海の底、森の奥

- EXOの二次創作とオリジナルのBL小説を中心としたブログです。R18表現あり。お気軽にどうぞ。

20170517

明星によせて 1(東方神起・パラレル長編)
灰が落ちた。
青い絵の具をひと垂らし落とした水のような空の中を、燕が切るようによぎる。
筒状の灰皿に消えた煙草の先から、その気配にユンホは視線を上げた。
晴天が、彼は大変に好きだった。雲はほとんどなく、その薄い青を仰ぎながら唇に淡い笑みを知らず乗せる。
クリーム色の制服から伸びた、既に日焼けしたような肌の色の濃い腕の、手との付け根にあるごついスポーツウォッチをユンホは肘を曲げて目に映した。
休憩はおわり。
短くなった煙草を、名残惜しげに強く吸い込む。火がじじ、と朱に光り、肺の中にまんべんなく煙が渡る。もういちど何かしら横切らないかと、ユンホはまた、口のすきまからエクトプラズムのようにあやしげな色の付いた煙をたなびかせながら、頭上を見た。

軽快なメロディが室内を流れていた。
「はーい、今日はシュークリームでーす」
 ユンホのすぐ上の先輩に当たる女性スタッフが、笑顔で大きな声を響かせる。
 盆に載せられたふんわりした洋菓子が、ユンホを含めた数人のスタッフによって、席に着いた年を重ねた入居者たちに配られていった。
節の張った、懐かしいカットとデザインの、タルトに乗った果実のような色の石の乗った指輪をいくつかはめた両の指を合わせ、体のすべてが白に近くなった女性が、顔に皺を寄せてふっくら微笑む。
「なんでか分からないけれど」ユンホはいつも、その手の美しさと、発声の豊かさにはっとする。「この、安っぽい味がたまらなく好きなの」
 目を合わせると、いたずらをたくらむような含みを持った、色のあせた瞳は、しかし非常に光っていた。唇にはやはり、これ以上ないほどの甘い笑み。
かがめていた腰を上げながら、春はもう過ぎ、夏が来るなとユンホは思った。



つづく



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20170518

明星によせて 2(東方神起・パラレル長編)
卵色のクリームには黒い粒がいくつも入っている。
それがなんなのか、ユンホには未だによく分からない。胡麻だろうか。そんな味はしないけれど。まさか、胡椒?
ただただ口の中を甘さで満たし、むわりとした食感も楽しんだ。皮はしっかりとした弾力もかりっとした歯ざわりもなく、ゴムのような感触を残して胃の方へぐぐと消えていく。
立ったまま、従業員スペースでコーヒーと共に、配ったものと同じ焼き菓子を頬張っていた。
「甘いね」
 顔をしかめて、先輩の女性が言う。そしてすぐ、隅が焦げ茶に光る、深い黒色の液を溜めた自身のマグを口に運ぶ。
「おいしいですよ」
「きみはなんでもいいんでしょ」
 ずず、と音を立てる彼女に、まあ、確かに、と歯を見せた。来客でーす、の声が、スタッフの元に届き、顔を皆、上げた。

シルエットですぐ、誰が来たか分かった。
まず通常の客と、高さが違う。
 頭の位置がドアのてっぺんにこれほど近いのは、ここに足を踏み入れる人物の中では従業員のユンホと、訪問客の彼だけだった。
柔らかい、夕刻の光が入り口から射し、そのなで肩を金色に縁取っていた。こちらを向く顔は、薄墨色に染められている。
「シムさん」
 どうも、とシムは頭を下げた。
いつものようにスーツを着、少し癖のある髪の毛を目に近いところまで伸ばしていた。隙間から見える眉は、何故かいつもちょっと困惑したように、眉間で上に上がっている。
「これ」
 手に持った大きな箱の入っているらしい紙袋を、長い腕でユンホに差し出す。
「皆さんで食べてください」
「いつも、すみません。こんなお気遣いなさらなくて結構なんですよ」
 言いながらユンホはそっと両手で受け取った。重い。従業員と、入居者の分すべて、これまでのときと同様、その中には収められていると分かるほどに。
「ありがとうございます」
 意味そのままの気持ちを込めて言葉を発し、まなざしを向けた。
視線を外しているシムは更に眉頭を上げ、軽く首を横に振った。
「祖父、起きてますか」
「あ、はい」
 フロアに進もうと踵を返すと、若い女性スタッフがシムをこっそりと見上げているのが目の端に映った。ユンホは唇の片端を思わず優しく上げながら、どうぞ、と促した。



