海の底、森の奥

- EXOの二次創作とオリジナルのBL小説を中心としたブログです。R18表現あり。お気軽にどうぞ。

20200718

ごあいさつ
こんにちは!

拙ブログ「海の底、森の奥」にお越しくださいまして、誠にありがとうございます。

私、フェリシティ檸檬と申します。
ここの登録では名前をミス・レモンとしておりますが、お呼びになる際はどちらでも一向に構いません。

今まで別のブログサイトにて活動を行ってきたのですが、先日ブログ引っ越しを決め、こちらのFC2ブログ様にやって来たばかりでございます。

はじめましての方も、これまでお付き合いのあった方も、新しいブログとの付き合いの始まりは、その仕様などでもいろいろと困難や不便が生じることもあるかと存じます。私自身もそうであるように、皆様のお好みがございますので。
しかし、私といたしましては、そういったことを気にせず来てやってもいいよ、というお気持ちになっていただけるよう、一生懸命お話を書いていきたいと決意する所存でございます。

このブログはEXOという韓国男性グループをモチーフにしたBL小説を綴ったものが主体でございます。
性的な表現は大なり小なり出て参ります。
ですがお話自体は至って普通の小説と同じでございまして、読書がお好きな方、BLがお好きな方、EXOがお好きな方、さまざまな方にお読みいただければなと考えております。

お読みになってのご感想はいつでも大歓迎でございまして、是非たくさんの方とお話ししたりしたいものだと思っております。
小説と関係ない、たとえば日記などをお読みになってのお気持ちなども、構えずにコメントやメッセージをいただければ、喜んで読み、お返事させていただきます。
どうぞお気軽にご連絡くださいませ。



このブログ内で書かれているお話は、2016年9月2日現在、



リアル第1期
・シング シング シング(完結)
・人さらいの条件(完結)
・受容について(完結)
・束の間から(完結)
・憂鬱のすきま(完結)
・俯瞰の角度(完結)
・グレーゾーン(完結)

リアル第2期
・心中の道連れ(完結)
・慈雨、降りそそぐ(完結)
・砂糖壺に落ちる (完結)
・来訪者は真夜中に (完結)
・ことの共犯 (連載中)


パラレル第1期
・ボナペティ(連載中)



その他 短編



となっております。



リアルの第1期と第2期の違いは、それぞれの世界がその中で回っており、ふたつは関係なく、別物であるということでございます。
ですので、カップリングは第1期内、第2期内で完結して存在し、物語ごとに相互関係が発生しております。
大した意味合いはないのですが、私自身がカップリングをたくさん作りすぎることにリアリティ的な拒否反応を感じるタイプであるため、こういった制作のかたちとなっている次第でございます。
また、短編はどの時期にも基本的にはあまり関係のない、独立した小品でございます。
お箸休めにどうぞ。

お話はカテゴリごとに1話から始まるよう設定されております。
過去の物語をお読みになる際はカテゴリから選択されると便利かと存じます。

※旧ブログ内に東方神起などの未完の話がまだ残ってございますが、今のところこちらに移行する予定はございません。
なんらかのご要望がある場合はどんなかたちでも結構ですのでご一報くださればと存じます。
→追記 2017/4/23
東方神起の長編(連載中・未完)を移動させ、こちらで公開いたしました。
ご興味のある方は、途中のもので申し訳ありませんが、よろしければどうぞ。


私はもともといわゆるアイドル好きというわけではなく、私のアイドルを申し上げるならば、手塚治虫、マイケル・ジャクソン、レスリー・チャン、浅田真央であったりいたします。
マイケル亡き後の後継として東方神起5人時代の終わりに彼らを見るようになり、それ以降K-POPで好きな曲を見付けることがひとつの趣味となったのですが、その流れで友人に教えてもらった「growl」で、EXOを知りました。
その楽曲のクオリティの高さと練られたパフォーマンスに感銘を受け、メンバーの人柄にも親しみ、同じ友人からブログに誘われた結果、こうして小説を書き始めた次第でございます。
そういうわけでEXOのファンというと、少しおこがましいくらいあまり知識のない私でございますが、私なりの彼らのお話を、自身も楽しみつつ、皆様にもそれを共有していただけるよう、精一杯続けていきたいと考えております。

どれかひとつでも、ワンシーンでも、お読みになってなにかを感じていただけたら本望でございます。


どうぞよろしくお願い申し上げます。



フェリシティ檸檬



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20200108

【一欄】人気投票
おひとり様、一回ずつ、コメント欄に日付だけでもご記入の上、ご投票いただけると大変に励みになります!
どうぞよろしくお願いします!
(コメント欄、可能であれば何かひと言でもご感想をいただけるとことさらに喜びます!)





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20190108

【お知らせ】年末年始企画の人気投票について




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上記の通り、2016年末、2017年始めに行った企画作品の人気投票を行わせていただきたいと思います!
コメントも併せてくださるとより一層嬉しいです。
もしよろしければご参加くださいませ。
よろしくお願いいたします!



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20180214

【お知らせ】バレンタイン企画人気投票について
おひとり様、一回ずつ、可能ならコメント欄に日付だけでもご記入いただいた上、ご投票いただけるととっても嬉しいです!
よろしくお願いいたします!






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20171008

みんなと一緒!
こんばんは。
こんな深夜なんて。
フェリシティ檸檬です。

ええ、そうです。
友人もね、言っていたんですけれどもね。
混じりたかったんですね←

チェンとレイの誕生日、把握していなかったんですよね。
なんと申しますか、忘れていた、というほど覚えていなかった、と申しますか…。
しかしroiniy様のものをはじめ記事でそのことを知り、おお!と思い、そうしましたらばharuyuki2様もみむ子様も、それぞれ記事をお上げになられていて(みむ子様はEXOTICA企画関連でございますが)。
少し考えてはいたんですが、夜になってぞくぞくと更新されたことで友人と話し、これは…と思い、結局取り掛かり、上げたのでございます。

読まれた方はお分かりかと思うのですがEXOTICAを匂わせたお話になっております。
βカロテン様のカップルを勝手に使って申し訳ありません。
レイ(+チェン)の誕生日と、EXOTICAを一緒にしたれと思いまして。
それぞれの書き手様のお話についていろいろと語りたい気持ちもあるのですが、今はもうそろそろ寝なければなりませんので、簡単に。

roiniy様、レイのレイらしさが感じられるシャープなお話で、大人の味わいに酔わせていただきました。

haruyuki2様、なんだか少し泣きそうになりました。私はharuyuki2様のちょっとした描写にはっとすることがよくあります。

みむ子様、シウミンの罪に言及してくださりありがとうございました。あのお話の罪とは、犯人、紳士、シウミンそれぞれのものを指しておりました。

私は絶賛カイチェン萌え中でございまして、その気持ちがよく表れたお話に今回のものはなっているのではないかと思います。
少しでもお読みになった方がお楽しみいただけるといいなと心から願っております。

いつも楽しませていただいてEXOの皆には感謝しかないのでございます。
今後ともいい音楽を届けていただきたいな、と切に祈る毎日です。
チェンもレイも、またカイも、よろしくお願いいたします。


仲間意識というのはすごいものでございます
フェリシティ檸檬



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20171008

うららかな彼ら(チェン、レイ誕生日企画・リアル短編)
 着込んできたのは間違いだったかもしれない。
寒さも厳しくなってきたと思い、出掛ける際防寒具をこれまでよりも身にまとい家を後にしたが、あちこちで仕事を片付けながら自分が結局ほとんどそれらを手に持ったままにしていることに当然だがイーシンは気付いていた。
これではただのお荷物だ。
判断を誤ったなと考えながら、それでも車を出るときやはりそれらを携えて事務所の練習室へと向かった。帰りに冷え込みが強まることに賭けたのだ。
どっさり衣類を脇に抱えたイーシンはむしろ軽く汗を噴いた体を馴染みの部屋の前に運んだ。そして足を止めずにドアを躊躇なく開いた。
誰もいないだろうと予想したのは、音が何も聞こえなかったからだ。
しかし、いた。
ふたり。
昼下がりの明るい部屋の中に、立っている男の影がふたつあった、ひとつかと見紛うようすで。
グランドピアノの前、黒く曲線を描くその木の波間に、ジョンデが背を預け、その進路を塞ぐようにしてひどく脚の長い長身の青年が、背を丸めて立っていた。
向こうを向く男がジョンインだというのはその体つきで分かった。その素晴らしく発達した肩の奥に、ジョンデの笑う顔が覗いた。イーシンが入ってきた瞬間にジョンデは彼と目を合わせ、魅入られるような笑顔をただ唇の端が上がっただけの表情へと変えていた。
扉は勝手に背後で閉まった。と同時にジョンインが自分を振り向いたのをイーシンは受けた。
「イーシン兄さん」
 意識して作ったと分かる笑顔を向け、ジョンデは遊戯の如く喉で転がすようにして出す例の声を用いイーシンを呼んだ。兄さん、とジョンインも続けて呟いた。後ずさりながら。
瞬きをしつつ、イーシンも頬を上げてえくぼの位置を確認するかのように歯を見せ、応じた。
「ごめん、使ってると思わなくて」
 足を前に進めるのが躊躇われたがそうしないわけにもいかず、のろのろと端に寄って化繊と毛の塊を床に置いた。そのまま鞄を、ほんとうは用もないのに漁った。
 そうしている間、ジョンデの声がイーシンを訪れた。
「いいんですよ、ジョンインが俺のダンスチェックしてくれてただけなんで」
 飲み物やタオルを引っ張り出しながら、ジョンインがジョンデから離れ、おそらく自分の荷物のところまで移動した音もイーシンは聞いていた。
「兄さん、俺もう行くよ」
 鞄を肩に掛けたジョンインがそう言うと、イーシンとジョンデは揃って彼の方を見た。
「ああ、悪かったな、すげー助かった」
「ううん。じゃあイーシン兄さん、あんま無理しないで」
 ジョンインはイーシンにその小さな、色の薄い瞳を一瞬だけ見せた。がすぐ下を向き、帽子で更にそれを完全に隠すと、うん、ありがとと答えるイーシンの横を通って、あっという間にふたりを残し、姿を消した。
 閉まった戸を見つめていると、ジョンデの声が鼓膜を揺らした。
「兄さん、俺このピアノ少し使いたいんですけど、いい?」
 首を捻るとジョンデが既に鍵盤前に佇んでいた。
手に持っていたペットボトルの蓋を開けつつ、イーシンは返した。
「うん、すごくかかる?」
 ぱかと木の覆いが開けられる音が鳴った。
「ううん、ちょっと生のピアノの音聴いときたいだけだから」
 ピアノの上に置かれた楽譜らしき白いばらばらの紙をジョンデは集めて鍵盤の前に並べ、椅子に腰を下ろした。
 ポーン、と、シの♭が宙に舞う。
 それを追って、ジョンデのシの♭も響いた。
 開け放った窓から風が入っていた。
冷気がイーシンの頬を打ち、カーテンがばたばたと身を震わせる。
中身を少し減らしたペットボトルの口をきゅっと強く締めると、イーシンは歩き出しながら尋ねた。
「窓閉めてもいい?」
 今度はファの♯。
「あ、ごめん。寒かったですね」
 声がすぐ、変化する。ファの♯はそれだけで歌であった。
 冷えた窓を引くと、密室になった室内にピアノとジョンデの音はこだました。顎を心持ち上げて喉を震わせるジョンデの後ろに、イーシンは立った。
 楽譜を覗く。あ、と思い口を開いた。
「これ知ってる」
「ほんとに?」
 さっと顔を見上げてくるジョンデに頷いてイーシンは答える。
「うん。多分弾けるよ」
「まじで、兄さん。もしかして…」
「いいよ。弾こうか?」
「やったー。お願いお願い」
 腰をずらして横に長い椅子にイーシンの場所を作ったジョンデは、にこにこしながら彼を待った。座ったイーシンは白く、ひんやりとした鍵盤に指の先を置いた。
ぱらぱらと音は散った。
まだ、雪は降っていない。
だが初雪の訪れのように、その部屋には冷ややかで儚く、甘い音の粒が積もるように落ちた。
ジョンデは雪の中で歌った。足元を埋める雪が溶けるような声で、口角を上げ、眉尻を下げて楽器として旋律を奏でた。
ほとんどつっかえることなく、イーシンはその音の迸りにただ酔った。終わるのが惜しいということだけを思っていた。
だが終わった。ジョンデの声は水面の揺れが凪いでいくように消えた。
「すごくいいね」
 イーシンは顔の中を崩すように笑って隣のジョンデを向いた。
照れを含んだ笑顔をジョンデも返し、応じる。
「ほんと?やった」
 や、まだまだだけどさ、と続けて。
イーシンはこうしたジョンデの貪欲さに触れると、いつも少しだけ肌の表面が粟立った。何か鏡を見ているかのような気にさせられ、どこか恐ろしいとどうしてか思った。
「だけどやっぱ兄さんはすごいですね。ほんと羨ましいですよ。練習したってわけじゃないんでしょう」
 楽譜を整えながらジョンデは聞いた。
「うん。でもこれはそんなに難しくないよ、ピアノは」
「そんなことないですよ。とにかくありがとう兄さん。すごく助かりました」
 口を突き出すようにして再び顔を向けたジョンデと、イーシンはすぐ目の前で相対していた。
「ううん。俺もすごい楽しかった。これなんかでやるの?」
「そう。仕事でね。上手くできるといいんですけど」
 手元の楽譜に目を落としたジョンデの長い睫毛にイーシンは見入った。音符を追うまなこのせいで、まぶたが痙攣しているかのようにぴくぴくと絶えず動いていた。
「ジョンインは」
 その名前を出した途端、ジョンデの体にさっと力が篭ったのに肉体に鋭敏なイーシンは気が付いていた。だがそれに無関心なさまで構わず問うた。
「最近元気なの?俺、あんま喋ってないんだけど」
 かまを掛けるようなことを言って、とイーシンはみずからをたしなめた。けれどもう口に出していた。笑みを広げながらもイーシンを向かずに白い紙に黒いインクの走っているのを見下ろしたまま、ジョンデは言った。
「兄さんは忙しいから誰ともほとんど喋ってないじゃん」ふざけた調子でそう言うと、付け足した。「元気ですよ。夏からちょっと変なとこあったけど、でもそれはみんなそうだったし。活動で疲れてたんだと思いますよ。今はもうだいぶ元に戻りました」
「そうなの?ほんとに平気?」
「はい。兄さん、俺らのこと心配するより自分のこと心配してくださいよ。仕事ぶりを聞くたびはらはらしてますよ、みんな」
 ようやくジョンデはイーシンをまっすぐに見た。その目尻の皺を見つめてイーシンは言った。
「ありがと。だけど大丈夫だよ」
「ほんとに気を付けてくださいね」
 紙のがさりがさりという音と共にジョンデは腰を上げた。
「じゃあ俺ももう行きます。邪魔してごめんね」
 仰いだイーシンはううん、と呆けた表情を呈し答えた。
 足音を鳴らして荷物をまとめにかかるジョンデの後ろ姿を、座った格好のままイーシンは眺めた。そしてジョンデの指にジョンインが自分のそれを絡めていたのを反芻した、彼の青年らしい、筋肉の乗った肩や腕や尻を見ながら。
 振り返ったジョンデと視線がかち合い、我知らずイーシンは慌てた。
 にやっと笑うとジョンデは言った。
「じゃあ兄さん、根詰めないでね」
 その靴の裏で高い音を残しながら部屋を横切り、家でねー、と告げたジョンデがドアの向こうへとその体を消した。
イーシンは今日、それほど疲労を感じていたわけではなかった。だが何故か立ち上がることもできず、ジョンデが横にいたときと同じように隣を空けたまま、しばらくピアノの前に腰掛けていた。
春を呼ぶようなあの歌声を、ただひとりのためだけに捧げることがきっとあるのだ。
イーシンはそれを聴きながら体を揺らす相手を思い、もう一度一足早く、部屋の中だけにたったひとりで雪を降らした。



おわり



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20171005

私はほんとに幸せ者(EXOTICA感想をいただいて)
こんにちは!
だいぶ寒くなってまいりましたね。
フェリシティ檸檬です。

そのせいか分かりませんが、なんだか風邪を引いたような気がします←
悪くならないといいなと思っているのですが、どうでしょう。
季節の変わり目、皆様どうぞお体お気を付けください。私に言われたくないというのが総意でございましょうけれども。

さて、みむ子様とroiniy様から素敵な素敵なコメントをいただきまして、なんか…体が変だよ?と自分に語りかけているさなか、癒されたのでございます。
ほんとうにありがとうございます。
お忙しいのに、あんなにも書いてくださり…感無量でございます。
この記事にてお返事をさせていただくことをお許しください。


みむ子様

みむ子様が私のお話を読まれて懐かしさをお感じになったのを大変嬉しく思いました。
みむ子様がそうお感じになるのはスチームパンク始めそういう要素を盛り込み私がそう書いているからでございまして、つまりそうお感じいただきたかったということでございますので、まったく失礼などということはございません。
みむ子様も過去と未来の融合をされていらっしゃいましたが、私もそういう世界観を目指しており、そういう意味でも私たちはシンクロしたかな、似ているのだなと思っていたのです。過去部分に郷愁めいたものを嗅ぎ取ってくださったのなら本望でございます。

また、紳士が犯人だと思っていたとのこと、そうだったのか!と驚きました!
私は紳士を確かに少し怪しげと言いますか、ようすや行動に不可解さや不気味さを持たせた部分がありましたし(どんどん憔悴して行ったり、シウミンが知らない彼の時間がありましたので)、きっとそういった部分を読まれても、みむ子様がそうした印象を深めたのではないかと思いました。
それは紳士が犯人に復讐していることの伏線の描写でございましたので(紳士はほぼ寝ずに復讐・見舞い・発明をしておりましたのです)、それが少し妙な感じを読まれた方に与える部分だったかと思うのですが、そこを紳士の性格や表情や振る舞いで、シウミンがこの男性に心を許したり頼ったり好きになったり、あまつさえ最後願いを聞き入れたりすることの要因として描いて払拭したつもりでおりまして、そこらへんでひいてはこの人が強姦殺人はしないということを感じ取っていただけるかなと思っておりました。
ですが私はみむ子様がそういうふうにお読みになっていたことでひどいなどとは思いませんですので、気にされないでくださいませ!私の書き方、つまりは力量の問題でございますので!
むしろみむ子様の人や物事の見方というものが知れて、ほんとうに興味深く思いました。
健全な人間などほんとうはいない、と申しますか、性悪説と申しますか、そうした姿勢を持ってらっしゃるのかなと考えた次第です。そしてやはりとても賢明な生き方をされてらっしゃるのだなと思いました。
私は「信じる」という言葉を聞くたびにぴんと来ないのですが、みむ子様はそうしたところ(人を信じるというのはある意味ナンセンスだという思いを抱かれているというところ)が特におありなのではないかなと申しますか。私はそんなみむ子様がとっても好きでございます(恥ずかしい…)。
私といたしましては、みむ子様もおっしゃってくださったように、紳士もまったく完全な人間などではないように書いておったつもりなのです。
それは、シウミンに女性を凍らせることをほとんど強いたことからもっとも見て取れるかと思います。
この方は大変に頭がよく、自分が優秀だという自覚もありますので、かなり高圧的に周囲に振る舞う部分がありまして、それはシウミン他警察官やさまざまな対象への端々への態度に出ております。
すごく好人物でもあるのですが、物事を自分自身ですべてなんとかしようとする、コントロールへの欲求が強い方なのですね。
そしてシウミンに頼みを言った際、シウミンに殺人を告白したのは不可抗力でもありましたが、彼の精神的に逼迫したり抑圧されたりすることでの能力の発動に気付いていた紳士は、あえて犯人の実情を語り、能力の効き目を上げ、なおかつ女性に対する同情を煽ったのです。
復讐自体もそうですが、まったく人として褒められたものではない行いをむしろここでしております。完全に、このときの紳士はエゴの塊だったのです。
可哀相なシウミンでありますが、シウミンも馬鹿ではないので、自分が何を求められているかという自覚はあり、しかし彼自身、女性の不幸を何かしらのかたちで救いたいというほんの少しの思いも手伝ってその願いを聞き入れるのですが、その違法性やなんやかやをさしおいても、女性があのままではいけないという考えは拭い去ることができず、それを最後告げたのでした。

みむ子様のおっしゃるように、私も意識的にこの紳士と女性の関係に含みを持って話を書いておりました。
最後凍らせて欲しいという紳士の願いも込みで、読んだ方がそういうニュアンスを感じてくださるのは考えていたことでございまして、しかしその点をあまり追求することは今回はやめました。
そこらへんをもっともっと書いてみたいような気もいたしましたけれども、話の焦点が少しぼけますし、いろいろなものが(時間など)なかったのでございますね。

今回こうして感想をお聴きし、やはりみむ子様の想像力は素晴らしいなあと感服いたした次第です。
申し訳なく思うことなど全然ございませんので!再読もしてくださったなんて、感激でございます、ほんとうに。
私も心から今回の企画は、ずっと大切な思い出として私の中に残るだろうことを確信しております。
また是非こうしたことでご一緒したいですね!

昨日ようやく企画前のシリーズを読ませていただきまして、とても楽しませていただきました。よかったです、特にカイとチェンの関係性がすごく、好きでした。
またコメントなどさせていただきに参りますので、よろしくお願いいたします!


roiniy様

シウミンのその点に言及してくださったことがまず何より嬉しいことでございました!
シウミンは若干ストックホルム症候群状態であったところもあったと思うのですが、それでもずっと正気を保って、まっとうな人間であったのですね。
私はシウミンのそういうところがとても好きでして、だからこそこういうお話を書いたとも言えます。
また傍観者であったという点もそうでございます。
このお話は言ってしまえば紳士と女性の話でございまして、そこにシウミンは巻き込まれたかたちであるわけでございます。
彼らの悲劇と復讐劇に取り込まれたシウミンが、ぐらぐらになりながら如何にサバイブするかがこのお話のテーマのひとつでありました。
だからほとんどの場合彼は受動的であり続けました。
そういうわけもあり、セフンが犯人でないということにも言えるのですが(笑)、そもそも私は二次創作において彼らに悪事を働かせるということはするつもりはないということがございまして、例えばシウミンが犯人をとっ捕まえたり、それを殺す手伝いを結果する羽目になったり(どんなに間接的にであっても)という展開にはすることはございませんでした。
今回犯罪が強姦殺人であり、しかも快楽殺人であると言えますので、みむ子様もおっしゃっていましたが、この犯人はサイコパスと申しますか、完全な異常者でございまして、そういう意味からも、このお話は所謂ミステリ的な犯人探しとはならず、身内の中に(EXOメンバー含め)犯人がいるということにもならなかったのでございます。
快楽殺人の犯人探しというのは限定された人間の中でとなりますととんでもなく重いテーマでございまして、基本的にミステリの中でも多くはなかろうと思います。
やはりこういう犯罪の犯人は追跡の対象なのでございますね。

roiniy様は、私の萌えがこれでもかと詰まっているとおっしゃってくださったのですが、実は私にとってこのお話に萌えは余りありません(笑)
けれどそれに私が気分を害しているなどと思わないでくださいませね!
私があとがきに書いたことをお読みになると、確かにそう受け取られるなあと思っておりますし、私は何を言われても特に怒ったり不機嫌になったりいたしませんので、どうぞお気軽にお捉えください。記事やもろもろで、私をとっつきにくくお感じになられるかもしれませんですが、私は小中高と通信簿に「温厚」と書かれ続けた人間ですので←
どうか懲りずに今後もお付き合いくだされば幸いです。roiniy様のコメント、大好きでございます。
どういうことかと申しますと、私があとがきに書きました要素についてですが、例えばですがホームズなどを見まして、私は彼に萌え!と思うとかではないのでございます。
厳密に言えば何か小さな部分で萌えを感じるとかはあると思いますが、ワトスンとのブロマンスに感じ入るとか、そういうところも皆無です。
私が物語に求めているのはリアリティーとカタルシスと真実でございまして、あとがきに並べましたものはそうしたものを得られる確率の高い、好ましいジャンルや何かであるということなのでございます。
私は萌えがあまり多くないということもそもそも言えるかもしれません。

先程みむ子様へのお返事にても触れたのですが、紳士と女性の関係性にはいろいろと思うところがございまして、それをお感じいただけたのがとても嬉しいです。
実際は、私は紳士が彼女を異性として愛していたというよりも、女性が紳士を愛していたのを彼が拒否したのではないかなと思っております。
紳士のほんとうの気持ち、というのは置いておきますけれども、私は彼が彼女を愛していた(これは家族的な意味で捉えてください)のはその容姿よりも性質でだと思っております。
シウミンも、彼女に対したときに驚き、またその後何度も振り返り、それが彼をして彼女をむしろ彼自身としても、もう少しだけこのままと思わせたのが、彼女の人格的な高潔さでございました。
私がこのお話のどこに萌えがあるかと申しましたらば、女性がシウミンに話しかけるところでございます。彼女の台詞は自分でもどれも好きでございます(照)。
彼女が如何に人を思いやれる人間であるのかというのをそこに出したつもりでございまして、だからこそシウミンも彼女のことをあんなにも思うのでございます。
私は利他的な、自己犠牲的な行動を取れる方を何よりも評価するところがございまして、これは私の仏教的観念の表れ(と言っても何かの宗教に属しているということではございません、仏教は哲学として大変好ましく思っているのです)なのでございますが、そういうところはおのずと人に伝わるものでございまして、だからこそ紳士は女性をあそこまで大切に思っており、従僕は立場を超えて悲しみ、シウミンは彼女をもう少しだけ生きながらえさせたいと思ったのでございます。

紳士の心の安寧を思ってくださり、ほんとうにありがたかったです。
私も作中で、仕事に対する欲求だけは彼に残しており、そこをよすがにして、なんとか彼に生きていって欲しいものだと思っております。

また是非何かの機会にご一緒できたらなと思っております。
お部屋にも伺わせていただきたいと思いますので、その際にはよろしくお願いいたします。
ほんとうに嬉しいお言葉でございました。書いた甲斐がございました!


