海の底、森の奥

- EXOの二次創作とオリジナルのBL小説を中心としたブログです。R18表現あり。お気軽にどうぞ。

20160907

ボナペティ 11
食後のデザート、と言ってチャニョルの母が桃やぶどうを山のようにガラスの器に盛って出して来たのを、チャニョルは部屋で食べる、と受け取り、ギョンスの背中を押すようにして階段を上った。
その背後から、「お茶も出すから、取りに来なさいー」と、また歌声のような声が掛けられた。
2階に上がり、いくつかある部屋の内のひとつのドアを、チャニョルは開けた。
「入れよ」
お邪魔します、と言いながらギョンスはその中に足を踏み入れた。
なぜだか少しどきどきした。
友達の実家の部屋に遊びに来る、ということが、久々かもしれない、とギョンスは思った。
きょときょととあたりを見回しながら、ギョンスは中へ入って行った。
そこは本当に、チャニョルそのものといった部屋だった。
あちこちに好きなバンドや映画のポスターが貼られ、大きな本棚にはあらゆる大きさの本がぎっしり詰まっていた。
カーテンがまだ開いており、窓辺に大量のフィギュアが置いてあるのが見えた。
ロボットや怪獣やアメコミヒーローが所狭しと飾られている。
部屋全体の色は黒が基調で、ギョンスからすると少々猥雑だと感じる柄で溢れていた。
それはいつものチャニョルの格好と同じだった。
ゆっくりと首を動かし、立ったまま見入っていると、後ろからかしかしかしかし、という先程耳にした音がまた聞こえてきた。
振り返るとチャニョルの足元ににっこにこの犬がいた。
しっぽをぶんぶん振って、チャニョルとギョンスを交互に見た。
「ブラン」
「ブラン」
ギョンスはチャニョルの言葉を繰り返した。
それを聞いてチャニョルがギョンスに目を向けると、顔を緩ませ、口の端に甘やかな笑みをたたえた。
「うん。ブラン。オス」
そう言って頭を撫でた。
「そう。おいで」
ギョンスも自然と笑みが浮かび、腰を曲げて手を差し伸べた。
ブランは嬉しそうにギョンスに近寄り、しっぽの動きの速度を上げた。
しゃがんで彼を撫で回しながら、
「可愛いなあ」
とギョンスは言った。
白くてふわふわで、むっちりしていた。
目と鼻は濡れたように真っ黒だった。
言葉で表す以上に、ギョンスはその愛らしさに心打たれた。
その場に座り込むと、ブランも一緒に腰を下ろした。
するすると腹を床につき、ギョンスに寄り添うようにして、頭を差し出し、撫でられていた。
チャニョルは黙ってそれを見下ろしながら、小さなテーブルの上に皿を置いた。
「チャニョルー」
母親の声が下から響く。
「お茶ー」
ギョンスはこの家の人たちは皆素晴らしい声をしているんだな、と改めて味わうようにその反響を楽しみながら、ゆっくり手をブランの頭の上で動かしていた。
「分かったー」
階段に向かって叫ぶと、首を振り向けて、ちょっと待ってて、とチャニョルは言った。
「うん」
ギョンスとブランは一緒にチャニョルを見上げた。どちらも淡く微笑んで。
数秒それを黙って見つめると、チャニョルは階段を下りに足を進めた。



