海の底、森の奥

- EXOの二次創作とオリジナルのBL小説を中心としたブログです。R18表現あり。お気軽にどうぞ。

20160719

慈雨、降りそそぐ 1
いつからか、見られているな、と、ジョンインは感じてはいた。
でもさすがにこんなことになるとは、まったく予想もしていなかった。
昼下がり。
仕事前のひととき、ジョンインは常通りソファに陣取り眠っていた。
少し暑かった。
両腕を伸ばし、頭上に掲げて仰向けになったジョンインは、唇に心持ち隙間をこさえ、寝息をすうすう規則正しくそこから奏でていた。
メンバーはほとんど仕事に出ており、マンションには数人しかいないはずであるのを、眠る前にジョンインも認識していた。そのうちのひとりがチャニョルであることも。
ドアが優しく開閉される音を、夢見心地でジョンインは聞いた。
なんとなく、チャニョル兄さんかな、と、その足音の重みで予測した。ベッキョン兄さんやジュンミョン兄さんより重量感がある、と。
近くに寄って来る抑えた足音を聞きながら、ジョンインは、喉が渇いた、と思った。そして少し、唇を動かした。気を付けて見ないと気付かない程度に。
すぐ横にチャニョルが立ったのも、ジョンインは分かった。なぜかそのままじっとしているのも。しかし寝ぼけたその頭では理屈など空転した。ただ、水持ってきてくれないかな、などと虫のいいことを願うばかりだった。
左腕の上の方が、ぐっとへこんで、自分の体がほんのわずかに傾くのが分かった。なんだ?と思った、次の瞬間、開いた唇と唇の間になにかが埋まった。柔らかくて、湿ったなにかが。覚えのある感触。いっきにジョンインは現実へと舞い戻った。そして考えることなく瞼を開けた。
思った通り、チャニョルの顔がそこにはあった。出会ってから一番大きいサイズで、親しい兄貴分を見た。チャニョルの目は開かれていた。要するにキスしたまま、ふたりは目が合った。
ゆっくりと、チャニョルは屈めていた体をジョンインから離した。そして、
「ごめん」
と言った。猫背で、大きな目を泳がせて、両の口角を下げて。
ジョンインは肘で体を起こし、夢でないことを自分に納得させようと脳が回転していたが、目の前でうなだれるチャニョルから目を離さないことしか実際の行動はできなかった。やはり喉は渇いていた。唇の上の違和感とともに、ジョンインを抑え込んだ。
「ほんとに、ごめん」
謝罪を繰り返し、チャニョルは次の言葉を何にするか苦悩しているようだった。眉間を寄せて、漫画みたいな顔をした自分より背の高い年長者が、こんな風に自分に向かって弱ったさまを晒しているのが、ジョンインに経験のないむずがゆさを覚えさせた。上半身を起こし、ソファに座った格好になると、チャニョルはジョンインを見て、口を開いた。
「ちょっと、えっと……したくて。しちまったんだけど、でも、勝手にしてほんとごめん。ほんと、悪かった。……でもいたずらとかそういうんじゃなくて」
ごく、と唾を飲み込む音をジョンインは聞いた。きらきらした目を、それに対するには力のない状態の瞳で、受けていた。
「………すきなんだ、お前が」
深く低いその声が愛の言葉を囁けば、どんな女もどうとでもできるだろうと密かに羨ましくさえ思っていたまさに武器を、自分に振るわれ、ジョンインは固まった。見上げたチャニョルは化粧などしなくとも、どこにいたって光を発している。喉が痛い。水が欲しいよ、兄さん。まだジョンインは、そんなことを思っていた。