なんだか長々とお返事してしまい、申し訳ないくらいでございます。
もういいよ…と思われたかもしれませんですね。
自分でも改めてこのお話について思いを馳せてしまいました。

読んでいただけることだけでも幸せなことなのに、こうした感想をいただけるというのはとんでもない果報者という他ございません。
どんなことをおっしゃっていただいても、そんな!などと思いませんで、ありがたいな、面白いな、楽しいな、と思うだけでもございますので、これからもお気軽に率直にお伝えいただけたらなと思います。
ふつつかでどうしようもない私でございますが、もしよろしければこれからもお付き合いくださいませ。

友人の感想もものすごく楽しみでございますね!
きっと素晴らしいものであるだろうと思います。
皆でわくわくとお待ちいたしましょう。


祭りは続く…
フェリシティ檸檬




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20171004

EXOTICAあとがきを読んで
こんばんは。
あとがきが出揃いましたね。
フェリシティ檸檬です。

皆様のあとがき、存分に楽しませていただきました!
私のを読み直しましたらばところどころあれな部分がありましたけれども←
出だし、30年とか書きましたけれども、言い過ぎでございましたね。20年ちょっとくらいが正しいでしょう。どんな水増しなのか。

さて、読ませていただきたいものだなあと夢見ておりました内容を正に読ませていただいた今日でございました。
友人の企画はそういう、内実を分かち合いたいと思わせるものでございましたものね。ものすごく皆様のお気持ち、よく分かります。

みむ子様のあとがきは、いつもそうなのですが、読むと非常に感心してしまうものでございました。
「虹を求めて」EXOTICAあとがき
みむ子様と私は、僭越ながら好きなものが似ていたりするところがあると思うのですが、みむ子様は私にない物語の作り手としての素質がたくさんあり、私は心からうらやましくなるのでございます。
今回あとがきで触れてくださった多くのさまざまなディテイルも、是非読ませていただきたいと思いました。きっと読んだ方が皆そう感じたのではないでしょうか。
顔だけ、容姿だけで人は恋をするわけではないという素晴らしいテーマを、ああいった軽やかな筆致で書いてくださり、お届けくださったことをほんとうにありがたく思いました。

roiniy(ooba)様のあとがきは、お人柄が大変よく表れていて、とっても面白く読ませていただきました!
「大帝男子」EXOTICAあとがき
作品それぞれへの一言が秀逸で、私のお話についてのお言葉も、ものすごく嬉しかったです。ああいう感想は、実はなかなかいただくことがないもので、新鮮で、なおかつまっさらな喜びをいただけるものでございました。ありがとうございました。そう、やっつけましたね!それが書きたかったのです。
触手というテーマは、皆様感じられた通り素晴らしかったと思います。
EXOの能力を二次創作の場で扱うのは、おっしゃる通りとても楽しいものですね。私もまたやりたいなと思いました。

haruyuki2様のあとがきには、ご感想と、続きのお話まで付いていて、なんとお得な!と嬉しいサプライズでございました。
「ソラノムコウ」EXOTICAあとがき
私、書かれていましたチャニョルのティーザーをまともに見たことがなく←、今回お教えくださったことで初めて拝見いたしました。とても素敵でございました。あのティーザーシリーズは、真正面から格好いいものを目指していて、感心してしまいましたね。女心や、少年の心を鷲掴みにしそうなものでございました。
また、haruyuki2様からあのような感想をいただきまして恐縮でございました。すごく嬉しかったです。皆様も同じ気持ちでいらっしゃるのは間違いございません。
私にないロマンティシズムを今回浴びるように感じられ、幸せでございました。

βカロテン様は、さすがでございましたね。βカロテン様節炸裂という感じでございました。
「緑黄色野菜」EXOTICAあとがき
前回とまったく異なる世界観を提示くださり、それを満喫できたことは私だけでなく皆の喜びであったことと思います。
ですがEXOの皆が世界を救う話も是非読んでみたかったなとものすごく思ってもおります。
その日が早く来るといいなという気持ちも抱かせていただき、嬉しいような、それを待つのが苦しいような、複雑な思いでおります。罪作りなβカロテン様です。
能力発動するお話、また共に書かせていただきたいものでございます。

睡魔夢子様のあとがきにても、彼女が如何にこの企画に取り組んだかと、そもそも創作にどう向き合うのかということを知れ、私も知らない彼女の一面に触れられてものすごく面白く、楽しく、勉強になりました。
「夢の続き」EXOTICAあとがき
彼女のマネージャーのファンである私でございますが、EXOの皆も彼がすごく好きでしょう。そういう男性を作り出してくれた友人に感謝でございます。
友人は私に直接、今回ほんとうに面白い話ばかりで楽しかったと何度も何度も言ってくれ、私も完全に同感なのですが、そんな彼女の尽力は正に圧巻でございました。
このような企画を立ち上げてもらえるということは、人生にそうそうないのでございます。皆様もそうお思いなのではないかと思いますが。
あらゆる要素がこの企画には盛り込まれており、これを超えるということはほぼ不可能なのではないかなと思うのですが、そんなイベントに参加でき、皆と記憶と作品を共有でき、光栄であり幸福であると言う他ありません。
「概念を打ち破る」という言葉はまこと素敵でございました。

皆様の創作へのアプローチをこれほどまでにお聞きすることができ、私は大満足でございます。
私のものがそうした欲求を持たれた方になるほどと少しでも思ってもらえるものになっていればいいのだがと願う今でございます。

また近々に皆様のお部屋にもお伺いさせていただければと思います。
友人の感想もほんとうに楽しみでございますね!

まだまだ私は企画が終わった気がしないのでございます。


是非また何か皆様と一緒に何かしたいのでありますよ
フェリシティ檸檬



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20171004

EXOTICA:黄の洞窟:あとがき「皆様はどう取り掛かられるのでしょうか?」
企画2

企画概要(↓クリックすると記事に飛びます)
ブログ『夢の続き』EXO小説企画「EXOTICA」

企画参加者様記事一覧(本日更新分↓クリックすると記事に飛びます)
「夢の続き」EXOTICA:黒の洞窟:あとがき「EXOTICA」
「虹を求めて」EXOTICA:白の洞窟:あとがき「異世界は異世界であるからして異世界なのだ」
「大帝男子」EXOTICA:緑の洞窟:あとがき「触手」
「ソラノムコウ」EXOTICA:赤の洞窟:あとがき「They Never Know 〜夏の終わり〜」
「緑黄色野菜」EXOTICA:青の洞窟:あとがき「記憶と人格の同一性(持続的な時間の中において、断続的事象が如何にしてパラダイムシフトに干渉するか)」


おはようございます。
企画が終了いたしましたね。
フェリシティ檸檬です。

これを書いているのは9月最後の日でございます。
友人の言う通りまだまだ暑さはありまして、私は今タンクトップです。
そしてふと考えましたら、このオレンジ色のタンクトップは祖母からもらってかれこれ30年くらい着ているのでございます。また、下に履いた赤いスカートは母からもらい、これも同じくらい履いております。
先日友人と話していて、私の趣味というものが昔から根本は変わっていないのだということを言われ、自分でも言い、それを如実に現した現実でございますね。
生まれ持った嗜好と与えられた環境という両輪で人は作られるのだと朝からしみじみ思いました。
この記事がアップされる頃もまだ、私はノースリーブを着ている気がいたしまして、それがいつまでなのか、と、このようにほんとうにこの企画と共に夏の終わりを思っているのでございました。

さて、この記事はEXOTICA:黄の洞窟のあとがきでございます。
読んでくださった皆様、「闇を駆ける罪」、お楽しみくださいましたでしょうか。
他の書き手様のお話の結末も、これを書きながらもものすごく気になっておりますのですが、とりあえず自作について思うところをお話ししたいと思います。
もしよろしければお付き合いくださいませ。

どこまで触れようかな、ということをなんとなくずっと考えておりましたのですが、思いつくままになんでも述べてしまおうかな、というのが今の気持ちでございます。
ですのでとりとめなく、それは知らなくてもよかったかも…などとも思われたりされるかもしれない代物になるかもしれませんですが、二次小説というものはそうした気楽なネタばらし的なことの共有もなかなか楽しいものなのではないかなと思いますので、欲求の赴くままに書いていこうと思います。

友人が企画内容を発表してくれましてから、だいぶ長い間頭の中で考えるだけであったのは以前もお伝えしたと思うのですが、そのときに私が意識しておりましたのは、やはりファンタジー色をきちんと強くしてみようということと、反対にBL色は弱めようということでございました。
そして私はシウミンの担当ということになりましたので、彼とファンタジー、ということと、私の今書きたいもの、ということとを混ぜて練り始めました。

少し前に私が「モンテ・クリスト伯」を読んだという話をさせていただいたのですが、それはアメリカのドラマに久しぶりにちょっとだけはまり、そのドラマがこの小説を原案として書かれているということからの再読でございました。
もともと私は復讐譚に類するものが好きでして、それもものすごく強い復讐者が標的をこてんぱんに叩きのめすというのが好みでございます。
二年ほど前に「イコライザー」というデンゼル・ワシントン主演の映画を観ましたのですが、これは復讐譚というのとは若干厳密に言えば違うのですが、大変、心底、楽しみまして、私のひとつの理想のエンターテインメントのありようでございました。
また「悪魔を見た」というチェ・ミンシクとイ・ビョンホン主演の映画も、いい復讐ものだったのでございます。私がここ数年で満足した映画の主たるものは復讐ものと言っても過言ではありません。
そう言えば「その女、アレックス」というフランス小説も、いい復讐ものでした。
そういったことから、そもそも「リベンジ」というまんまのタイトルのそのアメリカのドラマにも興味を抱き、見始めたわけであったのですが、そんな流れで私の中に復讐譚を書きたいという欲がいよいよ強くなっていたわけでありました。

この復讐譚、というジャンルと、シウミンとを掛け合わせたとき、シウミンの容姿が私に働きかけました。
拙ブログのお話をお読みになっている方だとお分かりかと思うのですが、私は彼の色の白さに言及することが多く、しかもそれはポジティブな指摘ではないことが多いです。
それは彼の生真面目な頑張り屋な性格とその色白さから、私は疲れてげっそりしたようすをしたその私生活の姿を思い浮かべることが多いためで、その気持ちが話の中に出てまいるのです。
そういう私の彼へのスタンスを、今回復讐譚と合わせ、彼が真っ青になって大きな目をゆらゆらさせながら走ったり惑ったりしているのを話の中で描写しようと思いました。

そしてファンタジーなるものですが、これは私にとってもっとも苦手とする分野と言ってよく、前回、自身の企画でSFを取り上げたときも似たようなことを申したのですが、はっきり申しましてそれ以上の不得手意識がございまして、ですがこのブログという場では、そういうチャレンジを自分の楽しみとしてしてみてもいいのではないかという気持ちは変わらずありまして、挑むことにしたのでした。
私がまだ好きだと思えるファンタジーの世界観は、あえて言えばスチームパンクっぽいものかな、ということを思いまして、これはむしろSFなんですけれども、その要素も取り入れるつもりでしたので、それならそういうのに類した感じにしよう、と思い、また、頭に浮かぶ所謂その世界観から、19世紀末のイギリスっぽさみたいなもの、それは大好物でございますので、そんな雰囲気に、と、案は進みました。
そう、その時代ならば、そして復讐譚ならば、シャーロック・ホームズ的世界観を表現できたらいいなあ、という大それた思いをそのまま抱きました。
私は何回か触れてきました通りジェレミー・ブレッド主演、露口茂吹き替えのグラナダ版「シャーロック・ホームズの冒険」の大ファンでございまして、これまでの人生において何度となく見てまいりました。ついさっきも見ておりましたし←
特に私は相棒のワトスンがエドワード・ハードウィックの、つまり後半のものが好きでして、その頃になると演出も大変凝っていて、ほんとうに見ごたえがあるのです。
というわけで、マントをまとった紳士たちの活劇的な世界を構築できたらと思いました。

それと共に、この世界観にしたいと思った理由はスチームパンクからの派生以外にもありまして、つまりそれはシウミンという人のたたずまいでございます。
期せずして、みむ子様のお話を読んで、おお、被った!と、またシンクロ!となりましたのが、シウミンに、あの映画出演時のキャラを持ってきたということでございまして、私はあの映画未見なのですが、CMなどで見るたびに、これはなんだかとっても似合っているなと思っておりましたその記憶が、私をしてホームズの使いっ走りの少年たち、もしくは明智小五郎の小林少年、更に言えば彼自身が扮したこともある名探偵コナン感を抱かせ、そういう役割を与えようと決めさせたのでありました。
顔面蒼白になった少年のようなシウミンが、非常に有能な大人の男性に付き従って異世界を生き抜く―――、そういう話のおおまかなかたちができあがってまいりました。

と、一応順々に申しているような感じになっておりますが、実はこんなふうにこうで、こうで、と考えているわけではなく、これらすべてを同時進行で頭の中でごちゃごちゃと混ぜて決めていきまして、それにまたある時点で(だいたいがものすごく早い段階ですが)画が頭に広がりますと、それを元にするということもございます。
ホームズがどうとかというのを思うよりも早いくらいにでありますが、シウミンが暗い部屋の中でベッド上の傷付けられた女性と犯人を見付けるという場面がそれでございます。
すべてはこれから始まっておりまして、これを描く、ということがモチベーションのひとつとなっているのでございます。
これは「輪舞曲」でもそうでして、ユノとチャンミンが宇宙の中でふたりきり、たたずんでいる画というのを書こうと思ってあれは取り掛かったのでありました。

私が好きなこのグラナダ版ホームズのシリーズを御存知の方なら、私がいろいろなオマージュをこの話に捧げているのにお気付きかと思います。
主にそれは「悪魔の足」と「ボール箱」というお話でございます。
紳士は、「悪魔の足」のあの博士をイメージしておりました。あの方まんまではございませんが、あれも復讐のお話ですし、とても悲しみに溢れたそれで、私は見ますととても胸打たれるのでございます。
「ボール箱」は耳のくだりでございますね。塩の中に詰まった片耳が事件の中心となるのですが、これはいたたまれなさや哀れさに身がよじれてしまいそうになるお話で、ホームズが最後「この不幸の連鎖に何の意味があるのだろう?」と言うのですが、この言葉は私が今回書いた話のひとつのテーマであるかとも思います。

過去の世界を引っ張ってきた点というのはこういったところなのですが、未来感を出すというときに、またこれもだいぶ初期に浮かびましたのですが、押井守の「功殻機動隊」、もっと言うと「イノセンス」を考えました。
私はまったく彼のファンではないのですが←、セクサロイドのルック自体は何か感じるものがありまして、セクサロイドではないのだけれども機械が体の一部になっている女性が陵辱されるということを描こうかなと思いました。
何故かと言えば、押井守がそれを扱いながらきちんと向き合わない題材を用いて、もっと真実と現実に即した私が読みたい(見たい)と思う話にしてみたいという気持ちが起こったからでした。
見ると何故こうなると歯をぎりぎりしてしまいますので。
またジャンルの関連として、どうしても手塚治虫の「鉄腕アトム」も思い出しまして、その中でよく表現される完璧な悲哀なども求めたいなという、これまた恐れ多いことを願いもいたしました。

これら要素の他に、ファンタジー色を追求するということからも、また二次創作であるということからも、シウミンの超能力設定を取り入れようと思いました。
氷の能力でございますが、それをどうするか、というときに、私は「星闘士星矢」が浮かんだのでございました。正しくは、能力を使わせるならば死体か脳死状態の体を冷凍保存させるということだなと思った際、そのさまがかの有名ジャンプ漫画を彷彿とさせたということでございます。
氷牙でございましたでしょうか、氷を操るセイントなのですが、彼の母親が、永久凍土か何かの中に若く美しいまま凍っているのでございます。
氷牙は母のその姿を見、涙するわけでございますが、シウミンの手により、もう少しだけ生を伸ばすかのようにその若さと美しさを保たせ、紳士に慰みを与えさせるということに結局いたしました。
この、紳士のエゴイスティックな望みは、まったく正しいものではございませんが、それでもシウミンは彼の願いを叶えてやらずにいられなかったほどに、彼女に起きたこと、ひいては紳士に起きたことはおぞましく、決して癒されるものではなかったということでございました。

また、実はこのお話は、設定したことをあまり中に描写として盛り込まなかったということも申し上げられます。
この異世界は、地殻変動のないもうひとつの地球、という場にしておりまして、つまり地上というものがすべて一続きになっているのですが、そのことから、人類が誕生してから、肌の色の濃い人種が基本となって血が続いた、航海というものをほとんどせずに国を渡ることができるため、少しずつその土地土地で異なる容姿が比較的容易に混ざり合った、言語が、方言があり大まかではあるけれどもひとつに統一された、といった状態であると決めておりました。
地球内部のエネルギーがプレート移動などで放出されないことが原因で、その力が生物に作用することで、作中紳士が言っていたような「特殊能力者」というような存在が生まれたということにしておりました。
シウミンが異世界の言葉を話せたり読めたり、また対象を凍らせられるようになったりしましたのもこのためで、時空の割れ目からこの世界に来たことで、そこのエネルギーにさらされ、いわゆる感応能力が異常に高まったとによってその能力も開花したということでございました。
対している人物・事象に精神的に寄り添うことにより、鋭敏にその本質を知覚でき、具体的に対象の状態を変化することもできるようになったのです。
というような説明を省いてお送りいたしましたのですが、それは、もしそこに触れてしまいますともっと長くなってしまい、労力も何倍も掛かるので、その時間やなんやかやがないということで、諦めたのでした。
しかし以前つれづれで触れましたように、ここらへんをお伝えしておいた方がよりお話を楽しんでいただけたのではないかなという思いもありまして、連載中複雑な心境でございました。
この設定自体、いろいろな点において練り込みが必要ございまして、だからこそ省略いたしましたので、入れなかったことに悔いはないのでございますが。

皆様がこれをお読みになったときにどうお感じになられるのかは大変興味があり、知りたいなと思うのでございますが、それよりも、やはり心配な気持ちが先に立ったりいたします。
心配すると申しましても、こういうものが書きたいと思い、完成度如何は置いておきまして、実際書けまして、それについては満足でございますので、あまり好きじゃなかったという方が多くいらっしゃっても、後悔するということはないのでございますけれども。
ただ、否定的なご意見をお持ちでらっしゃるかなと想像いたしますと、残念だな、としんみりするということでございます。

長々と書いてまいりましたが、この企画の後夜祭として少しでもお楽しみいただければ本望です。
そして友人とも話したものですが、こうした、話をどう作り出していくかということは、皆様それぞれ違うと思いますので、是非詳しくお聞きしてみたいものだなと思っております。私の場合は、今回こういうようでありました。

こんなふうなイベントに参加できたことを、重ねて友人に感謝いたします。
そして私を参加者として迎えてくださった書き手の皆様に。
また異様な世界と事件にシウミンを巻き込んでしまった話にお付き合いくださった読者様に。

今後感想の記事なども上げさせていただくことになるかと思いますし、友人の関連記事も上がるでしょうから、まだまだ企画、最後まで共に味わい尽くしましょう。

ほんとうに、ありがとうございました。


感謝しかありません
フェリシティ檸檬



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20171003

The Warは^^、The Power (of Music)は;;(EXOTICA完結!!)
こんにちは!
お話の最終日でございます。
フェリシティ檸檬です。

今朝、友人睡魔夢子さんのEXOTICAの最終話が更新されましたね。
まこと、感慨もひとしおでございます。
私はこれを書きながらEXOの二回目のドーム公演の模様を見ております。
何故なら今wowowさんで完全版が流されているからです。
私、これが完全版だと知らずに、気付いた瞬間青くなって録画ボタンを押しましたです。
まあそんなわけで、遅れました私が以前wowowさんでやられていたバージョンでは未公開だった部分を今回どれほど撮れるかは分かりませんですが、少しはと希望を捨ててはいない状態でございます。
machineとかやはりなかなかいいですね。
ついさっき突然スホが脱いでびっくりしましたが、このスホが脱いだ曲は確か前のバージョンにも入っていた気がするので私がいつも聞き流しているのですね、多分。←

お気付きの方も多いのではないかと思うのですが、私は興味がないものを摂取するのが好きではないので、極力飛ばすのですね。なんでもそうなのですが。
例えばセックスアンドザシティなど、私はたまに同居人の人と一緒に見るのですが、私が好きな話ばかり見ますので彼は見ていない回が結構ありまして、その不満を聞かされますが無視をいたします。←
それを友人が聞いて可哀相、と同居人に同情を寄せてくれたりしておりますが、そんな感じでなんでもかんでも好きなもの、好きなところを繰り返し繰り返し繰り返し見たり聞いたり読んだりします。

今回のEXOのアルバムも、私は

01. 前夜 (The Eve)
02. Power
03. Sweet Lies
04. Ko Ko Bop
05. What U do?
06. Forever
07. Boomerang      ↓ここから
08. Diamond
09. Touch It
10. Chill
11. Walk On Memories
12. Going Crazy

しか聴いておりません。 毎日何べんも聴いておりますが。
ほんとうは
03. Sweet Lies
04. Ko Ko Bop
05. What U do?
の並びも聴きたいのですが、
01. 前夜 (The Eve)
02. Power
06. Forever
これらが邪魔をいたしまして。
特にForeverはほんとうに苦手でして、始まると困りますね。
実のところPowerもかなりそうです。
タイトルがもう、よくないですね。ああ、よくないタイトルだな、と思って、聴いたらやっぱりよくないな、という感じで、心から残念になります。
このアルバムでだんとつで好きなのはTouch Itであることに変わりはなく、聴くたび、おお、すばらしいことよと感動いたします。
新しくアルバムに入った曲に、以前少しだけ触れましたけれども、Sweet LiesもBoomerangも好きでございます。特にBoomerangが好きでございますね。タイトルもいいと思います。
内容をまったく知りませんが、好奇心を持たせますし、いろいろ想像させますね。
毎度のことながら独断と偏見で語っておりますが、皆様はいかがでしょうか?
Power、Foreverがお好きな方には、どうも申し訳ございませんでした。
個々人の見解ですので、ご容赦を。

最初に触れました友人の手に成るお話は、マネージャーが主役で、入口、洞窟の外、出口と続いたわけですが、すっかり私は彼がEXOにほんとうに付いているような気になっております。
こんな方が付いているといいですね。そして素敵な女性が彼に現れないものかと願ってしまいます。

夢の続き(↓クリックすると記事に飛びます)
EXOTICA:「入口」
EXOTICA:洞窟の外「LA SIESTA」
EXOTICA:「出口」

そしてこのあと、それぞれのあとがきが残っております。
ものすごく!楽しみでございます。
こうしたものは企画であればこそ、より面白く感じられるわけでございますね。
お話を読み終え、さまざまな感情が去来しているのでございますが、そこにまた、まったく別の何かが加わる気がいたしまして、期待で胸がいっぱいです。

それでは皆様、また明日、あとがきを共に楽しみましょう!


帰ったら美味しいご飯を食べてください、というディオの言葉はいいですね
フェリシティ檸檬




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20171002

EXOTICA、洞窟からの脱出を全員が完了する日です!(所感など!+加筆しました)
こんにちは!
いよいよ明日は友人の最後の記事が上がりますね。
フェリシティ檸檬です。

今日で参加した書き手5人の話は終わりを迎えました。
皆様、お読みになられましたでしょうか?
私は読みましたですよ。
このような感慨に浸れるとは、ひと月ほど前まで予想もしておりませんでした!
私は今や、書き手様全員とは戦友のような気持ちでおります。
私も異世界に行って帰って参ったのです。EXOの皆と同様に。

では簡単に、それぞれのお話について感じたことなどを!
(ネタバレします!)


「虹を求めて」管理人みむ子様のお話 EXOTICA:白の洞窟 「identity crisis」
「虹を求めて」EXO企画カテゴリ

(※シウミンとキョンを混同しているかのように書いてしまいまして申し訳ございませんでした!異世界でのシウミンが、というような意味でございまして、一種のパラレルワールド的読み方をした上での書き方でございました。誤解を与えるといけませんのでカッコ内に説明を加えております。みむ子様、ほんとうにすみませんでした)
みむ子様と私でセフンとシウミンのカップルを分け、ひとりずつを書いたわけでございます。
セフンは異世界で、ある特殊な半猫人と瓜二つで、シウミンそっくりの若者に出会っておりました。
このシウミン似の登場人物の設定に関しましては、私のあとがきにて少し触れておりますので、よろしければそちらもお読みいただけると嬉しいなと思うのですが。この異世界の雰囲気も含め、やはり私とみむ子様は似たところがあるのだなと僭越ながら思ったのです。
ところでセフンは典型的な半獣人たちを気味悪がっておりましたが、私はお会いしてみたいと思いました!すごく素敵な方なら、「耳をすませば」のバロンみたいなんじゃないでしょうか。あの方はただ二足歩行しているだけだとは思いますが。
とても美しい半猫人・ヤンゴに恋しているキョン(シウミンにクリソツ)の描写がすごく可愛らしくて、その気持ち自体に胸キュンいたしました。猫に惚れるシウミンて、いいですね(見た目という意味です、恋しているのはキョンなので)。
またシウミン(のような見た目のキョン)がセフンといたしたいという気持ちは、攻めとしての願望であったというのが、非常にみむ子様らしくて、私はそこにみむ子様の作家性を大変感じました。
セフンがシウミンにされているのを想像しますとなかなか乙なものでございますね。いつか書きたいような気も。←
ヤンゴが一体こちらの世界でどういったふうに過ごしていたのか気になりました。シウミンには会えなかったわけですから、セフンよりもずっと心細かったことでしょう。猫たちにとっての危険もいっぱいですし。
ということはきっと人間の姿でヤンゴは過ごしていたのでしょうから、「きみはペット」状態になっていた可能性も高いですね。そもそもキョンもそんな感じでヤンゴをうちに連れて帰っていますし。
ルックスがいいというのは得ですね!うらやましい。←
コミカルな味わいと、恋愛感情の危うさや力の丁寧な描写と、虚構と現実をない交ぜにしたファンタジックな世界観を、みむ子様ならではの語り口で存分に楽しませてもらいました。
みむ子様とタッグを組め、心から嬉しかったですし、光栄でした!
またお部屋にも伺います!