つづく




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20170519

明星によせて 3(東方神起・パラレル長編)
大広間を見渡しても、シムの祖父はいないようだった。
 長身の男ふたりは、灯台のようにその頭を左右に振り、目当ての人を探したが、やはりどうやら部屋だろうと揃って考え、
「行きましょう」
と、一拍早く訪問者が言った。
 果たして個室に彼はいた。
椅子に座って窓の方を向いていたかなり年配の男性が、返事のあと入ってきたふたりに対し、ゆっくりと振り向いた。
「お客様ですよ」
 ユンホが白い歯を見せて告げる。
「おー」
「おじいちゃん」
 祖父に呼びかけるシムの声音にユンホは毎回、少し驚く。同業以外にこんな声を出す大人の男と、あまり接したことがなかった。
「本持ってきたよ」
「んー」
「はい」
 紙袋はもうひとつあったのだ。
西日が強く空を照らしているのが皆分かる。灯りの灯されていない東向きのこの部屋に、濃い橙が広がっていた。
部屋の主は、顔だけ見ればその孫とあまり似てはいなかった。だがそのなだらかな肩の線、長い手足、腰から背中で曲がってはいるが高い上背は、明らかに遺伝として子孫に受け継がれていた。
ひどく神経質そうな表情を常にしている老人は、眼鏡に触れながら青年が近寄るのを見上げた。
「チンギス・ハーンとハプスブルグ家にしてみた」
 がさがさと音を鳴らして、窓に面した机にシムは袋を置いた。
「へえ」
 ユンホは静かに後ずさりして、カクテルのようにグラデーションを展開する小さな部屋を音もなく出た。



つづく


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20170520

明星によせて 4(東方神起・パラレル長編)
従業員ルームに戻り、シムから受け取った紙袋をテーブルに置きながら、
「シムさんからです」
とユンホは言った。
「あれー、また」
「はい」
「なになに」
 そこにいたスタッフ数人が集まり、紙袋や中身を見て、口々に話し出した。
「これデパートのだよ。すげー人気あるやつ」
「私食べたことない」
「俺ある」
「チョンさん、前それパクさんたちが集まってたときも言ってたよね」
「うん、これめっちゃうまいっすよ」
「確かそのときもシムさん来てたよ。私シムさんのお土産受け取ったときそこにいたもん」
「そうだっけ?」
「なんだっけこれ、そうだ、なんか苺のペーストがパイ生地みたいなのにサンドされたやつ。これ期間限定なんだよね。春にしか売らないの。もう終わるんじゃない、販売」
「そうそう」
「語ってたよ。なんかテレビでやってたのかな、そのとき。また食べたいっすーとか言っちゃってさ」
「あ、ほんと…」
「食べれてラッキー」
「あと絶対さ、シムさんて賞味期限結構遠いやつ買ってきてくれんだよね」
「そうそう!まじで助かる!」
「これも多分日持ちすんじゃん?」
「気が利いてるよね。チョンさん、見習いなよ少し。年上でしょきっと、きみ」
「はあ」
「しかもすごいなんか甘い顔立ちしてますよね」
「ねー。あんな人見たことないわ」
「目の保養になるんですよね」
「あんた見すぎだよ、いつも」
「だってきれいじゃないですか」
 コーヒー片手に会話の尽きない同僚から目を逸らし、紙袋の中の、赤い苺に葉の巻きついた絵の描かれた箱のパッケージに、ユンホは視線を落とした。
去年目にしたのと同じそれを見下ろしながら、その味について話したときのことを思い出そうと記憶を辿った。が、やはりひどくぼんやりしていた。