つづく




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20160719

慈雨、降りそそぐ 2
口を最後の言葉のかたちに開いたまま、チャニョルが立ち尽くすのをジョンインは黙って見ていた。
笑って、「またまた〜」と言いそうになるのをかろうじて押し留めて。
それはチャニョルの大きな尖った耳の先が、興奮や緊張で色を持つのを幾度も見てきたジョンインには、今、できないことだった。
チャニョルのそれは、ピンク色の粉をかぶったようだった。
目は変わらずらんらんと異様なまでに輝き、泣きそうなのかと勘ぐるほど光って見えた。
チャニョルは唇を舐め、視線を落として両手を組み合わせもじもじと動かしながら、低い声をよりこもらせて、言った。
「……困らせるつもりなかったっつーか……。言う…つもりもなかったんだけど……。まじでごめん。もしムカついたなら殴ってもいー。勝手に……しちゃって気持ち……わりーだろーし」
男って告白するときこんなに自分より小さく、儚く、滑稽に見えるものなのかと、ジョンインは渦のような困惑の中どこか新鮮に感じ入っていた。
きれいな、誰もが振り返る顔をして、メンバーの中でも一番の身長を持ち、楽器が弾け歌を歌えても、恋う相手にはまったく無力。それが、男なのだ。
そんな世界の真実のかけらを見つめながら、ジョンインはその好意が向けられているのが自分であるという事実を受容したわけではまったくなかった。
いったいなにをどう言ったらいいか皆目見当もつかなかった。
チャニョルが本気で自分を、恋愛対象として好きらしく、気付かれないと思いキスをしたということ。
これがなにかの間違いか作り話でないなんて、あり得るだろうか。
ジョンインの中の許容量は完全にオーバーしていた。
なんで俺は、すぐに目を開けてしまったんだろう?
自分の考えの至らなさをジョンインは責めた。
なかったことにできたのに。
喉の渇きと状況の困難さが重くのしかかり、ジョンインはチャニョルに助けを求めたかった。
チャニョルはそういう存在だった。
いつでも気軽に、楽しく、いっしょに、行動できた。
困ったことや怒ったこと、なんでも気兼ねをあまりすることなく、すらっと言えた。
これがしたいとか、あれは嫌いだとか、自分には存在しない本当の兄貴のように、訴えることができた。
なのに。
ジョンインはその当の本人に今、追い詰められていた。
知らぬ間にジョンイン自身、泣きそうな、真に困った表情を浮かべ、チャニョルを見ていた。眉は垂れ、重い二重は更に厚ぼったく瞳を隠した。
そろそろとジョンインに目をやったチャニョルはそんな弟分を見て、胸をぐさりとひと突きされたようになり、思わず、また、
「ごめん、ごめん」
と謝罪が口をついていた。
ためらいながらも、数歩ジョンインに近寄った。
「兄さん」
ジョンインはなにも考えていなかった。
ただ望むものを口にした。
「水、飲みたい」
チャニョルは数度、目を瞬いた。




つづく



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20160719

慈雨、降りそそぐ 3
仕事を終えてマンションに戻ると、チャニョルがまだ帰宅していないことをジョンインはそれとなく確認した。
最近気に入りのスニーカーはないようだし、声もしないし、姿も見えない。
たぶん大丈夫。
そう思うと心から安堵し、疲労し、汗をかいた体をもたもたと浴室へ運んだ。
誰も今入っていないと分かると、軽く皮膚に張り付いた衣類を剥ぎ取り、シャワーの前に立った。
顔から湯を浴び、目を閉じると、昼間のことがまざまざと浮かんできた。
水をたっぷりついだグラスを受け取り、ジョンインはなにも言わずそれを喉に流した。
乾いた土に水が染み込むように、その体に水分はもたらされた。
グラスの表面に触れる指先から伝わる冷たさも、ジョンインに落ち着きを、わずかに取り戻させた。
横のひとり掛けソファに脚を揃え、小さくなって座っているチャニョルにちらりと横目を向ける。
顔を少し俯けて唇を噛み、脚の上に視線と両手を置き、腿から膝をゆっくりと手指で擦っているようすを見て、ジョンインはいたたまれない気持ちになった。こんなチャニョルを見たらただでさえ胸が痛むのに、そうさせているのは自分なのだ。
こふん、とジョンインは軽く咳払いした。ひんやりしたグラスを両手で持ち、ゆらゆら揺れる水面を見つめながら。
「ジョンイン」
名を呼ばれ、肌がぴりりと反応する。
ただ黙るしか法はなく、返事すらせずジョンインは待った。
「……なにか、お前に求めてるわけじゃないから。できたら、…なんも気にすんな。…勝手なこと言って、ほんと悪いけど……」
ジョンインは心中慌てて、しかし傍目にはごく普通に、またグラスに口を付けた。
そのさまをちらちらと上目で見ながら、チャニョルは続ける。
「……ああいうことも、もう、絶対、絶対しねーから。……許してくんねーかもしんないけど、それも当然だと思うけど、……なんとかこれからも、いっしょにやってって、ほしい……」
そう言って深く頭を下げたチャニョルを見て、ジョンインはグラスを干した。
そしてふー、と、大きく息を吐き出し、コン、と、テーブルに空になったグラスを置いた。
「……分かったよ……」
唇の先だけで呟くようにそう言うと、ジョンイン自身の耳にもひどく悲しげにそれは響いた。
チャニョルはぎくしゃくと顔を上げ、視線は落としたまま、ありがとう、と、苦しげに告げた。
全身を濡らしたジョンインは、これからどんなふうにチャニョルに接したらよいのか、考えようとすればするほどそこから逃げ出す自分がいるのを強く意識しながら、体を泡だらけにした。
もともと白より若干の色を持ったその肌は湯で温められ、常以上に濃く染まり、白い泡で包まれるとコントラストが極まった。
気の済むまで洗うと、また頭からシャワーを浴び、体のソープを落としていった。
肌を手で擦りながら、こんなふうにすべてがなかったことになればいい、と思った。
本気で、そう思った。