つづく




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20160908

ボナペティ 12
麦茶を注いだグラスふたつと米菓を盆に載せ、チャニョルは部屋に戻って来た。
ギョンスはブランと話していた。
「何歳なの」
ブランは既に腹を見せ、そこをギョンスの指でくすぐられていた。
「まだ若いな、お前」
ふかふかの毛並みと筋肉の付き方と表情から、ギョンスはそう判断して更にブランに向かって言った。
「ほんとに、いい子だな」
まるで自分がいないかのように話し続けるギョンスを、チャニョルはテーブルに盆を置いて扉を閉め、しみじみと見つめていた。
「散歩はもう、済んだの」
相変わらずブランに向かってギョンスは尋ねた。
散歩、という響きに耳をぴくりとブランはさせたが、体を起こしはしなかった。
「そっか、行ったんだな。お姉ちゃんと?」
指先でさわさわと掻くように、ギョンスはブランの腹をさすった。
チャニョルはその隣で胡座をかき、ひとりと1匹を見守った。
「………今日は母さんと行ったよな、きっと」
そう小さく零すように言いながら、ギョンスの手の下あたりのブランの腹に、チャニョルも自身の手を置いた。
「そっかー。よかったなあ。お母さん好きだろう?」
ギョンスは目を上げず、ただブランの顔を見下ろし続けた。
その顔は溶けるように笑みを広げており、チャニョルは覗き込むようにしてギョンスを見た。
ぱ、とギョンスは顔を上げた。
若干驚いたチャニョルは、弾かれたように自分の顔もまっすぐに起こした。
テーブルの上を一瞥し、チャニョルの顔に目をやると、口にはまだ笑みを浮かべて、
「お茶、ありがと」
とギョンスは言った。
「うん」
チャニョルはベッドの上に乗っかっているクッションや座布団類を引っ張って、ギョンスにこれ、敷いて、と差し出した。
言われた通り尻の下に敷き、クッションをひとつ抱えて、ギョンスは腹ばいになったブランの背中をまた、撫でた。
自分の分の座布団を敷き、座り直したチャニョルは、
「これ、食べろよ」
とテーブルの上の皿やグラスをギョンスに寄せた。
「うん」
と答え、ギョンスは見るからにみずみずしい、薄い黄色の剥かれた桃や、深い夜の色に光るぶどうの粒に目をやった。
手を伸ばし、口に運ぶギョンスのようすを、黙ってチャニョルは横目で見た。
膨らんだ、開く直前の花の蕾のようなギョンスの唇が、桃の汁で濡れるのを捉えると、そっとチャニョルは目を逸らした。
グラスを取って中を含むと、声音を変えてチャニョルは言った。
「ごめんな。母さんと姉さん、うるさくなかった?」
明るい、ざっくばらんな雰囲気で、チャニョルは笑顔をギョンスに向けた。
今度はぶどうの皮を口から出しながら、ギョンスは上目でチャニョルを見た。
「うるさい?ううん」
皮用の小皿をギョンスに渡しながら、チャニョルはそっか、とどこか後ろめたそうではあったが、まだ笑って、言った。
「いいな、お前んち」
ギョンスはまっすぐチャニョルを見た。
「いい家族だな」
手、全体で優しくブランの背を撫でながら、そう告げるギョンスを見て、チャニョルはいっとき、言葉を失くした。
さんきゅー、と呟いたチャニョルは、ギョンスの目を見ることができなかった。



