずるずる」
「悪かったって」
「うん、俺が、悪かったんだよ。夏で、なんかすげー暑くて、お前がアイスを俺にふざけて………。それを強く止めればよかったのに」
あのときも、チョコレート味だった。シウミンはふと思い出す。
「お前によくないよ、こんなの。……俺も忙しくて、それこそ、お前に付き合う時間もないよ。今日だって、今寝てたけど、もうしばらくしたらまた撮影だし。…な、もう、やめよう。みんなにばれるのだって、やだろ?」
シウミンはそっと、ベッドに置かれたセフンの手に自分のそれを重ねた。
猫背になっていた体をわずかに起こし、セフンはシウミンの顔をじっと見た。
そして、視線を外して前を向いたかと思うと、何も言わずに立ち上がり、そのまま振り向きもせず、部屋を出て行った。
ドアが静かに閉まると、シウミンはベッドの上に放り出された左手を見た。
日が高く昇り、カーテンなどひいている意味がないかのように、シウミンをさんさんと照らす。ベッドに胡座をかいて、痛みを感じる心臓のあたりを、握り返されることのなかったその手でさすった。




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  • ミス・レモン
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