つづく



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20160719

慈雨、降りそそぐ 4
翌朝目を覚ますと、部屋の中のベッドはすべて空だった。
ジョンインは昨夜入浴後すぐ床に着いたことは成功だったと、体を起こして嘆息した。
眠れるだろうかと目を閉じて訝ったが、見事に熟睡した。夢も見なかった。
心身ともに疲弊していたんだなとジョンインは妙にすっきりした気分で納得した。
部屋を出、リビングへ行くとジョンデがいた。
テーブルにつき、朝食とミンソクが淹れたらしいコーヒーを摂りながら、新聞を読んでいる。
どこかのパパのようなそのさまに、ジョンインはいつもよりずっと気持ちの落ち着きを感じ、思わず口元に軽い笑みを浮かべ、おはよー、と言いながら斜向かいの席に腰掛けた。
「はよ。パンあるぞ」
そう答えたジョンデは顔を上げてジョンインを見た。
ぼさぼさの頭を右に左に振って、なだらかな曲線を描く首から肩をならしている弟分は、寝起きだとまだ少年のような佇まいが多分にあった。弟のいないジョンデは年下メンバーを実の弟たちの如く感じていたが、まさにこういうときにその感覚は強まった。なぜか今朝のジョンインは少し気弱な雰囲気をまとっていた。うん、と答えるその声のトーンも、幼い子供のそれだった。
「今日、仕事急がなくていいのか?」
新聞を折り畳んで隣の椅子に置くと、ジョンデは残ったクロワッサンをちぎって口に運びながら、優しい声音でジョンインに話しかけた。
ジョンインの鼻に、コーヒーとバターと酵母の混ざった朝の香りがかすかに届く。
膝を折って椅子の上にかかとを乗せた格好のジョンインは、「ご飯食べたら、行く」と、まるで親に答えているみたいだなと自分で思うくらい、不機嫌なような、ぶっきらぼうな、しかし気を許しているからこその話し方で口をきいた。学校行きたくないな、とでも言い出しそうに。
ジョンデはふ、と笑って、そっか、と呟いた。
食卓に乗せられたクロワッサンと菓子パン、トマトの櫛切りと殻のついたゆで卵。
肉が食べたいな、とジョンインはぼんやり思うが、思うだけでなにも言わず、立って冷蔵庫に向かった。
ぼこん、と扉を開けるのと同時に、
「ベーコンとウインナーあるぞ」
と、ジョンデの声がジョンインの背中に掛けられた。
振り向くジョンインの、ほうけたような、それでいて訴えるような表情に、ジョンデは呆れるとともに破顔する。
「焼くよ」
よいしょ、と言って立ち上がり、ジョンデはジョンインが牛乳のパックを持つ横から手を伸ばしかけ、どっちにする?と尋ねる。
どっちも、とジョンインが言うと、ジョンデは彼ならではの笑顔と高音で笑い、お前なー、と相手の美しい肩を肘でこつんと突いて、ベーコンとウィンナーを手に取った。
ジョンインはカップを持ってテーブルに戻り、ついだ牛乳の冷たさと甘みを口に感じながら、ようやく日常が戻ってきたように思った。
じゅうう、と、油が熱くなる音が快かった。