「大帝男子」管理人roiniy(ooba)様のお話 EXOTICA:緑の洞窟 「触手」
「大帝男子」EXOTICAカテゴリ

「触手」というタイトルを一目見、これは、あの…!?と思いましたら、やはりそうだったのです!!
ディオに…触手が…。
それをチャニョルが目撃、という。
すごい画でございますよ!
その画を見せてもらえるならどこまで払えるかしら、自分、といった感じでございますね。←
ディオがひとりさくさくと頑張っているさまと、チャニョルがうわーんとなってしまうさまの対比がとても魅力的でございました。
チャニョルの火の能力というのは、私も話の中で使わせてみたいなと思ったことがありまして、そのようすを見られたのも嬉しかったです。
能力設定はどういうふうに割り振ったのだろうとときどきスタッフに対し思うのですが、私は個人的にチャニョルとシウミンとスホの能力は、彼らのルックスと雰囲気に結構合っているなと思っております。
他のメンバーも合ってないことないんですが、印象として残っているのが彼らなんですね。
roiniy様はニョルドがお好きということでございますが、その思いがとてもよく伝わってくる冒険譚でございました。
私もニョルドが好きなので、そのお気持ち分かります!と思いながら読了いたした次第です。
無駄のない文章と、ファンタジーらしいなかなか過酷な異世界と、ニョルドへの愛を味わえる一作をありがとうございました!
企画をご一緒でき、光栄でございました。


「ソラノムコウ」管理人haruyuki2様のお話 EXOTICA:赤の洞窟 「They Never Know」
「ソラノムコウ」EXO企画カテゴリ

ベッキョンとスホというあまりない組み合わせのカップルでございましたが、特にベッキョンのベッキョンらしさをものすごく堪能できるお話でございました。
ベッキョンがひとりサバイブするようすがとってもよかったですね~。
水浴びをしたり、蝶と交流を持ったりするところが特に好きでした。
私がもっとも胸キュンしましたのはベッキョンが蝶に優しく接するシーンです。
蝶が水に浸かって元気を回復する部分でも、目に見えるような画としての美しさと込められた深い慈愛に感じ入ってしまいました。
スホが水の中で眠っている画というのも、ロマンティックでございましたね。
先程能力の話をした際にも触れましたけれども、スホと水というモチーフはまこと合っておりますので、読んだ方皆に訴えかけたと思います。
しかし全体に、ホラーとまでは行かないまでも、不穏な雰囲気が絶えず漂い、最後までそれが拭われないところが、甘いだけでは済まさないというharuyuki2様のお気持ちが感じられ、そこも美点であるなあと考えた次第です。
私がこのふたりから感じるのは涼やかな端正さなのですが、それを非常に視覚的に表してくださったこうしたお話を読むことができ、ほんとうに嬉しかったです。
繊細な事実とキャラクターに寄り添った描写と、美しい自然の風景と、恐怖と官能がバランスよく配合された魅惑的なお話でございました。
今後とも、お付き合いいただければ幸いでございます。


「緑黄色野菜」管理人βカロテン様のお話 EXOTICA:青の洞窟 「cruel spiral arousal」
「緑黄色野菜」小説カテゴリ

拙企画でもご一緒いたしましたが、こうしてまた別の企画でもお付き合いを持てることとなり、大変嬉しく思いました。
そして前作とはまったく違う世界観を展開してくださり、心から楽しみました。
今回の企画が指向するようなファンタジックな世界ならば、βカロテン様のお手の物だろうとは思っておりましたのですが、こんな、精神的な、観念的なお話をお出しになるとは!舌を巻いた次第です。
カイとチェンという、これまたあまりない組み合わせでございますが、少し前に私自身このカップルを書いたとき、結構いいなと思った記憶が鮮明でございまして、そういう意味でも期待しておりました。
そうしましたらば、なんと切ないお話なのでしょう!
こんなに胸がずきずきするような恋愛関係を見せていただけるなんて、特にこの企画で、と、嬉しい驚きでいっぱいになりました。
チェンが記憶喪失になるというのが、また似合いますね。
「KOKOBOP」内での彼の印象が殊にそう思わせてくれます。
カイがこんな目に遭っているのを見ますと、あわわわわとなると言いますか、誰かなんとかしてやってくれと願わずにいられませんでした。
新鮮なカイで、そこもすごく素敵でした。
誰かとの取り引きと申しますか、そうした設定はSFやファンタジーでは定石でございますが、それを愛情問題や彼らの仕事と密接に絡め、またちょっとしたおかしみや可愛らしさも取り入れてくださり、複雑な味わいのお話にしてくださっていました。
カイチェンの化学反応と、企画へのユニークかつ素晴らしい取り組み方と、その人を成すものという哲学的テーマを入れ込まれた意欲的な物語を、どうもありがとうございました。
サプライズをくださることにかけては、βカロテン様の右に出る方はいらっしゃいません。
またどうぞ、よろしくお願いいたします。


勝手なことを書き散らかしまして申し訳ございません。
これまで思ってまいりましたことをつらつらと書いたわけでございますが、他の方の感想などもほんとうに気になりますので、お聞かせ願えればなあと思います。
(※リンクを貼らせていただきましたが、EXOTICA以外のものも混じっているリンクとなりましたので、もしご不満なら遠慮なくおっしゃってください!申し訳ございません、よろしくお願いいたします)

企画はもうすぐ終わりとなりますが、私の心はしばらくここに留まったままになりそうでございます。
それほど濃い数週間でございました。

また近々に記事を上げたり、お部屋へ伺ったりさせていただくかと思います。
その際はどうぞよろしくお願いいたします。


あとがきが楽しみです!
フェリシティ檸檬



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20171002

EXOTICA:黄の洞窟 「闇を駆ける罪 7・終」
企画2

企画概要(↓クリックすると記事に飛びます)
ブログ『夢の続き』EXO小説企画「EXOTICA」

企画参加者記事一覧(本日更新分↓クリックすると記事に飛びます)
「虹を求めて」EXOTICA:白の洞窟 「identity crisis・7」
「ソラノムコウ」EXOTICA:赤の洞窟 「They Never Know 7」
「緑黄色野菜」EXOTICA:青の洞窟 「cruel spiral arousal 《4》――完」


声が切羽詰った色を濃く示し、ミンソクは帰ることが出来るかもしれないという高揚に満ちた体に、不可解な緊張が湧いた。
「きみの能力に関してのことだ」
 意外な言葉に困惑していると、紳士は切なげに、必死に告げた。
「きみに、―――きみにあの子を、凍らせて欲しいんだ」
 涙の膜の張った紳士のまなこは、紫が乱反射してさまざまな色を内包していた。
「私が―――私が昨晩作った専用の装置に、あの可哀相な子を入れるから、その中であの子を全身くまなく冷凍して欲しい。―――あの子を、より生きていたときに近い状態でしばらく傍に置いておきたいんだ。ずっとではない―――私の気持ちが落ち着くまで、あの子が死んだということを受け入れられるまでの間だ。今から冷凍装置を備えた長期保存できる透明な箱を完璧に作るとなると、数日かかる。あの子の体はその前に状態が悪化する。だからきみの力を借り、今、凍らせておきたいんだ。無理を言っているのは分かる。だが後生だ。この私を哀れと思い、どうか頼みを聞いて欲しい」
 一瞬も目を逸らさず紳士は言い終えた。ミンソクも視線を外せなかった。驚きのあまり言葉を失い、黙りこくって身動きひとつしなかった。
「―――それは―――それは違法では―――?」
「きみが罪に問われることは金輪際ないと約束する」
「だけど―――」
「頼む、あの子がただ腐っていくのは堪えられない。少しの間でいいんだ。私の後悔が私の中にしっかりと根付くまで、あの子の傍にいさせて欲しいだけなんだ」
「でも―――そんなこと、―――やったことがないですし―――」
「これまできみの能力が発動するのをたびたび見てきたが、おそらく可能なはずだ。もしやってみて無理だったらそれは諦める。ただ、一度、やってみて欲しい」
「でも、でも―――」
 ミンソクは思わず立ち上がった。その際誤って机に爪先をぶつけ、上に置かれた小箱が床に落ちた。かっと鳴って衝撃で蓋が開く。
木製の簡素な箱の中から白い大量の粒―――そして土色の、曲線を描く部分と、ぎざぎざと切り口の粗い直線部分とで成った、肉―――そう、肉。
それは紛うことなき、人間の片耳だった。
裏返ったそれには、縦にふたつ、ほくろが並んでいた。
硬直したミンソクは数拍置いて、足元を見つめながらわあっと叫んだ。
後ずさって紳士を見遣ると、悲しげな、しかし怒りのこもった燃えた目の色をした彼がおり、途端ミンソクはすべてを悟った。
「これ―――これは―――」
「ああ。そう、犯人のだよ」
「まだ見付かってないのかと―――」
「私は一昨日のうちに居場所を探り出していたんだ」
「え?だって、一昨日は僕が警察に―――」
「きみには悪かったんだが、あのとき、私には既に犯人の目星が付いていたんだ」
「なんで―――だって―――」
「警察の非公開情報の中に入り込むなんてことは、私には簡単なことなんだ。そもそもあの管理体系自体作ったのは私であるし。きみを送り届ける前に調べは済んでいて、こいつだろうと踏んで警察署からその男の自宅に向かったんだよ。だが奴は逃げていた。だから一旦帰って奴の性格や家族や出身、知己や行動の型を予測装置に入力して算出し、一番高確率で今後向かう行き先を割り出してから夜、追ったんだ。私の車はきみも知っての通り、加速や自動運転、事故防止機能を通常の数十倍の性能に改造してある。逃げるなんて不可能だ。計算した通りの場所で奴を見付け―――車中で眠りこけていた―――、捕まえて人気のないところまで連れて行き、詰め寄った。怯えた奴は簡単に吐いた。あいつはあの子をある催しで見かけて以来、勝手に執着してしつこく付け回していたと言った。―――あの夜、あいつはあの子を幾度も刺し、犯し、止めを刺してからまた犯そうとしていたんだ。あいつは言った」
 ミンソクに見覚えのある、その紳士の目の紫は、憤怒から成る激情の色だった。
「あんたが作った体は素晴らしく綺麗だったよ、すごい腕だよ、あんた」
 鬼の目をした紳士は立ったミンソクを見上げていた。今耳にしたすべてが現実と思えず、ミンソクは体が揺れた。
「それをあいつは私へのお追従として言ったんだよ。命乞いをしていたんだ。私は切れ味のいい刃物と悪い刃物を持っていた。いい方で脅し、白状させたあと、縛り付けて悪い方であいつの耳と性器を切り落とした。ぎゃあぎゃあうるさいあいつの口の中に性器を詰めて、生きながらに火を点け、燃した。死体は完璧に処理したよ。決して見付かることはない。そしてこれだけ持ち帰った」
 そう言うと転がり出た耳に視線を投げた。
「殺した証拠としてね。あの子が不安に思うといけないから。目が覚めておびえたとき、役に立つ場合があるかもしれないと思ったんだ。こんなものを手元に置いておきたくはなかったが、あの子の為なら―――」
 紳士の両目に玉のような涙が乗った。顎はわななき、もう何もものを言うことは出来なくなった。
ミンソクはふらふらと出口に向かった。部屋を出て階段を上る。女性の部屋の前まで辿り着くと、ドアノブに手を掛けた。
足音を立てぬようベッド上の彼女に寄った。職人たちの技は見事で、普段の彼女はこうだったのだと、初めてミンソクにもよく分かった。
カフェオレのような色合いの肌に真っ白なドレスが映えていた。まるで花嫁姿のように、彼女は見えた。膨らんだまぶたはうっとりと瞳を隠し、なだらかな曲線を描く鼻梁の下に、鮮やかな紅の引かれたかたちのいい唇がある。茶色く、量の多い髪は顔の周りを取り囲み、艶を保って波打っていた。
ミンソクは無心で彼女を見下ろしていた。袖から覗いた紳士の手に成る腕や手指も、きちんと磨き込まれているのが輝きで分かった。
窓からは雲が割れて陽光が射していた。それがすべて女性に注ぎ、世界中でもっとも美しく幸福な娘として彼女が祝福されている光景のようにミンソクの目に映った。
すぐ後ろの床がきしんだ気がした。
はっきりとした音がせずとも紳士が立っているとミンソクには分かった。彼の体臭とコロンが、部屋に満ちていた。
「頼む」
ミンソクは目を閉じ、首をゆっくり前に倒した。


彼女をふたりで紳士の研究室まで運び込んだ。
そして紳士が先刻話していた容れ物に優しく寝かせると、紳士が彼女の髪や衣服を整え、額にくちづけたあと、彼の指示通りにミンソクが冷凍を開始した。
すっかり冷え切った彼の手は、触れたものを―――彼女のまず足の先から―――じわじわと固めていった。肉体の中心まで完全に冷凍されているか紳士が確かめながら、徐々に移動しつつミンソクは彼女の肌に満遍なく触れた。
女性が霜に覆われ、その味わい深い色味が失われるのがミンソクは悲しかった。眉間を寄せながら、雪のように白い顔を自身して、ミンソクは淡々と作業を続けた。
 生前も握った手を躊躇いがちに取ったとき、にわかに彼女の声が聞こえた気がして、ミンソクは思わずその顔を見た。
自分に惨劇が降り掛かっているさなか、女性はミンソクとまっとうな繋がりを持とうと、真っ先に彼の潔白を周囲に伝えようとしていた。
生きているときにそうしたように、ミンソクは泣きながらしっかりと手を掴み、彼女の目を見つめてすみません、すみません、と繰り返した。
そうして彼女は凍った。
厚く乗った雲が辺りを薄暗く、色を鈍く見せたまま、夜は舞い降りた。
女性はさながらお伽話の姫のように、冷えた棺の中で眠っているかの如く優美に横たえられていた。
すべてを終え、部屋を後にしようとしたミンソクに、紳士は両掌を上に向けた仕草をしながら、ありがとうと言った。
小さく頷くだけしかミンソクには出来ず、背を見せて後ろ手で扉を閉めた。
あてがわれている寝室に赴くと、綺麗に洗濯され、新品同様になった元着ていた服と靴と鞄が準備されていた。それを見下ろしていると、併設された洗面所から従僕が出て来てミンソクに穏やかに言った。
「お風呂にされては如何でしょうか」
 焦点の合わない目を、それでも従僕の方に向けながらミンソクは声を発さなかった。
「温まれると、ご気分がよくなるかもしれません」
 かすかに首と目を下に向けて従僕は言った。
「下の大浴場にお湯の準備は済んでおります」
 もしよろしければ、と付け足し、従僕は下がった。
ドアの閉まった音を背に受け、氷と化した両手をまじまじと見つめ、ミンソクはぼんやりと、風呂に入ろう、と思った。
言われた通り一階の浴場で、シャワーを浴びながら深呼吸を繰り返すと手の温度が少しずつ上昇してくるのを感じた。それから薬草の加えられた―――甘く儚い香りがした―――湯船に浸かり、揉み込んで時間を掛けてほぐし、なんとか平熱に近いところまで手を元の状態に戻した。
湯気の立つ体で浴室を出ると、懐かしい、華やかな柄の衣服に身を包み、血色の快復した顔でミンソクは鏡を見た。
この地獄のような、狂った状況からもうすぐ抜け出せるかもしれない。
皆の元に、戻れるかもしれない。
吊り上がった自身の目を見つめて、ミンソクは残りわずかになった身内の活力を掻き集めた。
部屋に戻り、帰るための準備を始めた。
荷物を移し変える程度しかすることはなく、すぐ終えて鞄を背に階段を下ると、従僕がお食事の時間です、と姿を見せた。
夜に備えしっかり食べなければと思い、ミンソクが食堂に向かうと、既に紳士がそこにいた。
「私と共に食事などしたくないかもしれないが」すまなそうに彼は言った。「もしよければ、最後になるかもしれないから、一緒に夕食を摂らせて欲しい」
 垂れた目の中で紫が垣間見えると、ミンソクはいやだなどとは言えなかった。
自分でも不可解なほど、どうしても彼のことを心底恐怖したり、嫌悪したりをミンソクはできなかった。人柄への好感と恩義と後悔がない交ぜになり、紳士のことも女性のことも、それこそ従僕のことも、とても他人などとは思えないところまで来ていた。ここでの濃密な体験が自身の内側をがんじがらめにしていることに彼は食事中懊悩した。ここから一刻も早く逃げ出し全部忘れてしまいたいという欲求と、一蓮托生だと腹を括って彼の手助けをしたいという願望が、火花を散らすようにして頭の中で弾け飛んでいた。
テーブルを囲んで言葉少なに食事をしながら、帰るんだ、帰るんだ、帰るんだ、とミンソクは自分に言い聞かせた。
仕事、仲間、家族、友達。
順に強くそれぞれを思い浮かべると、その全体を薄くセフンの笑顔が覆った。すると帰還に向けての自然な喜びがミンソクの中に弱く、だが確実に広がり始めた。
「うちのコーヒーはきみの舌を満足させるに足るものだったかな」
 食後出されたカップを啜りつつ、紳士が今にも消えそうな微笑みを作って問うた。
「とても美味しいです」
「そうか」
 笑うと風を受けた葉の茂みのように髭が盛り上がるのを見るのが好きだとミンソクは今更気付き、それにたじろぎ、視線を下ろした。
玄関ホールで身支度を済ませ待っていると、車に荷を積み込んだ従僕が扉を開けて出発の準備が整った旨伝えた。
見送りに立っている従僕に、汎用性があるのだろうと見様見真似で例の仕草をし、深い感謝の弁をミンソクが述べると、彼も同様の仕草を返し、その手を胸の前できゅっと握り合わせ、
「このご恩は忘れません。―――お気を付けて」
と瞬きながら表情をほぼ変えず、しかし感情のこもった声で呟いた。
そしてミンソクは、紳士と共に闇夜を発った。
立ち入りが禁じられているのは一目見て分かったが、閉め切られているだけで警備の者などはいなかったため、紳士の鍵によってなんの支障もなく女性の家の中に入った。
持参した灯りをかざして紳士が中を進み、ミンソクからここが最初に降り立った場所だと確認を取ると、その廊下の曲がり角を少し過ぎた箇所、道の中央にふたりは立ち止まった。
小さな荷車に乗せた装置を紳士が床に置き、ミンソクが出現した空間を照らすように、その照明機器のような道具の動力を入れた。
「これは時空の穴を作り出すことを目的に製作したものだ」
 調整する紳士の邪魔にならぬよう、ミンソクは端に避け、その機器から放たれた光が壁に向かって走るのを眺めた。
「磁場の関係があるのだと思う。きみが話してくれた件の洞窟の強力な磁力が作用して小さな歪みが生まれ、ごくわずかな時間そことここが繋がったのだと…」
 かちりと音がして光量が上がった。
丸く正面の壁が照らされていた。その円の中で女性を搬出する際に擦れた血の痕が、品のいい壁紙の上、存在を主張しているのがどちらにも分かった。ふたりは黙って目を逸らした。
 膝を付いていた紳士が腰を上げると、懐中時計を取り出し時刻を確かめた。
「そろそろではないかな」
「はい」
 紳士の傍に立って、さっき直視することをためらった女性の生きた証を今度はじっと見つめた。
「私の予測ではおそらく成功するのではないかと思うが、もしかしたら行った先がきみのいた時代ではない可能性や、場所自体違う可能性もある」
 紳士も前を向いて言った。
「行ってみて何かがおかしいと思ったら、急いで戻りなさい。もし戻れなかったら、また明日、同じ時間帯にそこを訪れるんだ」
 返事をし、ミンソクは肌寒さから身を守るために従僕から渡されていたマントを脱ぐと、礼を述べながら紳士に渡した。
確かに危険も感じたが、紳士に、彼のその飛び抜けた知能と実行力に、いつの間にか絶大な信頼をミンソクは置いていた。だから不安はそれほどなかった。主に武者震いと緊張がミンソクの体を支配していた。
並んだふたりは壁を睨むようにしてときが来るのを待っていた。と、その縦に伸ばされた円に浮かぶ強烈な赤が滲むようになったかと思うと、地の色である薄い土の色も紙が焦げるように消えていった。
目を丸くしたミンソクは、その変質を体がしびれたようになりながら凝視した。隣の紳士も紫を光のせいだけでなくらんらんとさせていた。
楕円状の、文字通りの穴が開いた。その中に見えるのは、あの洞窟の岩肌らしきものである。
ミンソクは声を上げた、すごいすごいと、飛び跳ねて紳士の体に触れた。
「私もさすがに驚いたよ」
 感嘆の表情を浮かべた紳士はミンソクの知らぬ彼で、ミンソクは彼の手に自身のそれをまっすぐ伸ばした。
「ほんとうにありがとうございます」
 感動から頬を高潮させ目を潤ませながら、ミンソクはしっかり紳士と見合った。
「どうか」
 突如激しい別離の悲しみがミンソクを襲った。表面張力で池のようになったミンソクの大きな瞳は、凪ぐことなくたゆたい、訴えた。
「どうか彼女を、土に還してください」
 思いが口からも零れ出た。
とうとう涙は耐え切れず落ち、ミンソクの肌を転がった。
紳士の磨き抜かれたような鮮やかな色の瞳は、目の前の青年の顔に絶えず置かれた。彼はまた震えていた。
「なるべく早くに。お願いです」
 眉根を寄せて懇願するミンソクは、だが手が冷えることはなかった。紳士の手とミンソクの手は、ひとつになったかのようにどちらも内で血がたぎり、固まったままかっかと燃えた。
眉尻を下に傾け、目を細めながら微笑し、紳士は言った。
「ああ、分かっているよ」
 そうしてぐっと手に力を込めると、すまなかった、と囁いた。
「さあ、行きなさい」
 手を離してミンソクの背を紳士は押した。
「急ぐんだ。戻る間があるように」
 振り返り振り返りしながらミンソクは足を速めた。
「気を付けるんだ!」
 紳士の声を浴び、髭に覆われた親しいその顔を最後に見遣ると、もう前だけを向き、迅速に穴へと駆けた。
 体を縮こめて輪を通り前方に目を凝らすと、数日前通った洞窟の岩肌にやはり違いないと思えた。首を回して後ろを確かめた。するとそこにはもう穴はなく、安っぽい蛍光の黄色に照らされたただの洞窟が続いていた。ぞっとすると同時に戻れたことへの期待を昂ぶらせ、躓きそうになりながらミンソクは走り、洞窟を出た。途端知った白い顔が、視界の中浮かび上がった。
セフンだ、と思うと同時にミンソクは彼に抱きついていた。






おわり





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20171001

EXOTICA:黄の洞窟 「闇を駆ける罪 6」
企画2

企画概要(↓クリックすると記事に飛びます)
ブログ『夢の続き』EXO小説企画「EXOTICA」

企画参加者記事一覧(本日更新分↓クリックすると記事に飛びます)
「虹を求めて」EXOTICA:白の洞窟 「identity crisis・6」
「ソラノムコウ」EXOTICA:赤の洞窟 「They Never Know 6」


