海の底、森の奥

- EXOの二次創作とオリジナルのBL小説を中心としたブログです。R18表現あり。お気軽にどうぞ。

20160715

俯瞰の角度
※これは全6回分とそのあとがきをブログ移転時にまとめたものです。



夢を見た。
激しく腰を振りながら、俺は突かれるたびに声をあげる四つん這いになった男のその後ろ頭から背中、尻の割れ目を見下ろしている。白くなめらかな肌には薄く汗がにじみ、肩甲骨の盛り上がりが体の華奢さを強調している。
最近まったくご無沙汰だったこの、あらゆる意味での征服と支配の感覚を、俺は全身で味わっていた。
少し金がかった柔らかなブラウンの髪の毛が動きとともにふわふわと踊り、優しく刈り上げられたうなじから続く細い首が、俺の情欲をさらに煽った。
俺には犯しているこの相手が誰なのか分からなかった。いや、頭のどこかで本当は分かっていたが、夢の中ではそんなこと、まったく問題にならなかった。この快楽を与えてくれるだけで充分だった。
頭を振ってかすれた甘い声を漏らす男の首を、堪らず右手で掴む。びくりとして男は体が揺らせなくなる。男はゆっくりとこちらを向こうとする。濡れた目尻が見えた。

「イーシン」
ぱちぱちと瞬きをし、レイは今自分がどこにいるかを、ベッドの上の枕から確認した。それは現実かそうでないかだけでなく、ここは韓国であるということの把握のためでもあった。そう、昨晩久しぶりに中国からやって来て、すぐ床に就いたのだった。
「イーシン大丈夫か?なんかうなされてたっていうか、ごそごそ動いてたぞ」
クローゼットの前に立っているチェンが、レイを覗き込むようにして話し掛けた。
枕から顔を上げ、チェンの方を向かないまま上半身をむっくり起こし、レイは答えた。
「うん、へーき。おはよー」
顔だけチェンに振り向き、とろんとした半目で微笑を作る。
「おはよ。朝ごはんあるよ。食べな」
「うん。分かったー」
ベッドの向こうに腰掛ける格好で、レイは俯いた。寝巻きのズボンの素材のせいで、くっきりかたちが分かってしまう股間を見る。こんなになるまではここのところなかった。しかもメンバーがいる今日に限って。痛みすら抱えながら、はー、と嘆息してレイは頭を掻いた。
チェンが着替えを済ませて部屋を出て行き、ようやくレイは立ち上がると、ボクサーパンツの中に手を突っ込み、なんとか一番目立たないかたちに修正した。目立たないと言ってもそれは相対的な印象でしかないのは重々分かっているため、丈の長い上着はなかったかと持ち服を頭の中で検索しながら、さっさと処理してしまわなければと、バスルームの空きを願うのだった。