つづく




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20160719

慈雨、降りそそぐ 5
しかし、当然だが、ジョンインにとって都合のよい日ばかりが続くわけがない。
数日も経たぬうちに、それぞれ帰宅したジョンインとチャニョルは、キッチンで顔を合わせた。
ジョンインがドアを開けると、リビングには誰もおらず、小さな灯りが灯り、音楽が流れていた。キッチンの方からはこうこうと光が漏れている。料理をしているような物音も。
その選曲の感じも含めたすべてから、ジョンインは嫌な予感がした。
あたりを音量の抑えめな重低音の響くラップと、中華風のだしの香りが満たしていた。
チャニョルが夜食を取ろうと準備しているところに、荷物とキャップを放って冷蔵庫に向かったジョンインは鉢合わせた。
視線の絡んだふたりは、1秒にも満たぬ一瞬、無言でお互いを見たが、先にジョンインが斜め下を向き、久しぶりの邂逅が気まずいものに決定する雰囲気が間を流れた。
久しぶりとは言っても、ほんの何日間かだったが、考えてみれば交流を持ってから初めてと言っていいほどまったく接触がなかった期間としては本当に長い、ということを改めて実感したのは、ジョンインだった。
チャニョルはおそらく分かっていただろう。これがどんな意味を持つかも。痛いほど。
前はどんなふうに、なにを喋っていたんだっけ?
冷蔵庫を開け、スポーツドリンクのペットボトルを持ったジョンインは、ぎこちない動きでチャニョルの後ろを通り、食器棚からグラスを取り出した。
あんなことがある前なら、兄さん取って、それだけ言って済んでいた。
食器棚の戸を閉めながら、ジョンインは胸が締め付けられるような心地で無意識に唇を突き出した。
グラスにドリンクを注いでいると、チャニョルが明るい笑顔を作ってジョンインを向いた。右頬にそのようすを感じ、ジョンインは体が強張る。
チャニョルは表情と同様、陽気な声音で問う。
「練習か?」
内心の驚きと動揺を出さぬよう気を付けて、満たした杯からペットボトルを持ち上げ、蓋を閉めつつ、チャニョルを見ずにジョンインは「うん」とだけ言う。
「進んだか?」
うん。
「疲れたか?」
うん。
「腹減ったか?」
うん。
この会話の間、ジョンインはやはり質問して来る相手を見ずに、その後ろを通って冷蔵庫にドリンクを戻した。
チャニョルはジョンインの動きをいちいち目で追いながら尋ね、口元に笑みを浮かべたままだった。
ジョンインがぱたん、と冷蔵庫を閉めた瞬間、
「じゃあ、一緒に食べるか?」
とチャニョルは聞いた。
声と瞳に、ありったけの誠意と温かみを込めて。
思わずジョンインがチャニョルの顔に目線を送ると、コンロにかけられた鍋からシュー、と湯気が上がった。
長い腕を伸ばし火を弱めるチャニョルは、それでもジョンインに対するのをやめない。
料理の後片付けをしながら、貼り付いた笑顔をめげずに、ジョンインに向け続ける。何度も何度も。
ジョンインはグラスを手に、そのチャニョルの必死なさまと、奥の鍋から漂う食欲をそそる匂いに翻弄された。
一刻も早くここから立ち去りたいという気持ちと、チャニョルとの関係を改善したいという気持ちと、空腹を満たしたいという気持ちが渦となってその体内を巡った。
「雑炊だよ」
シンクの中でキッチン用具を洗いながら、水の音と音楽に負けぬためと、ジョンインに対する緊張からか、深夜に似つかわしくないはっきりとした大きな声で、チャニョルは誘いの文句を吐く。
「鶏肉入ってる」
それを聞き、くうう、という、他のすべての音に搔き消えるようなかすかな音でジョンインは自らの腹が主張をしたことを受け、逃げてばかりもいられない、と、そして、———チャニョル恋しさに音を上げて、首をこくりと下に落とし、戻した。
そんなジョンインの受諾を、チャニョルはやっと本気の、輝くような笑顔でもって、目に映した。