つづく



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20170521

明星によせて 5(東方神起・パラレル長編)
呼び出しのコール音が響いた。
「あ、シムさんとこだよ」
「あれ」
「行ってきなよチョンさん」
 言われるがままに部屋に向かうと、そこにはもう若い方のシムの姿はなかった。
年長のシムが立ったままスタッフを待っていた。目だけですべてを語れそうに、豊かにうろうろと瞳は動き、ユンホはそれを見つめながら彼に近付いた。
「あ、ありがとう」
「どうしました?」
「こいつ忘れたんだよ、あいつ」
 そう言って、節くれだった長い指で掴んだ銀縁の眼鏡を、ユンホに渡した。
「多分まだそこらにいるから、できたら渡してきてほしいんだ」
「あ、分かりました」
「手間かけてすまないんだが、頼みます」
 返事と共にこくりと頷き、ならばと、早速軽く走ってユンホは部屋を後にした。
 入り口に向かい、受付にいた事務の同僚に、シムさんは?と尋ねる。
「さっき帰られましたよ」
「ありがと」
 そう言うとさっさとまた走り出した。
施設の周りはあらゆる緑に囲まれている。
一般道までも距離があり、曲がりくねった柔らかな道を通り抜けないと、門からは出られない。日は落ち、すっくと立った棒の先で丸い灯りが光っていた。
植物のにおいがユンホの鼻に入り込む。自動車が時折走り抜ける音だけがあたりに響く。
車道横の歩道を歩いているシムの細長い後姿を見つけた瞬間、大声を上げた。



つづく


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20170522

明星によせて 6(東方神起・パラレル長編)
「シムさん!!」
 ちょうど街灯の下、スポットライトのように丸く光が円を描いた中に立った男の体のいちばん上が、動きを止めた下とは逆に、回転した。
ユンホは自分を向いた大きな目、その表面に浮く粒のような輝きを見て、何度も思っては嘆息しそうになるような感慨をまた抱いた。
漫画の中の人間みたいだ。
振り返ったシムは体の前をユンホに向けた。
「…チョンさん」
 口に笑みを広げながらユンホは足を前に進めた。そうして言った。
「よかった、いて」
「…僕、なんか忘れましたか」
 相変わらず眉は漢字の八を描きそうに傾斜している。
「そうなんです」
 手に握り締めたままだった華奢な眼鏡を、ユンホは相手のいる楕円の中にみずからの足を入れて答えながら、太い、褐色に近い色の腕を伸ばして、見せた。
「シムさんが気付かれて」
 ふたりの周りはどんどん色を失っていく。
互いが互いしか見えなくなりそうになりながら、シムは届け物を受け取った。
「…すみませんわざわざ」
「いえ、よかったです間に合って」
「正直助かりました」
「ほんとですか。おじいさまに感謝ですね」
「そうですね。それ以上にチョンさんに感謝です。ほんとうにありがとうございます」
「いやいや。大したことじゃないです」
 シムは視線を外していた。たいていの場合と同じように。
ユンホが穴の開きそうなほど、その珍しい顔立ちにじっと見入りながら会話を進める間、ほとんどシムは斜め下を見、唇の端をわずかに上げて応じていた。
いつもなんだか不思議だなと、ユンホは感じながら話しかけた。俺のどこかが気になるのかとすら、あまり細かいことを意識しないユンホであっても、考えてしまうようなバリアのようなものがシムにはあった。