脱力して椅子に腰掛けた状態でいたミンソクに、突如ドア向こうで大きな音や声が響き出したのが届いた。
何事かと立って扉に向かうと、それが開き、血管が稲妻のように白に走った目がミンソク自身のものと対峙した。
「病院に行く」
 すぐさまミンソクは事態を察し、ひとことも発さずにただ彼に従った。
すさまじい速度で車は走った。そのあまりの速さと正確さから、これはこの車が購入時の状態ではなく、きっと紳士の改良が加えられているとミンソクは確信した。耳が詰まり、風景はにじんだ画として飛びすさぶ。しっかと取っ手を両手で握っていると、瞬間移動したようにもう目の前は病院だった。
走って女性の部屋へと向かった。あわや転びそうになる紳士に思わず腕を伸ばしながら、ミンソクは彼と共に一目散に駆け抜けた。
処置室では容態の急変した女性への対応に大勢の人間が追われていた。その部屋に入れるわけもなく、ガラス越しに彼女を見つめながら、紳士は息を荒くしてぶるぶると震えていた。大きな彼が振動すると、地震が起きているかのような錯覚がミンソクを襲い、緊張と不安も手伝い、強いめまいと吐き気を催した。
ミンソクにも覚えのある心肺蘇生と思しき処置が、医師たちの手により繰り返し行われていた。太い指と大きな掌を透明な戸に貼り付け、紳士は口を開けて大粒の涙をはたはたと零していた。ひー、ひー、という呼吸の音がミンソクの耳にこだました。増水した川の流れのような音が自身の胸から鳴り響き、目を閉じたままの女性の顔から目が離せなかった。あの大きな、豊潤な瞳がミンソクには見えていた。あのような薄いまぶたの皮膚ではなく、その奥の、枯れることのない湧き水のような魅惑的な輝きを持った双眸が。
短いような長いような時間が経った。
医師や看護師が全員ゆっくりと手を下ろした。
壁一枚を隔てたミンソクと紳士にも、その意味するところは伝わった。紳士は膝が揺れるのが抑えられないらしく、腰を曲げて壁面にしがみつくようになっていた。ミンソクは室内と彼に交互に視線を送り、息を荒げて立ち竦んだ。
出て来たうちのひとりから、紳士はぼそぼそと彼女の死を告げられた。顔中を自身から出た液体で濡らした彼は、こくこくとかすかに頷くことしかできなかった。部屋を片付け出て行こうとする人々の中、ふらつきながら入って行った紳士は女性の手を取り、顔を顔に寄せた。空いた手を額に置き、撫でるように何度も擦る。紳士の涙は溢れては毛を濡らし、唸るような声がその隙間から零れ落ちた。ミンソクは同じところに立ち尽くしていた。握り締めた手をまさしく氷にして、紳士に負けぬほど涙をひたすら流していた。
気を遣った看護師が、彼らに茶を淹れ、傍に置いておいてくれた。だがそのふたつの器の中身は、飲まれることなく冷えていった。
日が傾いてきた頃、なんとか女性から離れた紳士は、手続きを済ませると彼女をすぐに連れ帰ることにし、その手配をし始めた。
ミンソクは彼の行動を見つめるだけしかできなかったが、彼女が搬送のため呼んだ大型車に乗せられると、紳士の目はミンソクを探し、帰ろうと嗄れた声で囁かれた。
縦に並んだ車は夕日を浴びて静かに走った。
 なんでこんなときにこれほどまでに美しい夕焼けが見られるのだろうとミンソクはぼんやり思った。車窓の向こうは甘やかな色彩の洪水で、そこに向かって自分たちは旅に出ているかのようなおかしな感覚に陥っていた。
帰り着くと、葬儀社の人々の手により家の中へと女性は運び込まれた。
紳士もミンソクも、住んでいた頃使っていた部屋に彼女が戻り、そのベッドに横たえられるのをひたすらに見守っていた。
それから速やかに、女性に死に化粧が施され始めた。
その道の一流の人々が手早く、しかし丁寧に彼女の姿を整えていく間、紳士は座って瞬き少なくそのようすを見つめ続け、ミンソクは音も立てずに部屋を出た。
 階下に降りると、従僕が目を真っ赤に染め、顔を腫らして仕事に勤しむ姿が見えた。彼は食卓の準備をしていたが、そう言えば朝から何も食べていなかったとそれでミンソクは思い出した。まるで空腹を感じていなかったのだ。
書斎に入り、昼間座っていた椅子にまた腰を下ろし、生前の彼女の顔、声、言葉、ぬくもり、そして死に顔が脳内を揺らすのに任せた。膝の上で組んだ手は、血が流れているなどと到底信じられぬほど氷の塊と化していた。
〝冷たくて気持ちいい″
 彼女はこの手に触れそう言ったのだ。
ミンソクの頬を再び涙が伝った。
がんがんと頭痛のする頭を背凭れに預け、じっと時が過ぎるのを待った。
人が玄関を出て行く物音が静寂を破った。ミンソクは足に力を入れた。
ホールに向かうと従僕が葬儀社の車を見送ったところであった。
「終わったんですか」
「そうだよ」
 背後から声がし、どきりとしたミンソクは勢いよく振り向いた。
魂を吸い取られたようなうつろな顔をした紳士が、ミンソクと従僕に告げた。
「葬式は行わない」
 ふたりから返事が返る前に更に紳士は続けた。
「のちに追悼式はやろうと思う。だが通夜や葬式はしない」
「かしこまりました」
 従僕がそう答えると、紳士はミンソクの背に手を伸ばし、軽く押すようにして歩きながら優しく言った。
「今日は、ほんとうにすまなかった」
 顔を上げて目を合わせたミンソクに、紳士は小声で話した。
「きみにも、辛い思いをさせてしまった。ただでさえ、もう十分にそういう経験をさせていたのに…。私の態度もひどいものだった。いい歳をしてきみへの配慮がまったくなっていなかった。許して欲しい」
「いいえ」
「腹は空いているかな?」
「…それがまったく…」
「そうか。何か食べた方がいいんだが。スープだけでも飲んで、早く休みなさい。とにかく疲れを少しでも取るんだ」
「はい、ありがとうございます」
「礼などいいんだ、さあ…」
 食堂に促され、紳士がミンソクに何か温かい飲み物を出すように従僕に告げ、弱弱しい微笑みをこしらえてお休みを言って出て行くと、ミンソクは席について出されるものを大人しく待った。
従僕の出してくれたクリームスープは温かく、全身に染み渡った。
少しずつ飲み、器を空にすると、席を立って従僕に礼を言った。風呂を勧められたがそれを断り、昨日あてがわれた寝室に向かった。
支度をしてすぐにベッドに入ったが、なかなか寝付くことは叶わなかった。灯りの消えた部屋の中、やはりまた彼女の生きていた頃と死んでからの姿がミンソクを訪れ、そのことが絶え間なく彼の目を熱くし、手を冷やした。
 夜明けも近い時刻、ミンソクはようやく眠りに落ち、目を覚ましたのは朝がもう終わるという頃だった。
洗面所に付いている小さなシャワールームに入り簡単に体を洗うと、身支度を整えて部屋に戻った。そこには当たり前のように従僕の置いた着替えがあった。今日は暗緑色のスーツで、袖を通してみると胸元に四角い、黒のピンが刺してあるのをミンソクは認めた。これの意味するところを想像しながら下に降り、紳士を探して歩き回った。それを従僕に見られ、用向きを尋ねられて居場所を知りたい旨話しながら彼の胸にもミンソクの胸にあるものと同じものが光っていることから、自分の予想が当たっているらしいことを確かめていると、まず食事を済ませて、その後彼の元に従僕と共に来るようにと紳士が話していたという答えが返って来た。
変わらず食欲はなかったが、体力が落ちたら困ると常の如く懸命に食べた。従僕が気を使ってより消化によいものを作ってくれたことで、だいぶ楽に皿の上のものを胃の腑に収められ、従僕の思慮深さと気配りに改めて心を打たれた。
彼に思ったことを率直に伝えると、軽い照れ笑いのようなものを浮かべてあとに付いてくるようミンソクに告げた。紳士のところへ行くのだった。
窓から覗く空は雲の多いそれだった。
そのためこれまでの日中より邸内は薄暗く、屋敷全体が喪に服しているような沈んだ雰囲気があった。
通ったことのない通路を行くと、辿り着いたのは巨大な両開きの扉の付いた部屋だった。
ドアを控えめに従僕が叩くと、足音がして紳士が姿を現した。
生ける屍といった態の彼は、それでもミンソクを見ておはようと言いながら笑みを顔に乗せた。
部屋に招じ入れられると、そこは天井が遥か遠い、広大な場所であること、そしてあらゆる材質のあらゆる装置が所狭しと置かれた研究室かつ作業室であることが一目で分かった。何かを知らせる音が絶えずあちこちで鳴り渡り、大量の操作画面には数字や記号がひっきりなしにちらついている。
首を伸ばしてその空間に見入るミンソクに、紳士は眠れたかい?と尋ねた。
「はい、遅く起きてすみません」
「そんなことはないよ。朝食は摂ったんだね?」
「はい、ご馳走様でした」
 すべてのカーテンがしっかりと引かれ、部屋は室内光で照らされているのみであった。白に近いくっきりとした照明が天井全体を覆い、それがふたりに降り落ちる中、自身の机の傍に紳士はミンソクを呼んだ。
椅子に腰掛けた紳士は、ミンソクに近くの椅子を指して座るよう示した。
足を揃えて腰を下ろすと、光の鈍ったふたつの紫がミンソクの黒目と相対した。
「装置なんだがね」瞬きを挟み、紳士は言った。「完成したと思うんだよ。使ってみないと分からないが、理論上は使用可能であるはずだ」
 帰還という望みがほんとうに叶えられるなど、どこかで諦めかけていたミンソクは、顔の穴という穴を広げて紳士に向かった。
「失敗に終わる可能性も高いが、…実際きみは元の世界から来たのだから…」
 こう言いながら、知性と意欲をその紫色の中に瞬間生き生きと閃かせたのをミンソクは見逃さなかった。情熱の一片がまだ彼の中でくすぶっているという、幻のような真実だった。
「試したいです」
 喉に絡んだような頓狂な声が出たことを恥ずかしく感じながら、ミンソクは尋ねた。
「ああ、試そう」目を細めて小皺を作り、笑った紳士は言った。「たくさんの人がきみを待っているよ」
「ほんとうに…ありがとうございます」
 こんなときにという言葉は控えた。女性の不幸を仄めかす言葉を自分からは極力口にしたくないと思いながら、ミンソクは紳士の胸に刺さった追悼の意の印を見つめた。
「今夜早速使ってみよう」
 強いまなざしをミンソクに投げながら紳士は言った。
「あの子の家のきみが初めに訪れた場所で、同じ時刻に起動させよう」
「はい」
「決まりだ」
 そう言うと再び目尻を畳んで紳士は微笑み、視線を落とすと、両の手先を弄びながら迷うように黙った。
 ミンソクが訝しく思い小首をひねってしばし待つと、今度は先程の目の色とまた違うそれを現し紳士は真剣にミンソクに対した。
「頼みがあるんだ」



つづく



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20170930

MARRY ME!(EXOTICA5日目)
こんばんは。
まったくもって。
フェリシティ檸檬です。

いやはや、洗濯でちょっと失敗してしまいまして。
ものすごくくたびれました。

それはともかくEXOTICA5日目でございます。
もうここまで来てしまったのですね。
何か今日は全体的に切なくなるような回でございましたね、皆様。
すごくいいなと思った次第でございました。

今私はひとりで飲んでおりまして、映画を数本、見ようとつけては止めを繰り返し、結局ドラマをつけっぱなしにしております。
いい魚の干物が土産になるといいなと思いながら、いろいろ考えたり考えなかったり。

どうでもいい、ここ最近思ったことでございます。

特に結婚願望のない私でございますが、結婚したいなと思う男性をたまにテレビの中などで見かけることがあります。
その中のひとりが今「世界猫歩き」で大人気の写真家の岩合光昭さんです。
あの番組はあの方の魅力があらゆる意味ですべてだと私は思っております。
ほんとうに素晴らしいお声をされてらっしゃいますよね。
あの方が猫といるのを見るととんでもなく胸キュンします。

7

お顔の感じなどは、私の亡くなった祖父を髣髴とさせ、むしろ好みではないのですけれども。
この方以外だと「刑事コロンボ」のコロンボや、「ミディアム」というドラマの主人公アリソンの夫が私の花婿にしたい欲を刺激してくれます。
私は彼らを見るとどうしても「あー、結婚したい」と呟かずにいられません。
別に結婚自体はしたくないのに←

ちなみに「猫歩き」は、猫が食いつくことで有名ですが、ほんとうに食いつきます。
うちの大きい方の猫はこれをつけておりますと夢中です。
小さい方は大きい方よりも賢くないので、どこ吹く風といった感じですが。

今さっきharuyuki2様の記事を読ませていただきましたが、お話もその中にありまして、特にレイファンの方にとっては胸の締め付けられる、温かさに満ちた素敵なものでございました。
是非遊びに行かれてみてください。

それでは最後に写真など。

猫たちは元気です。
3

1

最後の夏祭り。
2

同居人の人に作った誕生日ケーキ。
4

昨日毎月のセールで買った服と靴と指輪(カーディガンの上の四角い白いのが指輪です)。
5

6

これは古着屋での戦利品なのですが、そもそもはこのセールに合わせ、ニナリッチのスカーフを買おうと目論んでおりましたのに、既に売れた後だったのです。
心底悲しくなりました・・・。
もう今後このようなことはないようにしようと心に決めました。

皆様もこうしたヴィンテージやアンティークなどは逃すと二度と手に入れられなくなる可能性が高いですので、本気で気に入られたら即決でございますよ!(泣)


それではいよいよ明日あたりからEXOTICA、どれも佳境に入るかと思いますので、どうぞお見逃しなく!
皆様のお越しを、心からお待ちしております。



同居人の人が寒い寒いと言いながら買ってきました
フェリシティ檸檬


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20170930

EXOTICA:黄の洞窟 「闇を駆ける罪 5」
企画2

企画概要(↓クリックすると記事に飛びます)
ブログ『夢の続き』EXO小説企画「EXOTICA」

参加者記事一覧(本日更新分↓クリックすると記事に飛びます)
「虹を求めて」EXOTICA:白の洞窟 「identity crisis・5」
「ソラノムコウ」EXOTICA:赤の洞窟 「They Never Know 5」
「緑黄色野菜」EXOTICA:青の洞窟 「cruel spiral arousal 《3》」


道中ミンソクは気になり続けていた女性について紳士に問うた。
「それについては」前方を向いたまま紳士は言った。「後にしよう。もう、すぐに署には着いてしまうから。ただ彼女と私の関係だけ先に言っておくと、私はあの子の後見人という立場なんだ」
 後見人、という単語のとき、ミンソクに一瞥を紳士は投げた。それ以外、そしてその後ずっと、車が止まるまで視線が前に向けられた状態なのは変わらなかった。
紳士と別れると署内に足を踏み入れ、ミンソクは用向きを受付で語った。
椅子に腰掛け待つ間、この建物はどうやらとても古そうだと首をあちこちに向けながらミンソクは印象をまとめた。この世界全体がそういう傾向があるが、古いものの中に先鋭的なものが実は縦横無尽に潜んでおり、つまりそれはなんとかして元のその文化的な遺産を壊さないようにという努力を一致してしているためらしいのだった。
数分ののちに若い刑事がひとりミンソクを訪れ、部屋に案内した。
そこにはミンソクの世界で言うパソコンにあたる精密機器が大量に備えられ、その中に収められた膨大な資料の中から彼の証言に該当する犯罪者情報とその写真を抜き出した状態にしてあるのでそれを検めて欲しいと説明された。
 使用方法を解説しながら、刑事はこの文書管理システムには髭の紳士が関わっているとミンソクに話した。作成は主に彼の手によるものと聞き、病院で刑事らに影響力を持っているらしいと感じたことをそう言えばと思い出した。
そして言われた通りに操作しながら、ミンソクは記憶と画面の内容とを照合していった。
本来備えた生真面目さとこの件への義務感から、周りで見守る者も驚くほどの集中力を持って休むことなくミンソクは作業を進めた。途中出されたコーヒーを飲み、コーヒーがあるのだなと感動したり(それになかなか美味であった)、ほんの少しだけ菓子を摘んだりしながら(脳の栄養補給にと頑張って飲み込んだ)、せっせと目と手を動かした。
日も暮れ、宵闇が近付き出した時分、ミンソクはこれと思う情報に行き当たった。
目と、耳の形が相当近く、何よりも三六〇度回転する映像を部分拡大してみると、耳の裏に黒い点が縦にふたつ並んでいるのが確認できた。
 そのことを待機していた刑事に教えると、少し待たされたあと、協力に対する謝礼と、もう帰ってもいい旨を伝えられ、ミンソクは入り口付近の待合所に戻った。
ほんとうは、捜査についてや起訴され有罪判決を受けた際の犯人の処罰についてなど、聞きたいことは山のようにあったが、ミンソクはその質問を喉の奥で押し留めていた。それはぎりぎりのところで押さえ込んでいるさまざまなものが決壊してしまうのを恐れていたためだと言えた。先刻見つけた犯人と確信するに足るあの男の顔や体、その名前がもう既にミンソクの網膜に焼き付いたようになっており、血の生臭さすら匂った。それに侵食されるのを食い止めるので精一杯であった。
渡された通信機を開き、ぷくりと突き出たボタンを押した。
コール音が小さく鳴ると、疲れの皮膚に現れた、血管の浮いた目をした紳士が現れた。
「終わりました」
「お疲れ様。さぞくたびれただろう。今から行くから待っていてくれ」
「分かりました、ありがとうございます」
 来たときにも座った椅子に陣取り、眼精疲労から目を閉じた。と、肩を掴まれた。仰向くとそこには紳士がいた。
「お待たせ。さあ、行こう」
 彼は常に時空を飛び越えているようだと思いながらミンソクがその後ろに続くと、もう外は色の減じた世界であった。
夕食を摂ろうと提案され、応じると紳士は車に情報を入れ込み、前部に座った彼とミンソクは無言のまま車が連れて行くところまで過ごした。
レストランに到着すると、ふたりは恭しく店の者に出迎えられた。紳士の行き着けなのだとそれで知れた。
おすすめを紳士から聞き、それに従って注文すると、警察での進捗をミンソクは語った。
犯人と思しき人間について言及すると、紳士の目の紫色が水底にあるかのようにゆらめいた。
しかし言葉としてはただ相槌を打った程度で、予想したよりも紳士が反応を示さないことをミンソクは怪訝に思ったが、彼も紳士も疲労の色が濃いのは明らかだったため、あれこれ考えるのをひとまずやめ、料理に手を付け始めるとほとんどまた言葉を交わすことはなくなった。
食事を終えようというとき、やっと紳士は口を開いた。
「このあと病院に行こうと思うが、きみも来るかい?」
 複雑な感情の入り混じった表情を顔に乗せた紳士を見ると、ミンソクの胸はきりきりと痛んだ。はい、是非、と答えると、髭に隠れた頬が軽く上がった。
まるで宙に浮いて走っているかのような経験のない心地と、この街の夜の、絹のような豊かな質感をきっと忘れることはないだろうとミンソクは病院への道々思った。隣に座る紳士のどこか野生的な体臭と、重いコロンの香りも同様だった。帰ることができるできないに関係なく、こうして過ごした夜が一生ミンソクの体に染み付くことはもう疑いようもなかった。
病院に入るとすぐ、担当医を呼び出して紳士は状態の説明を求めた。昼間ここを出るときと容態の変化はないということと、まだ面会を許可することは出来ないということを告げられ、かすかに肩を落とした紳士はそのまましかたなく引き下がった。
焦燥に駆られる彼を見てミンソクはどう声を掛けたものかと惑ったが、紳士はしっかりした口調で言った。
「きみを家まで送ろう。そして先に寝ててくれ。私はまた病院に戻るからね」
 家までの道のりはあっという間であった。
踵を返して車に再度乗り込む紳士の背後を迎えた従僕と共に送った。つややかな闇の中、風を受けて庭にある何本もの大木が声を上げていた。車の照明は精霊の影のように夜の底で溶けていった。
従僕のさりげないいざないでミンソクは歯磨きと入浴を済ませ(どこもかしこもこの屋敷は広いのだが、浴室は特別面積を取って贅沢にしつらえられており、ホテルの大浴場のような湯船もあった)、用意された着心地のいい下着とワンピース型の寝巻きを着込むと、来客用の寝室に連れて行かれた。
従僕の手際が見事としか言いようのないことを証明しているかのような部屋の清潔さであった。ふっくらと膨らんだ枕や香りのよいネンは、ミンソクを眠りへと急速に引き込んだ。記憶が曖昧なほどいつの間にか、彼はベッドに潜り込むと気を失ったように眠ってしまった。
カーテンが厚いために、ミンソクは目を覚ましたときまだ夜明け前なのだと思い込んだ。しかし違った。時計の作りはほぼここでも同じなのだが、ミンソクがそれを見遣るとすっかり日が昇っている時間であることが分かった。
その体には大きすぎるベッドからミンソクは這い出ると、重たいカーテンを引いた。途端強い光が部屋に満ちた。昨日同様晴天だった。どこかしらここに来てから夜に生きているような感じがするミンソクにとって、温かな日の光はこの世界にそぐわない気がして、なんとなく逆に薄ら寒さを覚えもした。
おはようございますという声が聞こえて振り向くと、数歩後ろに従僕が立っていた。仰天したミンソクがうわっと言うと、ひとこと謝り、だがすぐ何事もなかったかのように着替えを出して下に食事を準備しますと告げ、しずしずと彼は出て行った。
昨夜教えられた隣室の洗面所を使って顔を洗い、伸びた髭をこれはきっと髭剃り機だろうという機具を用いて剃ると、寝室に戻った。出されたものを見るとまた別の衣服を調達してくれたらしく、紳士の瞳の色を深く濃くしたようなそのスーツ一式に感嘆しながら身を包むと、鏡でさっとみずからを確かめ、髪を撫で付けて部屋を後にした。
一階の食堂に入ると、紳士が食卓についていた。静かに朝の挨拶を交わす。何も包み隠さぬ太陽光は紳士の目の落ちくぼみや髭の合間から除く皮膚の色の悪さを教えた。
憔悴の度合いの激しさにミンソクは衝撃を受け、言葉を探していると、先に紳士が声を発した。
「まだ彼女は起きないよ」
 感情を極力抑えた声音でそう言うと、パンとナンの中間のような小麦で出来た主食を紳士は口に入れた。
さんさんと降り注ぐ日は眩しいほどで、それを受けながらの朝食はしかし切ないものだった。強い悲しみと苦しみが足元を漂っているかのようで、紳士に劣らずミンソクも顔を青ざめさせていたが、いつもの如くほとんど丸呑みのようにして出されたものを食べ切った。
「コーヒーを飲まないか」
 食事を終え立ち上がった紳士がそう言うと、座っているミンソクは彼を見上げた。
「好きです、コーヒー」
「よかった」
 彼が食堂を出るあとにミンソクも続いた。
書斎の肘掛け椅子にそれぞれ座っていっとき待つと、従僕がやって来てコーヒーをふたりに手渡し、辞して行った。
芳しさに目を細めたミンソクの斜め横で、紳士はあらぬ方を見ていた。湯気の渦を前にして一点を見つめる紳士に何故か恐怖をミンソクは感じ、大丈夫ですか、と声を掛けた。
「ああ」
 顔を素早くミンソクに向け、表情を和らげると、カップを口に寄せて紳士は言った。
「あとでまた病院に行くよ」
「僕も、よければ僕も行きたいです」
 勢い込んで言うミンソクに、今度ははっきり笑顔を見せて紳士は黙った。
数秒ののち、茂みのような口元が分かれた。
「―――彼女のことを、話していなかったね」
 白目を広げたミンソクに、微笑みを絶やさぬまま紳士は続けた。
「あの子は私の弟の娘なんだよ。私の父の再婚相手―――要するに私の継母には男の連れ子がいて、それがあの子の親なんだ。つまり血の繋がりはないんだが、私にとっては姪に当たるんだよ。あの子の母親が遠い国の出でね―――出産の際に帰郷したのに夫である弟も付いて行って、あの子が産まれてからもしばらくそこにいたんだが、そこで内戦が始まってしまって、その際弟夫婦は爆撃で死に、あの子もひどい怪我を負ってしまった。―――体を、見ただろう?あの機械部分は、私が作ったんだよ。一命を取り留めたという連絡を受けた私は、かの国に飛んで行って容態が落ち着いてから連れて帰った。それから私はあの子の親代わりとなって、成長に合わせて何度も何度もあの子の体の一部を作った。あの子はこの家で育ったんだよ。数年前まで、きみの寝室の近くの部屋で寝起きし、私と生活を共にしていた。成年に達して遺産を継ぐと、ここを出てあの、―――事件の起きた家に越した。幼少時とんでもない災難に見舞われ、際限のない辛い快復運動に堪えてきたことなどおくびにも出さない、朗らかなおおらかな子で、人付き合いべたというわけではないのだがひとりを好んでよく家でひっそりと過ごしていた。きみも知っての通り、とても綺麗な若い娘だから、社交の場に出れば男が寄ってくるんだが、ほとんど相手にしていなかった。そんな中、あの子が少し前から誰かに付きまとわれているような気がすると教えてきた。具体的なことは何も起きていないのだが何かしらの気配を感じるとのことだった。私はここに来るか、防犯の設備を私自身に整えさせるかだと強く言ったんだが、あの子は少し考えると言って帰ってしまった。ただあの子が持っている携帯電話の他に、私に対してのみ緊急連絡手段として使用できるきみが使ってくれたあの機器を無理矢理渡しておいた。私はその受信機を肌身離さず持っているからと。それが数日前のことだ。私はあの子の家に設置する探知機や録画機や通報機を準備していて、事件のあった次の日、つまり昨日、ほんとうは押し掛けて行って有無を言わさず取り付けるつもりだった。それが―――その前に、ことは起きてしまったんだよ」
 気を抜くと脳裏に浮かぶあの夜の、あの部屋の光景がミンソクにまた襲い掛かった。実際の視界の中にいる紳士の生気のないさまも相まって、濃厚な死の匂いが立ち上り、コーヒーの香を退けると共にミンソクの手を冷やし、湯気がぱたと消え去った。
 紳士はもう、何も言えなくなってしまったようすで、大きな溜め息を吐くと、口を閉じ、また沈黙した。
穏やかな陽気の屋外から、鳥の鳴き声が時折届いた。巨木ばかりの庭の木に集まり鳥たちが会話を交わしているのを、ミンソクは目をすがめてなんとか見れぬものかと苦心した。知らぬうち、生を感じることを渇望していた。
おもむろに紳士が口調を変えて話し出し、ミンソクはそちらを向いた。
「前に話した装置だけどね」
 少しだけ目に力を込め、紫色を輝かせながら紳士はミンソクを見た。
「これから少しいじってみる。以前は仮定の話だったものが今では事実なのだから、きみの話に沿って改良しよう。それから一緒に病院に行こう。それまで好きに過ごしていてくれ」
 席を立った紳士は足早に部屋を出て行き、ミンソクは窓いっぱいに見える木々と再び相対していた。手に持ったカップの中身は完全に凍り付いており、ローテーブルにそっとミンソクはそれを置いた。



つづく



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20170929

進め転に向けて(EXOTICA4日目)
おはようございます!
いい天気です。
フェリシティ檸檬です。

EXOTICA、4日目でございますね!
皆様お楽しみになられていますでしょうか。

haruyuki2様もみむ子様もおっしゃっていた通り、折り返し地点まで到達いたしましたね。

昨日つれづれで推敲が終わったことをお伝えしておったのですが、常のことながら、何かしつつや寝起きや眠る前などに、内容を思い出し、あれじゃいかんな、などと考え、手を加えたりなんだりし、もうしようのないことなのですがやっぱりああだったかな、などと思ったりもし、もやもやしている私でございます。
今回のお話は特にそういう側面が強いのでありまして。
皆様がそうした部分をそこまで気にすることなくお読みいただけているのならいいのだがなあ、と思っております。

そして、haruyuki2様から昨日素敵なお言葉をいただき、感激したのでございました。
わざわざお越しいただきコメントをくださり、まことにありがとうございます。
身に余るお言葉の数々に恐縮してしまいましたが、拙作の「砂糖壺」や「グレーゾーン」を楽しんでくださったということをお聴きでき、幸せでございました。
haruyuki2様はブログを拝見させていただきましてもそう感じていたのでございますが、ふんわりしたお優しい方を読んだり書いたりされるのがお好きなのかなと勝手ながら思いました。
その相手にちょっと強気だったりツンデレだったりする方を配されるのがお好みなのでしょうか。
人様の萌えをお伺いするといつも大変興味深く、お人柄が伝わってくるものだなあと改めて思いました。素敵なご趣味でございますよね。
今回のシウミンは大変可哀相な目に遭っておりまして、そんなharuyuki2様のお心を傷付けたりしていないといいのだがなあとちょっと心配しております。
もしも辛くて読みたくない、というようなことがあれば、どうぞご無理はなさらぬようお願い申し上げます。
けれどお楽しみいただけることがあるのならば、是非最後までお付き合いくださいませ。
私も毎日うきうきと遊びに行かせていただいております。
今日もとても素晴らしかったです。わたくし、お話の展開の中でこの4話目が一番好きでございました。
明日からもまた楽しみです。
何卒今後とも、よろしくお願いいたします。