つづく



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20160720

慈雨、降りそそぐ 6
大きなチャニョルの手が鍋の蓋を開けると、白い湯気がその上を満たした。
テーブルについて向かい合ったふたりは、あまり言葉を交わさずに中身を取り皿によそったり、その取り皿を受け取ったり、お茶で喉を潤したりしていた。
ジョンインはもうもうと立ち上る湯気を見つめて、まだ雑炊には手を出していなかった。
チャニョルはレンゲですくったものに息を吹きかけて、無理矢理にでも口に運んだ。
熱がりながらそれでも食事を進めるチャニョルを上目でちらりと見て、やはり気まずさは簡単には払拭できないと、早くもジョンインはふたりでの夜食を受け入れたことを後悔し始めた。
目の前に座るひょろひょろと大きい、そしてその割に極小のこの兄貴の顔を盗み見ながら、なんでこんなに恵まれた大の男が俺なんか好きになったんだろう?と、当然抱く疑問をようやく今、ジョンインは頭に浮かべた。
ジョンインは自身の体とダンス、ひいてはパフォーマンスと、被写体としての自分というものにはかなりの自信があったが、それ以外ではほぼないと言っても過言ではなかった。
人付き合いがうまいとは言えない。話すのも得手ではない。頭がいいとも思わないし、ダンス以外の芸術表現は手に余る。歌うのももっと上達しないといけない。暇があればずっと寝ている。
ただ自信はなくとも卑屈ではなかった。それはジョンイン自身の自覚がない領域ではあったが、その開けっぴろげな本能に忠実な性質が、なぜか周囲の人間をして彼に奉仕させるようなところがあった。今現在が、まさにそういう状況だった。一種のカリスマと言えば聞こえはいいが、実際は放っておけない美しい野生動物のようなジョンインなのだった。
そんな自己分析など当の本人がまさかできるはずもなく、ジョンインは兄さんは女の子とばっか付き合ってきたはずだ、ゲイなんて聞いたこともない、そう感じたこともない、確かにこのところよく目が合うなと思わないではなかったけど、ただの偶然かと思ってた、俺全然女子っぽいとこないし、むしろでかいし、普通よりでかいし、なんで?あ、アイドルである以上女の子と付き合いづらいから?それでメンバーの俺?でもなんで俺?可能性ありそうだった?そんなのやだな、ぜってーやだ、などと湯気の勢いの弱まった小皿を見下ろしながらなんとか自分の中である程度の回答を得ようとしていた。この数日の間放棄していたこの件に関する思考を、問題の相手を前にしてようやく行うのがジョンインであった。
そんな弟分をチャニョルは食べるのを中断し、見た。そして
「冷めるぞ」
と柔らかに諭す。
声を掛けられたことに少々驚き、ジョンインは目を上げてその主を見た。
チャニョルはやはりいつものように目の中にたくさんの光を込めてジョンインを見返していた。口の端には優しさと愛情を示して。
こんなふうに見つめているのは自分のことが弟としてではなく好きであるからだと初めてジョンインは意識した。
するとなんだか分からない動悸と恥ずかしさ、そして独特のやりきれなさが彼を襲った。
昔全然知らない女子から突然告白され、断ってそれ以降彼女を見かけるたびに感じたなにかと近いものではあったが、また全然違ってもいた。
自分にはまったくその気のない親しい女友達から好意を寄せられたら、こんな感じなのかもしれない、と考えながら、ジョンインはレンゲを手に取って、だいぶ冷めてちょうどよくなった雑炊を口に入れた。
「うまい」
思ったことをそのまま言葉にして、出していた。
するとふっ、と大きくチャニョルが笑った。
「よかった」
その声の色がジョンインの顔をまた上げさせた。
そこには見慣れたはずの、常と変わらぬ愛嬌と魅力の詰まった可愛いとも言える笑顔があった。
だがジョンインには、なぜか初めて見たような気のする、笑顔だった。



つづく



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20160721

慈雨、降りそそぐ 7
日が経つに連れ、ジョンインは本当にチャニョルが自分に具体的に何かを求めているわけではないと実感し、接すること自体への拒否反応を逸していった。
よく目が合う、ということもなくなった。
つまりふたりは、‘それ以前’と変わらぬ付き合いをできるようになった。
ジョンインは心底安堵し、喜びに溢れた。
それと同時に、好奇心が湧いてきた。
なんで?
いつから?
そういう疑問がジョンインの心の隅にいつも住まうようになった。
毎日仕事に追われ、体力を消耗し、へとへとになって家路につきようやく気を抜く。
ふと、気付くと、チャニョルの自分を見る表情の数々が頭をよぎっている。
キスしたときの唖然とした顔、必死に謝る顔、努力して作った笑顔、ほっとした本心からの笑顔。
そのどれもが自分のみに向けられていると思うと、ジョンインは純粋に不思議だという感想を持った。
ソファに座ってぼうっとしていたり、シャワーを浴びて髪を洗っていたり、トイレで用を足していたり、そういう、あらゆる生活のときどきに、チャニョルはジョンインの頭を訪れた。
すき、という響きや、ごめん、という響きや、よかった、という響きが、表情を伴って彼を覆い、チャニョルに対する疑問は膨らむばかりだった。
単純に嬉しいとはまったく言えないこの複雑な感情は、ダンスの種類によっては感じる類のものだった。
言葉で定めるのが難しい、淡い、しかし魅力ある何か。
もちろん本物のチャニョルとも顔を合わせる。話しもする。ふざけ合う。
以前と同じになったというのは、厳密には違うかもしれない。
チャニョルは兄貴をやっていた。全身全霊でやっていた。
逆にジョンインは。気が引けるということはなくなったが、彼を捉えるもやもやとした摑みどころのない感情が、チャニョルに相対していてもどこかにひっそりと、しかし確かに、存在した。
それは自分の中の率直な疑問符と、チャニョルに対する不器用な思いやりが混じった、どこまでもごちゃごちゃとした得体の知れないものだった。
ジョンイン自身は同性に性的に惹かれたことなど皆無だった。
だから余計に、よく知っていたはずの家族同然の青年が、自分を愛するということにどこまでもクエスチョンマークが付いた。
あんな華やかな顔を持って、高い背を誇って、低い声を出して、器用な手をして。
そして音楽を生業としているとなれば、女が放っておくはずがない。
アイドル稼業と言ったって、そんなに簡単に、じゃあ男と割り切れるものでもないだろう。
なぜ?
ジョンインはまた、ベッドに潜ってうつらうつらとしながら解けるはずもない問題に力弱く立ち向かっていた。
兄さん、なんで、俺が好きになったの?
そのまま眠りに落ちるのが、このところのジョンインの毎日だった。



