海の底、森の奥

- EXOの二次創作とオリジナルのBL小説を中心としたブログです。R18表現あり。お気軽にどうぞ。

20160716

人さらいの条件 11
おもむろに、手は止まった。
ギョンスは温かみが離れていくのを感じ、ゆっくりと、目を開いた。
カイが、横を向き、膝を立て、立ち上がろうとしている。
「……ありがと」
そう呟くと、そのまま立って部屋へ帰るらしく歩き出した。
置き去りにされたギョンスは呆気に取られたが、思い出して「おい」と声を掛けながら床に降りた。
カイは立ち止まり、ギョンスを振り向く。
「……証拠って、なんだよ」
流し目のような眼差しでギョンスを見るカイを、ギョンスはまっすぐ見返した。
ああ、と、それこそカイは思い出した、という素振りで答える。
「写真」
そしてまた歩き出そうとする。
「なんの」
ギョンスは声を大きくせずにはいられなかった。
再び立ち止まり、カイは今度は振り向かず、当然のことを告げるように、言う。
「…それは、次、教えるよ」
形のいい後ろ姿で、美しく歩き去っていく弟分を見つめながら、ギョンスは口を開け、棒立ちになる。
次。
予測しないではなかった。
だが、これで決定的になってしまった。
どこまで続くのか、その果てしなさにギョンスはほとんどめまいがした。思わずシンクを掴む。
カイはもう姿が見えなかった。
新聞配達のバイクの音が聞こえたような気がする。
ギョンスは今日の仕事を思い出す。睡眠を取らないわけにはいかない。たとえ眠れなくとも、横にはなりたい。今すぐ。
ふらふらとした足取りで、今まで一緒だった者の待つ部屋へ、しかたなく、ギョンスは向かった。
思った通り、眠れなかった。
寝返りをうつこともできず、ギョンスは体の側面を下にして、ただ、布団の中でじっとしていた。
寝息が聞こえてくる。
しかし、カイのものでないことは分かっていた。
いびき混じりの寝息がひとつ、響くだけで、もうひとりの分はまだ、耳には届かない。カイは眠っていないのだった。
ギョンスは体の緊張が取れなかった。
そんなことはさすがにないと分かっていても、カイが自分に覆いかぶさってくる画が何度も脳裏をよぎった。さっき交わした会話も。
なんの写真なんだ。
そう考えたとき、ひとり分の寝息に混じって、かすかに、吐息が聞こえてくるのに、ギョンスは気付いた。
吐息と、何かの摩擦音。
閉じていた瞼を、ぱちりとギョンスは開けた。
自慰行為に、カイが、耽っている。
ギョンスは心臓の音が大きくなっていくのを感じながら、本当に、ぴくりともできなくなった。
背中の向こうで、カイが、自らのものを、…自分を想って、扱いている。
ふたりきりですらない、この部屋で。
灰色に染まった周囲が、だんだん色を持ち始めている中で、カイの手のスピードが上がるのを、ギョンスは瞬きもできぬまま、察していた。
足に触れられたとき、チェンのことを想い、気持ちが安らぐのをギョンスは発見した。それは興奮するということではなく、心が和らぐ効果があったのだ。体のこわばりが、緩んだ。
ギョンスは目を閉じ、再度、チェンを頭に呼び戻した。向こうで手の出せない自分をおかずにし、マスターベーションにうつつを抜かしているのは、チェンだ。怖くて何も言えず、ただ、気持ちだけが膨らみ、我慢できず、あらゆることを想像して、手を懸命に動かしている。ギョンスは肩に入った力がわずかに、抜けた。息の荒くなった音が聞こえ、ギョンスはチェンを犯すとき、見下ろすその赤い、困ったような、泣きそうな顔を浮かべる。ティッシュペーパーが数枚抜かれる音と、「う」という声とともに、すべての音が止まった。
ギョンスはチェンの腹に零れた精液と、その上の立った乳首の色を見ている。チェンが目に涙を溜めて、額に手を置き、ギョンスに向かってはあはあ息を漏らす。
ギョンスのペニスは、想像の中ほどではないが、かすかに、−上を向いていた。
にほんブログ村 BL・GL・TLブログ 二次BL小説へ EXO RANKING ⊿⊿
FC2BLOGRANKING
( korea boys rank ) Kiss&Hug.
にほんブログ村テーマ BLラブへ
BLラブ
trackback (-) | comment (0) | 人さらいの条件(カイ × D.O.)