つづく



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20170523

明星によせて 7(東方神起・パラレル長編)
上と下の膨らみの度合いが同じ唇が、間を作ったのを目に留め、ユンホは急いで言葉を探した。
「さしいれ」
 ようやく目が合ったとユンホは思った。
ぴかりと星が瞳の上に乗っている。
「ありがとうございました」
「…いえ」
「いつも、ほんとうにすみません。ご負担になるんではないかと、心配で」
「そんなことないですよ。祖父にもという意味もありますし」
 再び目はユンホから逃げる。
「あれ、好きで」
 下がっていた顎が戻る。伏せたまつげが逡巡している。
「そうですか。よかったです」
「すごく好きで。だからとても、嬉しかったです」
 訪れた。
ユンホの小さな目の中は、黒目が所狭しと詰まっている。どこまでもただ、一色の、凪いだ湖のようなたたずまいの瞳。だがシムのそれは違う。その中は渦を巻くように色を刻々と変え、ただそれだけで唇や舌のように何かを語った。
「…そんなに喜んでもらえるなんて」
 苦笑を覗かせシムは言う。
「シムさん」
「…はい」
「もしよかったら、このあと飲みに行きませんか」
 シムの顔から笑いが消えた。眉が困惑を示して傾斜を深め、下の歯がわずかにユンホにさらされた。
「突然ですけど、差し入れ、いつもほんとに嬉しいんで。そのお礼が少しでもしたくて」
 目を泳がせるシムはやはり何も言わない。
「それにシムさんみたいな、僕と歳の近い男性がこうしてよくいらっしゃるってこと、そんなにないんで。前からお話ししてみたくて」
 努めて明るく、腰に手を当ててユンホは言った。内心かなり焦っていた。シムのような人間を相手にしたことはあまりなかった。
「どうですか。駄目ですかね」
 上目で尋ねる。
その目に焦点をシムは合わせた。



つづく




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20170524

明星によせて 8(東方神起・パラレル長編)
「…これからですか」
 車が行き過ぎる。するとふわっとシムの体がより浮かび上がるようにはっきりとユンホの目に映った。
「はい、ちょっと待ってもらうとは思うんですけど、でもそんなにはかかんないんで。あ、シムさん、これからまた仕事ですか?」
「…いえ」
「そうですか、なら、どうですか?あ、飲めなかったりしますか?」
「…や、飲めます、普通に」
「じゃあ、是非」
 そしてユンホは見事な半円を口で描き、並んだ歯を見せてシムに向けた。
 明らかに当惑を顔、態度に出しているシムであったが、すぐの拒絶がないということはよい兆候である気がすると、ユンホは動物的な勘で察知していた。シムは実際、非常に意思表示が明確なタイプであり、これまで施設を訪れた際伝えられた質問や要望を思い出し、ユンホはもしいやならきっと既になんらかの断りの言葉を彼が発しているはずだと思った。そういったことをなんとなくではあるが記憶し、判断できるくらい、ユンホはシムに興味があった。
「…そうですね」
 口元に微笑と呼べるものが添えられているのを、ユンホは捉えた。
「これ、ないとほんとうに困ったので。届けていただいたお礼ということで、僕がご馳走しますよ」
 指の中に包まれた金属製の眼鏡を、肘を振るようにして掲げ、それを見下ろしながらシムは言った。
「いや、俺がおごりますって」
 手を振り振り言い返す。
 視線をユンホの顔に戻し、シムは常のように眉頭を額に寄せた。
「押し問答になっちゃいますね」
 そう言ってはは、と軽く笑った。
 間違いなく、笑っている、と言える姿を見たのは初めてかもしれないと、ユンホは思った。