つづく



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20160722

慈雨、降りそそぐ 8
大きなライブ公演の仕事を終えた帰り、どっかでパーッと食べて帰ろうということになり、移動車の中は一斉に沸き立った。
もう一台の車にメンバー同士で連絡を取り、縦に並んだ車はフレンチの創作料理の店へと吸い込まれていった。
重要な仕事の成功のあとでもあり、揃っためんつは疲れもある中全員いきいきと目を輝かせて料理に取り組んだ。
来る料理来る料理写真に収めるベッキョンを、いいから食えよ、とギョンスがたしなめ、野菜とローカロリーのものばかりを探すジュンミョンに、肉も食べなさい、とジョンデが牛肉を差し出したりと、そこかしこで笑いを含む会話の絶えない宴会となっていった。
マネージャーたちは送迎があるため酒こそ飲まなかったが、仕事の愚痴をここぞとばかり言い合い、怒りをぶつけては憤懣やるかたないようすを見せ、発散していた。
ジョンインはセフンとともに、肉、肉、肉、と、骨つき肉をしゃぶっては残った残骸をふたりで山にしていった。
ダンスパフォーマンスの見せ場があった今日、特にジョンインはここ最近ずっと練習していたソロの舞踏がなんとか自分でも満足いったものになり、心身ともに充実すると同時にひどく消耗していた。何かを取り戻すかのように際限なく口の中に料理を運んだ。
「もう無理。ギブ」
そう言うセフンを尻目に、ジョンインは手と口の動きを止めない。
「よく食べるねー」
呆れたように末弟は呟く。腹を両手でくるくるさすって。
食べるだけでなく、皆アルコールもよく飲んだ。
ワインとシャンパンを中心として、何本も瓶が並んだ。とても珍しいことで、その夜の高揚を示すようだった。
色の白いメンバーが多く、皆ピンク、もしくはそれ以上の色に染まっていく中、ジョンインは他と比較すればあまり変化は見えにくかった。
しかし、実際はべろべろだった。
ようやく食べることに飽き、料理も尽きてきた頃、デザートとワインを口にしながらジョンインはずっと隣の席に座っていたチャニョルに、喧騒の中声を掛けた。
「にーさん食った?この赤ワインの煮込んだの」
肉のかけらの浮いた皿をフォークで刺しながら、ふふふ、と酔っ払いは笑う。
シウミンとスニーカーの話をしていたチャニョルは不意を突かれ、へ?とジョンインを顔だけで向いた。
その間にシウミンは、トイレーと立ち上がる。
ジョンインのいたずら小僧のような顔が、チャニョルの顔のすぐ横にあった。
「ジョンイン、飲んだなだいぶ」
口に引きつった小さな笑いを浮かべ、チャニョルは心持ち体を引いた。
自分でもかなり飲んでいた。大きな目はうるうると揺らぎ、ジョンインを見るのをやめることはなかった。
「うん、飲んだよ。うまかったー。ね?で、これ食べた?」
なおもフォークでほとんど空の皿の中身を指しながら、しつこくジョンインは尋ねる。
「あー。どうだろ。食ってないかな?」
「まじで!?うまかったのに。とろとろだったよ?もったいねー」
そう言いながら、ジョンインはチャニョルの肩を軽く叩く。
はは、と乾いた笑いを漏らしてチャニョルはごめん、となぜか謝る。
「でさー」
「ん?」
ジョンインはベイクドチーズケーキの白い体を少しずつ崩しながら、声を落とした。それをするだけの神経は、まだ残っていた。
「あのさ」
顔をチャニョルの耳に寄せる。
チャニョルは赤い顔でまた更に体を引く。
追いかけるようにして、大きな、先の尖った耳の中にジョンインは囁く。
「……なんで、俺のこと、好き?」
顔を離すと、眉間を寄せて、ジョンインはチャニョルを見た。
「……え」
「なんで?」
首を傾げてジョンインは聞く。
聞いちゃったなあ、とどこか頭上で、もうひとりの自分が思っているような感覚にとらわれながら。
チャニョルはその広い白目の中で大きな黒目を泳がせる。やはりジョンインから顔をそらすことはできずに。



