海の底、森の奥

- EXOの二次創作とオリジナルのBL小説を中心としたブログです。R18表現あり。お気軽にどうぞ。

20160815

ことの共犯 1
カーテンを開けると、窓には幾筋もの水の跡が付いていた。
かすかに映った自分の顔から目を上げ、ジョンデは窓越しに空を仰いだ。
空と言っても雲しかなかった。
埃の塊のような、濃い雲が、頭上一面を覆っていた。
そして雨を垂らしていた。
たまらないと言うように。
ジョンデは雨が嫌じゃなかった。
と言うか嫌いな天気など、彼にはなかった。
雨の中、ちょっと高価な撥水加工のしてあるブーツを履くのが好きだし、大きく無骨な、ギョンスのくれた傘を持つのも好きだった。たくさんの骨が入り組んでいるのをぼんやり目の上に入れ、ばしゃばしゃ音を立てて歩く。
それになんと言っても、出掛けずに家にいるのが大好きだった。
水音にすべて吸収されて、あたりは薄く、翳っている。
自分の声が常より響く。
そんな世界で、音楽を聞いたり本を読んだり、うとうとしたりするのは最高だった。
しかし今日はオフではなかった。
遅いスケジュールである分、幸せと言ってよかった。
リビングにはジョンデと、ジュンミョンだけだった。
これからふたりで、打ち合わせに出掛ける。
その前の、朝食を摂るゆったりとした時間だった。
ジュンミョンは既に食べ終え、テレビを見ながらコーヒーを啜っていた。
まだ眠そうな顔をして、髪は上に逆立っている。
ニュースというより、ワイドショー的な情報番組を見つめる彼は、内容が頭に入っているんだかいないんだか、傍目からは分からなかった。
ジョンデはまだ、何も食べていなかった。
空腹を感じながら、コーヒーを取りにキッチンへ向かう。
ミンソクが朝淹れるコーヒーは、ミンソクのスケジュールと自分のそれが合った、幸運な者のみが受け取れるごちそうだ。
まだ少し、温かみはあったが、かなり冷えた残りのいっぱいを、ジョンデは電子レンジに入れた。
たとえこうしてしまっても、ミンソクが淹れたコーヒーは、それ以外とは段違いだ。
ブーンと唸り、赤く染まった電子レンジを見つめながら、ジョンデは今日も、ジュンミョンに聞こうかどうか、迷っていた。
なんと言ってもふたりきりだった。
聞かない方が、いいかもしれない。
チン!
旧式のこのレンジは、昔ながらの音で終わりを告げてくる。
何度も自問自答を繰り返しては、結局落ち着くこの結論にひとり首肯し、手には湯気の立つマグカップを持ち、体じゅうに豆の匂いを吸い込んで、ジョンデはリビングに続くテーブルへと戻った。
すると向こうには、さっきとまったく同じ格好の、魂の抜けたようなジュンミョンがいる。
ああ。
やっぱり、聞いてみようか。
ジョンデは立ったまま、コーヒーの香りに包まれつつ、ジュンミョンを眉を下げ、眺めて思う。
兄さん。
兄さんは、セフンのことが、好きなんでしょう。




つづく




にほんブログ村 BL・GL・TLブログ 二次BL小説へ EXO RANKING ⊿⊿
FC2BLOGRANKING
( korea boys rank ) Kiss&Hug.
にほんブログ村テーマ BLラブへ
BLラブ
trackback (0) | comment (0) | ことの共犯(チェン × スホ)