つづく




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20160913

ボナペティ 13
おかきのような米の菓子と、ぶどうを交互に食べながら、ギョンスはチャニョルに、彼の高校時代のバンドのライブ映像を見せてもらっていた。
もっと幼さの残る、あどけない顔をしたチャニョルが、小さなライブハウスでギターを弾きながらボーカルもやっていた。
完全なロックで、ギョンスは自分の趣味とは少し違ったが、それでも彼がギターを鳴らし、歌うさまを穴のあくほど見つめ、その歌詞を興味深く聴いた。
聴いたことのない曲であったので、なんとなく、バンドで作ったのだろうと思った。
クッションを抱え、腿の上にブランの顎を乗せたギョンスが食い入るように画面を見るのを、チャニョルは横目で時折盗み見た。
ギョンスの黒目と白目の境が見え、そこに昔の自分が映っているかと思うと、気恥ずかしいような嬉しいようなものすごく嫌なような、複雑な感情がチャニョルを襲った。
以前から、ギョンスはこの映像を見たいと言っており、ようやく今日それが叶ったのだった。
見て欲しい、と強く思っていたわけではなかったチャニョルは、ギョンスがこれを実際目にして、何を感じるのだろうと今更少し不安だった。
それに自分で見るのも多少きつかった。
大して前ではないとはいえ、やはり今の自分からは恐ろしいほど若く見えた。
顔立ちにろ、振る舞いにろ、格好にしろ、曲にしろ。
ギョンスの顔を照らすテレビの画面の光は、チャニョルの心をおかしいくらいうずかせた。
「もう、いいんじゃね?」
と、しびれを切らしてチャニョルは言った。
「え、これ、もうすぐ終わりなの?」
驚いたようにギョンスは声の方を向き、問うた。
その見開かれた目を前にし、チャニョルは照れて俯きながら首の後ろをぽりぽり掻いた。
「いや。まだ、だいぶあるけど」
「見ちゃ駄目なのかよ」
「……だって……こんなの……」
そう言いながら両手で首を掴むようにして、チャニョルはうーっと、唸りを上げた。
「………恥ずいよー」
耳の先が確かに色が濃くなってるなとギョンスは思い、聞こえないようふふ、と笑った。
「お前、やっぱりいい声だなあ」
そう、率直な感想をそのつむじに向かって言った。
チャニョルはそろそろと顔を上げた。
困惑したような表情をして、上目遣いでギョンスを見た。
ギョンスは唇に笑みを含めて、
「歌、うまいんだな」
と言った。
変わらずつけっぱなしになっているテレビに目を戻しながら、ギョンスは続けた。
「これ、誰が作った曲?」
チャニョルは首を抱えたまま、猫背の状態で顔だけテレビを向いた。
「………………俺」
ぱ、とギョンスはチャニョルを振り向く。
「お前?だけ?」
見下ろす目と見上げる目が出会い、チャニョルはまたさあっと頬が赤らんだ。
「…………………うん」
何を言われるんだろう、とチャニョルはかすかに焦っていた。
「すごいな」
再びギョンスはテレビを見た。
「音楽もだけど、歌詞、いいな」
意識しないまま、ギョンスはブランの頭に手を起き、ゆっくりと動かし始めた。
「ギターうまいし。ピアノも弾けるんだっけ?」
体を徐々に起こしながら、チャニョルはうん、と答える。
「なんでもできるんだな」
感嘆したように呟く、テレビから目を離さないギョンスをチャニョルはじっと、見た。
部屋の中は自分の演奏と歌で満ちており、聴いていられないとチャニョルは思う。
だがなんの他意もなく、自分を見つめ、その歌を聴き、そして褒めてくれるギョンスといるのは、感じたことのない胸の熱さをチャニョルにもたらしていた。
穏やかに眠るブランの額の上を、手で行ったり来たりしながら、ギョンスは口をまた開いた。
「この歌詞ちゃんと読みたいな。どっかに書いてないの?」
大変楽しい、と感じていると分かる、顔全体に喜びを含んだ表情で、ギョンスはチャニョルの顔を見た。
「て言うか、歌だけじゃないだろ?いろいろ書いてるんだろ、きっと」
その声には、いいことを思いついたとなったときの小さな子供のような、無邪気な響きが潜んでいた。
当然のようにギョンスは告げた。
「見せろよ」
大きなまなこをぱちくりとさせ、チャニョルはギョンスの命を耳に入れた。