つづく




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20170525

明星によせて 9(東方神起・パラレル長編)
シムが初めて施設にやってきたのは、彼の祖父が入居して数週間後のことだった。
夏が終わった頃だったと、ユンホは記憶している。まだ半袖を着ていた。
彼がその姿を現したとき、そこにいたメンバーすべてが驚きで軽く絶句した。
まずその背の高さに。そして顔立ちの珍しいほどの美しさに。
見上げる面々は、その顔の位置と、中身の覚えのない輝きに、目と口を大きく開いたまま彼と会話を途切れ途切れに行った。
手足が長く、スーツの丈が少々足りていないのがすぐ見て取れた。
そんな容姿をしたシムは、大変な低姿勢であった。何度も頭を下げ、話をし出すと、相手の言葉をひとことも漏らすことはなかった。表情がまた、常にはにかむのをこらえているといったふうで、思わず相手の微笑を誘った。
鼻にかかった声はとても通りがよく、おじいちゃん、と意識して大きめに、はきはきと出す言葉は、フロアにしっかりと響き渡った。
ユンホは祖父である方のシム氏を迎え入れたときから彼とよく話をした。男性スタッフは女性より少なく、彼が多少女性相手だと気詰まりを覚えるタイプであることが理由のようだった。
孫がいることも聞いていた。この近くで働いていると、おそらくそのうち来るだろうと。
そのやり取りをしてからすぐ、その当の孫は来た。
ユンホも例に漏れずシムを―――区別するため今後チャンミンと記すが―――初めて見たとき、想像していたその姿と相当かけ離れていたため、目を丸くし、自身の驚きを隠さなかった。チャンミンとシムはそれほど顔立ちが遠かった。
何より目である。
誰もがその目は、実生活で関わりある人の持つものではないと感じた。何か遠い、異国の誰かの持ちものだった。
女性スタッフや、年配のご婦人方は、彼に色めき立つというより、ありがたい、何かご利益のあるものを拝むという感覚で彼に接した。現実味がなかったのだ。
それにチャンミンは、誠意ある人物であったが、愛想があるというタイプではなかった。腰は低いが、言いたいことは言う。より多くの女性陣に好かれたいという欲求はないようで、性別で態度が変わるということが皆無だった。
月に何度か、彼は手土産を携え訪れた。
きちんきちんとそうして訪問を行うチャンミンは、あらゆる意味で理想的な入居者の家族であった。彼が来ると、人間や、この世も捨てたものではない、という感じが、特にスタッフの間で流れた。まっすぐに背を伸ばして入り口に姿を現し、祖父に向かって一言一句間違うことのないよう伝えようとするチャンミンは、特にユンホに新鮮な感動をもたらした。



つづく



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20170526

明星によせて 10(東方神起・パラレル長編)
チャンミンが祖父を訪れるようになって半年以上が経っていた。
ユンホはその間、チャンミンと長い時間言葉を交わしたということはなかった。
シムに会う前、そして帰り際、何かしらスタッフ側に伝えたいことがあるとき、チャンミンはユンホをスタッフルームから少しの間呼び出した。声を抑えて事情や要求を話すと、そのまままた深くお辞儀をし、去っていく。チョンさん、と声を掛けてくるのは、シムがユンホともっとも多く接していると、シム自身が話したのだろうとユンホは考えていた。事実そうであり、チャンミンの訪問はユンホに向けてその旨が伝わってくると言ってよかった。
 長いまつげを伏せてチャンミンはユンホのごく近くで祖父について語った。
ユンホはこんなにも足や腰を曲げたりせずに、立ったまま、顔の近い相手と会話することなど稀であると、そのたびに思った。時折、探るような目でこちらを見られると、どきりとした。よろしいでしょうか?よく、そう問われた。
帰る後ろ姿を見送りながら、どんな人なのだろうとユンホは思った。自分の友人たちとはまったく異質な存在であると、会えば会うほどに感じていた。
シム自体が独特な老人であった。
本が好きで、日がな一日読んでいる。テレビはあまり見ない。社交もそこまで好まない。仲のよい入居者もいないではないが、ひとりでいることをいちばんに選んだ。
妻が死に、リウマチが悪化したことで、長男夫婦が同居を勧めたが、それを断りみずからユンホの勤める施設に入ってきた。手続きもほぼすべて彼自身が行った。
彼と話すと、ユンホは自分が非常に会話が不得手であり、知識も少ないことを自覚させられ、落ち込むというより意識を向上することができた。時に勘違いしたふるまいを行いそうになってしまうのがこういった職種であるが、それを諌める役割をシムはしてくれた。
「そうだね」
 よくシムはこう言った。
「それは皆に話す前によく考えてみないといけないことだね」
 少しの間ユンホと会話したあと、また椅子に腰掛けた老人は眼鏡を掛け、チャンミンの持ってきた本を繰るのだった。



つづく


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  • ミス・レモン
ようこそお越しくださいました。
EXOのメンバーを登場人物にした二次創作BL小説や、オリジナルのBL小説、好き勝手なことを綴った雑記などを置くブログでございます。
内容を読んでのコメント、メッセージなど、いつでも心よりお待ちしております。
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