20160816

ことの共犯 2
ことの起こりは、セフンに彼女がいるらしいと、チャニョルが話していたときだった。
チャニョルはビッグトピックスを、自分の周りのメンバーに身振りを交えて伝えていた。
実はジョンデは気付いていた。
相手が誰かすら、知っていた。
ぜってー教えてくんねーんだよ、あいつ、と零すチャニョルを囲むのは、ジョンデと、ベッキョンと、ジュンミョンだった。
少し、ジョンデはほっとした。
この場にいるメンバーが、今のメンツでよかったと。
そう思ったのも束の間、ジュンミョンが、俺も、怪しいと思ってたんだ、と、珍しくこういう話題に乗り出した。
ハンサムな顔立ちをいつものように残念に崩し、へらへら笑いながら、あいつ、やっぱりか、などと言っている。
人に対して興味があり、それにてらいのないベッキョンは、お前、突き止めろよ、と言って、チャニョルの腹をぽんと殴った。
練習室での会話だった。
蛍光灯の開けっぴろげな照明のもと、既にとっぷりと日の暮れた外が窓から覗いていた。
ジョンデがジュンミョンを向くと、窓の中にもジュンミョンがいた。
濃紺の空の上に、ジュンミョンの反対側の横顔が映っていた。
自分のすぐそばのジュンミョンと、もう片側のジュンミョンを同時に見たジョンデは、突然、ああ、と思った。
ここ最近、感じていた違和感の謎が、解けた。
顔の中の眉と唇は、笑みと言えるものを仲間たちに向けてはいたが、ジョンデは首と体を繋ぐあたりに、異物が入ったようになった。
それでもなんとか、
「お前、幸せなセフンの邪魔すんなよ」
と、チャニョルを優しく牽制した。
分かってるよ、邪魔なんかしねーよ。
そう光るように笑うチャニョルは、ベッキョンとまた、違う話で盛り上がり始めた。
ジュンミョンは手に持った栄養ドリンクを、ごぶりごぶりと飲んでいる。
目があらぬ方を見、どこに焦点を結んでいるのか分からなかった。
そういう目をすることが、それからずっと、続いていた。
ちょっとした応接室のようなところで、打ち合わせ相手を待ちながら、ジョンデは隣に座るジュンミョンを盗み見た。
また、ぼんやり宙を見ている。
思わずジョンデは声を掛けた。
「兄さん」
「あ?」
弾かれたように、ジュンミョンは声の方を向く。
頭が空っぽだとしか思えないような表情で、ジョンデの顔を注視した。
ジョンデは開いた口から、次の言葉をどうにか出した。
「……今日、このあと、練習室、直行するんだっけ?」
本当は分かっていることを聞いてみる。
「……ああ、うん、そうだよ。今日はほとんどみんな集まれるはずだから、練習進むよ、たぶん。よかったよ」
自分で自分に言うように、うん、うん、と頷きながら、ジュンミョンはジョンデから視線を自分の正面にまた、戻した。
ジョンデは再び、今朝の問い掛けを自分自身に繰り返す。
聞いてみたら、どうだろう。
そして、それについて、俺に話をさせてみたら。
眉はよく、八を書いている、と人に言われる。
しかしその間に、皺の寄ることは珍しかった。
今、ジョンデの眉間には、かすかにその兆しがあった。
ノックの音。
ふたりはドアを同時に見つめる。
かちゃりとノブが下ろされて、仕事がまた、始まった。



つづく



にほんブログ村 BL・GL・TLブログ 二次BL小説へ EXO RANKING ⊿⊿
FC2BLOGRANKING
( korea boys rank ) Kiss&Hug.
にほんブログ村テーマ BLラブへ
BLラブ
trackback (0) | comment (0) | ことの共犯(チェン × スホ)