さてさて、そんなわけで、明日以降、お休みとなるわけですがお話はもちろん続くのでございます。
四つのお話が、そろそろ起承転結の転あたりに差し掛かるでしょうか?もう差し掛かっているお話も見受けられるような。
ますます目が離せないEXOTICAでございます。
どうぞ皆様、休日の楽しみとして、私どものお話をお使いくださいませ。
お待ちしております。


9月がもうすぐ終わる…!
フェリシティ檸檬




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20170929

EXOTICA:黄の洞窟 「闇を駆ける罪 4」
企画2

企画概要(↓クリックすると記事に飛びます)
ブログ『夢の続き』EXO小説企画「EXOTICA」

企画参加者記事一覧(本日更新分↓クリックすると記事に飛びます)
「虹を求めて」EXOTICA:白の洞窟 「identity crisis・4」
「ソラノムコウ」EXOTICA:赤の洞窟 「They Never Know 4」



まぶたの上の明るさで、ミンソクは目を開ける前からもう既に日が高いだろうと思っていた。
果たして窓から降りそそぐ陽光がミンソクの顔に落ちていた。まぶたを上げた彼は、やばい、今日仕事何時からだったっけ、と反射的に思った。体を起こしながら、目に映る光景が慣れ親しんだものでないと気付き、噴き出すように脳の底から眠る前の記憶が蘇ってきた。
「あの人は」
 布団を掛けられ、ソファに横になっていたミンソクはそこが茶を飲み、事情を聞かれた例の休憩室であること、そして周囲に誰もいないことを認識すると、立ち上がり、誰かに彼女の容態を聞こうと傍に置かれた手提げ袋ふたつを持って部屋を出た。
受付まで行く前に、看護師を見付け昨晩の事件の目撃者である旨伝えると、その看護師はミンソクの容姿の珍しさと事件の概要と伝達されていた昨夜の情報とを照らし合わせ、すぐ事態を飲み込み、髭の紳士が医師から説明を受けたところであるからと、紳士と話をすることを勧めた。
その前にとミンソクは手洗いに行き、使い勝手が分からなかったらという一抹の不安があった用足しの方法がそれ程知ったものと大差ないのに安堵して用を済ませると、紳士の呼ばれた診察室の一室に向かった。すると階段を降りようとする彼と鉢合わせた。
 開口一番ミンソクは言った。
「女性はどうですか」
 彼の表情からは状況がしかとは読み取れなかった。そのためミンソクは相手の髭が声の入り口を作るまでのほんの短い間も、やたらに長く感じられ、じれったさから体がしびれた。
「なんとか小康状態を保っているとのことだよ」
 目尻と頬の動きで淡い笑みを彼が浮かべたのが分かった。
「だが意識が戻る気配は、今のところないらしい」
 階段の上と中途で会話を交わしていたふたりは、紳士が足を再び下ろし始めて、揃って階下に向かって行った。
「でも」
 紳士を振り向き振り向きしながら、ミンソクは言った。
「でも、きっと」
「ああ、そうだね。私も希望は持っているよ」
 昼間に彼を見るのは初めてであったが、ミンソクは彼が昨日よりずっと老けて見えることに軽くショックを受けていた。心労とはこのように人から命を搾取していくのだと改めて思い知った。
「いつの間にか眠ってしまってすみませんでした」
 元いた階に戻ると、足を止めてふたりは互いを見合った。
「そんなふうに謝ることはないよ。むしろ眠った時間はかなり短いんだ、体は平気かい?」
「はい、実はいつもより長く寝たぐらいなんです」
「きつい暮らしをしているんだな」
 苦笑いを浮かべると、魅力ある、しかし淋しげな笑みを紳士も作った。
「家の人間に着替えを持ってくるよう連絡しておいたから、きみもそれに着替えて、一緒に一旦帰ることとしよう」
「僕の分もあるんですか?」
「ああ、そのままでは外に出づらいだろうからね」
「すみません、ほんとうにお世話になってしまって」
「きみは謝りすぎだよ。こんなのは当然のことなんだから、気にしなくていいのだよ」
「お宅にお邪魔して、いいんですか?」
「もちろんだよ。きみはここのことを何も知らないんだから。遠慮せず、いいから私を頼りなさい」
 ありがとうございます、と言いながらミンソクははにかんだ。
そんなミンソクを見て紳士は頬を無意識のうちに、もっと自然なかたちに緩めた。
その表情を消すように紳士が先に立って前を行き、休憩室に向かう後ろ姿を、ミンソクは持ち前の脚力で歩幅を補い、追った。
紳士の話した通り、間もなく彼の従僕が鞄を携え姿を現した。
鞄を受け取ると紳士は代わりに自身の汚れた服とミンソクのそれを従僕に渡し、洗濯するよう命じて更衣室にミンソクを連れて向かった。
「見たところのきみのサイズで既製品を買ってくるよう言ったんだ。大きかったり小さかったりするかと思うが、少し我慢して欲しい」
 いわゆるシャツ、ジャケット、パンツといったアイテムは、ほとんどミンソクの知っているものと基本の形は変わらなかったが、デザインがところどころやはりかなり独特で、ミンソクはそれらを順に身に付けながらじっくり見入ってしまうのだった。
「靴はまた後で準備しよう」
 昨夜シャワーを浴びる際に底や側面に付着した血液をあらかた拭っていたのだが、紳士はミンソクの足を見下ろしながらそう告げた。確かに黒ずんだ赤は取り切れておらず、服装ともちぐはぐであった。
「少し大きいかな?だがとても似合っているよ」
 鏡の前に立ったミンソクは、それがお世辞ではないと思えた。今の色の濃い髪と、白い肌に、インクブルーの衣装は映えた。
「きみが元の世界でステージに立っているというのは、よく分かるよ」
 ふくいくたる声でそう言われると、ミンソクはほのかに耳と頬を染め照れくさそうに笑った。
笑みを返す紳士を見て、きっと色も指定してくれたのだろうとミンソクは思った。久しぶりに顔に血の流れを感じ、それは紳士の心遣いのおかげであることを静かに悟り、俯きながら唇の端を上げていた。
双方がマントを巻いて病院を出ると、従僕が車の前で待機していた。
明るい中で見る車、それにまたその背景である病院の周囲は、曲線を多用しながら重厚さをたたえた意匠を示し、色調は抑えられ、都会の只中であることは分かったが、ミンソクの思うモダンなそれとはかけ離れていた。
皆が乗り込むと、車は発進した。
中は前部と後部に分かれており、運転席位置に従僕が座り、後ろにミンソクと紳士が並んだ。
物珍しさからミンソクは車内や車外を観察した。しばらくして従僕の両手が操縦する動きを何もせずに腿の上に置かれていることに気付き、足のみで操作するようになっているのかと考えていると、視線を追った紳士が「何か気になるかい」と尋ねた。
「あ、僕のところでは車は手も運転に使うので」
「ん?ああ、人が車を操るということかい?そうか、いや、ここではね、車は自動運転が基本なんだよ」
「え?」
「彼はこの車に今何もしていない状態ということだよ。行き先を入力すると、そこまで車が勝手に運んで行くだけなんだ」
「…あ…、そういう研究もされてます、確かに」
「そうだろうね。ずっと事故が少なくなるはずだよ。人為的な操縦ミスの方が車の故障による事故よりも圧倒的に確率が高いからね」
 ミンソクは行き交う車を窓から見つめ、他の車中の人々も紳士の言通り運転をしていないらしいことを確かめた。それどころかフラットシート式なのか、家族数人が輪になって談笑している姿も見られた。
「もちろん自身で運転する人もいるし、何かしらの故障が起きたときに人の手で運転することが可能になってはいるが、それは希少な事例だね」
 救急車に乗り込んだとき、ひどく滑らかに進むなと感じていたのは錯覚ではなく、おそらく構造から加速しやすくなっていることと、機械自身で運転していることで無駄のない前進が可能になっていることがその理由だろうとミンソクは思った。
思考は漂い、晴れ渡った空を見上げるうち、ミンソクは仕事はどうなっているだろうかと案じ始めた。
スケジュールは平気だろうか、事務所やあらゆる方面に、多大な損害を与えてはいないだろうか。
自分がいなくなってから、皆どうしているのだろうか、あの洞窟は、他のものはどうなっていたのだろうか、入って行った弟たちは無事なのだろうか。
セフン。
背の高い、色の白い、眉と目の印象的な、肩の張った細長い末弟の姿が目に浮かんだ。ミンソクの中で、彼はいつも笑っていた。このような状況でも、やはりそれは変わらなかった。
クリームの上を滑るように走り続けた車がその優雅さを失わぬまま失速し、停車した。
大邸宅の玄関口まで乗りつけた車から降り、一同は邸内に入った。
従僕に食事の用意を言いつけると、紳士はミンソクに向かって詫びながら、これからちょっとした仕事を済ますために席を外す、供される昼食を食べていて欲しいと告げた。
了解したミンソクは室内履きを出されそれに履き変えると、まず応接室に通され、そこにある多くの珍奇な品に見惚れた。間もなく従僕がやって来ると食堂に案内され、その広い部屋の大きなテーブルについて、今度は次々出される料理を黙々と食べた。見た目も味も、殊更戸惑いや躊躇いを訴えたくなるような自分が食してきたものとの違和感はなく、また食器も病院で食事をしたときにそう感じた通り、スプーンとフォークのようなものが基本で、それ程自身にとっての食事のあり方と遠くなく、使い方に困りはせず、安心したミンソクはここに来てからどうしても湧かない食に対する欲求を奮い立たせ、時間を掛けてではあるが出されたものを残さず胃に納めることができた。
日が真上に昇り、緩やかに下り始める頃合に、書斎に移ったミンソクが肘掛け椅子に腰を下ろし、窓から木の揺れるのを眺めていると、扉が開いて紳士が顔を出した。
「連絡があったよ」
 ミンソクの近くに寄りながら彼は言った。
「病院と警察からだ。病院からは検査結果は問題なしという報告で、警察からはきみに捜査協力して欲しいという依頼だ」
 立ち上がりかけながらミンソクは大きな声を出した。
「もしかして捕まったんですか」
 中腰の姿勢のミンソクを見下ろした紳士は答えた。
「いや、きみに犯罪者情報の記録を見てもらい容疑者を絞り込みたいらしい。行けるかい?」
「はい、お役に立てるかは分かりませんが」
「そうか、では私も所用があるから送らせてもらうよ」ポケットを漁って手に何かを握り、それをミンソクに差し出して言った。「これを持って行きなさい。警察での用事が済んだら、私に連絡をくれれば迎えに行くから」
 受け取ったそれは、女性が紳士を呼ぶためにミンソクに開かせた大きなロケットペンダントといったあの通信機に似た金属製の品だった。同じように蓋が開き、しかしこちらには数字のボタンが並んでおり、携帯電話らしいと知れた。
「私にかける場合はこの一番下のボタンを押すだけでいいからね」
「分かりました」
 連れ立って玄関に向かうと、従僕が新品の靴を準備して立っていた。
「もしかして」
「ああ、きみのだよ。さっき大きさが分かったから、買いに行かせたよ」
 ブーツタイプの靴は、光沢があり美しかった。足を入れるとちょうどぴったりで、歩くたび靴音が軽やかに鳴った。
主人にも従僕にも心からの感謝を述べると、どちらも顔をほころばせた。
見送る従僕を背にし、紳士とミンソクは車で目的地へと出発した。




つづく




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20170928

投稿失敗、推敲終了(EXOTICA3日目)
こんにちは。
失敗しました。
フェリシティ檸檬です。

タイムラインにね、上がってしまっておりましたね。
そう、お察しの通り、予約投稿に失敗したのでございます←

多分、中をご覧になった方は幸いなことにいらっしゃらないのではないかなと思うのですが、6という数字を見てびっくりされた方には心からお詫び申し上げます。
と言いますか見た友人が慌てて連絡をくれ、心苦しいことでありました。
迷惑を掛けてごめんなさい、そしてありがとう。

とうとう推敲が終わったのでございます。
ここ最近このことが頭を離れませんで、眼精疲労もかなりなものになって来ておりましたので、肩の荷が下り、ほんとうに嬉しく思います。
あとがきなどはまだ手を付けておりませんので、これから取り掛からなければならないのでございますが。

お話を終えられていないとお教えくださったみむ子様は如何かな?と思っていたりもいたします。お忙しくしてらっしゃるので、お体も心配になったり。
陰ながら応援するしかできない私でありますので、もう終わられたかしら?ひと息つかれたりされているかしら?と勝手に想像し、労う具体的で効果的な行動の取れない我が身を憂えております。お茶など出して差し上げたい…。
みむ子様、頑張ってください!(泣)

本日分のお話でございますが、私は既に楽しみました!
皆様は如何でしょうか?
いろいろな感想を抱きましたけれども、これは全部が済んだ後にまとめて書かせていただければなと思います!大したものではありませんけれども、こうしたことも企画の楽しみでございますね。

それではひとまずここらへんで、失礼いたします。


これから友人の要約記事が出るのが嬉しいです!
フェリシティ檸檬


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20170928

EXOTICA:黄の洞窟 「闇を駆ける罪 3」
企画2

企画概要(↓クリックすると記事に飛びます)
ブログ『夢の続き』EXO小説企画「EXOTICA」

参加者様記事一覧(本日更新分↓クリックすると記事に飛びます)
「虹を求めて」EXOTICA:白の洞窟 「identity crisis・3」
「ソラノムコウ」EXOTICA:赤の洞窟 「They Never Know 3」
「緑黄色野菜」EXOTICA:青の洞窟 「cruel spiral arousal 《2》」


少しの間黙したままだった紳士は、毛を分けるように口を開くと、またいっとき間を置き、次のように言った。
「きみが」一拍あった。「きみが来てくれて、ほんとうに嬉しく思います」
 目玉が落ちそうなほど、ミンソクはくぼんだ眼窩の皮膚の切れ目を大きく広げた。そして紳士と見つめ合うと、信じてくれるんですか、と囁くように聞いた。
「信じますよ。何故信じないと思うんです」
 眉を寄せて怪訝な表情をする男性に、慌てて手を振りつつミンソクは許しを乞うた。
「いえ、いえ、あなたは信じてくださるかもしれないとは思っていたんですけれど、やはり内容が内容ですので、とんだ嘘つきと思われる可能性もあるだろうなと…」
「何故?ありえることですよ。あなたの話に突拍子もないところなどまったくないではないですか」
「あ、そう、そうですか?僕、僕はもう、頭が変になったか夢を見ているかといったくらい、もう大混乱で…」
 きょときょとと目を揺らすミンソクの、また冷え切ってしまった手を取り、握ると、じっとそのさまを観察した紳士は、何かを解したようすをしながら落ち着いた声音で顔を寄せるようにしてまた語り掛けた。
「きみのいた世界では、こうしたことはまるで起きないんだろうね?」
「はい、はい、そうです。あの洞窟を通ってこんなところに出るなんてこと、ありえません」
「そうか。それではきみ、きみの手がとても冷たいことは気付いているね?」
「え?あ、…はい。すみません、冷えますよね」
 引こうとした手を両手で掴まれたまま引かれ、ゆっくりと紳士の片手の掌を見せられた。
「ごらんなさい」
 太い、ミルクチョコレートのような色をした指の先が、白くぼけたようになっていた。
視線をぶつからせると、つぶらな紫が射るようにミンソクのくっきりとした両の目を指した。
「これは、霜だよ」
 唇に隙間を作ったままミンソクは目で問うた。
「きみ、きみは、元いた世界で、握った相手の手を凍らせることができたかい?」
 鼓膜を通した言葉が脳の中でわんわんと舞った。
仕事上の人物設定。
ふざけて仲間内で持ち出したり、テレビなどでもネタとして話題にすることはあれど、特殊能力など本来持っているわけはない。そんなもの、売り出す際考えられたただの特徴付けに過ぎない。
―――凍らせる?
ミンソクは紳士の手を取り、白い部分に触れた。そして注意深く見た。確かにそれは紳士の言う通り、冬の朝植物の上に降りていたり、冷凍庫に張り付いたりしているあの霜に相違なかった。
え、え、と意味のない言葉を発するミンソクの肩を優しく掴み、紳士は言った。
「いいかい、この世界では、こうした能力を持った人間が稀にいるんだよ」
 怯えた獣をなんとかなだめようとするかのようにひとことひとことはっきり、そして柔らかく彼は告げた。
「そしてそれは皆知っている。知能指数や運動神経や音楽センスが飛び抜けて優秀だというのと同じことなんだ。そういう人たちならきみの世界にもいたろう?そもそも、きみの仕事の話からすると、きみ自身そういう能力も高い人間のようだしね。そうしたきみの突出した能力の中に、温度を極端に低下させられるというものも含まれていて、ここではそれも使えるようになったということだと思う。それはきっと、ここがそうした能力を開花できる世界であるからということなんだよ」
 手を自分の膝の上に戻すと、覗き込むように、首を落として視線を下げたミンソクに尚も言った。
「だから、私はきみの話が事実であると疑わないよ。それに誰が聞いても、そうしたことは起こりうると思うだろう。つまりそういう意味で、きみが居心地の悪さを感じることはないんだ。いろいろな要因が重なり、きみは自分の世界からこちらの世界に来てしまった。きみが驚きと恐れから混乱し、絶望しても当然だ。しかも来た途端」言葉を切った紳士は苦しげに唇を噛んだ。「―――あんな事態に、巻き込まれたわけだから。だがきみがいてくれたから、彼女はまだ生きてるんだ。ほんとうにありがとう。きみの悲劇が、私たちを救ってくれた」
「いえ、そんな」
「いや、きみがいなかったら彼女は―――。うん、間違いなくね。こんな思いをさせてしまい申し訳ない。だが私たちが感謝してもし切れないほどきみの存在は私たちを助けたということだけは分かって欲しい」
 息が苦しいとミンソクは思った。女性の裸体、肉と機械の混じった肢体から零れ出る血、血、血、傷口から垣間見えた内臓の照り。彼女と自分の、潤んだ瞳同士が世界でただそれだけしか存在しないかのように寄り添っていた。甘く低めの声で、慈愛に満ちたそれで、何よりもまず自分に感謝の言葉を投げ掛けてくれたことで、女性の、その顔から伝わってくる人柄の印象をいよいよ決定付けてくれていた。
あの人が誰かの手により死に至らしめられるかもしれない―――痛めつけられ、陵辱されて。
助けた?自分が彼女を?いや、もっと何かすべきことがあったのではないか、彼女をよりよい状態で病院に連れて行く方法が、何かしらあったのではないか。心のどこかで絶えずあったその自身への疑念が、紳士がこう言ってくれたことでかえってミンソクの眼前に浮かび上がるようになった。自分の今後ばかりを憂えていたように感じられ、羞恥と自己嫌悪から震えが起きた。確かに、知らぬところ、それも存在すら認知していなかったところに来てしまったらしいこと、それも覚えのなかった能力とやらまで携えて、このことは気が狂いそうな事態ではあったが、それでも彼女を襲った惨劇に比べたら一体なんだと言うのだろう。怪我ひとつ負わず、命の危険にさらされてもいない。帰ることができなかったらという恐怖は当然あるが、しかし生きてさえいれば、何かしらの希望は持てる。おそらく想像を絶するような目に遭い、ああした体で生きていた彼女に、更にあんな悪意が降り掛かる―――ミンソクは、とにかく彼女に申し訳がなかった。あの女性に対し、もう、自分が男性という性で、五体満足で生きているというだけで申し訳がなかった。叫び出したいような、走り回りながらめちゃくちゃに暴れ出したいような強烈な衝動がミンソクを覆った。
だがミンソクはそんなことはしなかった。ただ沈黙し、冷気から手の周りが白く紗が掛かったようになっているのをじっと見下ろしていた。
紳士はミンソクを見つめていた。虚ろな目に能力を発動させている両手をただ映しているだけというようすを、唇を引き結び―――髭のせいでそれを人が確かめることは叶わなかったが―――憂えていた。
「きみ」
 先程よりも力強く、紳士は言った。
「あまり案ずるな。まだ伝えていなかったが、私は研究と発明を生業としていてね」
 呆けた顔のミンソクが振り仰いだのを確認してから、紳士は話した。
「きみの語ってくれたような事象についても、長く考え続けてきたんだ。研究しながらそれに関する装置も多く作ってきた。だから、私はきみが帰る手助けをできるかもしれない」
 青白い頬と黒い目周りと充血した白目を向けながら、ミンソクは言われたことを反芻した。絶望と希望が渾然一体となって彼の体を巡り、何と答えていいのか分からなかった。
ミンソクは紳士を見据え、彼が情熱と意欲を内で沸き立たせているらしいことを知った。それがミンソクの心を多分に和ませた。
「私は、彼女の容態次第ともなるが、以前作った装置を可能な限り早く見直してみるからね。使えそうなら、試そう。そして、それと並行してなんだが―――」
 紫が白の中で浮いた。ぎらぎらと燃えるようになったそれは、紳士の中の抑えがたい、先述した欲求とまったく異質な望みを激しく訴えていた。
「きみはさっき、犯人を見たと言ったね」
「はい」
「どんな容貌だったか、詳しく教えてくれないか」
 肯定の返事を繰り返し、ミンソクは頭の中で窓辺に立った男を描き出しつつ、話した。
目の前にいるこの紳士もそうであるが、その男もスーツに似た服装をし、マントを身に着けていたこと(ここの男性の普段着なのだろう)。
頭頂部が丸く、つばが斜め横に張り出し、しかもその先が反り上がっている妙な形の帽子を被っていたこと。
薄暗い部屋で、街灯の方が明るかったため、逆光になって服も帽子も色は黒っぽいとしか言いようがなかったこと(だがグレーなどの明るい色ではないはずだとミンソクは付け足した)。
手袋をしており、逃げる際手を付いた窓枠にその手形がくっきりと残るほど血が付いていたことから、犯行時ずっとはめていたと思われること。
マントやスーツから浮き出ていた骨格や肉の付き方から、かなりの痩せ型と分かったこと。
目の色は多分、黒か茶であろうということ。
肌は紳士や女性よりは白いが、ミンソクよりはずっと黒いということ。
左耳の後ろに並んだほくろがあったこと。
「これくらいしか、分からないんです」
 すみません、と呟くと、顔中に憎悪を漲らせていた紳士は、はっとして、微笑をこしらえた。
「いや、きっと恐ろしく短い間だったろうに、ずいぶんたくさん覚えていてくれたんだね」
「そんなことないんですが…まるで映画を観ているようで(こちらに映画というものはあるのだろうかとミンソクは思いながら、しかしどうやら言語が変換できているから大丈夫だろうと判断した)…、印象がものすごく強かったんです」
「そうか、きみには珍しい装束や装飾ばかりなのだものな」
「はい。それに、これはきっとあとから警察の方たちに話さなければならないだろうっていう頭もあって…」
「そうだな。だいぶ遅れているが、そろそろそういった連中もここにやって来るだろう、彼女の家に向かいながら通報もしておいたから。来たら彼らに話せるかい?」
「はい」
 年若の可哀相な旅行者の気を和らげようと意識して微笑みを作ったままの紳士の顔は、彼がもともと持っている愛嬌を目立たせており、その優しい目の際の皺を見たことと、これから起きることに対しての心構えが多少できたことで、ミンソクはさっき全身を回って自身を殺そうとした毒素が極めて弱まってくるのを感じた。ほおー、と腹の底から息を抜き、手を握ったり開いたりすると、元の体温が戻ってきていることが分かった。
 手術室からは相変わらず誰も出てこない。
何か食べた方がいいな、とひとりごとのように言うと、紳士はのっそり立ち上がった。
と、靴音が廊下に鳴り響き、速足でこちらに向かってくる複数の人間がいることが知れた。
顔を上げたミンソクと、来訪者と相対するように体を向けた紳士の前に、スーツの変形のような服装に身を包んだ男性ふたりと、警察官と思われる制服を着込んだ男性と女性合わせて三人が、彼らを囲むように立っていた。
職業柄なのか、彼らの視線は一様に油断ならないもので、ミンソクは自動的に背筋が伸び、鼓動が高鳴るのを感じた。それに反して掌から指先は冷えていった。
 刑事らしきふたりが両掌を上にして差し出し、それを受けて紳士もそうした。
その雰囲気から察してこれはおそらく挨拶の仕草なのだろうとミンソクが考えていると、刑事の片方がこの事件に関する話を聞きたいと切り出した。
思った通り揃った全員がミンソクよりずっと色黒で、異様に白い彼は大変目を引き、紳士と話を始めてからほどなく声が掛けられた。
つまびらかに話してもいいかと目顔で問うと、こくりと紳士は頷いた。
署での聴取を求められたが、紳士がミンソク共々病院内に留まりたい意向を示すと、驚くべきことにそれが了承された。ミンソクは紳士と刑事たちのようすから、どうやら紳士は人々から深い畏敬の念を抱かれている、名の通った人物らしいことを見て取った。
休憩所に移動し、話すことで一致した。
容態に変化のあった場合すぐに知らせるよう紳士がきつく警官に言いつけ、第一発見者であるミンソクから聴取は始まった。
席を外した紳士がしばらくすると温かい食事を持って部屋に現れた。それに伴いミンソクの話は中断された。
卵の落とされたおじやのようなものと玉葱のスープをミンソクたちが食べ終えるまで待ってもらいたい旨紳士が申し出ると受け入れられ、どちらも食欲からではなく今後のために無理矢理料理を口に押し込むと、紳士が部屋を退出し、ミンソクのみの聞き取りが再度始められた。
 紳士に一度話していたため、二度目のこのときはもっと筋道立てて成り行きを説明でき、また紳士の言った通り荒唐無稽な絵空事とは感じられていないことも彼らの表情や態度から伝わり、なんとしても捜査の助けになりたいという思いだけが募ったミンソクは、年齢相応の振る舞いと口調を貫き、すべてを終えた。
第一発見者という理由からミンソク自身が疑われる可能性も考えないではなかったが、現場検証において明らかに第三者が逃げた痕跡が残っていたことと、「彼ではない」という発言を被害者がしたのを紳士も、また救急隊員も耳にしていたことから、容疑者リストから早々に完全に外されていたことを翌日に知った。
紳士の番になり、ミンソクが廊下のソファに腰を据えると、すぐ脇に警官がひとり付いた。もう明け方近くになっていた。疲れが頂点に達したミンソクは、下りて来るまぶたを持ち上げる力を、いつの間にか逸した。座ったまま、上半身が傾いた。特有の美しく歪んだ唇の下が力なく落ちたとき、彼は眠りの世界に沈んだ。