音楽番組出演のためのリハーサルが始まった。
全員集まってのパフォーマンスは久しぶりで、ちょっとした緊張感がメンバー内でもスタッフ内でも流れていた。そんな中、レイが加わって動きが始まった途端、たとえそれが本気のものでなくとも、なんと全体のレベルが底上げされて見えることだろうかと、見守る者全てに感嘆の思いを抱かせた。そのダンススキルはグループ内でやはりカイその人と双璧をなす者であることを改めて皆に確信させる。それは見ている者だけでなく一緒に踊っている者も、そしてレイ自身もよく分かっていた。レイには強い自負があり、それは周りの者に口に出さずとも伝わる類のものであった。
休憩に入り、それぞれが気の向くまま時間を過ごしていた。
笑い声が響く。
レイは口に水を含み、そちらの方に視線を向けた。中心にいるのは思った通りのメンバーで、その声を聴き、後ろ姿を見たレイは、夜の時間を彼と共に過ごしたことを否が応でも思い出した。
「ベッキョンうるせー!ちょっと黙ってろよー」
ダンスの確認を行うチャニョルが笑いながら当の本人に怒鳴る。
ベッキョンはおーわりー!、と返事を返しながら、少し声を落として再びメンバーやスタッフと談笑を始めた。
そのようすから目を逸らし、レイはセットの一部に腰を下ろした。
手に持ったペットボトルの冷ややかさが腕を登ってくる感覚とともに、夢のことを反芻する。
性的な夢を見るのはまったく珍しいことではない。デビューしてから生活は忙殺され、例え性交渉を持てるとしても、コンスタントな習慣とはとても言えないものになってしまった。それからはもう、欲求不満が夢として分かりやすく表れるようになった。まるでティーネイジャーだな、と目を覚ますたびレイは若返りながら老けるような妙な感覚を抱いた。
しかしメンバー相手のそれは初めてだった。しかもよりによってベッキョンが相手というのが何よりレイには驚きだった。
正直、レイはベッキョンがいまだにあまり得意なタイプではなかった。メンバーで付き合いやすいと思うのは、チェン、シウミン、それとd.oくらいで、他のメンバーとは一緒にいるのが楽とは言い難かった。チャニョルやスホと会話するのは苦痛ではないが、カイ、セフン、ベッキョンは、端から見ていても近くにいても非常に子供っぽく感じられ、しかたなく力の抜けた笑顔を見せながらも心の中が空洞のようになるのだった。もちろん、カイ、セフンのダンス能力、ベッキョンの歌唱力には一目どころでなく置いている。特にカイのパフォーマンスは見ていると歯嚙みをしたくなるときがある程だ。それに、ベッキョンは。声質と、その伸び、また、潜在的な能力の底知れなさ。ダンスをするときも歌うときも、その双方を行うときも、彼は表現するということを全力で行う。観客に向けて何かの発露を最大限に見せる方法を本能に近いところで知っている。レイはベッキョンへアンビバレンツな気持ちを抱いていることを自覚していた。しかし彼と肉体的な接触を持ちたいと思ったことは一度もなかったし、それどころか単純に好きだと感じたことすらなかったかもしれなかった。
仲間としての愛情はあった。だがそれは好き嫌いを超えたものであって、レイにとってはそれで充分であったし、何より重要なことであると強く信じていた。


ステージに戻り、動きの最終チェックに入ると、照明の強弱がレイたちを包んだ。その色合いと動きも、メンバーを幻想的に映し出し、背後から見つめるレイを、現実とは乖離したような、時折自らを襲う白昼夢的な感覚に陥らせた。自分が立っている場所から数ミリ浮いているような、頭の中がふわりとするような、独特な感触は、一瞬のことではあったがいつもレイを無表情にさせた。焦点の合わない目をして前を見つめるレイは、端から眺めると、最高の職人が腕によりをかけて作り上げた非常に精巧なアンドロイドのようであった。製作者の隠された趣味がすべて表に現れてしまった結果のそれである。そういう外見をしていることをレイは自身非常によく理解していたし、自分の鍛え上げられた体も、鍛えることのできぬ長く美しい指も、すべてが自分の強みで商品だと思っていた。
目に映る人物の後頭部と背中により現実へと引き戻されながら、レイはベッキョンへの視線をより厳しいそれにした。レイは自身に対しても他人に対しても冷徹な目を持っていた。どんなパフォーマンスのときであってもある種凪いだ心をもって臨む彼は、このときもそういう心情に自らを誘導したのだが、ほんの少しの違和感があった。
ベッキョンの斜め後ろから見える横顔の儚さが、夢のそれをレイに囁いたのだった。
いわく言いがたい感情が凪いでいるはずの胸のあたりに小石を投げ、波紋が描かれたようであった。
むずむずする感じを抱え、レイはキューに体が自動的に反応した。
ベッキョンの髪が揺れる。
そのさまを目で捉えたあとのレイは、ただの音楽と音楽ビジネスへの奉仕者であった。