20160716

人さらいの条件 12
それ以降のカイのようすに、特別の変化は見受けられなかった。
あの、食事をしたあともそうだったが、皆といる中でお互い顔を合わせても、おかしな態度をそれぞれ取ってしまったりすることは、なかった。
確かにほんの少しだけ、カイはよそよそしかったかもしれない。
だがそれも、疲れているんだろうとか、ひとつ年齢を重ねただけあって大人になってきたんだろうとか、そんな風な解釈で見た人間が納得できる範囲のものだった。
ギョンスは至って普通だった。
彼は内心考えていることを、まったくおくびにも出さず振る舞うことのできる、人間だった。
カイがいくら、皆で集まって自分と接近し、背後からそのうなじを見下ろし、小さなため息を漏らしても、ギョンスは顔色ひとつ変えなかった。
心中、どういう思いが渦巻いていたかと言えば。
皆には絶対に隠し通す。
これだけだった。
チェンとのことも。カイとのことも。
自分を含めたこんな関係性を仲間内に知られるなど、まっぴらごめんだった。
ギョンスは自分の感情についてたとえ親しい間柄でもさらけ出すのは、苦手であったし、特に恋愛ごとなどこれっぽっちも分かち合いたくなかった。心の柔らかい部分を、ギョンスは奥の奥に隠して、そっとしておいた。
そして皆が、大事であった。
自分のことで心を痛めたり煩わされたりしてほしくなかった。
また、もちろん、嫌われたくなかった。
男性同士ということも当然話題の要素だが、メンバー内での恋愛などそもそもトラブルの元であるということも、ギョンス自身よく分かっていた。
幾重にも重なった面倒を自分が引き起こすことで、もしも、誰かから嫌悪の目で見られたら。
しかも、チェンを巻き込んで。
カイにすら、そんなことになったらかわいそうだ、とまだ、ギョンスは思った。
なんとしてでも、ばれない。
何もなかったように過ごす。
ギョンスは固い決意を持って、顔は常と変わらず、大きな目の黒く丸い黒目を、きょろりと広い白目の中、動かすだけだった。
チェンとはいつも携帯で連絡を取り合った。
その日、夜、ふたりで過ごす密約を交わし、ギョンスはチェンの部屋に向かった。
部屋に向かう前、携帯の画面の、絵がたくさん載ったカラフルなチェンからのメッセージを眺め、頭の中で多くの疑念や不安が不快な模様を描くのを、ギョンスは感じていた。
今日、カイは仕事だった。少なくとも12時は回るだろう、とマネージャーは言った。
それまでに戻ってこないと。ギョンスはいつもより早くチェンとのことを終えなければならないことが口惜しかった。だが今はそんなことを残念がっている場合ではない。セックスどころか、振る舞いによってはもうふたりきりで過ごすことさえ叶わなくなる。だいたい、今は会わない方がいいのではないかとも思った。けれど、それではチェンが不思議に思うだろうし、おそらくきっと、自分に対して気持ちが冷めたのだろうと早合点して、ひとり苦しむに違いない。そしたら事情を話さなければならない。チェンには言わない。ギョンスは決めていた。行くしかなかった。何より、ギョンスがチェンに、会いたかった。
ノックもせず、いつものように、チェンの部屋のドアを開く。
ベッドに腰掛け、ベッドヘッドに背をもたせ、チェンはファッション誌をめくっていた。
前髪が重く、その額に掛かっている。
吊り上がった目元と口元が、弛緩した。
そのさまに、ギョンスの分厚い唇がふわりと笑みを成す。
鍵を掛け、チェンの元へ足を進める。
チェンは手の中の雑誌をぱたりと閉じる。
ギョンスは壊れやすい何かに乗るように、ベッドに腰掛ける。
ふたりは見つめ合った。
「…ジョンデ」
「うん?」
「…手、握って」
つ、とギョンスは手を差し出す。
チェンはわずかにきょとんとし、だが言われた通りに、出された相手の手を取った。優しく、包むように。
「…肩、貸して」
握り合った手を軸にして、ギョンスはチェンに近寄る。
がっしりとしたその肩に、ギョンスは体を預けた。
手を繋ぎ、ギョンスはチェンの首筋に自分の鼻を擦り付ける。チェンの匂いが、懐かしく鼻腔に届く。
チェンもギョンスの香水の香りを嗅いだ。黒いつやつやとした髪が頬をくすぐるのを受けながら、その芳しさに脳が痺れるようだった。
はあ、と息を、ギョンスが漏らす。
それはチェンの喉を濡らす。
ギョンスは目を閉じた。
やっと、本物になった。
目を閉じる必要はなかった。だが、それでも、ギョンスは瞼を上げなかった。全身をただ、チェンに、委ねたかった。
にほんブログ村 BL・GL・TLブログ 二次BL小説へ EXO RANKING ⊿⊿
FC2BLOGRANKING
( korea boys rank ) Kiss&Hug.
にほんブログ村テーマ BLラブへ
BLラブ
trackback (0) | comment (0) | 人さらいの条件(カイ × D.O.)

20160716

人さらいの条件 13
ギョンスはチェンの首筋に唇を当てた。
かすかにぴくりと反応を示すチェンに、一瞬動きを止め、しかし再びその肌の上に肉厚なそれを押し当てていく。ちゅっちゅっと音がする。
チェンはギョンスの髪が顔を撫で、首にくちづけられ、そのキスの音を聴き、香水を嗅がされて、無意識に目を強く閉じた。取り合った手が汗ばみ、否応なくパンツはきつくなってくる。
空いた方の手で、ギョンスはチェンの顔を自分に向かせた。
チェンはおずおずと目を開き、ごく間近にあるギョンスのそれと出会わせる。
水分の十分に張った、見つめられると金縛りにあうような心地のする目が、チェンを映している。
自分の首にスタンプを押していた唇が、開く。
「……キス、したいか?」
光る瞳を見つめて、チェンは心持ち口の隙間を開けて、自分の瞳を揺らした。
どくどくと胸が鳴る。なんで自分はいつまで経ってもこうなんだろう、チェンは興奮と緊張と焦燥に全身が包まれる。
躊躇いとともに、唇を動かす。
「………したいよ……」
思わず目をそらせてしまう。くそ、どこまでも格好がつかない。チェンは恥ずかしさに耳を染める。
「しろよ」
真面目な顔をして、ギョンスはただ、求める。
焦りながら、チェンは、ギョンスの顔に視線を戻す。
自分をじっと見つめるギョンスに、瞬きをしつつチェンは言う。
「…目、閉じて…」
「なんで」
「…はずい」
おかしそうに笑うギョンスは、しかし、言われた通り、瞼を下げた。口角をかすかに、上げたまま。
こちらを向いて、目をつむり、微笑むギョンスの顔を、チェンはここぞとばかりに食い入るように眺めた。
なんて−なんて。
続く言葉が見付からなかった。
ただ、この顔が、好きだった。どうしようもなく。
自分がこの唇に、唇を合わせることを、許されている。
そっと、チェンはギョンスの頬に指を置いた。人差し指と中指と、薬指の先を、産毛を撫でるように、触れた。その拍子に、ほんのわずかに、ギョンスが動く。
チェンの指は頬を伝って、くっきりと膨れ上がったこれから口を付ける場所に移動した。おそるおそる、その中心を、人差し指で、押してみる。ぷに、と柔らかく、押し返される。チェンはもう、自分の股間のものがぶるぶる震えるような感覚を、抑えられなかった。自分の指の末端の、繊細な触感。親指で、下唇を軽く、弾く。白い歯が垣間見える。ぷるん、と元に戻る瞬間に、チェンは考えるより先に、その唇に、唇を、付けた。
キスした相手は、唇の間から吐息を漏らす。はあ、というその音と熱が、チェンの額あたりの何かのスイッチを切った。堪えきれず、舌をギョンスの口腔に滑り込ませる。両手でギョンスの顔を抱え、吸い込むようにその舌を探す。ギョンスのコロンが鼻を抜ける。手に感じるその肌の吸い付きと温度、舌のえも言われぬ味と感触、体臭と入り混じった甘い香り。口の端から唾液を零しながら、チェンは片手でギョンスのセーターの下に手を入れた。びくりと体を弾かせたギョンスの反応に、チェンは手を止める。いつの間にか閉じていた目を開け、顔を離し、ギョンスを見た。
「…ごめ…」
息を切らしたチェンは、眉を切なげに潜めて、謝罪を口にしてしまう。
「なんで謝るんだよ」
こちらも息を上げたギョンスが、そんなチェンを見、片方の唇の端を持ち上げた笑みを作って、呆れている。
「だって…」
チェンは唇を手の甲で拭って目を落とす。
「いいから」
だらりと落ちたチェンの手を、ギョンスは腕を伸ばして取る。
顔を上げ、ギョンスの顔に視線を戻すと、面白がっているような笑顔を、優しくそこに浮かべているのを、チェンは見付ける。
ギョンスはチェンの手を引く。
「よかったよ、今の」
ベッドの上で膝立ちをしていたチェンは、ぺたんと腰を下ろす。
「もっとしろよ」
顔と顔が至近距離にある。ギョンスが目を閉じ、微笑んで、チェンに近寄っているためだ。
ぽかんと口を開け、八を描く眉の下の目は潤み、チェンは自分を待つギョンスを見つめる。苦しい。どこもかしこも。チェンはまた、ギョンスの顔をその両の手で捉える。お互いに、舌を出し合い、キスをした。チェンのスイッチは、そのまま切られた。
にほんブログ村 BL・GL・TLブログ 二次BL小説へ EXO RANKING ⊿⊿
FC2BLOGRANKING
( korea boys rank ) Kiss&Hug.
にほんブログ村テーマ BLラブへ
BLラブ
trackback (0) | comment (0) | 人さらいの条件(カイ × D.O.)