20160817

ことの共犯 3
ジョンデが、ジュンミョンのセフンへの気持ちに気付いたのには、それなりの理由があった。
このところのジュンミョンは、チャニョルの話を聞く前から、少しようすが変だった。
生来天然なのか、それ以上にいいとこ育ちのせいなのか、お坊ちゃん特有の、ぼんやりしたところがジュンミョンには多分にあった。
そこにくそ真面目さと心根の優しさが加わって、基本的に隙だらけ、突っ込みどころ満載なのがジュンミョンだった。
黙って立ってりゃメンバー1小さい顔の、バランスのいいスタイルの、どこに出しても恥ずかしくない男前なのに、そんなことを普段、彼を見て思う仲間はいなかった。
特にひとつ屋根の下、一緒の部屋で寝起きしていれば。
ジュンミョンは、ただただみんなに愛されていた。
彼がいると、心中、全員、ほっとした。
困ったら、ジュンミョンをいじれば間違いなかった。
底なしに深い懐が、同僚たちの、得難いオアシスそのものだった。
ジョンデももちろん、その恩恵を受ける内のひとりだった。
しかしどちらかと言えば、ジュンミョンに甘える以上に、彼を気にし、手を差し伸べるというかたちで、ジョンデは彼に接していた。
ほっておけないな、とよく、思っていた。
だいたいが、ジョンデは誰かを気遣わないということがなかった。
もともとの性質に、育った環境が作用して、女性っぽいと言われるほど、よく周囲を見、人をぞんざいに扱えなかった。
器用な立ち回りができる、と言うと語弊がある。
性分から、たいがいの男性より気がつくが、それにうまく対処ができるというほどのスキルはなかった。
だが、発した言葉がたいしたことはなくとも、彼の笑顔を目にし、声を聞けば、それなりになんとか丸く、その場は収まるものだった。
そんなジョンデが、ジュンミョンの異変に気付き、経過観察していると、練習室でのできごとがあったのだ。
観察中に、ジョンデはジュンミョンが、ソファで寝ているのを見かけることが多かった。
かなり不思議に感じたが、あまりに部屋を散らかしすぎて、ベッドの上もついにか、もしくは疲れて力尽き、ここでぶっ倒れたか、などと思いながら、布団を優しく掛けてやった。
そんな中、セフンが誰かと付き合い始めたらしいということも、ジョンデはいち早く察知していた。
その誰かが誰なのかも。
ジョンデはこの事実を知って、誰にも何も、ばれないことを祈っていた。
秘密の中にいつの間にか取り込まれ、ジョンデはほのかな恐怖と孤独を感じ、静かに口を閉じていた。
セフンの高揚した、幸福に溢れたようすと、ジュンミョンのやつれた、意気消沈したようすは、ことごとく対照的であった。
この事態に、ジョンデのみしか気付かぬわけもなかった。
横目でジュンミョンを見ている最中、ギョンスがジュンミョンに、「兄さん、具合悪いの?」と聞いたことがあった。
もちろんジュンミョンは即座に否定し、ギョンスは渋々引き下がった。
やはりもともとの体調が悪いわけではなさそうだ、と、その否定の自然さと強さから、ジョンデも可能性のひとつを消した。
何か心配ごとがあるのだろうか。
かなりよくないニュースをひとり、抱えているのでは。
考えるほど、ジョンデの不安も大きくなった。
誰かに相談したかったが、なんだかそれは憚られた。
なんとなく、ここにも濃い、秘密の匂いが漂っていた。
俺はまた、何かに取り込まれてしまうのだろうかと、ジョンデは考え、しかし悩んでいてもしかたないと、とりあえず思考を保留し、眺めるだけで、毎日を過ごしていた。
パズルが組み合わされるように、ジュンミョンの秘密を知ったジョンデは今、このことを更にまだ、自分の内だけのものにしておくかどうか、これが日々の、大きな懸案事項であった。
移動車に揺られながら、背後の後部座席でまた、目をあらぬ方に向けているだろうジュンミョンを思い、ふたりきりの時間はもう、なくなった、とジョンデは深く嘆息した。
俺はいったい、どうしたらいいんだろう。
ジョンデはジュンミョンを、このままにしておきたくはなかった。



つづく




にほんブログ村 BL・GL・TLブログ 二次BL小説へ EXO RANKING ⊿⊿
FC2BLOGRANKING
( korea boys rank ) Kiss&Hug.
にほんブログ村テーマ BLラブへ
BLラブ
trackback (0) | comment (0) | ことの共犯(チェン × スホ)