つづく



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20160725

慈雨、降りそそぐ 9
「ねー、なんで?」
体を左右に揺らしながら、ジョンインはチャニョルを向いてケーキにフォークを刺している。
そんなジョンインから体を少し仰け反らせるようにして、チャニョルは言葉を探し、口をぱくぱく動かした。
「俺、…男だよ?」
ぽろぽろとチーズケーキの下のクッキー生地部分を零し、ジョンインは声が少し大きくなる。
赤い目の周りととろりとした目玉をチャニョルに向け、更に言葉を続けようと口を開ける。
チャニョルは顔に焦りを出し、素早く周囲に目を走らせた。
「にーさんは女の……」
「ジョンイン」
声を被せ、チャニョルは注目を集めないよう気を配いながらジョンインの話を遮る。
がたた、と椅子が引かれ、ミンソクが腰を下ろした。
「あ、兄さん」
チャニョルは思いついたようすで顔に無理に笑顔を作り、シウミンを振り向く。
「おう」
「トイレって男女ひとつずつしかないやつ?」
「ん?あ、ううん、3つずつくらいあるやつ」
「そっか」ジョンインに向き直り、言う。「よかったな、一緒に行こーぜ」
事態を把握していない酔っ払いは腕を掴まれ、チャニョルが立ち上がると同時にそのまま引っ張られた。
「んー?」
「ほら、行きてーんだろ。来い」
がたがたと立ち上がり、チャニョルはがっしり掴んだ腕の力を抜かず、わざとジョンインの声を消すような音量で、ちゃんと歩けー、ほら、前見ろーなどと言いつつ、トイレのある方へと勢いよく足を進めて行った。

ばん、と扉を強く押し、チャニョルはジョンインを引っ張り込んだ。
幸い人気はない。静かなクラシックと、客の歓談の音だけが、空気の中に薄く溶け込んでいる。
「んー痛いよー」
眉間にしわを作り、ジョンインは解放された腕をさする。
「ご、めん、だってお前、あんなとこであんなこと言うから」
ゆらゆらと押し戸が揺れるのを背景に、チャニョルは尻を両手でこすりながら、もごもごと言い返す。
完全に酔いの回った顔をしたジョンインは、体が固定されず常にどちらかに傾いては逆足で踏ん張った。そうしてチャニョルを半分閉じた瞳で見た。
「……だって……ずーっと、気になって……」
ジョンインはずーっと、という部分に力を込めて、唇を尖らせ大げさなさまでチャニョルに訴える。
その言葉を聞いたチャニョルは、慌て困惑した表情に、また違ったなにかを兆した。
「……兄さんは…女が好きじゃん、モテるじゃん……。なんで……俺を好きになんの?……いみわかんないよ……」
げふ、と漏らしてジョンインは黙る。風を受けた木の葉のように揺れながら、視線はさすがに下にあった。
「……ジョンイ……」
小綺麗なトイレの中は白い光が灯され、ジョンインはステージに立ったときのような、首を斜めに落としたポーズでその中に佇んでいる。
柔らかなハーブの芳香剤が漂う中、チャニョルはほのかに充血した目をわずかにそれまでより大きく開き、震えを持つ唇で声を発した。
「……そんなこと……だって……お前言われたって、……こまるだけ……」
言葉の途中でジョンインが顔をくしゃくしゃにし、んううーと唸った。
「ど、した?だいじょう……」
驚いたチャニョルは手を指し出すようにしてジョンインに近付きかける。
「……おしっこしたい……」
動きを止めたチャニョルは一瞬、呆気に取られる。
目を擦りながら便器を探すジョンインの両腕に手を掛け、はー、とチャニョルは嘆息する。
「はいはい、こっちだよ」
そう言って向きを定めさせ、便器の前に立たせる。
ジョンインが拙い動きで欲求を満たす姿のうしろで、天井を振り仰いでチャニョルは呟く。
「……こういうところが……」
その小さな叫びは、換気扇の穴の中にするすると消えて行くようだった。