つづく




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20160915

ボナペティ 14
「やだよ」
唇を尖らせるようにしてチャニョルは拒否した。
目を大きな裸足の足の上に落とし、ギョンスからの視線を見ないようにして。
「なんで」
「だから、恥ずいって。書いたの読まれるとか、やばいよ」
「だってこんなに人前で歌ってるだろ」
「これは若気の至りだよ」
チャニョルはリモコンを掴んで映像をストップさせた。
途端に部屋は、夜の気配に満ち満ちた。
ブランの寝息がふたりの間を、規則的に埋めていた。
「あーあ」
消えたテレビの画面を見つめ、心からつまらなそうにギョンスは零した。
「見てたのに」
「もうおしまい」
「見せてくれるって言っただろ」
「見せただろ」
「全部じゃない」
「全部見せるとは言ってない」
馬鹿馬鹿しい押し問答を繰り返し、ふたりはその子供っぽさにみずからそれぞれ少し呆れた。
「じゃあ、書いたやつ」
また、ギョンスは蒸し返した。
クッションを抱きかかえ、わくわくした表情を浮かべてチャニョルをじいっとギョンスは見ていた。
こういうようすのギョンスは、確かに短い付き合いではあったがあまり覚えがなく、チャニョルは新鮮な驚きを感じながらも、絶対にその要求は飲まない、と心に固く決めていた。
「駄目です」
「なんで」
本当に嫌そうな顔をして、ギョンスはクッションをばふんと足の上に置いた。
一応ブランのことは避けたが、風圧を感じブランは薄目をちらと開け、すぐまた閉じた。
「とにかく、今日は、駄目」
強固にチャニョルは言い張った。
だがやはりギョンスの方は見られなかった。
彼のいきいきした顔や不満げな顔を目にしたら、いいと言ってしまいそうな自分がいることをよく分かっていた。
「なんだよー」
珍しくわがままを言い、ギョンスは嘆息した。
チャニョルはその声のトーンに、胸がちくちくとした。
もう少しで分かったよ、と呟き、その類のものを引っ張り出してきそうだった。
しかしまだこのときは、チャニョルは自尊心の方が勝った。
「ごめんな」
別に俺悪くないけど、と、チャニョルは思いながらも、もう一方で本気でギョンスに謝っている自分がいた。
きっとギョンスがこういう態度を見せるのは、相手が誰であったとしても稀なことなのではないか、とチャニョルは心のどこかで感じていた。
そしてそれをびっくりするほど嬉しく思っているところがあり、なんとか窮地を脱しながらも、おかしなことにこのやりとり自体にチャニョルは幸せを覚えていた。
「……映画でも見る?」
やっとチャニョルはギョンスを向いた。
ギョンスは横目で、心持ち唇をへの字にしたまま声の方を見た。
ひどく幼いその姿に、またチャニョルは胸のあたりが変なふうにざわついた。
「…………何見んの」
再びギョンスはその掌でブランの頭に優しく触れた。
ブランはぷすー、と大きく口の隙間から息を吐いた。
それを聞いたギョンスは思わず笑みを漏らし、手の下のブランを見下ろした。
その、顔に笑いの広がる動きをチャニョルは口を開けて目に留めながら、何にするかな、と言って、DVDを漁りだした。



つづく




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20160923

ボナペティ 15
ふたりは部屋を完全に暗くして、「ゾンビランド」を並んで見た。
チャニョルは、これ見るの何度目だったかな、とディスクをセットしながら考えた。
それくらい、かなりのお気に入りだった。
対してギョンスは初めてだった。
タイトルから、ゾンビが出てくるのだろうか、くらいしか情報を持ってはいなかった。
始まると、ギョンスは瞬きも忘れてその内容に見入った。
そんなにたくさん映画を見ている方ではなかったが、出てくる人物全員、どこか見覚えがある気はした。
誰もがとても、適役に思えた。
ゾンビ映画というものから連想する話運びと相当違い、ギョンスは心底のめり込んでその中を漂った。
横目でそんな彼をちらちらと見て、チャニョルは満足そうにほのかな笑みを口と目の端に浮かべた。
ギョンスの隣で、ブランはひっくり返って腹を見せ、熟睡していた。
あらゆるゾンビの体が吹っ飛ばされている間、ブランは体育座りをしたギョンスの横でたまに夢を見ながら足で空を駆った。
そのたびほぼ無意識に、ギョンスは彼の腹を触った。
するとそろそろと、その脳内で繰り広げられるかけっこをブランはやめ、またただぐうぐうと深い眠りに落ちた。
チャニョルは菓子を口に入れ、なるべく音を鳴らさぬよう歯を立てながら、どんどん現実味が薄れていくのを感じていた。
ギョンスが自分の部屋にいて、ブランを撫でながら、ゾンビランドを見ている。
この部屋の中は今まさに、チャニョルの小宇宙だった。
自分の好きなものだけで溢れていて、なんだかおかしいとさえ思った。
とにかく幸せだった。
夜の色も。
ジェシー・アイゼンバーグとウディ・ハレルソンの掛け合いも。
画面を映し揺らぐように見えるギョンスの目の中も。
すべてがチャニョルの心を満たした。
もうすぐ終わりという、クライマックスもクライマックスのさなかに、ドアの向こうで、かしかしという、木を引っ掻くような音がした。
いつものことに、チャニョルは急いでドアを開けた。
そこにはちょこんと、淡い灰色の毛並みをふわふわと周りに撒くように身にまとった、グリーズが座っていた。
ギョンスは画面と扉の下に交互に目をやった。
「ほら、入んな」
チャニョルがグリーズに声を掛けると、にゃああー、と言いながら、彼女は優雅に部屋へと入ってきた。
さっさとドアを閉め、グリーズがベッドの上に飛び乗るのをチャニョルは見守り、ギョンスもそれを一瞥すると、また映画に神経を戻した。
息を詰めて最後のシーンを見つめると、エンドロールが流れる中で、ギョンスははあーと息を吐いた。
「よかったなー」
「そうだな」
「こういう終わりっていいと思うよ」
「うん」
高揚と安堵を混ぜ、目を光らせているギョンスに、チャニョルは言った。
「面白かったみたいでよかったよ」
薄暗い中でも白目や頬の照ったギョンスが、同様のチャニョルを見やると、より感情をあらわにし、答えた。
「うん。すごく面白かった」
ギョンスと視線を絡ませ微笑みながら、DVD買っといてよかったな、とチャニョルは思った。
そしてまだまだたくさんストックのあるDVDを、これからギョンスとこうして見ることができるかと思うと、未来がとても明るく楽しく甘いものに感じられ、チャニョルは思わず息を吸い込み、胸を大きく膨らませたのだった。