20160716

人さらいの条件 14
初めて、チェンは、ギョンスに、してもいい?と確認を取らぬまま、ギョンスのペニスを口に含んでいた。
ベッドの上で肘をつき、チェンが自分の股間で頭を上下に動かしているのを、ギョンスは潤んだ半目で見下ろしている。吐かれる息が、艶を持っていた。
ギョンスはシャツのボタンがすべて外され、胸の真ん中からへそまでの皮膚が見えている。そのまま下に降りると、チェンの頭があった。じゅ、じゅ、と、たまに水分が泡立つ音が零れる。
部屋の中は暖房が付いていたため暖かかった。服がはだけていても、寒くはない。それどころか、呼吸は徐々に速くなっていき、ギョンスは体内が熱く、頭がぼうっとした。頬や耳や胸が赤かった。チェンはギョンスの股しか見えていないようでいて、実際は目の一部分でギョンスのそのさまを認めていた。自分がギョンスをあんな風にしていると思うとたまらなかった。頭の運動とともに、腰も動きそうになる。そんな無様な姿は見せられなかった。チェンは辛うじて、動かすのは上半身のみにとどめた。
「ジョンデ」
ふいに自分の名前が降ってきた。
チェンは唾を引きつつ性器から口を離す。その顔は熱に浮かされたようになっている。名を呼んだ相手を見た。
「…お前、今日、何聴きたい?」
肘をまっすぐにしてギョンスは体を起こす。動いた拍子にちらちらと胸の色の濃い部分が覗き、チェンを誘う。ギョンスの言ったことが6割ほどしか頭に入って来なかった。
「……歌?」
「そう。お前が選んで」
呪文にかかったようにチェンはベッドを降り、自分のiPodを鞄から引っ張り出す。いっときリストを眺め、セットし、ベッドに戻った。音色がゆっくりと上空を舞う。バンドとボーカルが、愛を確かめ合うように絡んでいた。美しく、若々しく、澄んだ、洗練された、女性の声であった。
「…お前が女なら、こんな感じかなあ」
夢見るような表情で、体の中に音を溶かしながら、ギョンスは呟いた。
「こんなによくないよ」
恥ずかしそうにチェンは否定する。視線を外したまま、ベッドに腰掛ける。半裸で勃起したギョンスが自分の歌声を思い浮かべているようすを、直視できなかった。チェンはまだ、服をすべて着たままだった。こんなことは初めてだった。
「これ、誰?」
「…サラ・ガザレク」
「……お前の声の方が、ちょっと哀しい感じだな」
「…そう?」
無意識に、ギョンスを振り向く。
胡座をかいたギョンスは、シャツの下で自己を主張するその部分が少しだけ隠れてはいたが、それが逆にひどくいやらしくチェンの目に映った。唇の端がほんのわずかに、上がっている。
「うん。それなのに逆に、お前の方がユーモアもあるよ」
「…どういうふうに、捉えろって…」
「それが、お前らしさだろ」
ギョンスの話し方の特徴に率直さがあった。
自分の信じることを他人に有無を言わさず断言した。
デリカシーがないのではない−−−その方がいい、と思ったことは言うのだった。そして確かに、それで物事がたいてい少しは、改善した。
「…そうかあ」
「うん」
「これくらい上手く歌いたいよ」
「できるよ」
やはりギョンスを見続けることはできなかった。チェンは返事の代わりに、ベッドに着いた自分の手を見下ろしながら淡く笑った。
「来いよ」
そんなチェンにまた、有無を言わさずギョンスは言う。
目線を戻し、笑うのをやめ、チェンはベッドの上にゆっくり乗った。ずるようにして体を恋人のそばに寄せる。ギョンスは一瞬もチェンから目を離さない。射るようにチェンの目を見続ける。
近くに来たチェンの顔に、ギョンスは手を伸ばした。こめかみから頬のあたりを、なでるように柔らかく包む。この前も、ギョンスはこうして顔に触れた。そのとき、自分に、ああいう言葉を、投げ掛けた。それを思い出し、チェンは動悸としびれを感じる。再び、体の上と下を繋げる部分が熱いようなむずむずするような落ち着かない状態になる。どうしても、期待をしてしまう。そんな自分がなんだか情けなく、気付かぬうちに下唇を噛んでいた。
チェンの頬を捉えたギョンスの顔は、そこから何か読み取ろうとしても無駄だった。ただ、穏やかだとは言えた。
「…抱いてもいい?」
聞かれたのはこれが最初だった。
驚いたチェンは唾を飲み込み、まぶたの開け閉めを繰り返してから、答える。
「…なんで聞くの」
「お前の真似だよ」
ギョンスは顔を崩して笑った。その表情の甘さとさっきの求める言葉とで、チェンは体中を熱が駆け巡った。
「…でも、さっき、口でするのに俺に聞かなかったな。いいかって」
「……あ、ご」
「ごめんて言うな」
顔にあった手を口の上に覆いかぶせる。
眉を垂らし、チェンは黙る。
「…聞かなくてもいいんだよ、お前は」
目をぱちぱちさせるチェンの唇から掌を剥がす。
「されていやならいやって言うから」
顔が全部ギョンスに見えると、チェンはこくりと頷いた。
「…ちなみにさ」
ギョンスは目を伏せた。
「お前、………俺に入れたいとか思ってる?」
そして上目遣いでチェンを見た。
ギョンスの指はシャツの端をいじっている。
思ってもみなかった質問にチェンは思考回路が一時ストップした。
すぐ我に返って考える。
なんと答えるべきなのか?
目の前で、ギョンスは自分のまだ硬く上を向いた一部分の前で手をもじもじさせている。ふわふわとシャツが揺れ、裸の胸や乳首、棒がそのたびに顔を出す。俺が、ギョンスを、抱く。今日、チェンは割と細身のパンツを履いていた。ずっと窮屈さを我慢してきたが、もう限界だった。本気で股間が痛かった。
「えっと」
こちらをギョンスが見たのは分かった。だがギョンスは見ずに、あらぬ方を向いて、チェンは唇を湿した。
「えっと。………考えたことは、あるけど」
何故だか締まりのない笑みが口に浮かんだのが分かる。言い終えてもギョンスの方を向けはしなかった。
「…そっか。そりゃそうだよな」
うんうん頷くようにギョンスは言った。
チェンは頭の中のクエスチョンマークが肥大していくばかりだった。
これは、これは抱いて欲しいという意思表示なんだろうか?
俺は今すぐここでギョンスを押し倒すべきなんだろうか?
聞くなって言ったのはそういう意味もあったんだろうか?
ぐるぐるぐるぐる脳内を回る疑問は答えが出ず、たとえ出たとしても、何も言わずにギョンスをこの腕の下に組み敷くなどとてもできそうになかった。チェンはただ、黙してギョンスの言葉を待った。
俯けていた顔を上げ、ギョンスはチェンを見、チェンもなんとか見返した。
「でも、俺は抱かれたくない」
片方だけの笑みを口に成して、え、という声を出しそうなチェンの顔を見つめる。
「いやならいやって言うって言ったろ」
そう言いながらギョンスはチェンににじり寄る。チェンの体の両側面に腕を置き、そのままチェンは後ろに倒れ、ギョンスはチェンに馬乗りになった。
「ま、俺はこんな風にされてから言ったわけじゃないけど」
顔の脇に両手を置いたギョンスの顔が、チェンのそれに近付いていく。
「お前の確認癖、役に立つこともあるな」
チェンにギョンスの息がかかる。
煙に巻かれたような心地で、チェンは少しずつ目を細める。
「…お前に襲い掛かられるのも、悪くないかもしれないけど」
そう言ってギョンスは舌でチェンの唇を剥き、その歯を舐めた。
既に目を閉じていたチェンは、自分の舌を上に向けながら、そんな日が来るとはとても思えない、と思った。
そうしていつもの通り、音楽の中で、チェンはギョンスの食事となった。
にほんブログ村 BL・GL・TLブログ 二次BL小説へ EXO RANKING ⊿⊿
FC2BLOGRANKING
( korea boys rank ) Kiss&Hug.
にほんブログ村テーマ BLラブへ
BLラブ
trackback (0) | comment (0) | 人さらいの条件(カイ × D.O.)