20160818

ことの共犯 4
全体練習が終わって、皆疲労困憊だった。
夜11時を回っていた。
夕食を軽く取ってはいたが、そこここで、再び腹の虫が鳴っていた。
とりあえず帰ろう、帰ってから出前でも取ろう、となり、マネージャーがメンバーを引き連れ、車2台でマンションへ向かった。
なんの出前を取るかを、携帯を通じわあわあ相談しながら、車は夜道を疾走した。
昼間いったんやんだ雨が、また、降り出していた。
タイヤが水を弾く、シャーッという軽快な音が、たまに車中に紛れ込んだ。
ジョンデは窓を伝う雨の筋を見つめながら、耳に入る話の内容に対し、時折大声で賛成したり、反対したりしていた。
ジュンミョンは、もう一台の車に乗っていた。
セフンと一緒の、車だ。
小さく息をはくと、その温かみで一瞬窓が薄く曇った。
「ジョンデ」
声がした。
振り向くと、隣に座ったイーシンが、半分眠ったような顔で、むにゃむにゃと言葉を発した。
「お腹……空いたねえ……」
もうとても目を開けていられないというように、イーシンはまぶたをしばらく閉じたり、突然開けたりしながら、シートに深くもたれ、腹の上に手を置いていた。
胸がゆっくり、上下する。
「うん」と呟くように答えたあと、そんな彼を見下ろすと、ジョンデは膝掛けを引っ張り出し、その手の上から、そっと掛けた。
「……ありあと……」
今やまぶたは完全におり、かすかに開いた唇からは、断続的に緩やかに、寝息が漏れ始めていた。
「いつもの韓国料理だってー」
車中に届くよう大きな声で、ギョンスが結果を公表した。
慌てて、ジョンデがその目を隣の兄に走らせると、相変わらず熟睡している。
ひと安心し、抑えた声で、またー?と、体ごと前に持って行き、不満を表す。
「まー、いーじゃん」
携帯をいじりながら、ミンソクがジョンデをなだめる。
「いーけどさ」
すぐに言葉も体も引っ込めて、ジョンデは再度背もたれに上半身を預けた。
ぷすー、ぷすー、と、聞き取れないくらいの雑音を吐息に混じらせて、寝入っているイーシンの方を、ジョンデはもう見なかった。
まだ、雨のやむ気配はなかった。



つづく




にほんブログ村 BL・GL・TLブログ 二次BL小説へ EXO RANKING ⊿⊿
FC2BLOGRANKING
( korea boys rank ) Kiss&Hug.
にほんブログ村テーマ BLラブへ
BLラブ
trackback (0) | comment (0) | ことの共犯(チェン × スホ)

20160819

ことの共犯 5
車中で注文済みだった出前は、マンションに到着するや否やすぐ届けられ、あっという間にメンバーたちとマネージャーの胃の中に消えた。
風呂にこれから入るか、朝入るか、それぞれが迷う中、イーシンがいの一番に浴室へ向かった。
駐車場に着くとともに、ジョンデに優しく揺り起こされ、手を引かれて部屋に入ると、ほとんど寝ながらそれでもサムゲタンスープを啜っていた。
練習すると人一倍根気強くやるイーシンは、汗をかいた体が耐えられないようだった。
おそらく彼が上がると、すぐミンソクが向かうだろう。
ジョンデはそう、予測をつけながら、セフンの方をちらりと見た。
テーブルについたまま、頬杖をつき、バスルームへ続くドアの方を見つめている。
それからジョンデは、ジュンミョンを向いた。
野菜ジュースを飲みながら、また、ニュースを眺めていた。
へとへとだな、と、ジョンデは、自分自身を省み、思った。
料理の匂いと混じって、かすかに、雨の匂いがする気がした。
移動のときに、少し体にかかったのかもしれなかった。
その湿った匂いが、ジョンデの心をなぜかほのかに和ませた。
カーテンの向こうはまだ、模様を描くように、窓が濡らされているだろう。
窓を開け、その匂いと冷たさを、体に浴びたいように思った。気が済むまで。
部屋にこもる秘密の濃度に、息が詰まりそうだった。
「お茶淹れるけど、飲む奴いる?」
最近はまっているノンカフェインのお茶を、ギョンスは準備し始めていた。
チチチチチ、と、ヤカンを乗せたコンロの火を灯す音が、小さくジョンデの耳にも届いた。
ソファの背に腰を引っ掛けていたジョンデは、その音のする方を向き、喉を広げて、「飲みたい」と、声を上げた。
「んー」
と返事が返ってくる。
ミンソクとセフンも、俺も、と口にした。
ジョンデは後ろに座るジュンミョンを振り向き、肩に手を置き、はっきり、言った。
「兄さんも、飲みな」
野菜ジュースをあらかた飲んだジュンミョンは、そのグラスを持った姿で、ジョンデをほうけた顔で見上げた。
開いた口から、
「あ?うん」
と、言葉というよりただの声のような音を出す。
「リラックスできるんだよ」
な、ギョンス?と続けると、うん、そういう効能がある、と、学者みたいな、まじめくさった返事が聞こえた。
肩を掴んだ手に、分かるか分からないかくらいの力を込めて、ジョンデはじっと、ジュンミョンを見た。
口の両端を少しだけ、上げて。