つづく




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20170927

企画をしながら企画を思う(EXOTICA二日目)
こんばんは。
とても風の強い日です。
フェリシティ檸檬です。

さてさて、企画二日目でございます。
皆様、お話の数々、お読みになってらっしゃいますでしょうか?
私は読んでおりますよ。そして存分に楽しんでおります。

昨夜roiniy(ooba)様からコメントをいただきました。
ほんとうに、どうもありがとうございました。お手数をお掛けいたしました。
はじめましてでございまして、お声掛けいただきまことに嬉しく思いました。
そして私の以前書いたものを読んでくださっていたのですね、わざわざどうもすみません!
「シング~」は、私がこのブログで初めて書いたお話でして、愛着のあるお話のひとつでございます。
私は身長が同じくらいのカップルというのがとても好きで、また、基本ディオが攻めになるのですが(受けであっても誘い受けっぽい感じです)、そうした私の嗜好がよく出ております。
おっしゃってくださったような、絵本のような感じ、ということや、思春期のような関係、ということを、あまり感想としていただいたことがないので、新鮮でございました。
確かにそういうふうに感じる方もいらっしゃるのかもしれないな、と気付かされた次第です。
今回の企画のお話も読んでくださり、ありがとうございます。
展開が読めないというふうに思っていただけたこと、とても嬉しいです。最後までそんなふうにお感じいただければいいなあと思っております。自信はありませんけれども(汗)
まだまだ終わりは先ですが、気長にお付き合いいただければ幸いです。
何卒よろしくお願いいたします。

また、本日、私が今回の企画に合わせ、お声掛けさせていただいていた書き手の方がいらっしゃったのですが、その方からご連絡がありまして、大変嬉しく思いました。
その方とは数ヶ月前から少しずつやり取りをさせていただいていたのですが、そうした流れの中で友人の企画の話が持ち上がりましたので、そうだ、出ていただけるかしらと勝手に考えまして、雑談の中に企画の話題を入れさせていただいたのですが、今回はタイミングが合わず、不参加ということになりまして、そのことからも、今まだ絶賛企画開催中でありますが、またこうしたものを私自身でもしたいかもしれないなあというふうに思いました。
まだまったく固まった話ではありませんが、しかも今私自身EXOTICA「闇を駆ける罪」の推敲がまだ終えられていないのですが←、そんな妄想を少しだけ繰り広げたりしております。「海に沈む森の夢」、第二段でございますね。
もちろんEXO企画、もしくはSHINee企画、もしかしたらスーパージュニア企画、ごちゃまぜ、どうなるかは分かりませんけれども、もしほんとうに着手することとなりましたら皆様、よろしければお考えになってみてくださいませ。気の早い話にも程があるのですが。

友人が企画のお話の要約を含めた記事を毎日上げてくれていて、すごく嬉しいです。
きっと書き手様皆様そうなのではないでしょうか。
あれを読むと、書いたものを誰かがきちんと読んでくれているのだなと(友人なんですけれども)ものすごく実感いたしまして、なんだかとても幸せです。
ありがたやありがたやと思いながら記事のページを開いております。

さて、明日も企画は続きますね。
こうした、曰く言いがたい高揚した気持ちは久しぶりな感じがします。
どうぞ皆様も、少しでもそうした体験をされてらっしゃいますように。


あとがきも楽しみだなあ
フェリシティ檸檬






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20170927

EXOTICA:黄の洞窟 「闇を駆ける罪 2」
企画2

企画概要(↓クリックすると記事に飛びます)
ブログ『夢の続き』EXO小説企画「EXOTICA」

参加者様記事一覧(本日更新分↓クリックすると記事に飛びます)
「虹を求めて」EXOTICA:白の洞窟 「identity crisis・2」
「ソラノムコウ」EXOTICA:赤の洞窟 「They Never Know 2」



疾走する車はやたらに速いようにミンソクには感じられた。ものの数分で病院に到着し、可能な限り急いで女性は中へと運ばれた。
真白な空間で構成された、ミンソクの知るような典型的な病院といった佇まいはそこにはまるでなく、深緑色を内装の基調とした、木と、金属に似た材質で組み立てられた何風とも言えぬそれは建築物であった。これが病院なのかとミンソクが戸惑いながらも走って担架を追い、処置室の扉が目の前で閉まるとそこで髭の紳士共々手や衣服を血に染めてしばらく棒立ちになった。
看護師らしき人々が彼らに声を掛けた。聞き覚えのないはずのそれをやはりミンソクは理解できた。血を洗い落とすように言われ、体中に飛んでいるからと入浴を求められた。
言われるままふたりはシャワールームに向かった。
それはドアを閉めるときっちり密室になる作りの小部屋で、更衣室の中にいくつも並んで設置されており、それぞれそのうちのひとつに入った。入り口付近にあるスイッチを押すと穴の開いた天井と四方の壁の中の一つの面からお湯が飛び出してくるという仕掛けにおののきながら、くるくると回転してミンソクは体の汚れを洗い流した。渡された洗浄力の高い医療専用の石鹸を体中に塗りたくり、またシャワーでそれを流した。
さし当たって、患者用の衣服を着替えとして準備してもらっていたため、それを身に着けようと体を拭いていると、髭の紳士がすべてを済ませてミンソクの前に現れた。
ワンピースのような形状の服は踝まで丈があり、濃紺であった。背が高く、恰幅のいい男性はそびえるようにミンソクの手前に立ち、ミンソクが汚れなかったみずからの下着を再び身に付け、その後借りた服に腕を通し、濡れた髪の毛をタオルで擦るのを見守っていた。
 髭が割れるようにして声が響いた。
「彼女は今も治療中です。失血がひどいので、大量に輸血している最中です。まだまだ掛かるでしょう」
 なんの前置きもなく歌うような低い声でそう教えられ、ミンソクは目を伏せた彼の暗い顔を仰いで猫に似たまなこを見開いた。
 紳士は脱衣籠に脱いでおいたミンソクの衣類の中から、看護師が汚れたものだけ別に詰めた袋を差し出した。
「きみを私の部下か何かだと勘違いして私に渡してきました」
 手を伸ばすミンソクに紳士は続けた。
「見慣れぬ衣装をお召しでしたね」
 目を泳がせたミンソクは手提げ袋の紐部分を握り締めてから、また瞳を上に上げた。相手の、横に長く細い目の中で、紫色の小さな中心が光って待っていた。
「―――鞄も洗った方がいいから、中身をこれに移し替えてお持ちなさい」
 つぶやく如くそう言ってもうひとつ手提げ袋を差し出し、食い入るようにミンソクを見つめた。
アメジストのような光彩にさらされ、その中に知性と剛毅を見て取ると、張っていた気が溶けるように彼の中で散らばった。
目の涙と喉の渇きがミンソクを再度訪れ、みっともないからやめろという脳の指示を無視して体は口をぱくつかせて涙を落としながら鞄の中身を―――財布や音楽機器などごくわずかな手回り品で、そのうちのスマートフォンを少しいじったがやはりまったく通信は出来ず、喉の奥の塩辛い液を飲み下した―――移し、リュックサックを折り畳んで鞄に突っ込むと、やっと言葉を出した。
「何か、飲むものをもらいませんか」
 情けなかった。だが目からはあとからあとから水分が溢れ、それを追うように手で頬を擦るしかなかった。
「そうしましょう」
 掠れた穏やかな思いやり深い声が降り、それだけでミンソクは礼を言いたかったが、嗚咽が漏れそうで唇を引き結んだ。背中に大きな温かい手が触れ、それに押されて休憩所に向かった。
そこは大きな盆のような、しかしよく見ると細かな細工の施されているらしいガラスの照明が天井に据えられた、温かな雰囲気の比較的広い部屋だった。ここも青の落とされた深い緑の壁紙が貼られ、かすかに金色の鳥の模様が巡るように配されていた。濃いブラウンのソファに、向かい合わせに彼らは座った。手には端に設置されたティーセット一式から淹れた茶を持っていた。
髭の紳士が準備し、受け取ったその表面を眺めながら、なんのお茶だろうかとミンソクは訝しんだが、香りはレモンのようなそれで、こびりついたような気がしていた血の匂いを若干遠ざけてくれた。おそらくハーブの一種だろうと思いつつ、熱いカップの中身を口にした。ポットもカップも、アールヌーボー調とかろうじて言えただろうが、それにしても曲線を描き過ぎている感があり、しかし茶そのものはきっとミンソクの元いた国にもあるものだろうと思うと、不思議な安心感が湧いた。茶の効能もあるかもしれなかったが、とにかくミンソクは少しだけ体の強張りが解け、熱いシャワーを浴びてもあまり治らなかった手の冷えが改善されてくるのを感じた。
 しばらく黙って茶を飲んでいたが、ミンソクは落ち着いてくると共にやはりどんどん気になり始め、顔を上げて斜に座った紳士に言った。
「あの」
 紫の目と、うん?という唸りのような声で応じた男性に、ミンソクは尋ねた。
「女性の手術室の近くに、僕も行っていいですか」
 照らしてくる灯りのせいだけでなく、紳士の瞳が一瞬鮮やかに輝いた。
「もちろんですよ」
「ありがとうございます」
「何言ってるんですか。でもその前に、検査を受けなければなりませんよ。体液が体に掛かりましたからね。先にそれを済ませましょう」
「はい、…ですが…」
「なんですか?」
「僕、多分今、その検査費用をお支払いできないと思うんです」
 不安を隠さずミンソクが告げると、紳士は腹の底から出すような低音で、だが安心させるような声音で言った。
「大丈夫ですよ。こういった検査は無償です。さあ、行きましょう」
 ふたり揃って立ち上がり、茶器を置いて部屋を出た。
深夜に差し掛かった院内は、急患が運ばれて来た際は騒がしくなるが、今は静かだった。
 看護師に声を掛け、用を告げるとすぐ採血がなされ、検査結果は明日だと言われ、その場を双方共に離れた。
 それから女性の手術室に連れ立って向かっていると、ミンソクはずっと感じていたことをまた感じずにはいられなかった。ついさっき血を採ってくれた女性も、すれ違う他の医師や看護師も、彼が目にする人々全員、程度の差こそあれ肌の色が黒味がかっていた。ミンソクのような色白が珍しいらしく、出会う人の多くから、あからさまな視線とまではいかないが軽い好奇心を含んだ一瞥を投げ掛けられた。襲われた女性や横にいる紳士と同じく、ミンソクが出身地をある程度特定できる容姿では誰もなかった。顔立ちや髪質や髪色がそれを拒否していた。あらゆる民族を混ぜ込んだような外見を目に入った者すべてがしていた。
背も性別に関わらず、ミンソクよりほとんどの人間が高かった。この世界で自分は完全に異物だという確信が彼の中で固まっていた。しかしそのことでの恐怖は実のところあまりなかった。それは彼が差別的な扱いを受けたりなどはまったくしていないからだった。多少異質である、という反応はされるが、ただそれだけで、おそらくかなり特異な存在であろうという自分が難なく受け入れられていることがミンソクには心底ありがたかった。
そんなふうに考えながら通路を渡って手術室の前まで行くと、その近くに置かれたソファに並んで座った。
「―――ここまで一緒に来てくれて、ありがとう」
 ぽつりと紳士は前を向いたまま言った。
「きみは―――きっと旅行者なんでしょう?」
 そうして目の中で瞳を下ろすようにしてミンソクを見た。
それを受けながらミンソクは奥にある手術室のドアを視界に入れ、答える内容を逡巡した。
「僕―――僕は―――」
 歯や舌や唇を用いて紡ぐ言葉が自国のそれでないことに、だんだんミンソクは慣れてきていた。どうやって話しているのか自分でもまったく分からない。だがやはり、何を言われているのか、どう言えばいいのか瞬時に解し得たし、更には書かれているものを読むこともできた。同時通訳と字幕の付いている映像を見ているときのような感覚があった。こうした事象をどう説明すれば作り話でないと信じてもらえるのだろうかと、ミンソクはほとほと困り果てた。
けれども目の前にいる紳士が非常に信頼に足る、優しい男性であるという実感は強く、そしてとにもかくにもこの状況を誰かに話してしまいたいという欲求もあり、ミンソクは順序立ててというわけにはいかなかったが、できるだけ率直に、自分のこと、起きたこと、それ以外の細かなことを目を瞬きつつつっかえつっかえ語り出した。そうしながら、相手が驚いたり惑ったり、ときに興味から強く目を光らせたりすることはあっても、呆れや怒りを見せることはないことを確認していた。
話し終える頃には疲れ切り、己の顔から血の気が失せていること、胃が空腹を訴えていることを痛切に感じた。
ここに来る前から仕事で疲労は蓄積しており、それがもっと顔や姿に出ているだろうとミンソクは思った。隈やげっそりした頬などをすぐ傍で相手に見つめられ、心許ない風情や自身の体型や顔の作りも含め、きっと無力で可哀相な子供のように自分のことを捉えられるだろうということが、悲しさや恥ずかしさを湧かせたが、それを大きな諦めがくるみ込み、ミンソクの矜持を静かに打ち負かした。



つづく



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20170926

始まりましたEXOTICA、5色の洞窟+黒い浜辺!(記事修正済み)
こんばんは。
始まってしまいましたね。
フェリシティ檸檬です。

EXOTICA参加者様のお話一覧(↓クリックすると記事に飛びます)

「夢の続き」EXOTICA:洞窟の外「LA SIESTA」
「虹を求めて」EXOTICA:白の洞窟 「identity crisis・1」
「大帝男子」EXOTICA:緑の洞窟 「触手」
「ソラノムコウ」EXOTICA:赤の洞窟 「They Never Know 1」
「緑黄色野菜」EXOTICA:青の洞窟 「cruel spiral arousal 《1》」

私は今朝わくわくどきどきしながら9時を待ったわけでありましたが、皆様は如何でしたでしょうか?
少しでもその気持ちが共有できていたらいいなあと思っておりますが、どうでしょう、気になります。

まずブログ村のタイムラインが圧巻でございましたね。
統一されたタイトルがずらりと並び、色が五色。新着画像欄にあの美しく魅惑的な友人の写真が何枚もアップされ、EXOTICAー!!!と叫びたくなったものでございました。ホエ!!ホエ!!といった感じでございましたね。←

EXOの二次小説のブログをされている方は、特に東方神起などと比べると大変少なく、そんな状況の中でこうして皆が一致して何かに取り組めるというのは稀有な経験でありまして、そんな大変だけれども楽しい、という部活動のような感覚をまた年を重ねてから得られたことを、私はほんとうに嬉しく思っております。
至らない私ではございますが、書き手の皆様、どうぞこの企画の仲間として、最後までお付き合いいただけたらと思います。
そして読者の皆様にも、そんな私の四苦八苦(でも幸せ)を、お楽しみいただけたらと切に願っております。

友人はずっと、この企画についていろいろと考え、悩み、行動しており、私は彼女の話を聞くたび、その責任感のありように、そんなふうにまで思わなくていいよと思ってまいりました。気持ちはよく分かるのでございますが。
きっと他の書き手様もそうなのではないかなと思うのですが、私は上に書きました通り、こうしたイベントそのものを楽しんでおりますし、新しくお近付きになれたりするきっかけになったりもいたしておりますし、まだ終わってはおりませんがこの企画大成功だなと勝手に思っている今でございます。
この企画を立ち上げてくれて、ほんとうにありがとう!!!
いつもいつも、感謝しております。

それでは皆様、明日以降もどうぞこの祭、お楽しみくださいませ。


そしてまだ私は直しが終わっていないのです
フェリシティ檸檬





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20170926

EXOTICA:黄の洞窟 「闇を駆ける罪 1」
企画2

企画概要(↓クリックすると記事に飛びます)
ブログ『夢の続き』EXO小説企画「EXOTICA」

参加者様のお話一覧(↓クリックすると記事に飛びます)
「夢の続き」EXOTICA:洞窟の外「LA SIESTA」
「虹を求めて」EXOTICA:白の洞窟 「identity crisis・1」
「大帝男子」EXOTICA:緑の洞窟 「触手」
「ソラノムコウ」EXOTICA:赤の洞窟 「They Never Know 1」
「緑黄色野菜」EXOTICA:青の洞窟 「cruel spiral arousal 《1》」



蜜柑のような色合いの灯りが体をそっと包んだ。
蛍光色に近い黄色を予想していたミンソクは柔らかなその色調に少々虚を突かれ、頭上や四方に目をさっと走らせた。するとそれどころではない驚きが更に彼を襲った。
橙に近い色味で岩肌の照らされたかまぼこ型の穴ではなく、目に映ったのは四隅のある、完璧な四角を成す奥に行き止まりらしきものの見える、ベージュ地に茶色で花模様の描かれた壁紙の貼られた、建物内の廊下と思しき空間だった。
間接照明が薔薇のつぼみを模した琥珀色のガラスの中で光っている。それによって通路は落日を受けたような淡い風情をたたえていた。
ミンソクは一瞬、ものすごく手を掛けてこうした装飾を洞窟内に業者が施したのかと思い、口を半開きにしながら足を止めぬまま、ぐるりとまた周囲を見渡した。背後までそれをすると、そこには先刻足を踏み入れたはずの入り口がなかった。縦に長いぼこぼことした半円が口を開けてはおらず、進行方向と同様に繊細でありながら豪奢な作りの、家屋の廊下にしか見えぬ光景がミンソクの双眸に、幻や何かではなく現実として迫った。
「え?」
 思わず声が漏れた。足が止まる。
前を向き、再び振り返る。
前方を見れば、もう少し進むと側面にドアのある、正面奥は絵の飾れた美しい壁の続く通路である。後方を見れば、少し戻ると横に折れているらしい、同様の通路である。
とりあえずミンソクは、道を引き返してみようと進行方向を変えかけた。もしかしたらあの道を曲がれば、そもそもの洞窟に、そして皆の元に戻れるかもしれない。そう、きっと知らぬうちに道を曲がっていたのかもしれない。やっぱりどこかの企業が、余興のためにこうした凝った演出をしているのかもしれないじゃないかと、ミンソクは半ば震えながら自身に言って聞かせた。
頭のどこかでは、完全に何かがおかしいと分かっていた。その恐怖が全身を貫き、わななく体をどうにか押さえて走り出そうと身構えた。
そのとき、女性の、悲鳴にしか聞こえない高い声が耳に入った。
既に恐ろしい予感に捉われていたミンソクは、びくりと激しく肩を揺らし、背後のドアにおずおずと顔を向けた。じっと耳をそばたてていると、再度ひゃあ、とも、きゃあ、ともつかぬ声が分厚そうな木材を貫くように響いた。
誠実で優しい性分のミンソクは、明らかに誰かが切迫した状況に陥っているらしいことに、見て見ぬ振りをできなかった。しかも届く声の中に悪寒の走る何かがあった。
咄嗟に武器になるようなものはなかろうかと辺りを見回したが、ない。しかたなく、意を決してミンソクはドアまで素早く近寄り、大きな声で「すみません!大丈夫ですか!」と言いながらドアを拳でどんどんと叩いた。
するとがたがたと大きな音が室内で轟くのがこの危険を前にして全身の神経が鋭敏になったミンソクに伝わった。彼は考えうる最悪のシナリオが頭に描かれた。先程聞こえた女性の声音は、そうしたことを想像するのに十分な悲劇性を帯びていた。
ミンソクは覚悟した。刹那が永遠になるかのようなそれだった。
ノブを捻って勢いよく扉を開くと、壁に据えられたいくつかの小さな照明が灯る中、浮かび上がるようにふたりの人間の姿が見えた。
 夜であった。
墨色の窓の向こうから激しく風が吹きつけ、揺らめくカーテンに包まれるようにして中背だが、痩身の男が独特の形状の帽子を被り、マントを肩から下げ、ミンソクを振り返った。陰になった顔はほぼ見えず、ただ双眼が表の街灯を受けてきらりと光った。
そして男の横、ベッドの上では、女性が服を裂かれ、体から血を流して倒れていた。音もなく顔を傾け、ミンソクと目を合わせた。
危惧したことが、それ以上の惨状となって眼前で繰り広げられており、危うく彼は発狂しかけた。こうした悪行が行われているという現実を知ってはいたが、今実際に見せつけられるとにわかには信じられないというのがミンソクという青年だった。がくがくと膝が揺れ、開いた口の奥、喉がひりつくように渇き、めまいによって上半身が傾いだ。
ミンソクがよろけたの同時に男は窓から身を乗り出した。
我に返ったミンソクは、逃がしてはなるまいということだけが頭に閃き、俊敏な体を活かして素早く駆け寄ると男のマントを掴みかけた。
だが絡め取るように男はマントを自身に引き寄せ、一足早く、窓の下に体を落とした。落下していく男の後頭部をミンソクは凝視した。見えたのは黒く短い髪、そして耳の裏。窓枠に手を付け見下ろすと、着地の際倒れはしたが怪我はなかったようですぐさま立ち上がると、一目散に走って逃げた。
追い掛けることも頭をよぎったが、それよりもとミンソクは振り返りながらベッドに近付き、背負っていたリュックサックを放った。
よりはっきり見ると、ドレスの残骸の中、女性はほぼ裸であった。ミンソクは彼女が部分的に服を着たままであると思い込んでいたため、少なからず驚いた。それは彼女の体に人工物が嵌め込まれていることによる錯覚であった。
金属のような、プラスチックのような、見たこともない質感を備えた精巧な機具により、彼女の片側の肩から胸、腕、手までが構成されていた。反対側の脇腹も同様だった。それは褐色で、女性の濃い肌色と合わせたような色を示していた。血は残った肉の部分を奪い取るかのように傷付けられた、豊かな柔らかい肌から噴き出していた。脚の間、陰毛の中からも血は滴った。
傷が見えぬほど真っ赤に濡れた体と、こちらを見つめる彼女の顔をミンソクは目で行ったり来たりした。女性はどこの国の出身か皆目見当の付かない、小麦色の肌と黒く大きな瞳と焦げ茶の毛をした髪の長い、若く美しい人だった。機械仕掛けの体もその美貌もまったく未知のものであり、ミンソクは状況も相まって恐慌をきたしかけた。
「電話」
 混乱しながらミンソクは言った。
「電話はどこですか」
 口にした瞬間、その言葉は普段使っている言語ではないことがミンソクに分かった。聞いたこともない、まったく知らない国の言葉を自動的に話していた。卒倒寸前になりながらもベッド脇に目をやってミンソクは電話を探した。だがそれらしきものはない。揺れるまなざしを女性に注ぐと、がくがくしながら彼女は指をナイトテーブルに向けた。灯されていないランプの下に、懐中時計のような、鎖の付いた丸い黄金色の何かがあった。指差す彼女の指示通り、それを取って蓋を開けてみると、下部にボタンらしき出っ張りがあり、その上にはするするとした材質の透明な薄い板が貼ってあった。
「押せばいいんですね?」
 またもや言おうとした韓国語が耳慣れない言葉に変化して口から出て行くのを聞きながら、ミンソクが問うと、女性はかすかに頷いた。急いで力強く押すと、ツツー、ツツー、と音が鳴り、ぱっと上部に人の顔が映った。
「どうした!?無事か!?」
 顔中髭といった態の五〇がらみの男性がこちらに向かって叫んでいた。自分の口から飛び出るのと同じ、知らぬ言語で喋られているのに一言一句理解できることに尻込みしながら、それでも一刻の猶予もないミンソクは叫び返した。
「無事ではありません!!すごい怪我をされています、男に襲われたんです、早く救急車を呼んでください!」
 彼女以上に黒い肌をした男性であったが、それでも彼の血の気が引いたのをミンソクは見て取った。思い立ち、彼女にその通信機をかざしてその姿を映してから、再び画面と向かい合った。
「すぐに医者に見せる。待っててくれ」
 男性がそう言うと通信は途絶えた。
画面から姿が消えると女性は機械ではない方の手でミンソクの手を掴んだ。涙の滲んだ、光を受けた海の面のような目をミンソクに捧げ、唇を動かした。
「ありがとう」
 思いがけない言葉にミンソクは衝撃を受けた。
 己も急激に涙が目の上に膨らみ、ミンソクはぼたぼたとそれを落とした。もう一方の手でも彼女の手を包み、首を横に激しく振った。
「…あなたはどなたなのかしら」
 言いながら瞳を隠しかけ、涙の筋がこめかみに向けて作られた。そのさまを見たミンソクは声を張り上げた。
「駄目です、目を開けてください」
 まぶたが小刻みに震えると、泉の湧くように女性の目から緩やかに涙が流れ、
「…とても、痛くて、熱いの…」
と零すように彼女は言った。
「助けが来ます、大丈夫です、お願いです」
 子供のように喘いでミンソクは懇願した。
「……とっても、色が白いのね……」
 肉感的だが何故かひそやかさもある桜色の唇から、そんな言葉が吐かれ、涙と鼻水で顔を光らせたミンソクは瞬いた。
「…手が、冷たくて気持ちいい…」
 唇の両端を儚げに上げる彼女にそう言われ、ミンソクはようやくそのとき気付いた。女性の手を握った両手が、文字通り氷のようだった。
とにかくこれ以上彼女の体を冷やしてはいけないと手を離し、訝しげにふたつの掌を見下ろしたとき、足音が聞こえた。
地鳴りのような音を立てて画面を通して会話した髭の男性が部屋に現れ、その後ろから医療関係者と思しき人々が担架を押して続いた。
 女性が弱弱しい声で、
「この人じゃ…ないの…。あいつよ……」
と告げると、髭面の男性はミンソクと彼女を交互に見ながら苦渋から眉を傾斜させてうんうんと頷いた。
 その光景を前に呆然と立ち尽くしながら、建物の内装も、逃げた犯人も、横たわる女性も、男性を呼んだ道具も、登場した当の男性も、今女性を担ぎ出そうとしている救急隊員たちも、どれもこれも自分の生きる時代、知る事物とまるで違うことに張り手を食らわされたようにミンソクはなった。その差異に困惑を深めながらも、ただ女性の身を案じるあまり彼女の容態にだけ意識を集中しており、奇異な道具を人々が用いているのに気付きはするがそれは放って、起きてください、や、しっかりしてください、と声をしゃにむに掛け続けるのみであった。その横で、大男であることが分かった通信機の向こうにいた髭の男性も、女性の生身の方の手を取って、顔を寄せて小さくなり、必死に彼女に語り掛けていた。
つい先刻、ミンソクが向かおうとしていた廊下の曲がり角を皆で行くと、玄関ホールに出た。頭の片隅で、静かにミンソクは絶望した。しかしそれを更に奥に押しやって、ぞろぞろと救急車と思しき、しかしまるで見たことのない設計の大きな車に乗り込んだ。深まった夜の中、おぼろな灯りの下で、街はミンソクにここは異国、それも世界中のどの街とも微妙に印象の違う家々の立ち並ぶ、完全に見知らぬ国であることを教えた。車内では白っぽい照明が多種多様な医療器具を輝かせていたが、ミンソクの多少の知識の中のそれらとはまただいぶ様相を異にしていた。保身の意識からすべてに対し注意を怠らないながらも、自分に出来ることなど何もないと認識もしていたので、てきぱきと処置をする隊員たちにすがるように女性を任せた。
ミンソクはとにかく女性が心配であったし、あそこにひとり取り残されてもどうしたらよいか途方に暮れるだろうことが予想されたこともあり、鞄を背負うと流れに混じって車に乗っていた。これからどうしたものだろうかと案じる気持ちは、まだ大きく膨らみこそしなかったが拭い去れるはずもない。これは刑事事件であり、ミンソクは重要な目撃者だ。しかしここは明らかにミンソクの生きていた場所とは違う。何が起きたのかさっぱり理解できず、ただでさえ八方塞がりだというのに、万一女性が死んでしまったら―――そのことを考えるだけでミンソクは意識が遠のく感じがした―――、殺人事件に関わりを持つこととなる。あらゆる理由からどうかそうならずに済んで欲しいと目が眩みそうなほどミンソクは願った。と同時に、とにかくあの逃げた男を捕まえるために尽力したいとも欲した。果たして己にどこまでできるのか不安でしかたがなかったが、彼女の無事と、男の逮捕をなんとかして叶えたいというのが彼の偽らざる本心であった。
車が動き出したさなか、ふと、自分は夢を見ているのかもしれないと思い至った。こんなふうな、所謂悪夢をミンソクは見たことがなかった。それに彼女の体温や、血の感触の生々しさは彼の実感として現実以外の何物でもなかった。これが夢?そんな馬鹿なことがあるか。自分の手が恐ろしく冷たいことも、意味不明な現実味を持ってミンソクを襲った。夢だと思いたいのに、どうしてもそう信じさせてはくれぬ生の手触りがそこには溢れるようにあった。
髭の男性はミンソクに目もくれず、一心に女性に話し掛け続けていた。止血に努める隊員たちがみるみるうちに赤く染まる。椅子に腰掛けたミンソクは、役に立ちたいと思いながらも、冷えた手で彼女に触れることをためらい、ただ青ざめながら時折しっかり、しっかり、と声掛けをするだけであった。


つづく


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20170925

睡魔夢子さん企画「EXOTICA」、明日から開始です!!!(+映画「怒り」)
こんばんは!
いよいよ明日です!
フェリシティ檸檬です。

睡魔夢子さんのEXOTICA企画がとうとう明日に迫りました!!

