20160716
シング シング シング 1
ハミングが聴こえる。
フランク・シナトラだ、とつぶやきながら、眠りから引きずり出されるようにチェンは目を開けた。
カーテン全体が発光するようなまばゆい朝の光の中、綺麗に刈りあがったうなじ、真っ黒いシャツ、ボタンをつけているらしい華奢な背中が見える。柔らかい歌声が覚醒とともによりくっきりと耳に届く。
カチャ、コッ、コト、と、キッチンの方から音がする。香りでわかる、ミンソク兄さんがコーヒーを淹れている。チェンの口はもうあの香ばしさで溢れる。
「それ、なんて曲だっけ」
羽毛布団をずり下げながら、後ろ姿に話しかける。
ギョンスがくるりと、独特な繊細さとぞんざいさで振り返り、またそっぽを向いて、
「おはよう。うるさかった?」
と着替えを続ける。チェンのベッドに腰掛け、黒い靴下を履いている。見なくても、黒だ。絶対。チェンはおもわず微笑んでしまう。
「うるさくないよ。続けて」
「やだ」
立ち上がってギョンスはすたすた出て行った。
ベッドに起き上がったチェンは、ギョンスの座ったベッドの凹みをぼんやり眺め、二の腕をひっかいている。
朝のキッチンはいつもシウミンの香りでいっぱいだ。
コーヒーはとてもミンソク兄さんに相応しい、とチェンは毎朝繰り返し目覚めとともに考える。あの深い焦げ茶色も、味の苦味も、脳を占領するような匂いも。力強さと誠実さがある、とチェンはまだ夢見心地でシウミンの顔を見、コーヒーを口に運ぶ。毎朝。
「おはよう。コーヒー飲むか?」
シウミンがテーブルについたギョンスにコーヒーの入ったマグカップを出しながら、入り口に立った チェンに気付き問うた。
「おはよう。うん、欲しい。ありがと」
ギョンスは向こうを向いており、再び白く細い首しか肌は見えない。しかし、コーヒーを飲もうとうつむいたほほが、柔らかな丸みを帯びているのが歩きながら目に入った。チェンはギョンスの斜め向かいに腰を下ろした。
フランク・シナトラだ、とつぶやきながら、眠りから引きずり出されるようにチェンは目を開けた。
カーテン全体が発光するようなまばゆい朝の光の中、綺麗に刈りあがったうなじ、真っ黒いシャツ、ボタンをつけているらしい華奢な背中が見える。柔らかい歌声が覚醒とともによりくっきりと耳に届く。
カチャ、コッ、コト、と、キッチンの方から音がする。香りでわかる、ミンソク兄さんがコーヒーを淹れている。チェンの口はもうあの香ばしさで溢れる。
「それ、なんて曲だっけ」
羽毛布団をずり下げながら、後ろ姿に話しかける。
ギョンスがくるりと、独特な繊細さとぞんざいさで振り返り、またそっぽを向いて、
「おはよう。うるさかった?」
と着替えを続ける。チェンのベッドに腰掛け、黒い靴下を履いている。見なくても、黒だ。絶対。チェンはおもわず微笑んでしまう。
「うるさくないよ。続けて」
「やだ」
立ち上がってギョンスはすたすた出て行った。
ベッドに起き上がったチェンは、ギョンスの座ったベッドの凹みをぼんやり眺め、二の腕をひっかいている。
朝のキッチンはいつもシウミンの香りでいっぱいだ。
コーヒーはとてもミンソク兄さんに相応しい、とチェンは毎朝繰り返し目覚めとともに考える。あの深い焦げ茶色も、味の苦味も、脳を占領するような匂いも。力強さと誠実さがある、とチェンはまだ夢見心地でシウミンの顔を見、コーヒーを口に運ぶ。毎朝。
「おはよう。コーヒー飲むか?」
シウミンがテーブルについたギョンスにコーヒーの入ったマグカップを出しながら、入り口に立った チェンに気付き問うた。
「おはよう。うん、欲しい。ありがと」
ギョンスは向こうを向いており、再び白く細い首しか肌は見えない。しかし、コーヒーを飲もうとうつむいたほほが、柔らかな丸みを帯びているのが歩きながら目に入った。チェンはギョンスの斜め向かいに腰を下ろした。







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