つづく




にほんブログ村 BL・GL・TLブログ 二次BL小説へ EXO RANKING ⊿⊿
FC2BLOGRANKING
( korea boys rank ) Kiss&Hug.
にほんブログ村テーマ BLラブへ
BLラブ
trackback (0) | comment (0) | ことの共犯(チェン × スホ)

20160822

ことの共犯 6
ギョンスの淹れたお茶は、どんな味だと簡単には言えぬハーブのものだったが、なぜか飲み込んだあと、確かに美味しいと舌が感じるところがあった。
それをジョンデとミンソクは、よく、知っていた。
ギョンスに声を掛けられると、ほぼ毎回、お相伴に預かった。
受け取ったカップをジュンミョンに手渡すと、ジョンデはジュンミョンがそれに口を付けるまで、彼から目を離さなかった。
ジュンミョンはさすがにジョンデの顔を不思議そうに見返しながら、唇をカップに添えた。
動物が水を飲むようすをほうふつとさせるそのさまに、ジョンデは思わず眉を垂らした。
ひとくち飲むと、ジュンミョンは「あち」と呟いた。
そしてふたくち目を含もうとするのを確認し、ジョンデはほっと息をついた。
ジョンデ自身も自分のカップを顔に寄せ、匂いを嗅いで、少しずつ、飲み始めた。

思った通り、セフンが部屋に引き上げても、ジュンミョンはなかなか腰を上げなかった。
最後あたりにのろのろ風呂に入るつもりだろう、とジョンデは考えた。
これ以上今日は無理だと諦めて、飲み干したカップをシンクで洗うと、残った数少ないメンバーにおやすみを言って、自分の部屋へジョンデは向かった。
ドアを開け、暗い中を覗くと、イーシンが体に布団を巻き付けるようにして、側面を下にして熟睡していた。
口が酸素を求めるように、開き気味になっていた。
ジョンデは自分のベッドランプのみを灯すと、イーシンのベッドのそばに近寄って、上から彼を見下ろした。
タンクトップの裾が捲れ、脇腹があらわになっていた。
ためらいがちに、ジョンデは裾を指先で引っ張った。
イーシン自身に引っかかり、そこは下りてはこなかった。
少しだけ強く力を込めたが、イーシンのんん、という声を聞き、慌てて手を引っ込めた。
イーシンは体を縮こまらせるようにして、眉間に皺を寄せた。
すぐにまた全身の力は抜かれ、目元や口元は安らかな表情を見せ始めた。
ジョンデは自分のベッドから、掛け布団を一枚取り、それをイーシンの上に被せた。
俺は何度、この人に布団を掛けるんだろう、と、ジョンデはベッド脇に立ち尽くしたまま、ぼんやり思った。
しばらくそのまま、そうしていた。



つづく



にほんブログ村 BL・GL・TLブログ 二次BL小説へ EXO RANKING ⊿⊿
FC2BLOGRANKING
( korea boys rank ) Kiss&Hug.
にほんブログ村テーマ BLラブへ
BLラブ
trackback (0) | comment (0) | ことの共犯(チェン × スホ)

20160823

ことの共犯 7
たまにジョンデがジュンミョンを見ていると、ジュンミョンはその場にセフンがいれば、セフンを見つめるときがあった。
それは、ジョンデが啓示を受けたようにジュンミョンの気持ちに気付く前からだった。
セフンに対して何か言いたいことでもあんのかな、とジョンデは考えていた。
むしろセフンの以前より浮き足立ったようすが気になるのだろうか、と、ジュンミョンに対して以上に、セフンとその恋愛事情に関しての心配の方が、その視線から頭をもたげた。
彼らの恋模様を知ってしまったら、リーダーであるという自覚の強いジュンミョンは、要らぬ懸念を山のように抱えるだろう。
ジョンデはそれを避けたかった。
それに、本当に誰にもこのことを、知られたくなかった。
自分だけが、心に秘めておきたかった。
だからジュンミョンがセフンに目を向けるたび、鼓動が少し速まった。
視力の悪さを補う仕草をするように、目を細めて眉を寄せ、セフンを眺めるジュンミョンのそのさまは、ジョンデの中でくっきりと残像を残した。
美しい横顔だった。
その日、見事に晴れ渡った空のもと、ジョンデとジュンミョンはじゃんけんに負け、飲み物と食べ物の買い出しに、練習の休憩時間、出て行った。
雲がもくもくと煙を巻き上げるかのように、空にうず高く乗っていた。
蝉の声がかしましい。
汗をかいていたふたりだったが、外気の温度で更に体が熱を持った。
ふくれた汗の粒を額に浮かべ、サングラスを掛け、キャップを被った青年たちは、近くのコンビニへと向かった。
ジョンデはこの機を、逃すまいと考えた。
首を汗が伝い落ちるのを感じながら、渇いた喉を、なるたけ加減して、なんの気なしに、という雰囲気を作って、言った。
「兄さん」
「うん?」
もうすぐコンビニだった。
自分の足が地面に着くのがやけに全身に響く感じが、ジョンデはした。
「最近、兄さん、どうなの」
「どうって?」
暑さからか、ジュンミョンはかすかに息が上がったような声を出した。
「誰か、…いい感じの人とか、いないの」
聞いた。
ほのかに声に笑みを混ぜて、顔なんかにやけていると言ってもいいような表情で、ジュンミョンに向かって、ジョンデは言った。
ジュンミョンは虚を突かれたように、キャップの影からジョンデを見た。
コンビニに着いた。
ふたりは誘うように自動ドアが開く中、足を止めて、見つめ合った。