目を覚ます前からもう、これは夢だ、と俺は分かっていた。
分かっているからと言ってどうにもならなかった。
見下ろすベッキョンの横顔の造形のそっとしたようす、俺を見つめる潤んだ小さな黒目、少し開いた薄い唇の色、吐かれる息の甘さ、そんなものがより強い愉悦を求める原動力になるばかりで、繋がった部分から心身ともにすべてが飲み込まれていくようだった。
美味な食事に舌鼓を打つがごとく俺は自分の唇を舌で舐め、ベッキョンの体を強引に仰向けにひっくり返す。その際に喉の奥から絞り出される選ばれた者としての声が、俺の脳の何かに直接作用するのを味わった。
汗で額に貼り付いた前髪、涙の浮かんだ細い目元、こちらを向いた顎、耳から続く首の線の細さ、鎖骨の切なさ、ほの赤くなった肌色、後頭部を見下ろしていたときとはまた違う光景を目にし、ベッキョンとセックスしているという意識をこれまで以上に持つ。背徳感が俺の背中を駆け上り、局部に血が溜まる感覚が強まる。ベッキョンは何も言わず、ただ荒い息を俺に向けて投げかけてくるだけだ。思わず彼の火照った胸に掌を置き、その熱さを確かめる。薄桃色の乳首をつまむ。叫び声までひどく魅力的なことを確認し、俺は言いようもない満足を覚える。俺のものだ。たゆまず体を動かしながら、こんなに自らに価値を本当の意味で見出したことはなかったかのような気がし、記憶を辿る。そんなことはないはずだ。いや、そうか?この瞬間以上の俺自身への賞賛を俺は経験したか?
すべらかな体を撫で回し、目をつむったベッキョンの顔に視線をそそぐ。ベッキョンが顔の上に手を置く。掌が上になったそれは、先の細い華奢な指がこちらを誘っている。俺は一瞬でその指をくわえたいという欲求でいっぱいになる。彼の上にのしかかるように屈んでいくと、うっすらと目を開けるのに気が付いた。下に垂れた目尻と白い指、その先に光る貝殻を模したかのような爪。俺はベッキョンに女を見ているのか?顔と顔が重なるほどに近付きながら、自問自答が頭を駆け巡る。お互いがお互いしか見えなくなった。

気付くと、窓の外が明るみ始める時間であった。
誰かがもう起きだしている気配がする。たぶんミンソク兄さんだろう、とレイは皆思うのと同様に思った。きっと簡単な掃除を済ませ、コーヒーを淹れているはずだ。香りがここまで漂ってくるような気がする。レイは何故か早くあの香りを肺いっぱい吸い込みたいと願った。夜に束縛されてしまったような妙なこの状況から脱出させてくれるように思えた。しかしそう願いながらも決して不快ではなかった。それは焦燥であった。踊りたい。レイは練習生の頃のようにまっすぐ自分に自分の体を欲した。


練習室の部屋の壁一面の鏡の中のレイが、レイを見返している。汗にまみれた体に白いタンクトップが張り付き、上がった息で口が心持ち開いている。流れる激しいヒップホップが、立ち止まったレイと対照的に、いまだに大音量で反権力を訴えている。
ふいにノックが聞こえる。
それは音と音の間に紛れた空耳のようであったが、間違いなくこちらを呼ぶ誰かの確かな声でない掛け声で、音楽とダンスと自分だけの世界からレイを水面へ引っ張り上げるかのように彼の耳に届いた。
音楽を止め、「はーい」と大声を上げる。自らにもしっかり聴かせるように。
扉が開くと、シウミンとd.oが少年のような佇まいで顔を現した。見下ろすレイの目には、自分にはない魅力を携えたメンバーふたり、それも彼の心を安らかにさせるふたりが映り、何も思惑の混じらない自然なえくぼが彼の頬に現れた。
入ってきたふたりはおのおのの荷物を置き、屈託なく話をしている。口数の多くはないふたりがなんてことないふうに楽しげにしているようすは、レイの足がきちんと地についているという感覚を与えてくれるようであった。
「すごい汗だな」
「ちゃんと拭けよ、風邪ひくぞ」
よくよくレイのようすを改めたふたりはくちぐちに忠告する。
顔の筋肉が緩んだような甘い微笑みでレイは「うん」とすぐ従う。大きなスポーツタオルで顔から体と拭き、濡れた服を体から剝ぎ取る。彫り出したような完璧な上半身を見て、シウミンが感嘆の声を上げる。
「兄さんだって、すごいじゃん」
レイが照れながらすぐ自身を再び布で隠す。
「そうだよ」
同意してd.oがシウミンの腹部にわざとあからさまな視線を送る。
シウミンも照れ、「やめろよ」と体をひねって背を向ける。
「練習しすぎじゃないのか?ただでさえ疲れてるだろ、こっち戻ったばっかで」
まだ照れくさそうにしながらシウミンがレイに問い掛ける。
床に座り込んで、スポーツドリンクを取り出し、
「大丈夫だよー」
とレイは答える。
立っていたふたりも座り込み、ゆっくりとストレッチを始めた。
近況などを報告し合いながら、レイはそれぞれの顔や体をしみじみ眺めた。どんどん筋肉質になり垢抜けていくシウミン、いつまでも幼さやあどけなさが残るのに性的な魅力が同居するd.oは、続けて夢に見るあの男よりもずっと肉体的な接触を妄想しようと思えばしやすいメンバーであることを再認識する。それをファンサービスなども兼ねて表に出すこともあるくらいで、女不足のホモソーシャルの中でのちょっとしたお遊びのようなものだ。ただ、選ばれた者ばかり、その中でもトップに位置するアイドルである彼らは、優秀な遺伝子とケア体制で、女以上の肌や魅力を持ち得ているのは事実で、このお遊びはふざけてはいるが彼らのどこか切羽詰まった心情の小さな表出とも言えた。しかしあくまで“小さな”ものであり、今のレイのような日中の自分の体まで侵食していくような危険まではなかったはずだった。
しかも不思議な心地よさがその中に含まれているのにレイは気付いている。
現実としてのベッキョンがこれから彼にどれほど迫ってくるのか、自身まったく予測がつかないのだった。