20160716

人さらいの条件 15
12時を回る少し前には、自室に戻ろうとギョンスは考えていた。
さまざまなやりかたでギョンスに楽しまれたチェンは、疲れ果ててベッドに倒れている。何も身に付けず、筋肉の付いた臀部を見せて。もうほとんど寝入りかけていた。ギョンスは服を着ながら、そんな彼氏を見下ろし、愛情を込めて微笑んだ。
チェンの部屋にあるタオルを出して来て、ギョンスはチェンの体の汚れた箇所を、やわやわと拭く。あ…ごめ…、と、チェンはまた謝ろうとする。目を閉じたまま、体をもぞもぞ動かす。何も言わず、ギョンスはぬるぬるとした体の真ん中あたりを重点的に、清拭する。ある程度満足が行くと、乱れた掛け布団をチェンに掛け、脱ぎ捨てられた服を畳み、ベッドの脇に隠すように置いた。ローションのボトルなど、元の場所へと戻す。消臭剤をあたりに吹きつけ、暖房の設定温度を少しだけ上げる。
完全に眠ったチェンをまた見下ろして、ギョンスはその顔に掌を触れた。しばらくただそうすると、タオルを持ち、ギョンスは部屋を出た。
常ならギョンスはこのままシャワーを浴びてしまうのだったが、カイに何かを気取られるのが嫌さに、朝に持ち越そうと、着替えも持って来てはいなかった。静かにドアを閉めると、ギョンスは洗面所で手と顔だけよく洗おうと、そちらに向かった。
足音。
ダイニングルームに続くドアが開く。
振り向くと、カイが立っていた。
ふたりは無表情で、見つめ合う。
カイの後ろでは、ソファに集まった面々がゲームに興じているような声が漏れ聞こえる。
後ろ手に扉を閉め、カイはギョンスに向かって歩いて来た。
その表情から、あ、とギョンスは思う。まただ、と。全身に緊張が走り、足が床に接着されたかのように、動けない。
わずかに距離を開け、カイはギョンスの前で足を止める。
わー、という声が扉の向こうから小さく届く。
しかし、ギョンスはカイの目から自分のそれを動かせない。隙を見せたら。そんな恐ろしいことは、考えることもできなかった。
じり、と一歩近寄り、カイはギョンスを見下ろす。
冬の夜の、外気の匂いがした。
「……なにしてんの」
囁きのような質問をギョンスに浴びせる。
その目はおかしなふうに光っており、ギョンスはたじろぎながらも自分の戸惑いを見せまいとする。
「シャ、ワー、浴びるんだよ」
咄嗟に嘘をつく。
そう言えばさすがに引き下がるだろうと思った。そして洗面所のドアノブに手を掛ける。
「ふーん」
ドアを開けるギョンスがその中へ入ると同時に、カイはギョンスの背中を押して、自分も中に滑り込む。入り口に錠の掛かる音が、ギョンスの耳に悪夢のように響く。目を大きく開き、カイを見上げる。その顔は怒っているように、ギョンスの目には映る。
「何してんだよ」
体ごと振り向いて、ギョンスはカイに食って掛かる。場所が、気に食わなかった。狭く、密室で、———すぐそばには浴室で。ギョンスはぞっとした。何を言われ、何をされるのか。もう経験から、ギョンスは防御の姿勢を取るのみだった。
カイは荷物を床に置き、ギョンスにぐっと近寄った。そして、ふんふんと、ギョンスを嗅ぐ。黒目を左右に動かし、ギョンスはカイの顔を首を傾げ、避ける。
「………ジョンデ兄さんと、してたでしょ」
馬鹿にしたような目で見下ろし、カイは言う。
カイと目を見合わせ、ギョンスは口をわなわなさせる。
「何言って…」
「…匂いするもん」
再びふんふんと鼻をひくつかせるカイに、ギョンスは羞恥で顔に血が上ってくる。目をそらし、奥歯を噛む。
「…どっちの匂いなのかは、分かんないけど」
カイは視線を落とし、ギョンスの手の中にあるタオルを見る。
「それで、体拭いたの?」
ギョンスも自分の腕の下を見てしまう。タオルを掴む手に力が入る。
「どっちの?どっちも?」
ごくごく好奇心からのようにカイは尋ねる。
答えられるわけがなかった。
すさまじい屈辱にギョンスは体内の熱と全身を包む震えがどんどんと強くなる。ぶん殴って出て行ってやろうかと思った。だができなかった。黙って、俯き、立っていた。
「……風呂、入んでしょ」
目を、カイに向ける。その顔は捉えどころがない。
「入りなよ」
展開に虚を突かれ、ギョンスは体の力が抜けていく。言葉の示すところが、掴めない。
「見てるから」
カイは壁に、体と頭をもたせかける。
その顔は、これから起こることへの期待を隠しきれず、かすかな笑みが浮かんでいる。
「ほら、早く」
ふふふ、と笑いすら漏らし、カイは言う。
ギョンスは体中の力がほとんど抜けている。
タオルが指の先で、引っ掛かっている。
にほんブログ村 BL・GL・TLブログ 二次BL小説へ EXO RANKING ⊿⊿
FC2BLOGRANKING
( korea boys rank ) Kiss&Hug.
にほんブログ村テーマ BLラブへ
BLラブ
trackback (0) | comment (0) | 人さらいの条件(カイ × D.O.)

20160716

人さらいの条件 16
黙りこくり、下に向けた黒目を横移動だけさせるギョンスに、壁に沿って体を滑らせ、顎を上げ、カイは言う。
「…入んないの?」
「…………入るよ」
「じゃあ、入んなよ」
「出てけよ」
「見てるって言ったじゃん」