EXO二次小説企画「EXOTICA」概要はこちら

皆様楽しみにしてらっしゃることと思います!
かく言う私も楽しみです。
ちょっとへとへとで死にそうなんですけれども、それでも大変楽しみです。

先程友人のブログや、参加される書き手様のブログに伺わせていただいたりなんかいたしまして、友人のブログにおいて私が篠田麻里子さんに例えられているのを読んで思わず本気で笑ったりしておりました。
いやいやいや。

それはともかくとして、皆様気合の入った作品に、当然ながらなってらっしゃるようで、ほんとうに素晴らしいことでございます!
企画とはこうでないとなあとしみじみ思いますね。

私は今回、自作がほんとうにいろいろと思うところのある作品でございまして、明日が来るなんて信じられないわ!という感じでございます。
読んでくださる方がどれほどいらっしゃるのかしらと思うのですが、少しでも日々の慰みになればと思う次第でございます。
そして企画参加者の一員として…貢献できれば…。
…。

友人の記事にて釘を刺してありましたので他の方に何かを託すというようなことはもう申し上げません!←

どうぞ明日をお楽しみにお待ちくださいませ。


話は変わるのですが、先日映画「怒り」をようやく見ることができました。
どれくらいご覧になった方がいらっしゃるのかなと思うのですが、私にとりましては、だいたい想像通りの映画でございました。
あの監督は私はあまり評価するタイプの方ではないのでして、その評価しないポイントというのを今回もしっかりと感じることができました。
また次回、この映画の感想については申し上げたいと思うのですが、いくつかここで触れておきますと、

・だいたいタイトルが駄目(全然「怒り」じゃねーし)
・今までもずっとそう感じてきたがピエール瀧は役者としてまったく評価できない(なんと言っても声が駄目)
・妻夫木史上もっともいい妻夫木
・音楽でたまに笑ってしまう
・広瀬すずはやっぱり有望(声がいい)
・原作の吉田修一はいつもピントがずれている
・クライマックスからラストの演出がダサい

といったところでございます。

この映画があまりに評価される風潮というのは私はなんだかなあという感じです。
往年の名監督が見たら鼻で笑っちゃう出来のものだと思います。
お好きな方には申し訳ございません。私の個人的な一感想でございますので、どうぞお許しくださいませ。

祭り前に映画の話などをしてしまいましたが、明日からは読み物でございます!

書き手の皆様、そして読者の皆様、明日から何卒、どうぞよろしくお願いいたします。


皆様、執筆ご苦労様でした!
フェリシティ檸檬


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20170922

もうすぐEXOTICAだよ!!
こんばんは。
お久しぶりです。
フェリシティ檸檬です。

またまた、ほんとうにご無沙汰してしまって…。
皆様如何お過ごしでしょうか。
私はくたびれ果てております。
何故かと申しますと友人の企画のお話に掛かりきりになっていたためです。
本日ようやく書き終えたのですが、推敲を始めましたらこれがまた大変で、今途中で力尽き、続きはまた少し休んでからということにいたしました。

企画の概要が友人から提示されましてから、ずっとお話について考えては参ったのですが、如何せんその間、同居人の人の誕生日やら連休やらが挟まり、考えるだけで書けてはいない日が続きました。
しかも、どうしてもこのところ、お話を書く際に、こうしたものが書きたいということを考えますと、一日二日では書けない内容を思い浮かべてしまい、しかしそれを書きたいという欲求には抗えませんので、短い期間でたくさんの枚数を書かなければならなくなり、実際書き始めたここ数日ひいひい言っていたわけでありました。

その上、読んでくださった方がこのお話を好んでくださる可能性はまことに低いなということを書き終えてあらためてしみじみ思ってもおるのです。
これは自身の企画の小説「輪舞曲2604」の更新に際しても申し上げましたけれども、あれよりもずっとでございます←
友人に面白く思ってもらえるという自信自体もまったくなく、なんだか変な気持ちでいる今なのです。
私が現時点で書いてみたいと思うものと企画の内容を融合したお話なのですが、少しでも皆様に楽しんでいただけるといいのだけれど…どうだろうか…という心境でおります。

ここでお伝えしておきたいと思いますのが、友人の依頼通り、私のお話は今回二話以上に分かれているということでございます。それどころか10月2日まで毎日連載するということに相成りました。つまり長いお話になりましたのです。7日間毎日、朝9時にお話が投稿される手筈となっております。
そして内容に、暴力描写を含みます。
私は何かを見たり読んだりする際に、最初にそういったお断りが出るのが好きではないので、この記事でしかこのことをお伝えすることはないかと思いますが、そういうわけでございまして、そういった描写が苦手だという方はご遠慮いただいた方がよろしいかもしれません。
申し訳ございませんが、よろしくお願いいたします。

このお話に関してだけずっと頭を使ってまいりまして、書けるのだろうか、間に合うのだろうかといった感じですらありましたので、自身の焦りを募らせないために、友人を始め参加される方々のお話をここ何日か読んでいない状態でございます。まことに申し訳ございません。
またこの企画に関した記事を上げたりすることもできておらず、友人や参加される書き手様方に不義理をいたしまして、ほんとうになんと申し上げてよいのやらでございます。
誤解をいただきたくないのでございますが、私はこの企画を今時点で非常に楽しんでおりますし、皆様のお話を読むのもわくわくしながら待っているのでございます。友人が如何にまとめてくれるのかにも期待しまくっております。
ただとにかく今回書いたものが私にとって労力を使うお話でして、他に手が回らなかったということに尽きるのでございました。
なんとかこれから少しでも企画に貢献できるよう頑張りたいと思っております。皆様、どうかお許しくださいませ。

ここで参加される皆様方に改めましてご挨拶させていただきたいと思います。
EXOTICAに参加するフェリシティ檸檬と申します。
初めましての方々もいらっしゃいます、どうぞよろしくお願いいたします。
すべての方のブログには既にお邪魔させていただいておりますが、またこれから伺わせていただきたいと考えております。
新たな交流を持たせていただけるのかしらと胸を高鳴らせている私でございまして、どうか皆様お気軽にお声掛けなどくださると大変嬉しく思います。

読者様方に、今回私が参加いたします企画に関するページをご紹介させていただこうと思います(↓クリックすると記事に飛びます)。

睡魔夢子様のブログ『夢の続き』EXO小説企画「EXOTICA」

でございます。
このページに伺うと、途端彼女の作り上げた世界にはまり込む感じがいたしますね。

また、参加されるブログ様は

みむ子様『虹を求めて』
roiniy様『大帝男子』
βカロテン様『緑黄色野菜』
haruyuki2様『ソラノムコウ』

でございます。

お話を上げられた際に皆様のページのリンクを貼らせていただきたいと思っております。よろしくお願いいたします。
お望みの方は、私のページへのリンクも遠慮せず貼ってくださいませ。
読者様が行き来されることを想像するのは大変嬉しく、心躍るものでございますね。

私のお話は前述したようにかなりあれなものになっておりますが←、私以外の方が書かれたお話は、きっとEXOファンの方ならば企画の醍醐味を存分に味わえる素敵なものばかりになっていると思います。
夏の残り火が燃え盛るとばかりに、書き手様も読み手様も一緒になって、この企画で大いに熱く盛り上がりましょう!


ちょっと疲れて頭が回っておりません、すみません(泣)
フェリシティ檸檬


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20170906

生と死
こんばんは。
お久しぶりでございます。
フェリシティ檸檬です。

ほんとうにご無沙汰いたしました!
夏がだいぶ過ぎ去ったように思いますが、このまま涼しくなるのでしょうか。
ここ何年も、9月はもう夏である、ということを自然が教え込もうとして来ておりましたのに、突然その教育課程が打ち切りになったようなきっぱりした変化で、なんだかびっくりしておる最近でございます。

ブログから離れている間、いろいろなことがあったように思います。
二次BL界隈で話題になりましたのはチャンミンの帰還(スターウォーズのようでございますね)とオニュの事件でございますでしょうか。
チャンミン、一日の休みもなく仕事となり、きっとやれやれと思っているだろうなと思っておりましたらばのちに見ました記者会見でそのようなことをおっしゃっており、やはりなあ、お疲れ、と私はアルカイックスマイルをひとりかましておりました。
しかしつやつやと健康そうな顔をしてらっしゃったので、何よりであるなと思ったりもいたしました。
オニュに関しましては、私が少し前に書きました短編において、酔っ払って手を出す的な展開を入れておりましたように、個人的な印象として、そういうやらかしをするところのある方であるなという感じでございましたので、あー…といったような感想でございました。
どういうふうに謹慎が解け、仕事に復帰するのか分かりませんけれども、酒というのは、そもそもやはりそこまでいいものではございませんので、特にある意味不向きの方であったなら、これから付き合い方を考えなければいけないであろうなと思いました。

友人のEXO企画が始動しかかっておりますね。
もちろん私も参加するのでございますが、参加される方が増えるといいなと思っている次第です。
私の東方神起企画のときに出してくれたお題の内容からもお分かりになるように、面白い企画になること間違いなしでございますので。
友人のつぶやきにてそのお題の七番目が手付かずになっている旨触れてありましたが、当然私もそのことについては考えておりますのですが、ちょっと考えていたものが壮大になっておりまして、そのため公開するのはしばらく先になるかと思います、お許しくださいませ。そしてまた、このように言っておきながらまったく壮大でないものになるということもありえますが←、それについてもお許しいただければと思います。

そんな中EXOのリパッケージアルバムが発売されたようでございまして、このところまったく情報を追っておらず、びっくりしている昨日今日でございます。
そして、MVを見ましたのですが、正直申し上げて「Power」は気に入るものではございませんでした。
これまでと違うことをしようというMVの気概自体に好感は持ったのですが、この曲がWARの他の曲と肩を並べるほどのものであるという印象はまるで持てない状態です。
ただ、ライブで盛り上がるのにぴったりで、メッセージが非常に伝わりやすく簡単ですので、そういう意図を持って作った曲としては上出来と言えるのでしょう。
一方、今回のアルバムに入れられた他の曲は、そうしたマーケティングやなんやかやと関係なく毎度のことながら大変よく、まだまったく聴き込んでおりませんが、懐かしさとブラックミュージック感と色気に包まれた良曲で、ひどく聞き惚れました。

また何度か聴いてから、曲に関しての感想は述べるかもしれません。

今、「モンテ・クリスト伯」を小学生か中学生以来に再読しているところでございまして、
おそらくそのとき読んだものはだいぶ短くまとめられたものであったようで、だいたい忘れているということもあってこんな話だったかいなと驚きながら大作のページを繰っております。
この本を読んだというのにも理由があるのでございますが、それはまた次の機会にでもお話しできればと思います。


本日の一曲

EXO「POWER」



友人がこれで見られるといいのですが。
スターウォーズのパロディーは、あまりやって欲しいものであるとは言えないのがまた残念なところでございます。


いとこに子供が産まれました
フェリシティ檸檬


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20170825

嵐を飲み込む 4・終(リクエスト企画・EXO・リアル短編)
四.滋養たっぷり
朝だというのに部屋は薄暗く、再び眠りの世界へといざなわれているような心地がそこにいる全員にした。
だが空間を満たす香りは人を我に返させる効果のあるもので、ダイニングテーブルに斜向かいに着いたふたりは頬杖を付いたり寝そべるようになったりしながらも、鼻を通っていく刺激で夢に落ちることはなかった。
鼻歌が時折においと共に舞った。
決して、イーシンはキッチンを向かなかった。
料理をするチャニョルの、横から見える白目や、鼻梁が上の方で盛り上がっているのや、閉じたり開いたりしながら豊かで穏やかな低音を唇が漏らすさまを頭に描くだけで、眉と目と口の端が下に垂れた。人が見ればひどく悲しげにそのときの彼は映った。確かにイーシンは悲しかった。キッチンに立つチャニョルをひたすら見守るようなことをする勇気のないことも、これからその手料理を食べることも、ふたりきりではないことも。何もかもが悲しみの原因となった。セフンを邪魔者のように思う心もまた、そうだった。
 振り向いた、微笑を浮かべたチャニョルがやはり何かのメロディーを口ずさみながら盛り付けの済んだ食器を手を伸ばして渡そうとしつつ言った。
「これセフン」
 受け取りながら、イーシンははい、と斜め前に皿を差し出す。起き上がったセフンは半分閉じた目を湯気の立つ器だけに投げ、二の腕をぽりぽり掻きながら片手でそれを持った。
「これ兄さん」
 両手で皿を抱えたイーシンは、黄色がかったとろみのある茶色い液が、白米にたっぷり掛かっているさまを真上から眺め、テーブルに置いた。
 足音を立てて、チャニョルは自分の分と人数分のグラスとスプーンとサラダを盆に乗せ、ミネラルウォーターを抱えてテーブルへとやって来た。これはなかなかうまくできた、と上機嫌だった。だが席に着き目の前のセフンを見ると、自分のかつてのリクエストの品に今、ほとんど興味をそそられないらしいのがすぐに分かった。そのためかなりがっくり来たが、なんとか気を取り直して笑みを意識的に顔に広げた。食べよう、と腹から声を出す。
「おいしそうだよ、チャニョル」
 頬の下にささやかな穴を作って疲れた顔のイーシンは言った。隣の彼にチャニョルは嬉しそうに目をやり、たぶんうまいよ、と答える。
「ほら、食え」
 スプーンを手渡すと、うん、とセフンは言われるままに食べ始めた。上目でチャニョルはグラスを満たしてやりながら彼のようすを窺った。咀嚼し、飲み込むと、うまい、と呟くのが聴こえた。
「だろ?」
 にやあと笑いが零れるのが止められない。イーシンの分と自分の分と、流れるように水を注ぐと、みずからも食事を始めた。
「ほんとにおいしいよ」
 朝からこうしたものを食べたいという欲求はイーシンには正直なかった。それにそういう思いを我慢するということも通常であればまずなかった。だがチャニョルの作ったカレーなら、無理をしてでも食べたかった。そんな自分をどう消化すればいいのか、今だイーシンには手探りで、その方法など見つかる気はほんとうのところしなかった。
自分でも口に運ぶと、想像以上に美味だったため、何がよかったのだろうとチャニョルは考えた。ミンソクのコーヒーを拝借して入れてみたことであろうか。あとで謝らなければならないけれどと、どんどん皿の上を空にしながら長兄に感謝した。
外の色をセフンは顔に映し、その白さがキャンバスとして機能し、彼は姿全体が青味がかって光っていた。熱く、辛い、このような食事を摂っても、多少頬が色を持ったかなという程度で、無言のままにただ機械的にスプーンを皿と口に行ったり来たりさせるだけだった。
セフンは知っていた。
斜め前にいる兄が、真正面にいる兄のことを、特別に思っているということを。
だからセフンはこの三人でいっしょにいるということが、恐ろしく苦痛だった。どちらのことも、まったく違うふうにすさまじく愛していた。なのに嫉妬心と猜疑心と独占欲で頭の中がごちゃ混ぜになり、身動きが取れなくなって口を開くのも難しかった。うきうきと手製のカレーに舌鼓を打つチャニョルを睨み付けたくなったり、寝癖の残る、首周りがだるだるになったシャツを着たイーシンがかつんかつんとスプーンを咥えるたび歯をそれに当てているのを盗み見したくてたまらなくなったりするだけで、味などほとんど分からなかった。
「もう一杯食お」
 立ったチャニョルがどすどすとキッチンに戻る。
「ふたりはー?」
 と大声で問い掛けると、ううん、という声と、要らない、という声が返った。
 冷蔵庫を開け、卵を取ろうとしたとき、チャニョルは再び声を発した。
「これお前のだっけ?なんかピンクの飴」
 がさりという音に、セフンはばっと顔を上げた。開いた口から強い声が出そうになり、自分を抑えて、
「そうだよ、名前書いてあるでしょ。それ食べないでよ。戻して」
と、滑舌を気にしながらはっきりと言った。イーシンがあの飴のことなど気にも留めないことは分かっているのに、言いながら近くにいる思い人の存在を意識し、スパイスを含んだときよりもずっとその発した言葉の意味によってセフンは顔を赤くした。
「食べねーけど。この漢字、桜だっけ?」
 冷蔵庫を閉める音がし、安堵したセフンが、それでも答えたくないという感情を必死に押さえ込みながら、うん、とだけ答えた。
「あれ中国のじゃないよな?パッケージの感じだと。ひらがなだし、日本…わっ!」
「何?」
 がたっと、椅子を倒しそうになりながらイーシンは立ってカウンター越しにいるチャニョルを見た。そろそろとこちらを向くチャニョルの手に、何かが優しく握られている。
「これ、すげー」
 長い指を開くと、そこには丸く、白い玉があった。
「…これ、卵?」
「そう!!」
「ほんとに?鶏の卵?」
「そうなんだよ!すっげー丸い!!」
 ころころと、ほとんど完全な球体を成したそれを、ふたりは目を見開いて凝視した。さすがにセフンも立ってその身長を生かし、チャニョルの掌に視線を送った。
「うわ、ほんとだ」
「こんなの初めて見た」
「俺も」
「やべー。写真撮っとこ」
 カウンターに置いてあるスマートフォンを取って、何枚も続けてチャニョルはシャッターマークを押した。撮った画面に見入り、また笑顔がその目や頬や唇で作られた。
「すげーな」
「あれに似てるなー」
 台の上の玉を、イーシンは指の先でつつき、言った。
「何?ゾウガメの卵?」
「あはは、ううん、そうなの?」
「うん、ゾウガメの卵はこんな感じ、確か。すっげー可愛いの、赤ちゃん」
「そっか。俺が思ったのは、炭団」
「たどん?」
 既に椅子に腰を下ろし、カレーを食べ続けていたセフンも再び顔を上げ、ふたりが卵を見下ろしながら会話するさまを、ぐしゃぐしゃになっていく胸を抱きつつ眺めた。
「おじいちゃんちにあったんだよ。炭やなんかをいろいろ混ぜて練って作る団子みたいなもののことだよ。丸くて、真っ黒なの。これの黒いバージョンだよ」
「へえ」
「見たことない?」
「ないなあ。お前ある?」
 ふるふると首を、セフンは横に振った。チャニョルが人差し指と親指でその卵を見せ付けるように挟み、持っている。
「これは取っとくかな」
「そう?」
「うん。みんなにも見せよ。カレーには別のを乗っける」
 がぽんと扉を開け、卵ケースのいちばん奥に、チャニョルは隠すようにそれを置いた。
「さーて」
 ひとつ普通のかたちの卵を取り、フライパンを熱して手早く緩い目玉焼きをこしらえる。
「できたー」
 またたっぷり一杯分を盛った皿にそれを乗せ、意気揚々とチャニョルはテーブルの前の椅子に体を収めた。
 セフンもイーシンも、カレーライスを食べ終え、サラダをちょびちょびと摘んだり、水で口を湿したりしていた。どちらもチャニョルのカレー、それにお日様のように浮かんだ卵の黄色と白を見ていた。
 チャニョルは窓の向こうをその大きな瞳で見遣り、ひとりごとのように言った。
「あの子元気かなあ」
「え?」
 聞き返すイーシンにチャニョルが口角を上げて顔を向け、その近さにどきりとセフン、そしてイーシンの心臓が鳴った。
「あの子だよーロケ先にいた、オールドイングリッシュシープドッグ」
「…あー!」
「な、なに」
 きょときょととふたりの兄の上、セフンは視線をさまよわせる。
「ほら、こないだふたりとか三人とかであっちこっち連れてかれて撮影した仕事あったろ。あれで俺とイーシン兄さんが行った村で、ピグルムって雄犬がいたんだよ」
「白とグレーの混じった大きな子だったね」
「今空を埋めてるのは正にあの子だな」
 いっとき、渦巻く灰色の雲がぎっしりと空を覆い尽くしている光景を見つめると、チャニョルは前に向き直り、卵とカレーとご飯を混ぜてぱくぱくと食べ出した。
俯いたイーシンは、すぐ横にある肩がひっきりなしに動くのを感じながらひとり微笑んだ。
 黒が火を内包するなら。
あの白い方は、水分を。
イーシンは、この思慕をどうにかできる日など来ないと知っている。実際、解決を望んですらいなかった。ずっと体の内で、水しぶきがそこらじゅうを濡らし、風に何もかもを引っくり返されたりされながら、それを何かの糧にして生きていくしかすべはない。スコールが襲う、木々の鬱蒼と繁る蒸し暑い土地のように。そもそも芸術とはそういうもので、それに身を捧げて生きていくと決めたのだから、何も迷うことなど本来ありはしないのだ。ただ正気を保つのに、もがき苦しむだけである。
立ち上がって食器を片付け出すイーシンを目の隅で追いながら、セフンは彼が今チャニョルのことばかりを考えていることを知っていた。なんとうらやましいことであろう。あんなふうにあの人に思われている。それなのにこの人はそのことに気付く気配すらない。
俺が兄さんなら。
そう思いながらチャニョルをじっと見ていると、黒くて巨大な目の中心がセフンをまるごとつるりと映した。
「…遅くなって、ごめんな」
 スプーンを挟んだ唇からそう、漏らす。
瞬間、目を泳がせてしまうが、セフンは思わず噴き出した。
「いいよ、作ってくれてありがと」
 笑って言った。
よかった。
鼻から息を抜くようにまた笑顔になって、チャニョルは幸福に浸りながら残りのカレーを綺麗に掬った。



おわり




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20170805

お誕生日おめでとうございます!
こんにちは!
皆様土曜日を如何お過ごしでしょうか。
フェリシティ檸檬です。

さて、先日少し触れておりました、ささやかな企画と申しますのは、先程公開いたしました「解放区」という小さなお話を、ブログ「虹を求めて」管理人みむ子様のお誕生日への贈り物として捧げるというものでございました。
勝手にこんなところでお誕生日をお祝いしてしまっていること、そして私がその日だと思い込んでいるだけでもしかしたら別の日かも知れず、そうした場合これをその本来の日にあてたものにしていただくことをお許しいただきたいなと思うのでございます。
とにかく言わせてくださいませ。
お誕生日おめでとうございます。
この夏は、みむ子様とさまざまなことで交流が持て、とても幸せでございました。
そしてこうしてお祝いを申し上げることが出来ることも大変嬉しく思います。
あのお話をお気に召してくださるかどうかは正直自信がないのですが、みむ子様のために書いたものでございますので、お受け取りいただけると幸いでございます。

そして他に読んでくださった方も、もし楽しんでいただけたならありがたく思います。
いつもそうではありますが、一生懸命書きました。

みむ子様にはほんとうにお世話になりっぱなしで、それはもう、励ましてくださったり、感想をくださったり、近況をご報告してくださったり、先日の東方神起企画をご一緒してくださったり、枚挙に暇がないくらいでございます。
この短編くらいでは私の感謝の気持ちなど表現できるはずもないのですが、何かかたちにして、と思い、したためました次第です。