外国語だけしか使えない環境に身を置いていると、自分の思考が脳内で高速回転しているのが空腹や欲情のように身体感覚として鋭く身を制する。
会話をしながら、レイはメンバーの体に触り、意味のない笑顔を浮かべてしまう。脳ではシナプスとシナプスをより早くつなげようとばちばち音がするようだ。どんな男にでも粉をかける尻の軽い女になったような気持ちで、レイは芸能生活を生き抜いてきた。
今こうして音楽番組の撮影に際して、ベッキョンの後頭部を見下ろしながら、自分を取り巻くものすべてがまやかしなのか必要悪なのか、レイは混沌の中にいた。ベッキョンのつむじや髪のつや、肌の肌理、その生身に対し、レイは夢と同等の衝動を確かに感じているようだった。それはパブロフの犬のような、ただの思い込みの気もした。自分を追い込むあまりのひとつのはけ口があの夢で、コンプレックスと不満の解消を脳が勝手に行っているだけかもしれなかった。
強烈な光があたりを照らす。照明がスターの証として彼らを包む。
シルエットを光線がなぞるように、ベッキョンが浮き上がって見えるのをレイは目にし、会場の大歓声が波のように襲う中、体が動いた。
頭を支えるその儚げな白い首に、唇を付け、軽く歯を立てる。
驚いたベッキョンは首に手を当てこちらを振り向く。小さい目の中の黒い部分を揺らしながら、ただただ何が起きたのか理解できないという表情を見せるが、それは時間にしたら数秒だった。レイとベッキョンの目が合ったのは文字通り一瞬で、プロ意識を発揮したベッキョンはすぐにカメラと大衆に向き直った。何が起きたか分かっている者はあまりいないようだった。ごく近くの席の観客の嬌声が聞こえた気はした。だが構わなかった。またファンを楽しませるツールのひとつになるだけだ。レイはそれを念頭に置かず人前でメンバーに肉体的に触れたのは初めてだった。何故だかとてもせいせいとした心持ちがし、自然と特徴的なえくぼが唇の側に浮かぶ。ベッキョンはどう思っただろう。もしもあとから特別な叱責がなければ、また触れてみよう。マンションででも、どこでもいい。嫌がられるまで。ただの感情の発露として。その後どうなるのかは、この際どうだっていい。
光の中の青年を少し上から見つめ、踊る体勢を整えながら、レイはえくぼを浮かべるのがやめられなかった。



おわり



【あとがき】

こんにちは。
皆様ご機嫌いかがでしょうか。
フェリシティ檸檬でございます。

レイとベッキョンのお話でございました。
もう少し突き詰めるとレイの独白のような内容をお送りしたように思います。
私の中でレイは、孤独の人…と言いますか、あらゆる意味で非常にプロフェッショナルとして振る舞うタイプの方で、心の内を出すことに基本的なためらいがあるように感じられます。
佇まいや振る舞いはゆったりと大陸らしさがありますが、内での葛藤はいったいどのようなものなのだろう、とたまに想像してみることもあります。
それがある程度かたちになった作品と言えるかもしれません。

大多数のexoファン、特にレイファンの方にとっては面白みに欠ける話だったでしょうか。
私自身はレイのさらなる大成を強く望んでおり、特にexoとして、そのパフォーマンスの完成度を飛躍させて欲しいと思っている次第です。

それでは、ここまで読んでくださった方には、心からの感謝をお伝え致します。
また別の作品でお会いできればと思います。


フェリシティ檸檬




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