「いやだ」
だんだんと声の鋭さを増しながら、ギョンスは拒否する言葉を口にし、見下すように自分を眺めるカイの顔を見た。
「……写真」
ポケットに手を突っ込むと、ダウンジャケットを着たままのカイの体から、かしゃかしゃという衣擦れの音がする。
カイが呟いたひとことは、聞き間違いではない。ギョンスは、交渉が始まった、と思う。覚悟を決める。
「なんの写真か知りたくない?」
得意の流し目だった。人を小馬鹿にしたような、誘惑するような、その目のかたち。カイはこのシチュエーションに慣れてきている。ギョンスは痛いほどそれを感じる。ステージを支配するときの弟を思い出す。
「…見せてくれたら、教えるよ」
チンピラかよ、とギョンスは思った。自分はカツアゲの標的にされた中学生。金だったらいくら渡しても気にはならない。だが、今求められているのは、ギョンス自身だ。
息をゆっくり吸い込んで、ギョンスは言葉を紡ぐ。
「見せるって、何を」
自分でも驚くほど、落ち着いたように聞こえる声が出た。
カイが答える。
「…風呂入んだから、分かるでしょ」
その瞳に邪な希望を宿して、カイは言葉を放る。
「裸、見せてよ」
唇の震えを抑えるため、ギョンスはぐっと、それを引き結んだ。
どれだけ自分を貶めれば気がすむのだろう、ギョンスはなんとかこの状況を打開できないか、気力を振り絞って頭を巡らせようとする。要求を受け入れなかったらどうなるだろう?今日は何事も起こらないかもしれない。でも明日は?写真に写っているものはなんだろう?やはり、その証拠というものを目にするまで、こちらからは手が打てない。
「服、脱ぐだけだ」
ギョンスはひとことひとこと、はっきりと口にする。
「見るだけだぞ」
そう言って、カイに背を向けた。タオルを脱衣カゴに放り込む。
上に着たセーターを取り去り、シャツのボタンに指を掛ける。ひとつ、ふたつ、みっつ。全て外され、上半身が露わになる。カイの目には、首から肩の華奢な線、肩甲骨の繊細な盛り上がり、細い腰が映る。先刻チェンに引っ掻かれた淡い傷が、そこかしこに赤い線となって浮いている。カイは酔ったような表情で、壁に頭を預けたまま、口を開けてその後ろ姿を見つめる。ギョンスからはもちろん、そのカイは見えていない。
続いてパンツのボタンが穴を通り、つがいが外された。すとん、と、足元にパンツが落ちる。そして下着が現れる。緑色の、ボーダーの、ボクサーパンツ。尻の割れ目の線がくっきりと出ている。脚の毛は非常に薄い。息の上がったカイは、口の開きを広げ、顎を下げた。片足の踵を壁に掛ける。
ギョンスは躊躇いなくパンツをその手で引き下ろした。日に焼けていないためどこまでも白い尻が、カイに向けられる。カイはポケットから片手を出し、口を覆い隠した。
脱いだ服すべてをカゴに入れ、ギョンスは棒立ちになった。股間が、先程のセックスで、ある程度ティッシュで拭いたとは言え、毛も含めて綺麗な状態とは言い難いのを、ギョンスは分かっていた。自分のペニスを見下ろして、胸を大きく上下させる。振り向くことは、できなかった。
「……………こっち、向いてよ」
聞きたくなかった言葉が、後ろから響く。ごく小さいその声が、何と大きく聞こえることか。
拒絶したかった。だが、そうすることすら難しかった。恥ずかしがることが、恥ずかしかった。
意を決してギョンスは顔を上げた。そして、体をカイに向けた。
赤い顔のカイが立っていた。顔の下半分を手で隠し、見開いた目でギョンスの目を捉えた。ふたりはしっかりとお互いを見合った。
だがギョンスは耐え切れなかった。くるりとすぐまた、背を向け、バスルームの戸をスライドさせた。そしてそのまま中に入った。
「…寒いんだよ」
言いながら蛇口をひねる。シャワーがあたりを濡らしていく。
指先に水の流れを当てて、ギョンスはカイを顔だけで見た。
カイは目を合わせてすぐ、斜め下に視線を落とす。手は外され、顔はすべて見えていた。気まずそうな表情が顔を覆っている。
水が湯になった。浴室を湯気が包み出す。
ギョンスはそんなカイを凝視し、口を開いた。
「なんの写真なんだよ」
シャー、という音がふたりの隙間を埋めていた。
カイは無言で浴室の入り口に足を進めた。
ひるんだギョンスは、ドアを閉めようとし、がららと取っ手を引く。
半分ほど閉まったところで、カイは戸に手を掛け、閉まるのを引き止める。
至近距離で、ふたりの顔がお互いを威嚇した。
「…ふたりが、風呂から出てきたとこだよ」
そう言うと、カイは再び視線を逸らした。もう見ていられない、というように。そして自身で勢いよく、扉を閉めた。がしゃん。
湯がギョンスの足の周りを流れていく。そちらこちらに水の飛沫が跳ねている。
カイが鍵を開け、洗面所から出て行く音がする。
ドアの方を向いたまま、ギョンスは立ち尽くす。最後のカイの言葉と、顔を背けるその仕草。それは嫉妬と恋慕に、満ちていた。
にほんブログ村 BL・GL・TLブログ 二次BL小説へ EXO RANKING ⊿⊿
FC2BLOGRANKING
( korea boys rank ) Kiss&Hug.
にほんブログ村テーマ BLラブへ
BLラブ
trackback (0) | comment (0) | 人さらいの条件(カイ × D.O.)