つづく


にほんブログ村 BL・GL・TLブログ 二次BL小説へ EXO RANKING ⊿⊿
FC2BLOGRANKING
( korea boys rank ) Kiss&Hug.
にほんブログ村テーマ BLラブへ
BLラブ
trackback (0) | comment (0) | ことの共犯(チェン × スホ)

20160824

ことの共犯 8
店内から流れてくる冷気がふたりの体を撫でた。
後ろからも客が来て、ジョンデとジュンミョンは弾かれたように足を店の中に入れた。
火照った体をいっきに冷たい空気が包む。
するとジュンミョンは我に返ったようすで、ジョンデを見ずに笑顔を広げた。
「なんだよ、いきなり」
言いながら、棚の中のものにきょろきょろと目を走らせた。新発売の菓子を手に取ったりして。
「……なんとなく。どうかなと思って」
ジョンデも負けじと平静を装った。
気の抜けたように人には映る笑みを浮かべ、世間話の態を取って、しばらく自分を悩ませていたこの問題に少しでも進展の兆しを見せる気で満々だった。
「分かんだろ、だいたい。駄目だよ、さっぱり」
ははは、と乾いた笑いを混ぜて、カゴを取ったジュンミョンは、頼まれた品をその中に入れていく。
「……まじでー」
ジョンデも笑いを込めた。
同じように自分の欲しいものと皆が欲しがるだろうものをジュンミョンの持つカゴに落としていく。
「まじで」
「まじか」
「お前こそどうなんだよ」
「俺も全然」
「ほんとかー?」
「ほんと」
ぱさ、ぱさ、ごと、と、カゴの中はどんどん物で溢れていく。
「俺」
心臓が脈拍のさらなる上昇を伝えていた。
でもここで引くわけにはいかない、とジョンデは思った。
「俺、兄さん失恋でもしたのかと思ったよ」
ジュンミョンの動きが一瞬止まった。
指の先にはミンソクから頼まれたトマトジュースのパックがあった。
すぐパックはその指に摘まれた。
パックから視線を離さず、ジュンミョンはもっと笑って言葉を発した。
「なんだよそれ。してないよ」
そうしてまた、次々とカゴに物を収めていく。
ジョンデはこちらを見ないジュンミョンから目を背けなかった。
「……だって、なんか、元気ないから」
ジュンミョンの背中を追って、ジョンデはただついていく。
「ずっと、変だよ」
声を掛けている相手から、もう返答はなかった。
「ほんとに、違う?」
その、誰よりも明瞭に響く声を持って、ジョンデはまっすぐジュンミョンの後ろ姿めがけて言った。
レジについたジュンミョンは、いっぱいになったカゴをどすんと台の上に置く。
いらっしゃいませーという声とともに、ピ、ピ、と、バーコードは読まれていった。
ちらちらと、上目で男性店員はふたりの顔を交互に見た。
視線を落としたジョンデとジュンミョンは、キャップのツバの下で、それぞれ唇を噛み、時が過ぎるのを待った。
支払いを済ませると、ずんずん歩いてジュンミョンは外に出た。
途端に刺すような日差しがふたりを覆った。
蝉の声。
甲高い少女たちの笑い。
ふたつのうちのひとつの袋をジョンデはジュンミョンの手から半ば強引に奪った。
ジュンミョンはのろのろと、袋の中から棒アイスを2本、取り出した。
「ほら」
差し出されたソーダ味の冷えたそれは、ジョンデの頬を突如冷やした。
「冷たっ」
包装を破って中身を咥えながら、ジュンミョンは仲間のいる方向へと足を進めた。
「兄さん」
再度ジョンデは兄を追い、先程よりも大きな声で呼びかけた。
「いいから、食べろよ」
立ち止まってかすかに振り返りながらそれだけ言うと、ジュンミョンはまたさっさと歩き出した。
眉間に皺が現れる。
ジョンデはしばし立ち尽くし、蜃気楼のように見えるジュンミョンの均整の取れた体を、ひとり眺めた。
ぴりりと袋をさいて、薄青い四角のアイスキャンデーを取り出すと、ジョンデもそれに歯を立てた。
頭に向けて突き抜ける痛みがその冷たさによるものだけでないのは、ジョンデ自身、よく分かっていた。