つづく


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20160927

ボナペティ 16
「酒でも飲む?」
ベッドの上に横たわって眠るグリーズを、ギョンスは掛け布団に頬を乗せて見つめていた。
少し低めの、ミルクティーのような色合いの鼻の頭に触れたいな、とギョンスは思っていた。
しかし睡眠の邪魔になるかもしれない、とその欲求を抑え、ただ体が呼吸に合わせてふくふくと膨らんだりしぼんだりするのを目で追っていた。
問い掛けられ、グリーズから声の方へ視線を移した。
チャニョルもギョンスのように頬をベッドの上に置いていた。
ふたりは横になった顔同士でお互いを見合った。
どちらも前髪が垂れ、額が少しあらわになっていた。
「酒?」
「うん」
「いいよ」
「そ?じゃー飲もーぜ」
表情に喜びを含めてチャニョルは言い、体を起こして立ち上がった。
「準備してくる」
「手伝うよ」
ギョンスも顔を起こす。
「いいよ。すぐだから。こいつらといて」
ベッドの上と下でぐっすり眠り込んでいる犬と猫は、ギョンスなどいないかのように、いや、まるで普段通りチャニョルと夜を過ごしているかのように、あけっぴろげに寝姿をさらしていた。
「お前好かれてんな」
ふ、と笑ってチャニョルは言った。
座ったままギョンスはチャニョルを仰ぎ見た。
「行ってくる」
踵を返してチャニョルは部屋を出て行った。
ブランはまったく反応せず、グリーズは戸の閉まる音に片目だけ薄く開けた。
ギョンスは再びベッドの上のふかふかの羽毛布団に顔を乗せた。
チャニョルのにおいがした。
ふたりはギョンスの部屋で過ごすとき、結局チャニョルが泊まるということになった日は(たいていそうなるのだが)、ギョンスが持っている来客用の布団を敷いてチャニョルは眠った。
しょっちゅう彼が使うので、チャニョル専用のように、その布団はなりつつあった。
布団をたたんで片付けようとする際、チャニョルの香水と体臭と時折ワックスの混じったにおいがギョンスの鼻を抜けた。
隣にいるときも同じにおいがもちろんした。
ギョンスは香りに敏感だった。
少し癖はあるけど、深くていいにおいだな、とギョンスは今もゆっくり深呼吸を繰り返しながらつくづく思った。
以前なんの香水を使っているのかとギョンスが聞くと、親がフランス土産で買ってきたものだと話してくれた。
たまにギョンスはチャニョルの帰ったあと、布団を片付ける前にその上に横になり、目を閉じそのままうたた寝をした。
昨夜の酒や料理の残り香がまだ漂う中、チャニョルの香水はまるで場違いな感じがした。
だがそれがなぜかとてもいい、とギョンスは感じた。
チャニョルをよく表しているような気がしていた。
目を見張るほどにルックスがよく、家族も仲良く、楽器が弾け、歌を歌い、気が利き、料理がうまいのに、それをまったく鼻にかけていない、ほんとうの意味での育ちのよさがあり、優しく、思いやり深く、ある種ひどく単純で、素直で直情的、というのがチャニョルだった。
あらゆるものがあの大きな体の中で天体の星のように瞬いていた。
ギョンスとチャニョルがふたりで「お買い徳」の安売り食材を手際よく調理し、食べ、安価だけれど味がよい焼酎をいろいろなもので割って飲むさなか、チャニョルが動くたびふわりとその体の香りが舞い、笑顔になると白い天然の石のような無垢な歯が覗いた。
そのまぜこぜな、雑多なギョンスの部屋での時間を、ギョンスは心から楽しんだし、愛していた。
自宅でそうするように、チャニョルのにおいに包まれながらギョンスはゆっくり目を閉じた。
大きな安堵が彼を覆った。
そして2匹とひとりはともに、すこやかな寝息をいっしょに奏でることとなった。