20160716

人さらいの条件 17
髪を洗い流しながら、ギョンスは目をつむり、ついさっき、顔を突き合わせていた弟分のようすを、思い返していた。
扉を押さえた指先の赤み。
染まった鼻先と頬。
触れたら弾きそうな唇の間。
吊り上がった囲いの中の、その、眼球の潤み。
眉はいっそ哀しそうにしわを寄せていた。
“ふたりが、風呂から出てきたとこだよ”
その声音。
ギョンスは初めて確かに、カイが自分を好きなのだと、知った。
自分に性的な強い興味があり、そこにはかすかな思慕も混じっているのだろうと思ってはいた。
しかし、はっきり、カイが自分に恋をしている、と感じてはいなかったのだ。
だが、今日。
チェンとの関係への、あの態度。
相手の裸を見たがりながらも、自ら外した視線。
————カイは、俺を好きなのだ。
ギョンスは最初から、あの、ふたりで食事をした日から、分かっていなければならなかった。
どこかで、カイの精神的な未熟さを、ギョンスはずっと、案じ、そして、侮っていた。自分への執着も、ひっきりなしにおもちゃを欲しがる、子供のわがままのように見定めていた。
けれど、これは。
ギョンスはコックを捻り、お湯を止めた。瞼を開け、髪を両手で後ろに流す。
カイは、チェンに対し、どんなふうだったっけ?
以前と違う、何か、変化が、あったろうか?
さまざまなシーンを、ギョンスは思い浮かべる。
いくら考えても、特に、そういった記憶はないような気がした。
写真。
俺たちが風呂から出たところ。
あの日、なんだかはしゃいでいたふたりは、ひとしきり体を絡めたあと、のぼせそうになりながら浴室を出た。
笑いを噛み殺してお互いのあちこちを軽く拭くと、脱衣所にふたりで長くいるのは危ないと、チェンの部屋に走った。体にタオルを巻いて。あのとき。一応ギョンスは気を付けていた。あたりを見回してから、廊下に出たはずだ。シャッター音を含めた物音も、何も聞こえはしなかった。
カイは嘘を言っているのだろうか。
下唇のでっぱりから、雫が落ちる。
本当は、証拠なんか、存在しないんじゃなかろうか?
着替えを持っていなかったため、ギョンスは腰をタオルで包んで、湿気のこもる部屋を出た。
まだ、ダイニングルームには灯りがつき、複数人が会話をする声が、こもってギョンスの耳にも届いた。
なんとなく安心し、ギョンスは自室に向かった。
カイがいないといい、と願った。
あの、こうこうと光の溢れる、明るい場所に、皆と一緒にいてほしい、と、強く念じながら、ドアを開けた。
人気のない暗い部屋が、ギョンスを迎えた。
深いため息をつき、蛍光灯を照らす。体を冷やさぬよう、中に入って扉を閉めると、急いで暖房のスイッチを入れた。
ベッドに腰掛け、手に持っていたタオルで頭をわしわしと拭きながら、もしここにカイがひとりでいたら、とギョンスは想像する。
半裸の自分を、先刻その隠された部分もしっかりと目に焼き付けただろう自分を、どのように迎え、何を言うのか。
ギョンスはカイが、ぷい、と顔をそむけるさまが目に浮かぶ。
伏し目にし、瞼を光らせ、唇を心持ち突き出して。
なんということなんだろう。
ギョンスは腕を下ろし、太ももの上に肘をつき、頭にタオルを乗せたまま、俯いた。まるで試合に負けたボクサーのように。心情すら、似せて。
あの、ただの、可愛い、馬鹿な、弟が、自分を本気で、好いている。
にほんブログ村 BL・GL・TLブログ 二次BL小説へ EXO RANKING ⊿⊿
FC2BLOGRANKING
( korea boys rank ) Kiss&Hug.
にほんブログ村テーマ BLラブへ
BLラブ
trackback (0) | comment (0) | 人さらいの条件(カイ × D.O.)