どうかこれからも末永くお付き合いいただけると嬉しいです。
そしてみむ子様の新たな歳がよりいっそう充実したものになることを心から祈念しております。


緑濃い夏の日に
フェリシティ檸檬


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20170805

解放区(誕生日企画・EXO・リアル短編)
 土産を求められるのはいつものことだ。
俺は笑って、そんないいものはないかもしれないよ、とベッキョン兄さんに言った。
「なんでもいいよ」
 そう返すと、小さな黒目を上に上げて、数秒黙った。
「いや、なんでもよくはねーか。ちゃんと選べよ」
 脱いだ服を身に付けたところだったのに、兄さんは言い終えると俺に向かってちょいちょいと掲げた手の指を折った。
「何」
 振り向いた格好の俺は反射的に再び笑った。兄さんはベッドの上、素っ裸だ。使い終えた後の性器が、くたりと脚の間に伸びたようになっているのさえ目に映る。白い体は、鍛えたことで筋肉のかたちが浮かび上がり、そこここに陰影が作られている。化粧っけのない薄い顔とその上半身は妙に不釣合いだと体を重ねるたび思う。薄い、平べったい体と今のそれ、どちらがいいかと問われたら返事に窮する。きっと前者を挙げたら兄さんは予想通りとは思いつつ、ちょっと、いやかなり不満だろう。男らしい体がいやだとかそういうことではないのだ。ただ、何もしていない兄さんこそに一番惹かれるような気がするだけだ。それこそもし腹回りに肉が付いても、それも愛しく感じられるような予感がした。メイクだって、していない方がそそられる。まっさらな、何も手を施していない状態の兄さんにもっとも感情と欲望を引き出される感覚があった。
 汗で少し額に張り付いた髪の毛が、首を傾けることでぱらりとまぶたに落ちた。厚みのない唇には不敵な笑み。そのさまにまた俺は無意識のうちに笑った。まな板の上に寝かされたようになりながら、早くと料理人を誘っている。きっと毒があるのだろう。死ぬならこいつもと手を掴んで絶対離さぬつもりなのだ。
近寄ると、ぽんぽん、と先程まで横になっていたベッドの隣を叩かれた。促されるままそこに座る。
 ヘッドボードに寄り掛かりながら、肘を付いた兄さんはみずからの肩に首を乗せて俺を仰ぎ見た。上目が俺を捕らえる。にこ、と改めて笑顔を返した。
「ずりぃよな」
「出掛けんのが?」
「それもだけど、あいつがだよ」
「ああ。やきもち?」
「はっきり言うな」
 逆の手が伸びてきて俺を軽く小突く。
「嬉しいな、焼いてくれんの?」
 そのまま繰り返し、何度も拳で俺を押す。
「うる、せえ、なあ」
「んふふ」
 口の中で笑いを転がすと、俺は下を向いた兄さんの髪の毛に唇を付けた。
「汗臭い」
「うるせっ」
 顔を上げた兄さんの唇をさっと奪った。
「むぐ」
 抵抗などしない兄さんはすぐ上下を離す。早速舌を絡めようとしてくるが、時間がないので唇だけ丁寧に愛撫し間もなく解放した。
 眉間同士をくっつけたまま、潤んだ瞳を見据えた。兄さんは行かせたくないと思っている、心の底から。だけど仕事があるのは兄さんの方だ。大きさを増し、逆方向を向いたペニスを人差し指でつつとなぞりながら囁いた。
「…仕事、頑張って」
 動きに伴いあ、とかすれた声を出したのは、聴かなかったことにした。


 鉄板の上の肉や野菜はあらかたなくなっている。そこにご飯が投入されると、勢いよく混ぜられ、すべてが炒められていった。
「まじいいにおい」
 向かいに座るチャニョル兄さんが、満面の笑みで瞳を輝かせながら、男性店員の動きを目で追っていた。あらかじめ個室を予約し、一応何事もなくここまで来ていたが、俺たちの間に立つ彼は正体を知って体が強張っているようだった。だいぶ若く、もしかするとこの店の息子か何かで、未成年かもしれなかった。真っ赤になった頬を汗が伝い、それを手の甲で拭うと、できました、と小さく告げた。
「ありがとうございまーす」
 兄さんが感じよく答え、俺も続くと、はにかんだような笑みを垢抜けない顔に乗せて、そそくさと青年は部屋を出て行った。あんなにシャイな若者もまだいるんだなと、俺は軽く感動していた。
「可愛いね」
「あ?ああ、今の子か?」
「うん。ちょっと話し掛けたそうだったよ」
「そうだな、でも忙しそうだし、会計してもらうときに少しだけ声掛けようかなと思って、今はやめといた」
 チャーハンをせっせと自分の分、俺の分と盛りつけながら兄さんは話した。
「ほら」
「ありがと」
 湯気の立つ色の付いた飯が、たっぷりと器に供されている。だいぶ腹は満ちていたが、米のにおいとタレの香ばしさで食べずにはいられない心境にさせられた。
 スプーンで掬って黙々と食べた。
いつも、背の高い俺たちがいっしょにものを食べていると、その肩や腕や脚がテーブルや椅子からはみ出したようになって、なんだか滑稽に感じた。今もそうだった。はふはふ言いつつ舌鼓を打つ俺たちは、食器に顔を寄せて、一心不乱に、子供のように食べており、それなのにガタイはこんなで、いろいろなことがちぐはぐだととても思った。男ふたりで、それも恋人同士でもなくて、単なる友達というのとも違って、同い年ですらなくて、日帰りの弾丸旅行にまた来ている。幼い俺にもしこのことを話したら、いったいどう思うのだろう。
いい?俺は、大人になったら、すごく大きくなって、あんまりない休みが急に取れた日、仕事仲間でいっしょに暮らしているこれまた俺より大きい男の人と、遠くまで来てタッカルビを食べるんだよ。
はあ?という顔をするふにゃふにゃの俺が目に浮かぶ。
しかも俺は、彼じゃない男の人に恋をしていて、その人も俺を好いてくれているんだけど、休みが全然合わないからこんなこと彼とはほとんどしてないんだよ。
これを言ったらお母さんを呼ばれるかも。それも泣きながら。俺は女の子がすごく好きだったから、嫌がらせを言っているとしか俺のことだからきっと考えない。と言うかこれはいったいどういうシチュエーションなのだろう。そもそもタイムパラドックスだし。
なんてことを考えていたら平らげていた。兄さんも同様だった。
「あーうまかった。お前は?」
「おいしかったよ。食べ過ぎた」
「たまにはいーだろ、よし、金払って出よーぜ」
 呼び出しブザーを押すと、来たのはあの男の子ではなく、年の頃五十程度の女性だった。
「ほんとにこのたびはどーも!!」
 ここの女将さんで、どうやら先刻の青年の母親だった。それから小一時間、彼女の話にとことん付き合われる羽目になり、その上息子さんにはもう会えなかった。


兄さんの運転する車で目的地のひとつへと足を伸ばした。
「今日なんか見れんじゃね?この感じなら」
 わくわくした声で兄さんが言う。確かに今日は今年もっとも晴れ渡った春の日で、気温も高い。期待してもよさそうだった。
止めた車から降り、見学可能な場所に、標識を見ながら向かった。すると歩いている最中水の粒が俺たちの頭に降ってきて、思わず顔を見合わせた。
「よっしゃ!」
 並んだかたちのいい歯を全部見せ、兄さんはほー!!と言いながら走り出した。俺も苦笑して後を追う。
見学地にまで足を運ぶと、時期が時期だけに平日とは言え人が多く、俺たちは被っていた帽子を目深にし、伊達眼鏡を取り出してそれぞれ掛けた。おおー!や、うわー!といった歓声があちこちから上がっている。その人ごみの後ろから、気付かれぬよう眼前の光景をじっと見つめた。背が高くてよかったとしみじみ思いながら。
水の流れというのはどうしてこうも人の心に何かしらを感じさせるものなのだろう。緩やかであっても激しくあっても。その絶え間ない変化のようすに自分自身、いや、世界すべてを見たような気がするからだろうか。時折頬に冷たいものが飛んでくる。吐き出す、吐き出す、吐き出す。すべて溶かし、溢れさせて。俺は立ち尽くしながら腕を組み、己を抱えるようにした。そうしてそっと隣を見た。兄さんは瞬きさえも忘れ、白目をぎらぎらさせて放水を見ていた。口が少し開いている。
感じやすい人だからな。
そう思うとふわっと心が温かくなった。兄さんといるとそうしたところに真実救われたような心地になることがよくあった。だからいっしょにいるのが好きだった。こんなことをもしも言ったら、ベッキョン兄さんに殴られるかもしれない、そうしてくれたらくれたで俺は嬉しいだけだけれども。
壁や設備が破損してしまうのではと危ぶむほどの水流は、日々溜まっていく俺たちの心の澱まで洗い流すようだった。ぽかぽかと暖かかったのが少し冷えたのも快かった。腹の中の肉や野菜や米が、雨のような恵みの水で冷まされていく。
こうした日があるから、またやっていける、そう思うと同時に、もっと、もっともっとだろう、と思えた。ベッキョン兄さんの割れた腹。膨れた胸。それをほんとうは素晴らしいと思っている。そうでない兄さんに恋をしたが、そうなった兄さんを尊敬していた。畏敬の念とはすごいものだ。ただぼうっと浸っていたような、甘い関係に変化をもたらす。言葉ではっきり言われなくとも、何かを諭されていたのが分かる。
生き返ったような気分でまた兄さんを向いた、今度はしっかりと。すると兄さんもこちらを見た。眼鏡のレンズと豊かな頬に水滴をたくさん乗せて、にまあと笑った。
「やったなあ」
 こんなに低い声の人を他に俺は知らない。少年のような顔立ちと表情をしながら、大人そのものの声で話すこの人は、俺がこの世でもっとも親しく、頼る人だ。
こんなことを言ってしまったら、そのときは完全に、ベッキョン兄さんはお冠だろう。けれどきっと、まあ確かにそうだとも思うだろう。
「俺だって頼っていいけど」
 そんなふうにぽつりと言うかもしれない。そうしたら、多分俺は愛しさに息が詰まってあっけなく死んでしまう。
「兄さん」
 それはそれでいいかもしれない。いつかそんな日が来ても。まだそれは先だけれど、兄さんの毒が全身を冒して、死に至っても構わない。
「お土産買って帰ろうよ」
 俺には旅行先の土産か、俺自身しか捧げるものは今何もない。兄さんからはあらゆるものを受け取りながら、ほんとうに兄さんの望むものを、まったく返せてなどいない。
「行くか」
 踵を返す兄さんの足の隙間を見下ろした。俺は兄さんのそこが好きで、少し後ろに立つといつも視線をこっそり送った。
 今この瞬間、背中に水しぶきを浴びながらチャニョル兄さんといることも、帰ったら疲れ果てたベッキョン兄さんに土産の品を渡せることも、幸福だった。
爪先だけ、踵だけで宙に浮いているかのようにステップを踏んで歩きたいような気がした。しないけれど。くるくるとジョンイン兄さんのように回れたらいいのにと思った。たとえもし出来ても、ここではしないけれど。
早くそうできるところに行けたらいい。
シートに埋まりながら、兄さんが掛けたNellyに合わせて、静かに足の先を動かすことで我慢した。



おわり


 
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20170804

ただ美しいなんていうのはつまらないことです【『海に沈む森の夢』企画1・東方神起二次小説】
おはようございます。
今日はやらなければならないことがありまして。
フェリシティ檸檬です。

いやはや、面倒くさいですね。
私の人間性がこうしてまたさらけ出されているわけでございますね。

そんなことはさておき、友人が企画「海に沈む森の夢」で各書き手様が書かれたお話の感想を彼女のブログで上げてくれましたのです。
早朝、ほんとうに面白く読みまして、ほくほくしたのでございました。
彼女のそのページへのリンクと、まとめからこのたびの企画の概要と各リンクを貼らせていただこうと思います。
↓それぞれクリックすると記事ページに飛びます。

ブログ「夢の続き」企画感想記事「友人の企画についての感想のようなもの

【『海に沈む森の夢』企画1・東方神起二次小説】

●お題●

睡魔夢子様ブログ「夢の続き」企画お題ページ

上記の簡単な概要

①東方神起のふたりが主役
②東方神起の歌を何かしらで取り入れる
③書き手の自分で思う人格をひとことで表し、それを作中どこかに記す
④東方神起以外のSMエンターテインメントのアイドルを出す
⑤「排泄」という単語を入れる
⑥書き手のキスのイメージを登場人物に言わせる

●企画記事一覧●

「虹を求めて」管理人みむ子様作品 「それでいい」
「緑黄色野菜」管理人βカロテン様作品 「Sword and Sorcery」
「夢の続き」管理人睡魔夢子様作品 「ハーケンクロイツ」
「海の底、森の奥」管理人フェリシティ檸檬作品 「輪舞曲2604」

●あとがき一覧●

みむ子様「それでいい」あとがき
βカロテン様「Sword and Sorcery」あとがき
睡魔夢子様「ハーケンクロイツ」あとがき
フェリシティ檸檬「輪舞曲2604」あとがき


読みましていろいろなことを思ったのでございますが、特に最後の、目に見えるかたちで書かれてはいなかった8番目のお題のことでございますが(何やらミステリやホラーを連想させる言葉でございますね)、何度も使う表現とはなってしまいますが、さすが彼女であるなと感嘆したのでございますね。
しかし実際は、わたくしの場合はあとがきに書きましたように、そして本編を読まれたらお分かりになるかとも思うのですが、最初の方にあらかたお題を消化いたしまして、その後はあの世界を構築するのに必死でございまして、ほとんどそういった面白みを考える余裕はなかったのでございました。
しかし皆様の中には、私が上げました自分の人間性でないものを作中の言葉から当てはめてくださった方がいらっしゃるかも知れず、それはどれだったのかなと考えることはありまして、これだともしも思われたりしたら、と考えると少し面白いなとひとりにまにましておりました。結果そういう言葉が入っていたというだけでありますのですが。

「輪舞曲2604」には、以前もみむ子様への返信などでも書きましたけれども、私の中のさまざまなものがこれでもかと入っているところがございまして、その中のひとつというか、これを書こうと思いました動機のうち、美の扱い方へのアンチテーゼ、というものがあったことを思い出したりもいたしました。
よく多くの方が、東方神起や、それこそアイドルの方々を美しいであるとかイケメンであるとかそういった表現をして、それをたいそうお話の中にお入れになりますし、そうした二次ではなくとも、多くの表現作品でやはり美しい人というのを賛美する、と言いますか、それが物語の基盤となっているということがあり、それは優れたものもたくさんありはいたしますが、私自身は、ほんとうのところそうした、単なる美というものにあまり惹かれないという性分から、それをある種否定するような話を書いてみたいという気持ちになっていたのでした。
それについて私のこのお話の中では二重三重に何か否定しているようなかたちになっておりまして、何が悪いとかいいとかいった話に落とし込んではいないのでありますが、ただ、私がよく思うことといたしましては、これはお話に限ったことでなく、そしてここを読んでくださる方であればまたそれかいと思われると思う発言でございますが、美しい、ということ以上に、面白い、ということ、興味を引かれる、何かしらの魅力がある、ということが大変重要であるということでござます。
これはステレオタイプではない、ということが同時に言えることでございまして、もちろんけれんみというものを考えて、あえてそうした部分を入れますとまた大変効果があったりもするのでございますが、ですがやはり、何か新しく、見たことのない、作られた方なりの、もしくはそれを体現する方なりの唯一のものを見なければしようがない、と私は強く思っておるのでございます。

私は今回出しましたアイドルたちの中で、いちばん芸能人として見甲斐があると思っているのはチャニョルなのですが、それはその顔がハンサムであるとか美しいとかいう以上に、稀有なものであるということが大きく、また、性格や資質もそうであるということからでございます、このお部屋にいらしてくださる方々はやっぱり?と思われるのではないかと思うのでございますが。
音楽にほんとうに興味がある、という点でもそうなのでございます。
私は芸に携わる方々、特に歌を出される方々であればそこを何よりも見ますので。
そして、チャニョルの何が特にいいかと申しますと、表情が多彩であることです。
決して演技がものすごく上手いとかそういうことはないのですが、彼らの中にディオがいたり、またひとりでだいぶいろいろなドラマや映画や番組に出たりしたことで、表情のバラエティというものがもともと多かったタイプであった上、もっと増えたという感じがいたします。
矛盾するようですが私は役者をやられる方に大仰な表情演技を求めたりはまったくせず、そういったようなことで彼を褒めているのではなく、眺めるとき、ただただ楽しめるといった点で評価しているのでございます。
見られる方というのは、そうしたものを何と言っても求められていると私は思います。
新鮮な驚きを見ている間に得られるか否か。それが非常に重要です。
それは役者という分野ではまた先程言ったように話が若干違いますが、パフォーマンスにも言えまして、その曲が表現しようとしている何かをそのまま、もしくはグレードアップして見せるということが肝心でございます。
これがなかなか至難の業でして、特にユノやチャンミンは、もともと表情が、普段からもあまりいいものを持っているとは言えないふたりなのでありまして、チャンミンなど笑うのすら下手でありまして、ですがそれが彼の持ち味とはなるのでございますが、あまりにそういうことが不得手ですので役者というのはほんとうに彼に合ってはいなかったりもいたします。
まだパフォーマンスであれば、ということでございますが、それも彼はうまくはないのですね、どこか面白いでなく滑稽に転びがちなところがありまして、彼のパフォーマンス時の癖もあいまって、何か大変にいいものだと簡単には思えないことが多々あるのです。
ユノは、ジェジュンにその昔そのまま言われていたものですが、かっこつけすぎるきらいがずっとありまして、いつものユノのままでいいのに、なんでそんなになるの、東方神起のため?それとも自分の人気のため?とものすごく芯を食った質問を投げられておりましたが結果その回答は得られず、というかそのことで改心を彼はされず、現在に至っているのでございますが、まさしくでございまして、彼がかっこつけますとほんとうにやりすぎでございます。
あちゃー、と思わず言うレベルでのそれでございまして、むしろ彼がコミカルな何かをするとそのよさがぐっと出たりするのでございますが、結局かっこいいに落ち着かれると、なんだ、やはりか…などとがっかりするものでございまして、それはずーっと、変わっておりません。
むしろふたりのインタビューやちょっとしたバラエティなどで見せる表情は、彼らのある部分がとても出ていて、それに対して私は大変好感を持っているのですが、ほんとうに彼らをいいと思うのはそのときだけでございまして、それですとミュージシャン、パフォーマー、役者としては駄目だと思うのでございます。
こうしたことから何を申し上げたいのかと申しますと、ふたりの見た目がいい、ということと(私はユノもチャンミンもそれほどまでに見た目がいいとは思いませんですが)、彼らを好きだと思うこと、そのパフォーマンスをいいと感じること、もしくはふたりを恋愛関係にすることをそのまま関連付けるということは、私にとりまして、なんの面白みもリアリティもなく、ちんぷんかんぷんであるということでございます。

今回βカロテン様のふたりのみが唯一カップルであったわけでございますが、そのお話の中の彼らは、美しさや、もしくはかっこいいであるとか可愛いであるとかで(中身についてもでございます)好き合っているのではなく、おそらくユノはチャンミンのことをその思いやりと能力の高さから、チャンミンはユノのことを猪突猛進さと朗らかさから好んでいるのでありまして、そういうところに、書き手の方の個性や洞察力が見られるのでございます。
どうしても、こと二次BLとなりますと女性が書かれることが多く、そうしますと、カップリングからしてもそうなのですが、どうしても女性の視点というものから抜け出しているお話というものは少なくなってしまい、ですが描いているのは男性でございますので、必然的に真実味に欠け、面白いお話を読ませいていただく機会は多くなくなります。
これは以前も触れましたけれども、女性がお話を、特に恋愛絡みのお話を書かれる際、男性と恋愛するとき、その相手に対しどういうふうに恋心を抱くかという自分の経験則からその基となる部分を構築されますので、そうしますとだいたいが、かっこよく、頼れる人を好きになる、か、可愛く、世話してあげたい人を好きになる、というパターンに分かれるのです。特に東方神起のお話の場合はそうでございます。ユノが前者、後者、どちらにもなります。チャンミンはだいたいにおいて同じキャラで、どちらのユノを好むチャンミンか、という違いだけでございます。
これは女性の考え方そのものでございまして、男性がそのような考え方のみで、特に異性愛者設定の場合なら、同性を好きになるというのは想像をよくされていないということが言えるのでございます。
むしろそここそにBLというものの深みと醍醐味がありますのに、それを見ないようにしてしまって、いちゃいちゃし続けるふたりを描かれていまして(かっこいい、可愛い、かっこいい、可愛い、もしくは可愛い、エロい、かっこいい、可愛い、エロい、かっこいいの繰り返しでございますね)、そんなふうに楽しめるということが不思議でならなかったりいたします。

少し話がそれますが、SMにはジェウォンさんという振付師でありダンサーの方がいらっしゃると思うのですが、よくEXOの振りなどもされてらっしゃいますけれども、そしてそこまで詳しく実情を調べていないので印象で申し上げることをお許しいただきたいのですけれども、わたくしはこの方の振りがおそらくそこまで好みではなく、それはその曲から連想することそのままのものしか見せてくれていないということが申し上げられます。
またここで出てまいりますが、面白みがないのでございます。
セクシーなもの、力強いもの、可愛さのあるもの、そうしたものが非常にその言葉のとおりに出されているような気がいたしまして、それはあまり見たくないものなのでございます。
この振り付けに関することはまた別の機会に触れさせていただければなと思うのでございますが。
ついでに書いてしまいますと、女性グループの髪の毛を触るであるとか腰を振るであるとかそういうものもほんとうに好きではありません。
髪の毛のあのかき上げはそれこそバブル期を連想させるものでございまして、わたくし故・渡辺淳一先生のことはこれっぽっちも好むところはないのでございますが、故・飯島愛氏と週刊誌で対談されていたとき、その癖はやめた方がいい、不潔に感じるし、ということを彼女におっしゃられていて、それだけはものすごく共感したのでございます。渡辺先生は医師でもありましたから、そういう意味でも、そうだよなあ、と納得しきりでございました。
あ、飯島愛氏は好きでしたです。彼女を批判したいということでなく、あれは端的に言ってダサいセックスアピールでございますので、誰にもして欲しくないのでございますね。韓国男性大好きなようでございますが。
だいたい髪の長い女性を好む、や、女性がそこに女性自身を込める、という嗜好や思想もものすごく好きではないのですね。これも何度も触れておりますが。
単純ですし、面白みがないですし、髪の長い短いは結局似合う似合わないで決めることでありますので。

皆様もお分かりではないかと思うのですが、単に綺麗であるとか美しいというだけで人は人を見たり楽しんだりするのではないのでございます。
私は髪の長い顔の整った目の大きい美人に興味がないということはさんざん申し上げてきたように思いますが、それはそれだけでなく、すべての人(性別問わず)に言え、人前で何かを見せる人というのにはなんと言っても才能とチャームと個性がなければならず、それは当然その見た目も含まれ、理想を体現したようなそれであっても駄目で、その人なりの何か、しかも人に訴える何かでなければならないということなのでございます。
東方神起のふたりのお話をこの企画では書いたわけでありますが、私からすると顔立ちも声質も表情も音楽の才も少々残念でありますが、それでも頑張っている男性たちであり、その歴史からもこれからもっとよくなるよう進んでいってほしい、よくよく考えて、と願っておりまして、何を望んでいるか、そして何が向いているか、その擦り合わせを可能な限りし続けていくことをやめないで欲しいという思いが込められたものとなっております。
外見というのは衰えるものでありまして、特に韓国は上手くエイジングという課題を消化できていない印象が強く(少し年を重ねると途端若作り感がものすごいことになりますので)、見た目の美しさだけをどうこう言い続けるのはナンセンスであると非常に危惧しておるのです。
長々と自作について野暮なことを述べ続けてまいりましたが、なんとなく書いておこうかなと思いましたのでしたためた次第でございます。


本日の一曲

マリリン・モンロー 「Diamonds are a girl's best friends」


何にしようか迷ったのですがこの曲を。
私は大変この方が好きなのですが、それはこの方が一概にこういう人間を表現していると言えないところがあるからというのがもっとも大きな理由でございます。
むしろこの方はセクシーの権化のような表現をされることが多く、私がこのように申し上げると?となる方も多いのではないかと思いますし、また、私が好きなクリスティなどもよく、その人物描写が典型的に過ぎるという批判をされることがあったりいたしますが、それと似てまったく私は逆の印象を彼女たちの表すものに抱いておりまして、どうしてこうも食い違うものであろうかとよく思うのでございますが、クリスティーはその人物たちのリアリティというのが大変感じられる上、女性や男性はこういうものである、であるとか、多くの事象について決め付けというものがほとんど皆無の方でありまして、そうしたことを含むあらゆる理由で彼女が好きですし、モンローは、単なるお色気ですまないものが豊かに体から発散されている方でありまして、それを見るのが私は非常に好きなのです。
これを見ていただきますと、刻一刻と表情を正に秒単位(それ以下でございますね)で変えているのがお分かりかと思うのですが、大きな変化ではないために、大仰なものとしてその印象を見る者に与えません。
そして大まかに言えばセクシーに該当するパフォーマンスではありますが、そこには可愛らしさ、その上強さをも内包しておりまして、歌詞の内容も合いまり(恋なんかより宝石よ、という、男性の存在以上の、何か確実なものを求める女性の心情を歌っております)、キュートでありながらシビアであるという、この一見両立不可能な事柄を彼女の手腕だけで説得力あるものにしてしまっているのでございます。
パフォーマンスというのはこういうもののことを言いまして、単に愛嬌やマスキュランなものを振りまくということではなく、曲の表すものを全身で見せることを言いまして、それには資質が、そして努力が不可欠であるのです。


突然思い出したぐっと来る台詞「男っていうのはプライドだけで生きていけるようなところがありますからね。試しにめちゃくちゃ褒めてから三日くらい食べ物与えないでみてください。割と平気だと思いますよ」
フェリシティ檸檬

※安住紳一郎氏の言です。


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