つづく



にほんブログ村 BL・GL・TLブログ 二次BL小説へ EXO RANKING ⊿⊿
FC2BLOGRANKING
( korea boys rank ) Kiss&Hug.
にほんブログ村テーマ BLラブへ
BLラブ
trackback (0) | comment (0) | ことの共犯(チェン × スホ)

20160825

ことの共犯 9
それとなく避けられているような感じが、ジョンデはした。
自分が意識しているからそう感じるだけか、それとも本当に避けられているのか、微妙なところだとは思った。
まあ避けられてもしかたないかもしれない、と、ジョンデはかすかに暗い気持ちで納得した。
びっくりするほど鈍く能天気なところと、逆に目を見張るほど鋭く思慮深いところが同居しているのがジュンミョンだった。
ジョンデはジュンミョンと話しているといろんな意味で驚かされた。
それはジョンデだけでなく、親しい人間ほぼ全員がそうだった。
メンバーのひととなりなど、いちばんきちんと把握しているのはジュンミョンだろうとジョンデは考えていた。
さすがリーダーだと思ったし、リーダーになるべくしてなったんだなとも思った。
そんなジュンミョンだから、ジョンデが何を言わんとしているか気付いた可能性は多分にあった。
そして自己嫌悪に陥っている可能性も。
心配をかけているという時点でジュンミョンは自分を責めるだろう。
あまつさえ、その理由が失恋で、その相手がセフンだと知られているとなった日には。
もう少しスムーズに話ができるかと、今振り返るとなんと楽観的なのかと呆れてしまうと自身で思うが、ジョンデは予想していた。
しかしそんな期待はもろくも崩れ去り、残ったのは苦悩するジュンミョンとジョンデ、プラス気まずい間柄だった。
ジュンミョンはよもや自分の気持ちに気付かれているなんて夢にも思っていなかったのだろう、そう、ジョンデは考えた。
だから拒否反応が出るように、あんな態度を取ったのだと。
根気強く接していかないと駄目だ、とジョンデは自分を叱咤した。
もう、口火を切ってしまったのだ。
元には、戻れない。
おそらくジュンミョンは、何もなかったかのように振る舞うことを自分に望んでいるだろうが、こんなわだかまりを残し、彼を暗い川の淵に孤独に佇ませておくようなことは金輪際、したくない、とジョンデは強く思っていた。
ジュンミョンがセフンへの恋に破れたことはどうにもならない。
だが、何か、少しでも、誰にも言えない秘密を抱えながら、ひとり沈み、顔を青ざめさせ、日々忙殺されて心を擦り切らせるだけにならないためにできることが、あるはずだ。
別々の移動車に揺られながら、ジョンデは暗い夜道を窓の内側から眺め、考えを巡らせていた。
今日も隣では、イーシンが眠りこけている。
既に体の上にはブランケットが掛けられていた。
光るまぶたにちらりと視線を走らせ、また、窓のヘリに頬杖をつき、ジョンデはもうひとつの車に乗る、悩める兄貴分へと思いを馳せた。