20160717

人さらいの条件 18
寝巻きを身に付け、髪を乾かすと、ギョンスはベッドに潜り込んだ。
ひどく疲れていた。
目を閉じると、仕事を含めたたくさんのことがギョンスの頭に去来した。
もちろん、その中に、カイもいた。
ギョンスは浴室の入り口を隔てて向かい合ったときのカイの顔が、脳裏から離れなかった。
今までのどのカイよりも、ギョンスに訴えるものがその表情にはあった。
カイにあんな顔をさせているという事実に、ギョンスの胸は痛んだ。目をぎゅっと強くつむる。ぐにゃぐにゃとした絵の具の混ざりのように、脳内はピントがぼけていく。眠りに、ギョンスは落ちていった。
枕元の携帯電話が、一瞬、震えた。
ギョンスは掌でそれを包んだ。だが、そのまま、動きは止まった。チェンからだと、分かっていた。たとえ現実と夢の狭間にいても。その言葉を読みたかった。しかし、それは、朝まで叶わなかった。
眠りながら、ギョンスはカイたちが談笑しながら部屋に入ってきたのになんとなく気付いた。
抑えてはいても、漏れ出すふたりの声の明るさに、半分寝たままで、ギョンスは救われるような心地がした。
少し、微笑んだかもしれない。
そして再び、何も分からなくなった。
夢うつつの中、寝息が聞こえた。
あいつ鼻が詰まっているみたいだな、とギョンスはうっすら思った。
仰向けに寝ていたギョンスは、目を開くことはしなかった。
だが、何か、変だった。
寝息はひとつしかないようだ。
寝息でない、呼吸が、すぐ近くにある、気がした。
生き物の体温が、ギョンスのベッドの近くに、勘違いかもしれない、と思わせる程度だったが、感じられた。
ジョンイン。
ギョンスは思わず、瞼を閉じ、口も動かさず、その者の名を心中で呼んだ。
ただ立ち尽くし、自分を見下ろしているらしかった。
何故か、ギョンスは、先日自慰行為をすぐそこのベッドで行われたときのような戦慄が、今は感じられなかった。
夢かもしれない、とすら、平静な心で思った。
そして、別に、現実でも構わない、と。
見たいなら見ればいい。
見るだけしか、しないのだから。
それしか、この恋情に飲み込まれた人間には、許されてはいないのだから。
寝顔を晒して、ギョンスは自分を差し出し、また夢へと落ちた。
にほんブログ村 BL・GL・TLブログ 二次BL小説へ EXO RANKING ⊿⊿
FC2BLOGRANKING
( korea boys rank ) Kiss&Hug.
にほんブログ村テーマ BLラブへ
BLラブ
trackback (0) | comment (0) | 人さらいの条件(カイ × D.O.)

20160717

人さらいの条件 19
忙しさとスケジュールのずれから、ギョンスとカイのふたりがふたりきりになるということは、その後ほぼなかった。
たとえひとつ部屋で眠るはずのお互いでも、睡眠の時間帯さえ合わなくなった。
ギョンスはこれ以上ないほど気が楽になった。
たまに顔を合わせても、そばにはメンバーたちがいる。
それとなく、カイのチェンへの振る舞いを観察しても、兄貴ぶるチェンと、弟としてしたいように過ごすカイという、昔から変わらぬ間柄の兄弟にしか見えなかった。
このまま、何もなかったようになるのではないかという、甘い期待がギョンスの中でゆっくりと膨らんでいった。
変わらず、チェンとは会っていた。
以前より少し、チェンはギョンスに積極的な態度を示した。
自分からキスやハグをし、セックスをしたいという意思表示もそれとなくするようになった。
その行為や仕草すべてを、ギョンスは微笑ましく思い、ときにからかいながら、受け入れた。
チェンは指を絡め合ってキスをするのが好きだった。
どうかするとそれだけで1時間以上が経った。
こんなにチェンがキスを好きだと、ギョンスはこれまで知らなかった。
唇が腫れそうになると、ギョンスは繋いだ手を優しく解き、肩に触れた。
唇を名残り惜しそうに離し、薄目を開けるチェンに、ギョンスはそっと囁く。「撮影あるから」。
ごめん、と言いそうになるのを、チェンはぐっと、我慢する。
そして最後に、自分から、音を立てて唇にひとつ、キスをし、チェンはギョンスの手を服の下に、迎え入れた。それがいつもの、ふたりの、逢瀬だった。

その日、練習室で、ダンスの全体リハーサルが予定されていた。
おのおのの仕事の進捗によって、集まる時間がまったくのばらばらだった。
自分がもしかすると一番乗りかもしれない、と予測しながら、体の空いたギョンスは、開始時間のずいぶん前に、通常使用する部屋の前に立っていた。
想定は外れ、もう誰か来ているらしい。部屋からは音楽が漏れ、シューズの鳴る音もそれに混じっていた。
邪魔にならぬようそっと、ギョンスはドアを開けた。細い隙間から、中を覗く。
カイが、ひとりで、踊っていた。
そのようす。
メンバーは、いや、メンバーを含むすべての人間は、彼の踊る姿を見ると、皆、呆気に取られてしまう。どんなに見慣れたと思っても、そうだった。バランスの取れた完璧な体型と、しなやかな筋肉。普段の姿からは想像もつかぬ豊かな顔の表情。どうしてか、カイは踊り出すと突然に、性的な神にでもなったかのようだった。顔と体、どちらもがそう、動いた。単純に男らしいとも違う、純粋なエロスがそこにはあった。ギョンスは久しぶりに、弟が本気で練習に励む姿を目にした。ああいう、ことがあってからは、初めてではないか、と思った。物陰に潜むようにして、カイとその鏡の中の分身を、じっと、見つめた。
ふっと、カイが鏡を通じてこちらに目を揺らした。
気のせいかもしれなかった。
だが、視線がぶつかったように、思った。
ギョンスは今、ここで部屋に入ることはできなかった。
すぐ目をそらし、扉を閉める。
とりあえず、トイレにでも行こう、とギョンスは踵を返した。他の者たちが来るまで、時間を潰そう。まだ、ふたりだけでは、いたくない。
男子トイレに入ると、鏡に自分が映っているのを、ギョンスは振り向いて、見た。己を見つめ、こんな人間の何がいいのだろう、と、音楽と舞踏の神に間違いなく愛されたメンバーのひとりに、思いを馳せた。
背後の扉がふわりと開いた。
そこには、さっきまでその姿に見惚れ、たった今その才能を賛美していた相手そのものが、いた。
「…ジョンイン」
無意識に、ギョンスは彼を呼んだ。
ドアが揺れ、中に、カイは入って来た。
その眉。目。口。
あ。
とギョンスは思う。
終わってなかったんだ。
膨らんだ希望的観測は、泡沫のように、どこかへ消えた。
にほんブログ村 BL・GL・TLブログ 二次BL小説へ EXO RANKING ⊿⊿
FC2BLOGRANKING
( korea boys rank ) Kiss&Hug.
にほんブログ村テーマ BLラブへ
BLラブ
trackback (0) | comment (0) | 人さらいの条件(カイ × D.O.)