つづく




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20160929

ボナペティ 17
ぽん、と、肩に大きくて温かな何かが触れた。
は、と眠りから覚めながら、手だろう、とギョンスは見当付けた。
果たして、細く目を開けた先には、腕を自分に向かって伸ばしたチャニョルがいた。
「もう、寝るか?」
と、ごく小声でチャニョルは問うた。
その声の耳触りのよさに、一瞬ギョンスは我を忘れ、親に向かって言うように、「うん」と頷きそうになった。
しかし脳は覚醒を始め、そんな答えをすることを押しとどめた。
「ううん」
体を起こした。
横ではブランが、腕の向こうではグリーズが、眠たげな目をしばたいている。
頭をふらふらさせているギョンスを見下ろし、心持ち心配そうな表情をチャニョルは覗かせた。
「平気か?」
「うん」
寝ぼけ眼でチャニョルを見上げた。
そして唇に笑みを作った。
「ほんとに起きるのか?寝てもいんだぞ」
「ううん、起きる。もったいないし」
その言葉と言い方にチャニョルは思いがけず胸が鳴った。
顔がほころぶのをそのままに、しょーがねえな、と口では言った。
体の向きを変えると、テーブルの上には焼酎の瓶、炭酸水、氷、切ったレモン、グラスふたつ、漬物の乗った小皿が幾つかと箸2膳が乗った盆があった。
汚れた皿はすでに片付けられていた。
「ありがとな、いつも」
ギョンスは初対面からつくづく感じていたチャニョルの気が利くという長所を今も夢見心地ながら実感し、いい夫で父親になるんだろうなと想像した。
その想像はなぜだかギョンスを切なくさせた。
自分に関わり合いのないことだからだろう、と、ギョンスは結論付けながら手をテーブルに伸ばした。
「酒、作るよ」
「いいよ、俺やる」
チャニョルが体を落とし、膝をついて、酒瓶を手に取った。
「これ、父さんのお気に入り」
へへ、と悪い顔をしたチャニョルはギョンスを見て笑った。
「いいのかよ」
「いいよ。たまにくすねるんだ」
くすねるって。
その言いようにギョンスは思わず笑った。
「高いんじゃないか?」
「うん。結構するよ、多分。地方のなんだ。俺詳しくないけど」
ギョンスがグラスに氷を落とすと、その上からとぷとぷとぷ、とチャニョルは焼酎を注ぎ入れた。
かすかにとろりとしたその液体の上から炭酸をたっぷりとつぎ、レモンを絞ると、チャニョルはご丁寧に準備したマドラーでグラスの中をくるくるとかき混ぜた。
シュワーと音を立てて泡立つその中身を、ギョンスは目を見開いてじっと眺めた。
「はい」
出来上がったひとつを、チャニョルはギョンスに向かって少し寄せた。
「ありがと」
手に持つと、ひやりとした感触に、ギョンスは頭がどんどんと冴えていった。
「じゃ」
そう言いながら、チャニョルもグラスを持ち上げた。
チン、と鳴らして乾杯、とふたりで呟くと、唇にそれぞれ、酒を近付け、その芳醇な香りと味を身内で感じた。




つづく



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  • ミス・レモン
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EXOのメンバーを登場人物にした二次創作BL小説や、オリジナルのBL小説、好き勝手なことを綴った雑記などを置くブログでございます。
内容を読んでのコメント、メッセージなど、いつでも心よりお待ちしております。
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