つづく



にほんブログ村 BL・GL・TLブログ 二次BL小説へ EXO RANKING ⊿⊿
FC2BLOGRANKING
( korea boys rank ) Kiss&Hug.
にほんブログ村テーマ BLラブへ
BLラブ
trackback (0) | comment (0) | ことの共犯(チェン × スホ)

20160826

ことの共犯 10
くたびれ果てたメンバーたちが、帰宅を果たし、ぞろぞろと自分たちのプライベート空間へとなだれ込んだ。
今日は食事も済ませており、だいたいがすぐ自室へと引き上げた。
案の定部屋に戻らず、ジュンミョンはソファに陣取って、手で何かしらのプラモデルをいじりながら、テレビを点けていた。
ジョンデもダイニングテーブルにつき、ギョンスのお茶を、彼に了解を得てから自分で淹れ、ひとり静かに飲んでいた。
ふたりきりにはなれなかった。
ひとりかふたりは、入れ替わり立ち替わりリビングに現れた。
もとからジョンデは、ここでなんとかしようとは考えてはいなかった。
ようやくテレビを消し、立ち上がったジュンミョンを見て、ジョンデは視線の先にあった携帯からさりげなく目を上げ、彼が洗面所の方へ向かうのを確認した。
風呂に入るか、歯を磨くかするだろう。
そう見当をつけ、ジョンデもそれとなく腰を上げ、後を追った。
思った通り、ジュンミョンは歯を磨いていた。
洗面所の鏡に映った顔の中の目と、ジョンデは自分のそれが合った。
ジュンミョンの瞳は半分まぶたに隠れ、見るからに虚ろだった。
しかしジョンデが来たことを認識した途端、つまり視線のぶつかったすぐ直後から、激しく瞬きをして手のスピードがぐんと上がった。目線を下へと移動させて。
ジョンデはためらいを覚えつつも、時間の猶予がそんなにあるわけでないことも分かっていた。
ドアを後ろ手に閉め、ジュンミョンの横に立った。
一瞥し、またもとの場所に黒目を戻すと、ジュンミョンは黙ったまま歯磨きを終えようとした。
口の中のものを吐き出し、うがいをしているジュンミョンの上から、ジョンデは声を掛けた。
「兄さん」
ごろごろごろ、と口内で音を鳴らし、聞こえないような振りをするジュンミョンに、ジョンデは構わず、再度しっかりと話し掛けた。
「兄さん」
蛇口から水の出る音と、ごぼごぼごぼ、と何もかもが排水溝へ消えていく音の響く中、ジュンミョンはようやっとジョンデに顔ごと向いて、ゆっくりすべての音を止めた。
片眉に皺を寄せたその顔は、やっぱり整っているなあと、ジョンデは頭の隅で密かにしみじみ感心した。
口から出たのはそんなこととはまったく関係ない、心からの懇願だった。
「話、聞いて欲しい」
濡れた唇を引き締めて、ジュンミョンは手の甲でその上を拭った。
もう、ジョンデの顔には笑いはなかった。
ひとかけらも、そんなものは、残っているはずもなかった。



つづく




にほんブログ村 BL・GL・TLブログ 二次BL小説へ EXO RANKING ⊿⊿
FC2BLOGRANKING
( korea boys rank ) Kiss&Hug.
にほんブログ村テーマ BLラブへ
BLラブ
trackback (0) | comment (0) | ことの共犯(チェン × スホ)
  • ミス・レモン
ようこそお越しくださいました。
EXOのメンバーを登場人物にした二次創作BL小説や、オリジナルのBL小説、好き勝手なことを綴った雑記などを置くブログでございます。
内容を読んでのコメント、メッセージなど、いつでも心よりお待ちしております。
よろしくお願い致します。

最新記事

人気投票 1

人気投票 2

人気投票 3

人気投票 4

人気投票 5

ブログ村

にほんブログ村 BL・GL・TLブログ 韓流二次BL小説へ

人気ブログランキング

アクセスカウンター

有料アダルト動画月額アダルト動画裏DVD美人フェラポルノ動画フェラ動画美人フェラ無修正アダルト動画フェラチオ動画無修正フェラ
アクセスカウンター高画質アダルト動画無修正フェラ動画アダルト動画無修正アニメ動画海外アダルト動画
無料カウンター無修正DVDクレジットカード
無料アクセスカウンターウォーターサーバーアダルトグッズランジェリー無修正盗撮動画AV女優名教えて
ブログカウンター