20160717

人さらいの条件 20
「…なんで、部屋、入って来なかったの」
カイはギョンスから目をそらさなかった。
ギョンスもまた、そらさず、答えた。
「………邪魔かなと思って。…お前、すごい踊ってたから」
眉間を人差し指で掻き、顔を横に向けて、カイは呟く。
「…邪魔じゃ、ないよ、別に…」
「…分かった。じゃあ、戻ろう、部屋」
そう言ってカイの横を通ろうとしたギョンスの腕を、カイが掴んだ。
見上げると、すぐそこに、カイの顔がある。
ギョンスの白目の中の、黒目が揺らぐ。
瞬きをし、カイは開いた唇から言葉を零す。
「………写真のことだけど」
ギョンスの脳内に、ここ最近あったカイとのできごとすべてが、ものすごいスピードで円を描いた。
写真、という単語ひとつで、ギョンスはカイの言うことを退けられないという事実を、改めて、思い出す。
「…まだ、持ってるから」
掠れた声で、カイは言う。脅しの、言葉を。
ギョンスはその写真の存在の有無について、疑問視した記憶が、額のあたりに貼り付いたようにある。それを口に出すのが怖かった。なんと言われるか、想像がつかなかった。
「……………どうする?」
どうするって。
どうするってなんだ。
ギョンスが二の腕の真ん中を掴まれた状態で、ふたりは相手の顔しか見ていない。
お互いの出方を、鼓動を速めながら伺っている。
「………………見せろよ」
ギョンスの声も、常よりざらざらと響いた。
扉の向こうで、ふたりづれらしい男の話し声と足音が聞こえる。
カイは振り向き、取った腕を引っ張って、一番奥の個室に、ギョンスを連れて、入った。
何も言う暇もなく、ギョンスはされるがままに、その狭い空間にカイとふたりになった。
男たちは通り過ぎ、誰も入って来なかった。
息を殺して便器の前に、ほぼくっ付いたような格好で、ギョンスとカイは立っていた。
「……もう行ったよ。出よう」
顔をそむけたギョンスは言う。
扉に腕を付いたカイは、すぐ上からギョンスを見下ろしている。吐息が、かかる。
ロックを外そうと手を伸ばすと、その手をまた取られた。ギョンスはカイを見る。
強い力で、握られる。
「………見なくていいの?」
とろんとした目をギョンスに向け、条件の提示が始まる。いつもの通り、ギョンスは身構える。
「……………なに、してくれる?」
カイは手を滑らせ、ギョンスの手を握る。湿った、熱っぽいカイの手。同じように、その瞳も、潤み、熱を持っている。見上げるギョンスは、自分に課された課題を、受け止めるのに必死だった。
何を、するか?
この空間で。
時間もない。
だが、このようすだと、実際にあるだろう実物を、目にしないわけにはいかない。
どこまで、できる?
なんなら、満足する?
それなら、見せないと言わせないには。
「き、す、してやるよ」
目を落として、カイのスポーツウェアの胸のロゴをギョンスは見た。前も、そう言えば、ロゴを見ていた、と頭の隅で思いながら。
そしてまた、カイの反応を見るため、目を上げた。
ぼうっとした表情で、何も言わず、ゆらゆら動く目をギョンスに向けている。
「…それなら、いいだろ」
ギョンスは渇いた口の奥でごく、とわずかな唾を飲み込む。
「………見るだけじゃなくて、見たら、消すからな」
口の隙間から、気の抜けた「うん」という返事が、返ってくる。
何かを踏み越えてしまう気が、ギョンスはした。
しかしもう、後には引けなかった。
「……………頭、下げろ」
言葉の通り、カイは扉に片腕を付き、片方の手はギョンスの手を握り、ゆっくりとギョンスに向かって顔を落とした。
ギョンスは手を、その首の後ろに持っていく。
頭を抱えるようにして、カイの顔を支える。
カイは、目を閉じることができないらしかった。震えるように、黒い中心を左右に動かし続けている。
対してギョンスは、目を閉じた。
瞼の裏で、自分の恋人を想った。そして、そっと、謝った。
膨らみ、張った、顔の中の色の濃い、自己主張する一部分に、ギョンスは自分のそれを注意深く、重ねた。
にほんブログ村 BL・GL・TLブログ 二次BL小説へ EXO RANKING ⊿⊿
FC2BLOGRANKING
( korea boys rank ) Kiss&Hug.
にほんブログ村テーマ BLラブへ
BLラブ
trackback (0) | comment (0) | 人さらいの条件(カイ × D.O.)
  • ミス・レモン
ようこそお越しくださいました。
EXOのメンバーを登場人物にした二次創作BL小説や、オリジナルのBL小説、好き勝手なことを綴った雑記などを置くブログでございます。
内容を読んでのコメント、メッセージなど、いつでも心よりお待ちしております。
よろしくお願い致します。

最新記事

人気投票 1

人気投票 2

人気投票 3

人気投票 4

人気投票 5

ブログ村

にほんブログ村 BL・GL・TLブログ 韓流二次BL小説へ

人気ブログランキング

アクセスカウンター

有料アダルト動画月額アダルト動画裏DVD美人フェラポルノ動画フェラ動画美人フェラ無修正アダルト動画フェラチオ動画無修正フェラ
アクセスカウンター高画質アダルト動画無修正フェラ動画アダルト動画無修正アニメ動画海外アダルト動画
無料カウンター無修正DVDクレジットカード
無料アクセスカウンターウォーターサーバーアダルトグッズランジェリー無修正盗撮動画AV女優名教えて
ブログカウンター