つづく



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20160726

慈雨、降りそそぐ 10
さすがに翌朝早く仕事の入っているメンバーはごく限られていた。
昼近くになるまで、残る面々は誰も起きられず、おおかた二日酔いをベッドの中で持て余していた。
もちろんジョンインはそんな中でも症状はひどく、夕方からスケジュールが入っていたが、行けるかどうか自信がなかった。行きはしても、使いものになるかどうか。枕の上で口を半開きにしながら、ジョンインはそっと目を開けて中心から外に向かって痛みの走る頭を意識した。幸い吐き気はそれほどでもなかった。
寝返りを打って仰向けになると、頭痛は強さを増し、思わずジョンインはいてー、と口走った。
額に手をやり、意味はないがこすってみる。
細く開けた目の中に、カーテンから零れる日光が入ってくる。その明るさと色は天気のよさを示していたが、特段ジョンインの気を和らげたりはしなかった。
「…ジョンイン?」
衣擦れの音とともに声が向こうからやって来た。
喉に何か引っかかったような、だがそれでもしっかりと個性ある低音の声の主は、見なくともジョンインには分かった。
声の方へ顔を向けると、チャニョルがこちらを見ていた。ジョンインと同様額に手を乗せて。
「…大丈夫か?」
相変わらずくぐもった声で尋ねるチャニョルと目が合い、ジョンインはなんだか泣きたいように感じ、小さくうん、とだけ答えた。
チャニョルは体を起こして部屋の中を見渡した。そして目をしばたかせながら髪の毛を両手で梳かしつける。
「……俺たちだけかあ。11時半だよ。…ジョンイン、起きるか?お前」
ふわー、と、特大のあくびをしてチャニョルは問う。
ジョンインはもぞもぞとチャニョルの方を体ごと向くが、風邪をひいたような色の悪い顔で何も言いはしなかった。
そんなようすを見たチャニョルは、首の後ろを掻きながら、「まじでへーきか?」と更に問う。「水、飲むか?」
眉を寄せ、口を開けた切なげな顔で首を縦に振るジョンインを見て、チャニョルは長い手足を大きく動かし、ベッドを降りた。
「待ってな」
そう言い残して部屋を出て行くと、ほとんど間を空けずにもうジョンインの前に立っていた。
手には水滴の浮いたグラスを持って、チャニョルはほら、とジョンインを促した。
ジョンインは肘をついて上半身を起こし、受け取ったグラスの中身を喉を鳴らして飲んだ。唇の横から一筋垂らしながら。
「ああ、ああ」
無意識に声を漏らしてチャニョルは人差し指と中指で相手の顔の水の流れをせき止めた。
グラスから口を離すのと、チャニョルが自分の行為に気付いて動きを硬くしたのは同時だった。
申し訳程度にささ、と指先で撫でると手を離し、近くのティッシュを引き抜いてジョンインの顔にほら、と言って当てる。
ジョンインはグラスをナイトテーブルに置き、ティッシュを自ら手で押さえた。
目の前に立つチャニョルの少し気まずそうな姿から、ジョンインは昨夜のことがぼわぼわと蘇ってきた。
ディテールは抜けていたが、自分がまずい質問をしたことはなぜか覚えていた。
トイレに連れて行かれたことも。
そしてそのときもこんなふうに困ったチャニョルが目の前に立っていたことも。
で。
結局、なんで俺が好きなんだっけ?
ひっきりなしに痛む頭でどれだけ思い返してみても、ジョンインは答えを得られた記憶がないことに苛立った。
確か、聞いたはずだ。
思い込みじゃない。
やっと聞けたと思ってなんだか清々しい気さえしたのをはっきり覚えてる。
忘れたのか?
ああ、痛い。いてーよー。
あんなに飲むんじゃなかった。
痛い痛い痛い。
なんでだっけなんでだっけなんでだっけ。
痛い。せっかく聞いたのに。
「ねーなんで?」
ベッドに腰掛け、自分の分の水を飲み始めたチャニョルが思わず動きを止めるほど、やや大きな声でジョンインは言葉を放った。
「あ?」
広い白目の中、何色とにわかには言えない色のついた丸がジョンインに向けられる。
こめかみを指先で擦りながらまだ横たわったままのジョンインは、繰り返し言った。
「だから、それで、なんで、俺が好きなの」
チャニョルが奥歯をぐっと噛み締めた。残った水の通っていくのが喉の動きで分かる。
いっきに時間は12時間前に引き戻され、ふたりはトイレに立っていた。



つづく



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